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双極スペクトラムの現況:診断と治療

ここ数年来、双極スペクトラムという言葉が広まっているが、一方で過剰診断などの問題も指摘されている。第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会では、双極スペクトラムの現況についてその最前線をレビューするシンポジウムが寺尾岳氏(大分大学医学部精神神経医学講座)の司会で開催された。双極スペクトラムの概念と診断井上猛氏(北海道大学大学院医学研究科精神医学分野)は双極スペクトラムの概念とその診断についてレビューを行った。単極性うつ病と双極性障害を区別するようになったのは、1980年のDMS-III以降である。しかし、①大うつ病エピソードを有する患者の約10%が双極性障害であること、②双極性障害の約2/3が大うつ病エピソードで発症すること、③双極性障害と大うつ病におけるうつ病症状はほぼ同じであり、症状から見分けることが困難であるなどの理由から、単極性うつ病と双極性障害の鑑別は難しい。GoodwinとGhaemiが2000年に提唱した感情スペクトラムは、大うつ病エピソードと双極Ⅰ型障害を両極に据えた概念であり、反復性うつ病と双極Ⅱ型障害の間の一群を「双極スペクトラム障害」としてカテゴリー化し、「従来の診断基準を満たす明確な躁病/軽躁病エピソードは認めないがbipolarityを有する気分障害」と定義した。さらに2007年に、GoodwinとJamisonは大うつ病と双極性障害の間のスペクトラムと、感情障害と気質の間の重症度スペクトラムの二次元で成り立っているとの概念を示した。双極スペクトラム障害(BSD)の診断に関しては、2001年にGhaemiらが診断基準を示している(Ghaemi SN, et al. J Psychiatr Pract. 2001; 7: 287-297)。それに対しKiejnaらが2006年に、単極性大うつ病とBSDでみられる症状について、BSDでオッズ比が高いものを検証した。2000年~2007年に北海道大学病院精神神経科を外来受診した気分障害患者について、最長7年まで経過を観察し最終診断を調査した。その結果、単極性うつ病の5.5%は双極性障害に、4.9%はBSDに変更となり、BSDの25%は双極性障害に変更となり、75%はBSDのままであった。井上氏は、BSDの一部は潜在性双極性障害であり、一部は単極性うつ病と双極性障害の中間型ではないかとの見解を示した。混合性うつ病(Benazzi F. Lancet. 2007; 369: 935-945)は、双極性障害に多く、また双極性障害の家族歴をもつ者が多い。双極性障害に移行する大うつ病でも多くみられ、抗うつ薬で躁転や悪化しやすいという特徴がある。気質の評価ではTEMPS-A気質評価質問紙が用いられているが、質問項目が110項目に及ぶため、井上氏らはTEMPS-Aの質問項目を39にしぼった短縮版を作成した。この短縮版について、北海道大学病院を初診したうつ病患者で気分障害に分類された患者を対象としてプロスペクティブな検証を行っている。井上氏は最後に講演をまとめて、双極スペクトラムの臨床的意義として、大うつ病の診断の際には常に双極性障害を疑い、閾値下の軽躁や躁症状について積極的に問診し診断すること。また、診断の際には、双極性障害の家族歴や反復性、若年発症、抗うつ薬による躁転やリチウムへの反応性、および難治性が手掛かりとなることを述べた。今後の研究の展望として、大うつ病と双極性障害の中間型あるいは移行型に対する診断と治療に対する研究の推進、双極性障害における気質の病因的意義や気質の要因を探ること、治療への応用などを挙げた。双極スペクトラムの生物学的基盤気質には生物学的基盤が存在し、双極性障害を誘発することが示唆されているが、循環気質や発揚気質について検討した報告は少ない。帆秋伸彦氏(大分大学医学部精神神経医学講座)らは、発揚気質と光照射との関連について検討を行った。まず、56名の健常者を対象としてアクチグラムを用いて光曝露量を測定し、気質との関連を検討したところ、高揚気質のスコアが高いほど光曝露量が多く、睡眠時間の変動が大きく、中枢セロトニン機能が低くなることが示された(Hoaki N, et al. Psychopharmacology(Berl). 2011; 213: 633-638)。一方、循環気質の健常者では光曝露量は少なく、光を浴びないと気分変動が大きくなる可能性が示唆された(Araki Y, et al. J Affect Disord. 2012; 136: 740-742)。すなわち、発揚気質者では光をよく浴びていることが示されたが、光を浴びていると発揚気質が増強されるのか、あるいは発揚気質者が光を求める向日性を有するのかは明らかではなかった。そこで帆秋氏らは、照度と気質に注目した北海道大学との共同研究で、緯度の異なる大分県と北海道の大学生を対象とし、年齢や性別をマッチさせて気象条件や日照時間の差を考慮した検討を行った。その結果、重回帰分析にて発揚気質のみが大分県と北海道の差を有意に反映し、日照時間が長く光を多く浴びることで発揚気質が増強される可能性が示唆された(Kohno K, et al. J Affect Disord. 2012 Jul 27. [Epub ahead of print])。さらに、発揚気質者では光を好み向日性があるのか検討するために、「発揚気質者では明暗の弁別閾が異なり暗さをよく感じるために光を求める」との仮説をたて、fMRI(functional MRI)で明暗課題の実験を行った。この実験は、健常者35名を対象とし、明るさを11段階に分けたスライドをランダムに提示し、明るいと感じるか(明課題)、逆に暗いと感じるか(暗課題)ボタンを押して答えさせるものである。その結果、発揚気質者と他の者では明暗の弁別閾に有意差はなく、本仮説は否定された。次いで帆秋氏らは嗜好性に着目し、「発揚気質者では明るさを好み暗さを嫌う」との仮説をたて、同様に明るさを11段階に分けたスライドを提示して、好課題と嫌課題の実験を行った。その結果、非発揚気質者では暗いスライドに好きと回答する割合が高く、発揚気質者では暗いスライドに嫌いと回答する割合が高くなり、嗜好性の差とする本仮説は指示された。また、fMRIの解析から発揚気質者では明るさの嗜好性に関連する脳の左楔前部の賦活が他の者より有意に大きいことが明らかにされた(Hoakiら投稿中)。以上の結果から、光を浴びることで発揚気質が増強され、また発揚気質者では明るさを好み暗さを嫌うためにより多くの光を浴びることが示唆された。さらに、発揚気質と左楔前部の賦活の関連が示された。左楔前部は双極性障害の認知課題でその活動性の低下が報告されており、今回の結果は発揚気質と双極性障害との関連を示すものでもあると帆秋氏は述べた。これまでTCI(Temperament and Character Inventory)で分類された気質とPET脳画像との関連についてはいくつかの報告があるが、TEMPS-Aの気質とPET画像との報告はまだない。帆秋氏らは33名の健常者(男性19名、女性14名、平均年齢31.0±8.7歳)を対象として、高照度光照射装置による光照射群と光照射を行わない対照群に無作為に割り付け、5日間の光照射の後にFDG-PET撮像を行い、気質と光照射が脳機能に及ぼす影響を検討した。対象者の気質は、抑うつ気質9名、循環気質10名、発揚気質15名、焦燥気質10名、不安気質2名(重複あり)であった。その結果、男性の照射・焦燥気質群と男性の照射・非焦燥気質群において糖代謝の高い脳部位が認められ、気質が光照射と関連して脳機能に影響する可能性が示された(Kohnoら投稿中)。帆秋氏は最後に、双極性障害から双極スペクトラム、単極性うつ病まで、診断では連続しているのにその治療が異なることに対して、「変曲点」が存在するのではないかという仮説を紹介して講演を終えた。関連リンク

