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2801.

Lu AA21004の大うつ病を対象とした臨床第3相試験の速報結果

武田薬品工業株式会社は8日、H. Lundbeck A/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、以下「Lundbeck社」)から導入し、現在、大うつ病および全般性不安障害を対象に、欧米で複数の臨床第3相試験を実施中のLu AA21004について、大うつ病を対象とした3本の試験結果を発表した。Lu AA21004の臨床第3相試験については、臨床第2相試験のデータでは5mgと10mgの用量が同等の有効性を示したことを受け、2.5mg、5mg、10mgの3つの用量により、プラセボを対照とし有効性・安全性を検討。その結果、3本の試験のうち、2.5mg、5mgの用量を検討した2本の試験では有意差が見られなかった。また、2.5mg、5mg、10mgの用量を検討したもう1本の試験では、2.5mgでは有意差が見られず、5mg、10mgの用量では、全ての解析においてではないが有意差が認められた。これらの結果から、同剤は、高用量でより有効である可能性が示唆された。なお、安全性・忍容性については3本の全ての試験において、これまでに実施された臨床試験同様に、良好な結果が得られているとのこと。この速報結果から、同社とLundbeck社は、Lu AA21004の最適な用量を確認するために、追加試験の実施を含めたさらなる検討が必要であると判断。今後の開発および申請計画について、米国食品医薬品局(FDA)および各国の規制当局と、引き続き協議を行っていくとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.takeda.co.jp/press/article_34425.html

2802.

非専門家による母親への直接介入で、子どもの発達が改善

社会経済的に劣悪な状態にある母子に対して、訓練を受けた非専門的な一般人が家庭において介入することで、母親としての対応や子どもの情緒的発達にベネフィットがもたらされることが、イギリスReading大学心理学科のPeter J Cooper氏らが南アフリカで実施した無作為化試験で明らかとなった。母-幼児関係は、社会経済的条件の悪化や母親のうつ病によって有害な影響を受け、その結果として子どもの発育に心理的、社会的、身体的な悪影響を及ぼす。欧米では、母子関係への直接的な介入によって関係そのものばかりでなく子どもの成長が改善されるとのエビデンスが示されているという。BMJ誌2009年4月25日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。ケープタウン市郊外の貧困地区の妊婦を対象とした無作為化対照比較試験研究グループは、南アフリカの社会経済的環境が極めて劣悪な状態にある都市周辺部地域において、母-幼児関係および子どもの母親に対する愛着心の保持が改善されるようデザインされた介入法の有効性を評価するために、無作為化対照比較試験を行った。対象は、ケープタウン市近郊のカエリチャ(Khayelitsha)地区に居住する449人の妊婦であった。介入は妊娠後期から産後6ヵ月まで行われた。初めて訓練を受けた非専門的な地域行政職員が妊婦の家庭を訪問し、親としての役割について支援、指導した。介入は、繊細で思いやり豊かな親としての機能を促進すること、および子どもの母親に対する愛着心の保持を目的とするものであった。対照群の妊婦は研究チームによる治療的な情報の提供は受けなかった。主要評価項目は、産後6ヵ月、12ヵ月における母子関係の質および18ヵ月における子どもの愛着心の保持とした。副次評価項目は、産後6ヵ月、12ヵ月における母親のうつ病の発症とした。母子関係の質、子どもの母親への愛着心の保持ともに改善介入によって母子関係が有意に改善された。産後6ヵ月、12ヵ月のいずれにおいても、母親が子どもと接する際、対照群に比べ介入群において繊細な対応が有意に多く(6ヵ月:p<0.05、12ヵ月:p<0.05)、押しつけ的な対応は有意に少なかった(6ヵ月:p<0.05、12ヵ月:p<0.05)。産後18ヵ月における子どもの母親への愛着心の保持率も、対照群の63%に対し介入群は74%に達しており、介入による有意な改善効果が認められた(オッズ比:1.70、p<0.05)。母親のうつ病の発症率には介入による有意な低減効果はみられなかったが、産後6ヵ月における抑うつ気分についてはベネフィットを認めた(p=0.04、Edinburgh産後うつ病スケールによる)。著者は、「地域の非専門家女性による家庭での介入は、子どもの良好な成長の予測因子として知られる『母子関係の質』および『子どもの母親への愛着心の保持』について有意な改善効果をもたらした」と結論し、「このアプローチは低コストであるため、開発途上国における現行の一般人口レベルの保健システムに、母親と子どもへの介入を統合することも可能であろう」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

2803.

「抗うつ薬の適正使用に関する委員会」発足

日本うつ病学会は1日、厚生労働省医薬食品局安全対策課からの依頼を受け、抗うつ薬の副作用をはじめとする薬物療法に関する諸問題を専門家の立場から検討し、適正な抗うつ薬の使用法を提言すべく、学会内に「抗うつ薬の適正使用に関する委員会」を設立したと発表した。すでに4月17日に第1回の委員会を開催されており、今後多くの資料を収集し検討を加え、その結果を公表していく予定だという。委員長は、樋口 輝彦氏(国立精神・神経センター)。委員は、石郷岡 純氏(東京女子医科大学医学部精神医学教室)、大森 哲郎氏(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部精神医学分野)、神庭 重信氏(九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野)、中込 和幸氏(鳥取大学医学部統合内科医学講座精神行動医学分野)、野村 総一郎氏(防衛医科大学校精神科学講座)、渡邊 衡一郎氏(慶應義塾大学医学部精神神経科学教室)。詳細はこちら(PDF)http://www.secretariat.ne.jp/jsmd/img/yaku_tekisei.pdf