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精神疾患の治療開発-今、見逃せない新たな取り組み

「精神疾患の治療開発」のスタディ・グループでは、従来のパラダイムにとらわれず新しい発想で効果的な精神疾患の治療開発を目指している。第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会にて、橋本恵理氏(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)の司会のもと、4名が新しい精神疾患の治療の取り組みについて紹介した。PAK阻害薬によるグルタミン酸シグナルの阻害林(高木)朗子氏(東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター構造生理学部門)は、グルタミン酸シグナルの阻害によるシナプス保護の観点から新薬開発の可能性を紹介した。大脳皮質の70%のシナプスが樹状突起棘(スパイン)であり、そのほとんどがグルタミン酸作動性シナプスである。死後脳の剖検から、統合失調症患者では背外側前頭前野や聴覚野、海馬台ではスパイン密度が減少しており、また多くの統合失調症関連遺伝子がグルタミン酸作動性シナプスに局在していることが報告されている。記憶や認知、適応をもたらす細胞基盤はシナプスの可塑性であり、シナプスの機能はその形態と著しく相関しているため、形態(サイズ)から機能を評価することができる。林氏らはDISC1遺伝子をノックアウトすることによりスパインサイズが減少し、NMDA受容体によるRac1/PAK1シグナル伝達経路が過剰に活性化されることを明らかにした(Hayashi-Takagi A, et al. Nat Neurosci. 2010; 13: 327-332)。次いで林氏らは、PAK阻害薬のスパインに対する効果を検討したところ、PAK阻害薬はDISCノックダウンによるスパイン消滅を予防し、スパインサイズを回復することが示された(Hayashi-Takagi A投稿中)。さらに、PAK阻害薬の他の機能に及ぼす影響についても検討を進めている。また、統合失調症患者では発症前後で前頭野皮質が強い収縮を示し(Sun D, et al. Schizophr Res. 2009; 108: 85-92)、疾患の進行過程でグルタミン酸レベルが低下することが知られている(Theberge J, et al. Br J Psychiatry. 2007;191:325-334)。林氏は最後に、マウスで脳のスパインの形態変化を顕微鏡下で直接観察するというin vivoスパインイメージングの動物モデルの開発について紹介した。精神疾患の炎症モデルからみたミノサイクリンの治療への応用統合失調症患者では炎症性サイトカインの亢進が認められ、神経炎症機序が関与していることが指摘されている(Meyer U. Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry. 2011 Nov 15, Epub)。また、中枢神経系の炎症の機序にはミクログリアが深く関わり、発症から5年以内の統合失調症患者ではミクログリア活性化が認められる(van Berckel BN, Biol Psychiatry. 2008;64:820-822)。橋本謙二氏(千葉大学社会精神保健教育研究センター病態解析研究部門)は、第二世代抗生物質製剤であるミノサイクリンが、ミクログリアの活性化を強力に抑制することに着目し、統合失調症治療への応用について紹介した。統合失調症のマウスモデルでミノサイクリンの効果を検討したところ、ジソシルピンにより惹起されるプレパルスインヒビション(PPI)の障害や、フェンサイクリジンによる統合失調症様の認知機能障害を抑制することが示された。さらに橋本氏は、ミノサイクリンが脳神経にアミロイドβ蛋白を蓄積させるγセクレターゼの活性をコントロールする5-リポキシゲナーゼを阻害し、アルツハイマー型認知症の発症を抑制する可能性にも言及した(Hashimoto K. Ann Neurol. 2011; 69: 739)。カルボニルストレスの代謝制御による統合失調症の治療酸化ストレスが加わるとカルボニル化合物であるメチルグリオキサール(MG)が生成し、このMGを消去するために、グリオキシラーゼ(GLO)解毒回路が働く。この解毒回路にもれたMGはメイラード反応によって終末糖化産物(AGEs)となる。AGEsはビタミンB6(カルボニル・スカベンジャー)により補足されて分解される。AGEsが体内に蓄積する状態をカルボニルストレスといい、動脈硬化の進展や糖尿病合併症との関連で着目されていたが、糸川昌成氏(東京都医学総合研究所精神行動医学研究分野)らは、この病態を標的とした統合失調症の新しい治療の可能性を紹介した。糸川氏らは、統合失調症患者で解毒酵素のGOL1にフレームシフト変異を発見し、その患者ではAGEsの蓄積と、それに伴うビタミンB6の枯渇が認められたことから、統合失調症患者のなかで、AGEs蓄積と関連した「カルボニルストレス性統合失調症」の存在を明らかにした(Arai M, et al. Arch Gen Psychiatry. 2010; 67: 589-597)。AGEsの蓄積は統合失調症のリスクを25倍上昇させ、ビタミンB6欠乏は10倍リスクを上昇させることが示されている。さらに、AGEs蓄積は統合失調症の重症度とも相関していた。そこで糸川氏らは、治療により症状が改善した統合失調症患者ではAGEsも低下すると推測して検討したところ、外来患者では入院患者に比べてAGEsが有意に低く、AGEsの低下が退院につながることがわかった。さらに糸川氏らは、ビタミンB6欠乏のあるカルボニルストレス性統合失調症患者にビタミンB6を補充することにより症状の改善が得られないか検討を重ねている。ビタミンB6はピリドキサミン、ピリドキサール、ピリドキシンの3種類の化学物質の混合体であり、このうちAGEs解毒作用を有するのはピリドキサミンのみである。糸川氏らはまず、健常者24名を対象に第I相試験を行ったところ、ピリドキサミン1,800mg/日の投与量で有効血中濃度に達し、有害事象は認めなかった。この成績に基づいて、統合失調症患者を対象とした医師主導第II相試験が進行中である。GLO1遺伝子にフレームシフトをもつ患者では発症前からAGEsが高い可能性があり、糸川氏らはそのような患者には発症前からピリドキサミンを投与してAGEs蓄積を抑制するという、統合失調症の発症予防を視野にいれた治療法も検討中である。神経幹細胞移植を用いた再生医療的アプローチの可能性鵜飼渉氏(札幌医科大学医学部神経精神医学講座)は、治療抵抗性または難治性の統合失調症うつ病、胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)などの治療として、神経幹細胞を経静脈的に投与する再生医療的な取り組みを紹介した。実験方法は、妊娠期のマウスにPoly(I:C)(TLR3リガンド)を投与して生まれた統合失調症のモデルマウスを用い、生後1ヶ月時に神経幹細胞を経静脈的に投与し、6ヵ月時にその行動の評価および脳の剖検を行った。その結果、神経幹細胞移植群では、新奇オブジェクトの探索時間を有意に延長し、記憶学習や認知機能の障害が抑制された。また、社会性の評価において神経幹細胞移植群では能動的な社会的行動の減少が抑制されることも示された。一方、FASDモデルラットでは神経幹細胞移植により、強制水泳試験における無動時間の延長を抑制して、うつ状態の改善にも効果がみられた。札幌医科大学ではすでに、12名(男性9名、女性3名)の脳梗塞患者を対象として自己骨髄間葉系幹細胞を静脈内投与する治療が試みられており、移植をきっかけに脳卒中スコアが改善し回復スピードが加速することや、MRIで脳梗塞病変の縮小が確認されている(Honmou O, et al. Brain. 2011; 134: 1790-1807)。鵜飼氏らは、治療抵抗性難治性うつ病患者を対象とした本治療法の精神疾患への臨床応用を検討している。神経幹細胞移植のメカニズムとして、短期的にはサイトカインを介した神経栄養因子増強作用や抗炎症作用、血管新生作用が考えられ、また長期的には神経新生の増加がもたらされるとしている。鵜飼氏らは、細胞電気生理学的解析やシナプス機能・構造学的解析、オプトジェネティクス解析など最先端の手法を用いて、神経幹細胞移植の効果について解析を進めている。関連リンク

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うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?!

 大うつ病の既往は、禁煙治療中あるいは治療後の禁煙継続に悪影響を及ぼすことが報告された。米国・ノースウェスタン大学ファインバーグ医学校のHitsman氏らによるメタ解析の結果で、以前(2003年)の解析のアップデート報告。当時の報告では、大うつ病既往は禁煙治療に影響しないことが示されていた。今回の解析結果を受けて著者は、大うつ病喫煙患者には、この点に注目した効果的な治療もしくは適切な治療を見極めることが必要だと提言している。Addiction誌オンライン版2012年10月16日号の報告。 以前のレビュー対象14試験と、2000~2009年に発表された論文で適格であった28試験を対象に組み込み、過去の大うつ病、最近(≦6ヵ月)の大うつ病エピソード、認知行動療法(対面法vs.自己療法)の継続期間と種類、その他の因子をコード化した。解析は、大うつ病喫煙患者に選択的ベネフィットを与える可能性がある実験的治療の影響を極力排除するため、プラセボ/最小強度対照試験のみとした。短期間(≦3ヵ月)および長期間(≧6ヵ月)の禁煙における過去の大うつ病の影響に関する試験特異的オッズ比(OR)を算出した(ランダム効果モデルを用いて統合)。試験方法論と治療因子を用いて、禁煙に関する評価を行った。主な結果は以下のとおり。・非大うつ病喫煙者よりも、大うつ病喫煙者では、短期禁煙のオッズ比が17%低く(評価対象35例、OR:0.83、95%CI:0.72~0.95、p=0.009)、長期禁煙は19%低かった(同38例、0.81、0.67~0.97、p=0.023)(この評価ではバレニクリン単独試験は抗うつ作用を有するので除外した)。・過去の大うつ病と禁煙との関連は、試験方法論(最近の大うつ病患者は除外、大うつ病評価の種類によるなど)や、治療(認知行動療法)によって異なることが認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・喫煙+糖尿病はうつ病リスクを高めるのか?! ・認知症治療薬ガランタミン、ラット試験で喫煙欲求の軽減効果を確認

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うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬【ポール・ヤンセン賞受賞】

 第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会(2012年10月18~20日、宇都宮市)にて2012年ポール・ヤンセン賞を受賞した名古屋市立大学 渡辺氏の「うつ病に対するミルタザピンと他の抗うつ薬の比較―コクランレビュー」を紹介する。 従来の抗うつ薬と異なる作用機序を有するミルタザピン。名古屋市立大学 渡辺氏らは成人のうつ病急性期治療に対するミルタザピンと他の抗うつ薬を比較したエビデンスを評価し、レビューを行った。その結果、著者らは「ミルタザピンはSSRIと比較し、とくに治療早期の有効性に優れる」としている。Cochrane Database Syst Rev誌2011年12月7日号の報告。 うつ病の急性期治療でミルタザピンと他の抗うつ薬を比較した無作為割り付け対照試験を対象とした。エビデンスはコクランうつ・不安神経症グループ研究データベース(CCDANCTR)にて検索を行った。関連研究報告書の参考文献リストをチェックし、専門家への問い合わせを行った。登録基準のチェックとデータの抽出は、2名の著者が各々独立して実施した。各データのランダム効果モデルはオッズ比(OR)と標準化平均差(SMD)に統合された。主要評価項目は治療反応とし、副次的評価として脱落率、忍容性を評価した。評価時期は、治療開始から2週間時点を治療早期、治療開始6~12週時点を急性期治療終了時とした。主な結果は以下のとおり。・最終的に29試験からうつ病患者4,974例のデータが得られた。対照薬として三環系抗うつ薬(10試験、1,553例)、SSRI(12試験、2,626例)、SNRI(2試験、415例)が用いられた。・主要評価項目では、ミルタザピンは三環系抗うつ薬と比較して、治療早期(OR 0.85、95%CI 0.64~1.13)および急性期治療終了時(OR:0.89、95%CI:0.72~1.10)のどちらも明確な差が示されなかった。・ミルタザピンはSSRIと比較して、治療早期(OR 1.57、95%CI 1.30~1.88)および急性期治療終了時(OR:1.19、95%CI:1.01~1.39)とも有意に優れていた。・ミルタザピンはSNRI(ベンラファキシンのみ)と比較して、治療早期(OR 2.29、95%CI 1.45~3.59)および急性期治療終了時(OR:1.53、95%CI:1.03~2.25)とも有意に優れていた。・忍容性は、明確な差を検出することができなかった。・有害事象では、ミルタザピンはSSRIと比較して、体重増加、食欲の増加、眠気を引き起こす可能性が高く、嘔気・嘔吐、性機能障害の可能性は低かった。関連医療ニュース ・【ポール・ヤンセン賞受賞】夜間における抗精神病薬関連のQT延長リスク ・【学会レポート】精神科薬物治療の身体リスクを考える ・【人気コンテンツ】うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