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持効性抗精神病剤「リスパダール コンスタ筋注用」が承認取得

ヤンセンファーマ株式会社は、4月22日付で抗精神病剤「リスパダール」(一般名:リスペリドン)の新投与経路である「リスパダールコンスタ筋注用」(一般名:リスペリドン持効性懸濁注射液)の製造販売承認を取得したと発表した。リスパダールコンスタは、統合失調症を適応とするリスパダールの長時間作用型製剤として開発された注射剤であり、国内で実施された臨床試験において、幻覚、妄想などの精神症状に対して、経口リスペリドンに劣らない有効性と安全性が確認された。国内においては、新規抗精神病薬としては初の持効性注射剤である。リスパダールコンスタは、海外では2002年にドイツ、英国、2003年には米国で統合失調症を適応として承認され、2008年12月までに世界92の国と地域で承認されている。詳細はプレスリリースへhttp://www.janssen.co.jp/inforest/public/home/?paf_gear_id=2100029&paf_gm=content&paf_dm=full&vid=v11&cid=cnt57518

2805.

治療抵抗性統合失調症治療薬クロザリルが製造販売承認を取得

ノバルティス ファーマ株式会社は22日、治療抵抗性統合失調症の治療薬として「クロザリル錠25mg/100mg」(一般名:クロザピン)の製造販売承認を取得したと発表した。クロザリルは、日本で初めて「治療抵抗性統合失調症」の適応症を認められた抗精神病薬。同剤は、2種類以上の抗精神病薬を十分な量、十分な期間投与されたにも関わらず、十分な効果が得られない患者に対する治療薬として、すでに世界97ヵ国で承認されている。クロザリルは、1969年にオーストリアで最初に抗精神病薬として承認を取得した後、1975年フィンランドで、発売後6ヵ月間で8名の死亡を含む16名の無顆粒球症の発現が報告されたため、各国で販売中止や開発中止の措置がとられ、日本での開発も中止されていた。しかし、その後、既存の抗精神病薬で効果がない患者に対して有効性があることが示され、治療抵抗性の統合失調症に対し、血液検査を義務付けて使用されている。さらに、アメリカ、イギリスなどでは、血液検査の確実な実施と処方の判断を支援する「クロザリル患者モニタリングサービス」(CPMS:Clozaril Patient Monitoring Service、アメリカでは Clozaril National Registry)を導入しています。クロザリルは、このような厳しい安全管理のもと、1975年に発売されて以来、世界で380万患者・年の患者に使われている。同社は、日本においても無顆粒球症、好中球減少症などの早期発見・早期対処を目的としたCPMSの導入により、厳重な安全管理のもとに本剤が使用されるように推進していくという。今回の承認にあたっては、CPMSに登録された医療機関、医師、および保険薬局においてのみ、登録された患者に処方がなされるよう、承認条件により義務付けられている。詳細はプレスリリースへhttp://www.novartis.co.jp/news/2009/pr20090422.html

2806.

患者と医師で分かれるうつ病重症度判定表に対する評価:イギリス

イギリスのNHS(国民健康保険制度)では1998年以降、QOF(医療の質とアウトカムの枠組み)が導入され、プライマリ・ケアを担うかかりつけ医の業績を、数値化した指標で評価している。この枠組みの中で2006年4月以降、初診時全患者について、公認された判定表を用いてうつ病重症度を評価するようインセンティブが与えられるようになった。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。しかし、実際には臨床的な判断を優先し、必ずしも判定表の結果に即した治療は行われていない実態が指摘されている。この問題について、リバプール大学プライマリ・ケア部門のChristopher Dowrick氏らが、医師と患者を対象に調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。かかりつけ医34人、患者24人を面接調査調査は、うつ病重症度判定表の標準尺度をルーチンに採用することに関して、医師および患者がそれぞれどのように考えているのかを明らかにするため実施された。面接調査への協力が得られたのは、イングランドの3つの地域(サウサンプトン、リバプール、ノーフォーク)の38ヵ所のかかりつけ診療所から、34人の医師と24人の患者。かかりつけ医は懐疑的、患者はエビデンスに期待結果、医師は評価表の尺度の有効性と有用性については慎重であるべきだと懐疑的だったが、患者は概してうつ病重症度の評価について好意的だった。両者の意見が一致していたのは、「重症度の評価は全人的ケアの一側面とみなすべき」であるということ。一方で、医師は、自分たちの経験知や臨床的な判断のほう(“phronesis”)が客観的評価より重要と考えており、客観的評価が診療の人間的な要素を減弱させることを危惧していた。対して患者は、判定表を医学的判断にとって有効な補助材料として肯定的に受け止めており、アセスメントが十分行われ、医師が病状を真剣に受け止めるエビデンスになると考えていた。また、医師も患者も「指標操作の可能性」については気づいていた。医師はコスト面から、患者はうつ病の徴候をごまかしたり望ましい転帰を得るために、それぞれ操作する可能性があることを了解していた。こうした分析を踏まえDowrick氏は、評価ツールに対する医師側の疑念があるにもかかわらず、「これらツールの活用は、プライマリ・ケアにおけるうつ病対策に恩恵をもたらすだろう」と述べている。その理由について「患者は、かかりつけ医の診断は正しく、また、精神保健上の問題を評価・管理するために系統的に努力を払ってくれていると受け止めており、患者からの信頼度は高まっているからだ」と結論。最後に、プライマリ・ケアに携わる医療者へのさらなる教育によって、うつ病重症度判定表の正しい活用は普及するだろうとの期待を述べ報告をまとめている。

2807.

かかりつけ医に、うつ病重症度判定の報酬インセンティブを導入したが……:イギリス

イギリスでは2006年4月以降、NHS(国民健康保険制度)のQOF(quality and outcomes framework)契約を結ぶかかりつけ医に対し、初診時全患者について、公認された3つの評価表(PHQ-9、HADS、BDI-II)のいずれかを用いて、うつ病重症度評価を行う報酬インセンティブを導入している。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。サウサンプトン大学プライマリ・ケア部門のTony Kendrick氏らは、制度導入後のかかりつけ医の抗うつ薬の処方率と精神科専門医等への紹介率をカルテデータから調べ、狙い通り改善が図られているのか調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。検査実施率は着実に増えている一方、評価ツールの精度、有用性に疑問の声原則として評価表でスコアが高かった患者は、必要な介入がより大きいことを示す。しかしQOFガイダンスでも、治療評価はスコアだけをあてにするのではなく、身体的障害やうつ病既往歴、患者の希望を考慮するよう推奨している。また評価表は、それぞれ開発・設計目的が少しずつ異なっており、うつ病重症度の「ゴールドスタンダード」はない。HADS(hospital anxiety and depression scale)はうつ病患者を同定する検査ツールであり、BDI-II(Beck depression inventory第2版)はうつ病重症度を測定する診断ツール、そしてPHQ-9は検査と診断の両評価を兼ね備えたものとして開発された。そのためNHSによれば、公認評価表の診断時活用は、2006~2007年の平均81%から、2007~2008年は平均91%にアップしたと報告されているが、一方でかかりつけ医がスコア結果を無視している実態がありツールの精度や有用性について議論が続いているという。高齢患者、共存症患者への治療率が低いそうした背景の中でKendrick氏らは、サウサンプトン、リバプール、ノーフォークの3地域からかかりつけ医38人の協力を得て、2006年4月から2007年3月の間に、うつ病評価を行った患者2,294例のカルテデータを解析した。結果、使用された評価表の内訳は、PHQ-9が1,658例、HADSが584例、BDI-IIが52例。広く使われていたPHQ-9とHADS患者群(2,242例)で、抗うつ薬処方率は79.1%、専門医等の紹介率は22.8%。処方率および紹介率は、より高度な重症度スコアと有意に相関していた。ただし評価表別に見ると、PHQ-9群では83.5%の患者が中等度~重度患者と分類されている一方、HADSでの同分類患者分類の割合は55.6%という違いが見られた。また、QOFで特に重視すべきスクリーニング対象としている高齢患者(65歳以上)、あるいは共存症(虚血性心疾患、糖尿病など)を有する患者について、治療に結びついている割合が、それぞれの対照群と比べると低いことが明らかになった。Kendrick氏は、「かかりつけ医は、評価表スコアだけに頼らずうつ病治療の評価を行っており、スコア結果と実際の治療とは相反している実態が明らかになった。今回の結果は、治療を行うことが妥当である、臨床的な判断とも一致する、とかかりつけ医が患者分類の手段として容認できるよう、推奨スコアの変更を行う必要があることを示唆するものである」と結論している。

2808.

慢性疼痛、うつ症状はプライマリ・ケアで改善できる

プライマリ・ケアでよく見られる慢性疼痛について、コラボレートケア介入(プライマリ・ケアベースでサイコロジスト・ケアマネジャーと内科医が疼痛治療補助の介入を行う)で、統計的に有意な改善が見られことが報告された。ポートランド退役軍人病院(アメリカ)のSteven K. Dobscha氏らによる、同院関連の5つのプライマリ・ケア診療所で行った集団無作為化試験SEACAP(Study of the Effectiveness of a Collaborative Approach to Pain)の結果で、JAMA誌2009年3月25日号で掲載されている。慢性疼痛患者401例、通例治療群とコラボレートケア群に無作為化され12ヵ月間追跡Dobscha氏らは、プライマリ・ケアでよく見られる慢性疼痛は、大半は身体的・精神的障害、苦悩、あるいは共存症のうつ病と関連し、医療コストの増大とも関連しているとして、一部試験評価で改善が実証されていたコラボレートケアが、共存症のうつ病を含む予後改善に寄与するかどうかを検討した。試験には、かかりつけ医42人が協力。12週間以上、中等度以上の痛みがあり、筋骨格痛と診断された退役軍人患者401例が登録され、通例治療群(専門ペインクリニックに患者を紹介)とコラボレートケア群に無作為に割り付けられた。登録は2006年1月から2007年1月まで。追跡調査は2008年1月に終了した。疼痛治療補助には、かかりつけ医向け教育プログラム(2セッション)をはじめ、患者評価、ワークショップへの参加誘導、症状モニタリング、かかりつけ医へのフィードバックと勧告、必要に応じた専門治療受療の勧告が含まれた。患者は試験登録するとまず電話連絡を受け、書面評価票が郵送され、ケアマネジャーによる評価訪問を受けた。患者評価はクリニックにて、あるいは電話やテレビ電話会議で行われた。介入期間は12ヵ月間。2ヵ月ごとにケアマネジャーが電話で患者にコンタクトをとりモニタリングと評価が行われた。通例治療群より、疼痛による障害、疼痛強度は大きく改善、うつも改善コラボレートケア群に割り付けられた患者は、平均10.6回(SD 4.5)、チームからのコンタクトを受けた。通例治療群と比較して、12ヵ月間でより大きな改善が見られたのは、疼痛による障害[ローランド・モーリス障害質問票(RMDQ)のポイント/月の変化:-0.101、P=0.004]、疼痛強度(同CPG疼痛強度サブスケール:-0.270、P=0.01)だった。 また基線で、うつ病があった患者[PHQ-9スコア(範囲:0~27)が10]にも、より大きな改善が見られた(同:-0.177、P=0.003)。コラボレートケア群と通例治療群の、基線と12ヵ月時点でのスコアの違いは、RMDQは-1.4対-0.2、CPG疼痛強度サブスケールは-4.7対-0.6、PHQ-9は-3.7対-1.2だった。これらから、「介入効果はわずかではあるが、種々の予後評価で統計的に有意な改善をもたらしたことが確認された」と結論し、プライマリ・ケアベースでの介入で、慢性疼痛およびうつ症状は改善できるとまとめている。(武藤まき:医療ライター)