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抗うつ薬だけじゃない!うつ病寛解を目指す「共同ケア」の効果は?

 うつ病に対する共同ケア(collaborative care)の有効性について評価した結果、抑うつおよび不安アウトカムが、通常ケアと比べて改善することが、英国・マンチェスター大学のArcher氏らによるシステマティックレビューの結果より示された。著者は、「抑うつ・不安症状を呈する成人患者の臨床治療に有用であることが示された」と結論している。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。英国では、よくあるメンタルヘルスの問題として人口の最大15%が抑うつや不安症状を有すると推定されており、世界的にもこれらの症状の影響や負荷を減らすための効果的な介入が求められている。共同ケアは、慢性疾患マネジメントモデルをベースとする複合的な介入で、メンタルヘルスのマネジメントにおいても有望視されている。 2012年2月までに、MEDLINEやEMBASEなどから関連する無作為化試験を登録しているCochrane Collaboration Depression, Anxiety and Neurosis Group(CCDAN)試験レジスターを検索した。適格試験は、抑うつまたは不安を呈するあらゆる年齢を対象とした共同ケアについての無作為化試験とした。2人の独立したレビュワーがデータ抽出を行い、バイアスリスクの検証とともに、標準化された平均差(SMD)およびリスク比(いずれも95%CIを伴う)を統合算出して検討した。結果の妥当性について感度解析も行った。主な結果は以下のとおり。・無作為化試験79件(関連性のある比較90件を含む)、参加者計2万4,308例を組み込んだ。・試験は、バイアスリスクにより差があった。・主要解析の結果、共同ケアモデルで治療されたうつ病成人患者は、介入が短期、中期、長期を問わず、抑うつ症状のアウトカムについて有意に顕著な改善を示した。短期介入のSMDは-0.34(95%CI:-0.41~-0.27)、RRは1.32(95%CI:1.22~1.43)、中期介入のSMDは-0.28(同:-0.41~-0.15)、RRは1.31(同:1.17~1.48)、長期介入のSMDは-0.35(同:-0.46~-0.24)、RRは1.29(同:1.18~1.41)であった。・しかしながら、これらの有意なベネフィットは、非常に長期にわたる介入においては示されなかった(RR:1.12、95%CI:0.98~1.27)。・不安症状のアウトカムについても同様の結果が示された。短期介入のSMDは-0.30(95%CI:-0.44~-0.17)、RRは1.50(95%CI:1.21~1.87)、中期介入のSMDは-0.33(同:-0.47~-0.19)、RRは1.41(同:1.18~1.69)、長期介入のSMDは-0.20(同:-0.34~-0.06)、RRは1.26(同:1.11~1.42)であった。・不安症状アウトカムについては、非常に長期にわたる介入の比較試験がなかった。・薬物療法、メンタルヘルスQOL、患者満足度を含んだ副次アウトカムでも、ベネフィットがあるとのエビデンスが認められた。しかし、身体的QOLに関するベネフィットについては、エビデンスが乏しかった。関連医療ニュース ・【学会レポート】抗うつ効果の予測と最適な薬剤選択 ・世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益 ・うつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用

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【ポール・ヤンセン賞受賞】夜間における抗精神病薬関連のQT延長リスク

 2012年10月18~20日に第22回日本臨床精神神経薬理学会・第42回日本神経精神薬理学会合同年会が宇都宮で開催された。同学会において、日本臨床精神神経薬理学会2012年ポール・ヤンセン賞が発表され、新潟大学 渡邉氏の「夜間における抗精神病薬に関連したQT間隔延長リスクの増加―24時間ホルター心電図記録を用いた研究から―」と、名古屋市立大学 渡辺氏の「うつ病に対するミルタザピンと他の抗うつ薬の比較―コクランレビュ―」が受賞した。今回は、新潟大学 渡邉氏らの報告を紹介する。 これまでの報告において、抗精神病薬がQT延長を引き起こす可能性があることがわかっている。一方で、QT間隔は日内変動があり、健常者では昼間よりも夜間に延長する。新潟大学 渡邉氏らは、抗精神病薬服用患者のQT間隔に関して、日内変動および薬剤間の差を検討した。J Clin Psychopharmacol誌2012年2月号の報告。 対象は抗精神病薬オランザピン(OLZ)またはリスペリドン(RIS)を服薬中の統合失調症患者および未服薬の健常者(18~65歳)。ホルター心電図でCM5誘導を記録、QT解析ソフトでQT間隔を測定、専門家によるチェックを行った後、Fridericiaの公式[QTcF=QT/RR1/3]を用いて対応するRR間隔で補正し、30分間の平均QTcFから24時間、日中、夜間の平均QTcFを算出した。3群間の比較には一元配置分散分析法を、事後検定にはBonferroni法を用いた。主な結果は以下のとおり。・OLZ群41例、RIS群25例、健常群40例を解析した。・夜間のQTcFは日中と比較し、RIS群 13.9±15.0ms、OLZ群 3.5±11.7ms、健常群 5.2±10.5ms長く、昼夜の差はRIS群でOLZ群、健常群と比較し有意に大きかった(各々p=0.003、p=0.019)。・夜間のQTcFは、RIS群 411.6±29.0ms、OLZ群 395.9±21.2ms、健常群 387.8±19.0msであった。日中のQTcFは、RIS群 397.7±23.4ms、OLZ群 392.4±18.9ms、健常群 382.6±17.3msであった。日中のQTcFではRIS群とOLZ群との間に有意な差は認められなかったが、夜間のQTcF間隔はRIS群がOLZ群、健常群と比較し有意に長かった(各々p=0.021、p