2809.

急性胸痛を訴え救急外来を受診した患者へのアドバイス

急性胸痛を訴え救急外来を受診する患者の大半は、即時診断は困難で、さらなる診断評価を必要とする。通常はそのことを患者に口頭で伝えるだけだが、診断に対する不安を患者に与えることになったり、急性胸痛を繰り返すことになるなどQOLに重大な影響をもたらし、うまく伝えることが求められている。Northern General HospitalのJane Arnold氏らは、年間70万人(イングランドとウェールズで)に上る急性胸痛患者への有用な情報伝達方法として、循環器外来患者のコミュニケーションツールとして開発されたインフォメーションシートをアレンジ。患者の不安解消および健康QOL、治療満足度、二次的症状の改善に役立つか試験した。BMJ誌2009年3月21日号(オンライン版2009年2月26日号)より。診断評価の伝達を、口頭のみ群、+インフォメーションシート提示群とで比較試験は1施設のER胸痛ユニットで、非盲検無作為化試験で行われた。急性胸痛を訴え受診するも初発症状での診断がつかなかった患者を、診断評価後に、一般的な口頭でのアドバイスだけを与えるグループと、口頭でのアドバイスに加えインフォメーションシートを提示するグループに、無作為に割り付けた。主要転帰は、不安症(14の質問項目で評価するhospital anxiety and depression scale)。副次転帰は、うつ病(hospital anxiety and depression scaleで評価)、健康QOL(SF-36でセルフ評価)、患者満足度、1ヵ月以内の再度の急性胸痛の有無、ライフスタイルの変化(禁煙、食事、運動)、さらに他のソースから情報を得ようとしたり、疼痛へ備えた健康管理行動とした。インフォメーションシート提示はうつや不安予防に有効患者700例のうち試験に応じたのは494例(70.6%)だった。結果は、アドバイスが口頭のみだったグループに比べ、インフォメーションシートも受け取ったグループのほうが、主要転帰の不安症、副次転帰のうつ病の評価指標平均値(hospital anxiety and depression scale)が、より低く、シート提示が不安症やうつを減らすことが確認された。不安症のスコアは、7.61対8.63、群間差は1.02(95%信頼区間:0.20~1.84)。うつ病スコアは、4.14対5.28、群間差は1.14(0.41~1.86)。SF-36評価による精神面および健康状態についても、+インフォメーションシート群のほうが高く、健康QOLの面に有用なことが認められた。一方で、患者満足度、二次的症状、ライフスタイルの変化、さらなる情報探求行動や疼痛へ備えた健康管理行動に有意な変化は見られなかった。それでもArnold氏は、患者にインフォメーションシートを提供することの潜在的な有用性を強調し、さらなる改良開発が必要であるとまとめている。

2810.