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検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー

 大うつ病の急性治療について、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるデュロキセチンとその他の抗うつ薬との有効性、受容性、忍容性を比較するシステマティックレビューを、イタリア・ベロナ大学のCipriani氏らが行った。Cochrane Database Syst Rev2012年10月17日号の報告。 MEDLINE(1966~2012年)、EMBASE(1974~2012年)、CENTRAL(コクラン比較臨床試験登録)などをソースとして、2012年3月までに発表された試験論文および参照リストを検索した。デュロキセチンのメーカーのマーケティング部門、その他専門家からも補足データの提供を受けた。試験論文は言語を問わず、デュロキセチンとその他あらゆる抗うつ薬とについて検討した大うつ病患者を対象とする無作為化試験を適格とした。計16の無作為化試験(参加者合計5,735例)が、レビューに組み込まれた。主な結果は以下のとおり。・16試験中3試験は未発表のものであった。「デュロキセチンvs. 1つのSSRI」を検討したものが11試験(参加者計3,304例、対パロキセチン6試験、対エスシタロプラム3試験、対フルオキセチン2試験)、「デュロキセチンvs. 新規抗うつ薬」が4試験(同1,978例、対ベンラファキシン3試験、対デスベンラファキシン1試験)、「デュロキセチンvs.抗精神病薬」が1試験(同453例)で、三環系抗うつ薬と比較した試験はなかった。・プール解析の信頼区間(CI)は大きすぎて、デュロキセチンを他の抗うつ薬と比較した有効性についての統計学的有意差は認められなかった。・エスシタロプラムまたはベンラファキシンとの比較において、デュロキセチン群に無作為化された患者は何らかの原因によりドロップアウトした割合が高率であった[各群比較とのオッズ比(OR):1.62、95%CI:1.01~2.62、OR:1.56、95%CI:1.14~2.15]。・デュロキセチン服用患者がパロキセチン服用患者よりも有害イベントを経験したことが示されたが、エビデンスは弱かった(OR:1.24、95%CI: 0.99~1.55)。・比較試験はわずかで、臨床的に意義ある差を見いだすことは困難だった。また経済効果を報告するまでには至らなかった。関連医療ニュース ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・他SSRI切替、どの程度の効果?北海道大学の報告 ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

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世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益

 WEBベースで行う気分変動調査(Mood Swings Questionnaire:MSQ)など自己診断双極性障害スクリーニングの尺度は、高い認容性を有し、良好なアウトカムに結びつくことが明らかにされた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のParker氏らが、WEB自己スクリーニング尺度の臨床への有用性を検討する公式では初となる試験の結果、報告した。Acta Psychiatr Scand誌オンライン版2012年10月5日号の掲載報告。 WEBベースのMSQを完了し双極性障害の可能性があると判定された人が、そのテストを有用だと判断したか、またその後に優れた臨床経過を有したかどうかを検討した。被験者のベースライン時とフォローアップ3ヵ月時点のデータを解析した。主な結果は以下のとおり。・MSQによるスクリーニングで「陽性」であった665例を対象とした。・MSQに対しては、有益である(informative)、有効である(validating)、または動機づけとなる(motivating)との回答がみられ、満足度は高かった。・被験者が双極性障害との診断を受けたのは、最初のうつ病エピソードから平均12年後であった。・大半が、正確な診断を求めたかどうかにかかわらず自己マネジメント戦略を実行した。・被験者を、スクリーニング後にとった行動の程度により3群に分け解析した。その結果、積極的な行動をとった人、診断確認を行った人は、試験期間中に、抑うつ症状、QOL、全体的な身体機能の改善が認められ、最もよい臨床経過をたどった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は… ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用 ・特定の抗うつ薬使用で脳内ヘモグロビン濃度が増加!:名古屋大学

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統合失調症患者の「自傷行為」に関連する予測因子

 精神疾患患者の自殺予防は、日本のみならず世界各国で重要な課題となっている。英国 シェフィールド大学Pluck氏らは、統合失調症患者の自傷行為における臨床的および神経心理学的側面を人口統計学的に調査し、臨床的介入に最も関連する独立した予測因子の検証を行った。Eur Psychiatry誌オンライン版2012年10月9日号の報告。 対象は、統合失調症患者87例。対象患者に対し薬物乱用、うつ症状、自暴自棄、陽性/陰性症状、病識に関する項目を調査した。神経心理学的評価は、病前のIQ、継続的なパフォーマンステスト、認知機能、衝動性にて評価した。3ヵ月間前向きに医療記録の調査を行った。主な結果は以下のとおり。・過去に自殺未遂を含む自傷行為を認めた患者は59例(68%)。・自傷行為の経験を有する患者は、経験のない患者と比較し、うつ症状、自暴自棄、衝動性、自傷行為の家族歴をもつ割合が有意に高かった。・3ヵ月の前向き調査期間中に自傷行為がみられた患者5例は、過去に自傷行為を経験しており、初期から抑うつ傾向が認められることが多かった。・ロジスティック回帰によると、統合失調症患者における自傷行為の独立した危険因子は発症前の高いIQと多剤乱用であった。・うつ症状は、過去およびフォローアップ期間中の自傷行為の独立した予測因子であった。関連医療ニュース ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺 ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関

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統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響

これまで多くの研究者が、統合失調症などの精神疾患患者における不規則な生活がその後の症状や治療と関連しているかどうかを検討している。Cerimele氏らは統合失調症や双極性障害患者における健康リスク行動(health risk behaviors)が、その後の症状や機能レベルに関連づけられるかを検証するため、システマティックレビューを行った。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年10月5日号の報告。 PRISMA系統的レビュー法を用いPubMed、Cochrane、PsychInfo、EMBASEのデータベースで検索した。検索ワードは「健康リスク行動、ダイエット、肥満、過体重、BMI、喫煙、たばこの使用、座りがちな生活や行動、運動不足、活動レベル、フィットネス、座っていること」、および「統合失調症、双極性障害、双極性疾患、統合失調感情障害、重度かつ持続的な精神症状・精神病」であり、6ヵ月以上の前向き対照研究を対象とした。この情報から、「座りがちな生活、喫煙、肥満、運動不足」が統合失調症および双極性障害患者の症状重症度や機能障害に影響を与えるかを検討した。主な結果は以下のとおり。・2,130報中8報が基準を満たし、健康リスク行動を有する508例とコントロール群825例が抽出された。・たばこの使用との関係を検討した報告が6報、体重増加/肥満との関係を検討した報告が2報であった。・7報から、たばこの使用や体重増加/肥満などの健康リスク行動を1つ以上有する統合失調症患者および双極性障害患者は、その後のより重度な症状悪化や機能レベルの低下(両方またはいずれか一方)が認められた。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか? ・100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で

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100年前と比べ統合失調症患者の死亡は4倍増、最大の死因は自殺、とくに若者で

 英国・Hergest UnitのHealy D氏らは、統合失調症および関連する精神病の死亡動向について、20世紀初頭と直近とを比較するコホート研究(1875~1924年コホートvs.1994~2010年コホート)を行った。その結果、死亡率は4倍に増大しており、最大の死因は自殺であることなどが明らかとなった。筆者は、「死亡率は大幅に増大した。しかしながら特定領域については介入が可能であり、解析データは、早期介入が、統合失調症患者に標準的な寿命を与える可能性があることを示している」とまとめた。BMJ誌オンライン版2012年10月8日号の掲載報告。 2つの疫学的な完全データが入手できる患者コホートを対象とした。コホートの患者は、北ウェールズのメンタルヘルスサービスに関するフォローアップデータが、1年以上、最長10年間存在した。これらのデータを用いて、統合失調症および関連精神病患者の生存率と標準化した死亡率を算出した。 第1コホートは、北ウェールズのデンビー精神病院に、1875~1924年に入院した統合失調症および関連精神病患者3,168例(患者症例ノートの記録からデータを収集)であった。第2コホートは、北西ウェールズ地区総合病院精神科に、1994~2010年に入院(統合失調症および関連精神病による初回入院)した患者355例であった。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症および関連する精神病による標準化された死亡率は、第1コホートと比べて第2コホートは4倍であった。・第1コホートでは75%、第2コホートでは90%の10年生存の可能性を認めた。・自殺は第2コホートの最も頻度の高い死因であった(SMR 35)。一方で、第1コホートでは、最も頻度の高い死因は結核であった(SMR 9)。・第2コホートのデータでは、高齢者の死亡は心血管系の原因により、若者の死亡は自殺が原因であった。関連医療ニュース ・自殺リスクの危険因子の検証、年齢別のうつ症状との関係は? ・自殺予防に期待!知っておきたいメンタルヘルスプログラム ・検証!向精神薬とワルファリンの相互作用

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バイポーラの躁症状に対するアリピプラゾールの位置付けは?

 近年、わが国では双極性障害に適応を有する薬剤が次々と承認されている。従来、気分安定薬を中心とした薬剤が主流であったが、非定型抗精神病薬も使用可能となった。双極性障害患者の急性躁症状に対し、明確な薬理学的および副作用プロファイルを有するアリピプラゾールをどのように使用すべきだろうか。英国のDratcu氏らは、双極性障害患者の急性躁症状に対し、アリピプラゾールの豊富な使用経験を有する英国の医療専門家による委員会にて議論を行った。Int J Psychiatry Clin Pract誌2012年10月号の報告。主な結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは短期、長期にかかわらず、また単剤、気分安定薬との併用にかかわらず、適正に使用することで、双極性障害患者の躁症状に有効であるとの見解が一致した。・他の非定型抗精神病薬と異なり、アリピプラゾールの躁症状への効果は鎮静作用に関連していなかった。このことより、患者にとってとくに長期的なメリットが大きいと考えられる。・急速な鎮静が必要な場合には、ベンゾジアゼピン系薬剤の短期間併用が推奨される。・アリピプラゾールに関連しているほとんどの副作用は、最初の1~3週間以内に発現し、通常は一時的かつ簡便に治療可能である。・アリピプラゾールは、代謝系の副作用や性機能不全のリスク低下をもたらし、アドヒアランスを高め、臨床転帰を向上させることができる薬剤である。・良好な安全性・忍容性プロファイルを有するアリピプラゾールは、双極性障害患者の急性躁症状に対しファーストライン治療薬として推奨される。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・アリピプラゾールで患者満足度向上?!

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慢性腰痛症への鍼治療、プラセボと比較し症状および疼痛強度を改善

 鍼治療の慢性腰痛症への効果について、シャム対照治療との比較の結果、症状スコアおよび疼痛強度の低下がみられ、より良好な効果を示すことが示唆されたと、韓国・キョンヒ大学校のCho YJ氏らが報告した。鍼治療は慢性腰痛症に効果的な治療として知られているが、プラセボより優れているかについては依然として不明なままであった。Spine誌オンライン版2012年9月28日号の掲載報告。 ソウル市内3病院に通院する、非特異的な腰痛症が3ヵ月以上持続する18~65歳130例を対象とした多施設共同無作為化患者-評価者盲検シャム対照試験を行った。個々の鍼治療の効果を症状(bothersomeness)の減少で調べた。 被験者は、韓医学の医師(Korean medicine doctor)から6週間(週2回)にわたって、個別に鍼治療またはシャム鍼治療を受けた。主要アウトカムは、慢性腰痛症の症状について視覚アナログスケール(VAS)でみたスコアの変化であった。副次アウトカムには、疼痛強度についてみたVASスコアと、オスウェストリー障害指数(ODI)、全般的な健康状態(SF-36)、ベックうつ病評価尺度(BDI)などによる評価を含んだ。 主な結果は以下のとおり。・ODIを除き、ベースラインにおいて両群間に差異は認められなかった。・参加者のうち116例が治療を完了し、3、6ヵ月間のフォローアップを受けた。14例は途中で脱落した。・主要エンドポイント(8週間)時点で、慢性腰痛症の症状および疼痛強度についてのVASスコアで、両群間の有意な差が認められた(p<0.05)。・さらにそれら2つのスコアは、フォローアップ期間3ヵ月の時点まで継続的な改善がみられた(各p=0.011、p=0.005)。・ODI、BDIとSF-36スコアについては、両群ともに改善し、群間差はなかった。