新世代抗うつ薬を比較

 新世代抗うつ薬12種類の有効性と受容性について、ベローナ大学(イタリア)Andrea Cipriani氏らが、複数の無作為化試験結果のメタ解析を行った(別名:混合治療比較メタ解析、ネットワークメタ解析)。ここ20年で登場したうつ病の新薬は構造やメカニズムが似通っており、またいわゆるジェネリック薬も多く、どれほど違いがあるのかが不明とされていた。解析結果は、Lancet誌2009年2月28日号(オンライン版2009年1月29日号)に掲載された。参加者総数25,928人の117の無作為化試験を系統的にチェック 対象となった抗うつ薬は、bupropion、citalopram、duloxetine、escitalopram、フルオキセチン(商品名:プロザック)、フルボキサミン(同:デプロメール、ルボックス)、ミルナシプラン(同:トレドミン)、mirtazapine、パロキセチン(同:パキシル)、reboxetine、セルトラリン(同:ジェイゾロフト)、venlafaxine。 1991年から2007年11月30日の間の、117の無作為化試験(参加者総数25,928人)を系統的にチェックし、急性の単極性成人うつ病に対する有効性を比較した。主要評価項目は、割り当てられた治療への反応率および脱落率とし、全例解析が行われた。有効性と受容性はセルトラリンとescitalopramが高い、一方最も低いのはreboxetine duloxetineとの比較で、mirtazapine(オッズ比:1.39)、escitalopram(1.33)、venlafaxine(1.30)、sertraline(1.27)は、有効性が有意に上回っていた。 フルオキセチンとの比較ではそれぞれ、mirtazapine(オッズ比:1.37)、escitalopram(1.32)、venlafaxine(1.28)、sertraline(1.25)。 フルボキサミンとの比較では、mirtazapine(オッズ比:1.41)、escitalopram(1.35)、venlafaxine(1.30)、sertraline(1.27)。パロキセチンとの比較では、mirtazapine(オッズ比:1.35)、escitalopram(1.30)、venlafaxine(1.27)、sertraline(1.22)。 reboxetineとの比較では、mirtazapine(オッズ比:2.03)、escitalopram(1.95)、venlafaxine(1.89)、sertraline(1.85)だった。 reboxetineは、他のどの抗うつ薬よりも有意に有効性が劣っていた。またescitalopramとセルトラリンは受容性の面で最も高く、duloxetine、フルボキサミン、パロキセチン、reboxetineとvenlafaxineは、脱落率が有意に少なかった。 これらからCipriani氏は「有効性と受容性に関してescitalopramとセルトラリンを支持する。臨床的に重要な違いが抗うつ薬の間に存在している。成人で中等度から重度の主要なうつ病治療を開始する際は、セルトラリンが最高の選択薬のようだ。有効性、受容性および価格の面で、とてもよくバランスがとれているからである」と結論している。

2811.

妊娠前・妊娠中の糖尿病は周産期や産後のうつ病リスクを増大

妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人は、周産期や産後にうつ病を発症するリスクが、そうでない人に比べて2倍近くに増大するようだ。これは、米国Harvard Medical SchoolのKaty Backes Kozhimannil氏らが、米国の低所得層の母親を対象にした調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年2月25日号で発表した。妊娠前・妊娠中に糖尿病だった人のうつ病を発症するオッズ比は1.85Kozhimannil氏らは、ニュージャージー州の低所得者向け公的医療保険メディケイド加入者で、2004~2006年に出産した1万1,024人について、後ろ向き調査を行った。妊娠前や妊娠中に糖尿病ではなかった人で、周産期や産後にうつ病を発症したのは、8.5%(886人)だった。一方、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人のうち、周産期や産後にうつ病を発症していたのは、15.2%(100人)と、大幅に高かった。年齢や人種、出産時の在胎齢などを補正後、妊娠前や妊娠中に糖尿病だった人が周産期や産後にうつ病を発症するオッズ比は、そうでない人に比べ、1.85倍(95%信頼区間:1.45~2.36)だった。周産期うつ病がなくても、糖尿病で産後うつ病リスクが約1.7倍にまた、周産期にうつ病のなかった人について、産後にうつ病の診断を受けたり、抗うつ薬を服用した人の割合は、妊娠前や妊娠中に糖尿病があったグループでは9.6%(62人)と、同時期に糖尿病のなかったグループ(5.9%、604人)に比べ、有意に高かった(オッズ比:1.69、95%信頼区間:1.27~2.23)。同研究グループは、妊娠前や妊娠中の糖尿病は、試験対象の低所得者層の母親にとって、周産期や産後うつ病の独立したリスク因子のようだ、としている。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

2812.

中高年のうつ

55歳以上の中高年でのうつ病の重大性が認識されているにもかかわらず、また予後に関する試験結果も示されているが、プライマリ・ケアにおける予後を想定した診断モデルがないことを受け、オランダVU University Medical Centreの一般診療・ヘルスケアリサーチ部門のE Licht-Strunk氏らは、3年間追跡調査を行い、そのモデル化(うつ病相期間、回復の可能性、予後予測因子)に取り組んだ。BMJ誌2009年2月21日号(オンライン版2009年2月2日号)より。55歳以上のうつ患者234人を3年間追跡追跡調査の対象は、オランダ、西フリースランドの32ヵ所の診療所に通院する、一般的な抑うつ障害を有する55歳以上の患者234人。ベースライン時および6ヵ月ごとに、精神疾患診断統計マニュアル(DSM)第4版に即した診断インタビューと、モンゴメリー・アズバーグうつ病評価尺度(MADRS)を用いた重症度評価を行った。主要評価項目は、回復までの時間と回復の可能性とした。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連その結果、主要なうつ病相期間の継続時間の中央値は、18.0ヵ月(95%信頼区間:12.8~23.1)で、1年以内に回復した患者は35%、2年以内は60%、3年以内は68%だった。転帰不良はベースライン時の重症度、うつ病の家族歴、身体機能の低下と関連していた。また追跡期間中、身体機能の低下は慢性うつ病患者では持続していたが、回復した患者では改善していた。これらを受けLicht-Strunk氏は、「55歳以上のうつは予後不良である。重症度、家族歴、身体機能低下の情報を直ちに入手することが、治療の手助けとなる」と結論している。

2813.