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特定の抗うつ薬使用で脳内ヘモグロビン濃度が増加!:名古屋大学

 近年、日本の研究者たちは脳活動の変化に基づいて精神疾患を診断するために、近赤外分光法(NIRS)を用いた研究を行ってきた。NIRSとは、近赤外光を生体外から照射し、組織内を透過した光を分析することにより、組織血液中におけるヘモグロビンの状態を調べる方法である。しかし、NIRS測定における向精神薬の影響については明らかになっていない。名古屋大学 幸村氏らはNIRSを用いて健常者の前頭前野活性に対する抗うつ薬の鎮静効果を評価した。その結果、ミルタザピンの投与によりヘモグロビン濃度の増加が認められたことを報告した。Psychopharmacology (Berl)誌オンライン版2012年10月5日号の掲載。 健常男性19名を対象としたプラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験。ミルタザピン15㎎、トラゾドン25㎎、プラセボを8日間連続で夜間に投与し、1週間以上のウォッシュアウト期間を設けながらローテーションを行った。被験者は、試験期間中に計7回、NIRSを行った(試験開始1週間以上前および各ローテーションの第2、9日目)。NIRS実施時には、言語流暢タスクを計測し、正確な言語の数(行動遂行)を記録した。スタンフォード眠気尺度(SSS)スコアは毎日測定した。 主な結果は以下のとおり。・ミルタザピン投与後9日目におけるNIRSの結果によると、他の群と比較し、オキシヘモグロビン(oxy-Hb)濃度の有意な増加が認められた。・ミルタザピン投与後2日目には、他の群と比較し、SSSスコアの有意な上昇が認められた。・すべての群において、行動遂行に有意差は認められなかった。 これらの結果を受けて、著者は「精神障害をもつ患者の脳活動を評価するにあたって、特定の種類の抗うつ薬が脳機能に影響を与える可能性についても検討すべきである」としている。関連医療ニュース ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット

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情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加:オランザピンのメタ解析

 カナダ・モントリオール大学のMoteshafi H氏らは、オランザピンの忍容性[心血管代謝系の有害反応と錐体外路症状(EPS)]について、統合失調症患者と情動障害患者を比較するメタ解析を行った。その結果、統合失調症患者は体重増加を引き起こしやすい可能性が示された。著者は「この結果は、統合失調症患者ではメタボリック症候群になりやすいという遺伝的素因に加えて、とくに心血管疾患に対する生活習慣リスク(食生活の乱れ、運動不足、ストレス、喫煙など)を有する割合が高いという事実の裏付けとなるのではないか」と述べている。Drug Saf誌2012年10月1日号の報告。 PsycINFO(1967~2010年)、PubMed(MEDLINE)、EMBASE(1980~2010年)などのデータソースを用いて、(1)統合失調症と情動障害の成人患者に関するオランザピンの有害反応(代謝あるいはEPS)、(2)試験期間中のオランザピン単独療法 を評価していた無作為化試験を検索し、解析に組み込んだ。2人の独立したレビュワーが論文選定のためアブストラクトをスクリーニングし、レビュワー1人が事前に決めていた除外・包含基準に基づき関連データを抽出した。主要アウトカムは代謝有害反応(体重変化、血糖値、LDL-C、総コレステロール、トリグリセリド)、副次アウトカムはEPS(パーキンソン症候群、静座不能、抗パーキンソン病薬の服用)の発生率であった。主な結果は以下のとおり。・33試験(4,831例)を解析に組み込んだ。・忍容性アウトカム(統合失調症群と情動障害群で個別に算出しメタ解析に組み込んだ)は、統合失調症患者および情動障害患者いずれにおいても、オランザピンが体重増加に関与し、トリグリセリド値、血糖値、総コレステロール値を上昇することを示した。・オランザピン治療によって、情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重が増加した。・血糖値、総コレステロール、トリグリセリド値の上昇について、統計的有意差はみられなかったものの、統合失調症群が情動障害群よりも高値であった。・パーキンソン症候群の発症率は、統合失調症群が情動障害群よりも有意に高値であった。関連医療ニュース ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証!:新潟大学 ・ベンゾジアゼピン系薬剤の使用で抗精神病薬多剤併用率が上昇?! ・治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

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統合失調症患者の認知機能や副作用に影響を及ぼす?「遊離トリヨードサイロニン」

慢性期統合失調症入院患者は、持続的な精神症状と抗精神病薬による副作用に悩まされている。これら精神症状や副作用にはプロラクチン、甲状腺ホルモン、脳由来神経栄養因子(BDNF)など、いくつかのバイオマーカーが関連しているといわれているが、明らかにはなっていない。大分大学 市岡氏らは慢性期統合失調症患者における、精神症状や錐体外路系副作用とホルモン、BDNFとの関係を調査した。Prog Neuropsychopharmacol Biol Psychiatry誌2012年10月号の報告。 対象は、慢性期統合失調症入院患者93例。対象患者の精神疾患や錐体外路系副作用とプロラクチン、甲状腺ホルモン(遊離トリヨードサイロニン[T3]、遊離サイロキシン[T4]、甲状腺刺激ホルモン)、コルチゾール、BDNFとの関係を調べた。精神症状はPANSS、認知機能はMMSE、錐体外路症状はDIEPSSにより、それぞれ評価した。分析には、重回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬の用量は、PANSS陽性サブスケールスコアの有意な差異を予測する唯一の変数であった。・BDNFおよびT3はMMSEスコアの有意な差異を予測した。・プロラクチンおよびT3はDIEPSSスコアの有意な差異を予測した。本研究では、慢性期統合失調症患者の認知機能や錐体外路系副作用にはBDNF、T3、プロラクチンが関与している可能性が示唆され、中でも著者らはT3が重要な予測因子となることを強調した。関連医療ニュース ・双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸” ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性 ・「統合失調症リスク因子」海馬における働きが判明