医薬品第一部会が統合失調症治療薬「クロザリル」を了承、患者モニタリング制度が条件

薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会は2月27日、治療抵抗性統合失調症の治療薬「クロザリル錠」(一般名=クロザピン)の承認を了承した。クロザリルは1969年にオーストリアで初めて承認されたが、75年にフィンランドで16人が無顆粒球症となり、8人が死亡したことから一時販売を停止した。その後、既存の治療薬が効かない患者に対する治療薬として見直され、無顆粒球症などの早期発見を目的とした患者モニタリングを確立させることなどを条件に世界97ヶ国で承認されている。 今回も厳しいモニタリングシステムを導入することが必要で、1)無顆粒球症など重篤な有害事象に対して連携が取れる医療機関・薬局において使用し、定期的な血液検査を実施して評価する体制を構築する、2)文書による同意取得、3)全例調査を行う、ことが条件となっている。

2814.

産後うつ病:訪問保健師による心理学的介入が有効

産後うつ病では、保健師の訪問によるEdinburgh postnatal depression scale(EPDS、http://www.patient.co.uk/showdoc/40002172/)を用いたスクリーニングと、心理学的な情報提供に基づく介入治療が有効なことが、イギリスSheffield大学のC Jane Morrell氏らが実施したプライマリ・ケアベースのクラスター無作為化試験で明らかとなった。産後うつ病は遷延化のリスクがある重大な疾患だが、病態の把握が難しく、抗うつ薬の使用が困難であるため、心理学的な介入は実践的な治療選択肢とされる。BMJ誌2009年1月31日号(オンライン版2009年1月15日号)掲載の報告。EPDS、臨床転帰、不安度分析、QOL、育児ストレスを評価研究グループは、産後うつ病において保健師が行う2つの心理学的な情報提供よる介入の有効性について評価した。2003年4月~2006年3月までに、Trent地区の101の一般医療施設に4,084人の女性が登録され、対照群(38クラスター)に1,335人が、介入群(63クラスター)には2,749人が割り付けられた。保健師は、EPDSを用いて産後6~8週のうつ症状および臨床状態の評価を行う訓練を受けた。また、患者中心的あるいは認知行動的な原理に基づく心理学的な介入(1時間/週×8週)を実施する訓練を受けた。対照群の保健師は通常のケアを行った。主要評価項目は6ヵ月後のEPDSスコア≧12(産後うつ病と診断)とした。副次評価項目は12ヵ月、18ヵ月後の平均EPDS、臨床転帰(clinical outcomes in routine evaluation-outcome measure; CORE-OM)、不安度分析(state-trait anxiety inventory; STAI)、QOL(SF-12)、育児ストレス(parenting stress index short form; PSI-SF)のスコアであった。介入群で産後うつ病が有意に低下、個々の心理学的介入法に効果の差はない6週後に595人がEPDSスコア≧12であった。このうち6ヵ月後のEPDSの評価が可能であったのは418人で、EPDSスコア≧12の女性は対照群が46%(67/147人)であったのに対し、介入群は34%(93/271人)と有意に優れた(オッズ比:0.62、p=0.036)。共変量で補正後のオッズ比は0.60であった(p=0.028)。全女性の解析で6ヵ月後のEPDSスコアが≧12であったのは、対照群の16.7%(166/995人)に対し、介入群は12.4%(234/1,880人)と有意に良好であった(オッズ比:0.67、p=0.003)。これら6週後 にEPDSスコア≧12の女性および全女性における介入群のベネフィットは、12ヵ月後も持続していた。2つの心理学的介入法(患者中心療法と認知行動療法)の間には有効性に関する差は認めなかった。著者は、「訓練を受けた保健師が臨床評価を行って産後うつ病を同定し、心理学的介入を実施するアプローチは、通常ケアに比べ6ヵ月および12ヵ月後の臨床効果が優れる」と結論し、「訪問保健師による患者中心療法と認知行動療法のアプローチは、いずれも産後うつ病の治療として推奨できることを示すエビデンスが得られた」としている。(菅野守:医学ライター)

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産後うつ病:電話による母親対母親のピアサポートに予防効果

出産後2週間以内に産婦の13%が産後うつ病にかかるとの報告があり、特に、対人関係の希薄な場合に産後うつ病発症リスクが高いことが知られている。逆に言えば、リスクの高い女性を対象に介入を行えば、高い予防効果が得られるのではないか。トロント大学(カナダ)C-L Dennis氏らの研究グループが行った報告が、BMJ誌2009年1月31日号(オンライン版2009年1月15日号)に掲載された。産後うつ病のハイリスク群に電話によるピアサポートを実施この研究は、出産後のうつ病予防策として、電話によるピアサポートの有効性を評価する目的とし、カナダ・オンタリオ州の7つの保健区域を対象に多施設無作為化対照試験として行われた。参加者は、分娩後2週目の女性で、Edinburgh postnatal depression scale(EPDS、http://www.patient.co.uk/showdoc/40002172/)により産後うつ病のハイリスク群とされた者(最高スコア30点、10点以下は正常、13点以上は産後うつ病と判定)。看護師が2万1,470人の女性にウェブを使ってアプローチ、1万4,101人がEPDSスクリーニングを完了、そのうち、スコアが9点以上の1,740人をピックアップし、最終的に701人の適格者を募った。参加者はインターネットを介して、介入群と対照群に無作為化され、介入群には通常のケアに加えて、産後うつ状態を軽減するために電話による母親対母親のピアサポートを実施し、対照群には通常のケアのみを行った。ピアサポートは無作為化後48~72時間内に実施された。ピアサポートを行ったのは地域の母親ボランティアで、産後抑うつを経験し、現在は回復していて、4時間の研修を受けた者に限られた。主要評価項目は、EPDS、抑うつ臨床面接、不安判定基準、UCLA孤独スケール、保健サービスの利用とした。介入群のうつ状態は対照群の半分に評価は看護師が、分娩後12週目に613人、24週目に600人(概ね85%以上)の対象を電話フォローし行った。その結果、12週目にEPDSスコアが12点以上だったのは、介入群が14%(40/297)に対し、対照群では25%(78/315)とほぼ2倍の差がついていた(χ2=12.5、P

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抗うつ薬の効果には差があるのか?

抗うつ薬の効果に差があるのか?この問いに関する科学的根拠はこれまで乏しかったが、1月29日号のLancet誌(オンライン版)に発表されたメタアナリシスによると、12の抗うつ薬の中でミルタザピン(承認申請中)、エスシタロプラム(開発中)、ベンラファキシン(日本未発売)、セルトラリン(日本での発売名:ジェイゾロフト)の順で有効率が高いという結果となることがわかった。日本で発売されている4成分ではセルトラリン、ミルナシプラン(日本での発売名:トレドミン)、パロキセチン(日本での発売名:パキシル)、フルボキサミン(日本での発売名:ルボックス/デプロメール)の順となる。以下、日本で発売されている4剤に関しては、発売名で示す。このメタアナリシスは1991年から2007年までに実施された抗うつ薬に関する117の無作為化比較試験(対象:単極性うつ病症例の急性期)を対象としたもの。有効性(反応率)の評価時期は平均8.1週間。12の抗うつ薬のうち、ミルタザピンの有効性が最も高く、日本で発売されている4剤ではジェイゾロフトが最も高い。ジェイゾロフトの有効性(オッズ比)はパキシルの1.22倍、ルボックス/デプロメールの1.27倍より有意に高かった。また、脱落率で評価した忍容性に関してもジェイゾロフトがパキシル、ルボックス/デプロメールに比べ有意に高かった。最も有効性が高かったミルタザピンは現在、承認申請中で、早ければ2009年中に処方が可能になる。弊社が2007年に医師522名に実施したアンケートによると、パキシルの使用率が最も高く、「抗うつ効果に優れる」ことを使用理由として挙げている医師の割合も他の3剤に比べて高かったが、今回の結果が日本人における有用性として再現できるかを検討する時期に来ているかもしれない。 (ケアネット 藤原健次)

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非定型抗精神病薬にも心突然死のリスク

抗精神病薬は定型・非定型ともに、心突然死のリスクが同等にあることが、米国テネシー州のメディケイド加入者を対象とする大規模な後ろ向きコホート研究の結果として報告された。米国ヴァンダービルト医科大学薬剤疫学・予防医学部門のWayne A. Ray氏らが行った試験で、NEJM誌2009年1月15日号で発表されている。定型薬に関する心突然死の大規模データは存在したが、非定型薬についての同リスクはほとんど明らかにされていなかった。心突然死の発生率を算出Ray氏らは、定型・非定型抗精神病薬を現に使用している患者の心突然死の補正発生率を算出し、心臓に対する安全性を検証した。主要解析の対象は、定型薬1種類使用4万4,218例、非定型薬1種類使用4万6,089例、および抗精神病薬非使用者18万6,600例。2次解析は抗精神病薬使用の関連因子の評価を目的とし、統合失調症または統合失調症に関連した精神病と診断されていない抗精神病薬使用者と、傾向スコア(抗精神病薬使用者となる可能性)で一致させた抗精神病薬非使用者を含み行った。非定型薬使用者は定型薬使用者の1.14倍抗精神病薬の現使用者はいずれのタイプとも、非使用者に比べて心突然死の発生率が高く、定型薬使用者は1.99倍(95%信頼区間:1.68~2.34)、非定型薬使用者は2.26倍(1.88~2.72)だった。過去に抗精神病薬を使用していた患者の発生率比は、非使用者に比べて1.13倍(0.98~1.30)で、リスクは有意に高くはない。非定型薬使用者の発生率比は、定型薬使用者の1.14倍(0.93~1.39)だった。現使用者のリスクはいずれのタイプとも、用量の増加とともに有意に上昇しており、定型薬使用者の場合は、低用量服用者は1.31倍(0.97~1.77)、高用量服用者では2.42倍(1.91~3.06)に増加していた(P<0.001)。一方、非定型薬使用者の場合は、低用量服用者は1.59倍(1.03~2.46)、高用量服用者では2.86倍(2.25~3.65)に増加していた(P=0.01)。傾向スコアで一致させたコホート群での検討でも同等の結果であったと報告されている。Ray氏は、「臨床現場では非定型抗精神病薬が、従来の薬剤に取って代わって使用されるようになっている。しかし今回の結果は、非定型抗精神病薬がより古い薬物より安全ではないことを示唆するものだった」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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リハビリ介入は認知症患者には効果が乏しい

要介護高齢者へのリハビリプログラムの効果について、認知機能正常な場合はわずかだが効果は認められるが、認知機能低下が認められる高齢者にはベネフィットがないことが、オークランド大学(ニュージーランド)のNgaire Kerse氏らによって報告された。BMJ誌2008年10月18日号(オンライン版2008年10月9日号)より。41ヵ所の施設入所者対象に集団無作為化試験Kerse氏らは、長期療養施設に入所する要介護高齢者へのリハビリプログラム実施が、機能・QOL・転倒改善に効果があるかを、集団無作為化試験にて1年間追跡調査し検討した。対象としたのはニュージーランドにある41ヵ所の軽度要介護入所施設。試験参加者は65歳以上682例で、このうち330例は、老人看護専門看護師によって改善目標の設定と、個別ADL活動プログラムが提供され、日々の介入がヘルスケア・アシスタントによって提供された。352例は、施設介護を受け続けた。主要評価項目は、機能・QOL・転倒指標の変化について。機能は、LLFDI(生命機能低下と能力障害指標)、EMS(高齢者可動スケール:スコア16以下の割合)、FICSIT-4(平衡機能検査指標:直立10秒以上の割合)、TUG(timed up and go検査:秒)の変化を、QOLはLSI(生活満足度指標:判定スコア最大20)、EuroQol(判定スコア最大12)の変化を、転倒は12ヵ月の転倒回数の変化を評価した。副次評価項目は、抑うつ症状と入院とした。認知機能が正常な入所者にはわずかだがベネフィットがある試験を完了した入所者は437例(70%)だった。全体的にプログラム介入の影響は認められなかったが、介入群の中で、認知機能障害のある入所者と比べて認知機能が正常な入所者は全体的に機能の維持(LLFDIによる総合的な機能評価、P=0.024)、下肢機能の維持(LLFDIによる下肢機能評価、P=0.015)が認められた。また介入群で認知機能障害のある入所者では、うつ病の可能性が増大することが認められた。その他の転帰については両群間で差異はなかった。Kerse氏は、「施設に入所する要介護高齢者に対する機能改善のリハビリテーションプログラムは、認知機能が正常であれば多少なりとも影響はあるが、認知機能が低下した入所者にとってベネフィットはない」と結論している。

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ビタミンBはアルツハイマー病の認知低下抑制の効果なし

アルツハイマー病(AD)ではホモシステインの血中濃度が高まり、高ホモシステイン血症が血管や神経に毒性に作用し発病に至る可能性がある。しかしホモシステイン濃度は、葉酸とビタミンB6、B12の高用量サプリメント投与で低下させることができる。このため、アメリカ・アルツハイマー病協同研究グループ(Alzheimer Disease Cooperative Study Group)のPaul S. Aisen氏(カリフォルニア大学サン・ディエゴ校)らは、AD治療におけるビタミンB群サプリメントの有効性と安全性を検証していたが、「認知機能の低下を遅らせる効果はない」と報告した。JAMA誌2008年10月15日号より。中軽度AD 患者409例を18ヵ月間試験し効果を比較本研究は2003年2月20日~2006年12月15日にかけて、全米で行われた多施設共同無作為化二重盲検臨床試験で、AD患者601例をスクリーニングし、認知機能検査(MMSE)スコアが14~26の中程度から軽度の409例を、全体の60%は高用量サプリメント処方群(葉酸塩を5mg/d、ビタミンB6を25mg/d、ビタミンB12を1mg/d)、残る40%はプラセボ処方群に無作為に割り付けた。投与期間は18ヵ月。主要評価項目は、アルツハイマー病評価尺度(ADAS-cog)の認知サブスケールの変化とした。ホモシステイン濃度は低下するが認知機能は改善せず試験を完了できたのは合計340例(高用量処方群202例とプラセボ群138例)だった。ビタミンB群のサプリメント投与はホモシステイン濃度の低下に効果的[平均値(SD)比較:高用量処方群-2.42(3.35) vs. プラセボ群-0.86(2.59)、P<0.001]だったにもかかわらず、主要な認知尺度である18ヵ月後のADAS-cogスコアの変化率には、何の有益効果も認められなかった。高用量処方群:0.401ポイント/月 vs. プラセボ群:0.372ポイント/月(P=0.52、比率差の95%信頼区間:-0.060~0.12、intention-to-treat解析の一般化方程式モデルに基づく)。副次的尺度にも、いかなる効果も認められなかった。うつ病を含む有害事象は、ビタミン・サプリメント処方群で、より多く観察された。これら結果からAisen氏は「高用量ビタミンB群サプリメントの処方計画は、中程度から軽度のアルツハイマー病の認知機能低下を遅らせる効果はない」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

2820.

精神神経分野に新たな創薬コンソーシアム「ネディック」設立

大日本住友製薬株式会社は10月23日、11月に大阪大学大学院の医学系研究科、薬学研究科の計5講座とともに、精神神経創薬コンソーシアム「ネディック(NDDC:Neuropsychiatry Drug Discovery Consortium)」を設立すると発表した。統合失調症うつ病など、精神疾患の薬物治療においては、過去50年間にわたって“セレンディピティ(幸運な偶然による科学的発見)”に端を発して創製された薬剤が最も大きな役割を果たしてきていたが、近年の精神疾患基礎研究の急速な進展により、遺伝子/分子レベルでの疾患発症機序に立脚した創薬が行える環境が整いつつあり、従来の治療薬にはない特長を有する革新的治療薬が創製される可能性があると期待されているという。詳細はプレスリリースへhttp://www.ds-pharma.co.jp/news/pdf/ne20081023.pdf

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