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統合失調症患者におけるフィルター障害のメカニズムを解明

 統合失調症における作業記憶(ワーキングメモリ)障害について、前頭前皮質背外側部(DLPFC)ネットワーク内の機能的接続障害によるものであることが明らかにされた。米国・エール大学医学部のAnticevic A氏らが、いわゆる「フィルター障害」のメカニズムについて検討した結果で、「注意散漫への抵抗性障害は、DLPFCと周辺領域(視床/辺縁系の皮質下と調節領域結合を含む)の断絶を示すという考え方を支持する知見が得られた」と報告した。Schizophr Res誌2012年10月号の掲載報告。 先行研究で著者らは、健常者ではDLPFC活性はワーキングメモリにおける良好な注意散漫回避に結びついているが、統合失調症患者では結びついていないことを示していた。その知見を踏まえて、統合失調症はワーキングメモリ障害におけるDLPFCネットワーク内の機能的接続障害と関連していると仮定し、検証した。 統合失調症患者28例と対照群24例を対象に、遅発性非言語ワーキングメモリタスク(ワーキングメモリ維持期に一過性の視覚的注意を逸らすタスクを含む)を完了した。DLPFC全脳作業ベースの機能的接続(tb-fcMRI)を評価し、とくに維持期の注意散漫の有無について評価した。主な結果は以下のとおり。・患者群は注意散漫症状を呈している間、皮質および皮質下の両領域において、tb-fcMRIが機能しないことが明らかになった。・対照群は注意散漫時に、DLPFCと扁桃体延長領域間のtb-fcMRI低下を示した。・一方で患者群は、扁桃体との結合を示す変化は見られなかった。しかし、背側正中視床との強い接続性を示した。・注意散漫症状の間、対照群はDLPFCとその他の前頭前野皮質領域間との接合がより明確であったが、患者群は、そのような機能を示す変化が見られなかった。関連医療ニュース ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・グルタミン酸ドパミンD3受容体遮断による統合失調症の新たな創薬の可能性

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アリピプラゾールで患者満足度向上?!

 近年、統合失調症治療において、アドヒアランスや患者満足度向上への関心が高まっている。 ベルギーのPeuskens氏らは、幅広い種類の統合失調症患者における12週間のアリピプラゾールによる治療効果を評価するため、医師、介護者、患者に対しさまざまなスケールを使用して評価した。Eur Psychiatry誌2012年10月号の報告。 対象は、DSM-Ⅳで統合失調症と診断された外来患者361例。アリピプラゾール10~30㎎/日による治療を12週間実施した多施設前向きオープンラベル試験。主要評価項目は、CGI-Iスコアによるアリピプラゾールの治療効果とし、有効性、安全性、忍容性を評価した。治療効果の完全な見解を得るため、医師、患者、介護者のさまざまなパラメーターを使用した。主な結果は以下のとおり。・95%CI上限値が4(変化なし)以下であることより、幅広い種類の統合失調症患者におけるアリピプラゾールの治療効果が実証された(CGI-Iスコア:3.0、95%CI:2.8~3.2 [LOCF])。・アリピプラゾールの治療効果は、患者および介護者のPGI-Iスコアにより裏付けられた(各LOCF 95%CI:2.79~3.09、2.74~3.17)。・試験終了時、医師評価によるCGI-Sスコアの増加が認められ、53.7%の患者でアリピプラゾール治療による症状重症度の改善が認められた(不変:30.8%、悪化:11.3% [LOCF])。・調査官による問診IAQスコアは著明に改善した。・71%の患者および67%の介護者が、アリピプラゾールによる治療は前治療薬と比較し、QOLおよび全般的に有意な改善が認められたと報告した(LOCF:p<0.0001 )。*LOCF(Last Observation Carried Forward):追跡期間中の脱落例も除外せず、脱落時点の検査値を最終結果とし解析する方法。関連医療ニュース ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より- ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は?

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双極Ⅰ型障害患者の症状発症に関連する“キヌレン酸”

 双極Ⅰ型障害患者の、脳脊髄液におけるキヌレン酸と躁症状および精神病症状との関連が明らかにされた。スウェーデン・ヨーテボリ大学のOlsson SK氏らによる検討の結果。著者らは、すでに先行研究において、統合失調症と双極性障害の患者における脳内のキヌレン酸レベル上昇が報告されていることに触れたうえで、「因果関係を検証する必要はあるが、ドパミン伝播と行動に影響するキヌレン酸の働きは、躁病や精神病症状の発症における病態生理学的な役割を示している可能性がある」と報告している。Bipolar Disord誌オンライン版2012年10月3日号の掲載報告。 キヌレン酸(トリプトファンの代謝物質)は、脳内のグルタミン酸作動性またはコリン作動性レセプターと拮抗する。著者らは先行研究で、双極性障害男性患者の脳脊髄液におけるキヌレン酸(CSF KYNA)上昇が認められることを報告していた。 本検討では、双極Ⅰ型障害患者における症状と脳脊髄液KYNA値との関連を調べた。双極Ⅰ型障害と診断された胸腺を正常にもつ男性21例(平均年齢41歳、SD 14)と女性34例(同37歳、SD 14)のCSF KYNAについて、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて分析した。主な結果は以下のとおり。・精神病症状の生涯発生が認められた患者(43例)のCSF KYNA値[2.0nm、平均値標準誤差(SEM):0.2]は、同症状発生履歴のない患者(12例)の同値(1.3nm、SEM:0.2)と比較して高値であった(p=0.01)。・年齢を共変量としたロジスティック回帰分析でも同様に、精神病症状履歴とCSF KYNA値の関連が示された[対象55例、オッズ比(OR):4.9、p=0.03]。・さらに、直近に躁病エピソードを有した人でも、年齢調整後のCSF KYNA値との有意な関連がみられた(34例、OR:4.4、p=0.03)。精神病症状の生涯発生歴で調整後も有意な関連を維持した(OR:4.1、p=0.05)。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・双極性障害患者の自殺企図、テストステロンレベルと相関 ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける?

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統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か?

 統合失調症の認知障害は、心理社会的パフォーマンスに少なからず影響を及ぼす。統合失調症患者における認知機能障害は、小胞体タンパク質であるσ-1受容体に関与しており、σ-1受容体アゴニスト作用を有するフルボキサミンが統合失調症の動物モデルや一部の統合失調症患者で認知機能障害の治療に有効であった例がいくつか報告されている。千葉大学の新津氏らは、統合失調症患者におけるフルボキサミン併用療法のプラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を行った。J Clin Psychopharmacol誌2012年10月号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者48例。対象患者は8週間のフルボキサミン併用療法を行うフルボキサミン群(24例、150mg/日まで漸増)とプラセボ群24例に無作為に割り付け、12週間フォローアップを行った。主要評価項目の測定には、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い、視覚認知・ワーキングメモリー、注意力、実行機能の評価を行った。副次的評価項目は、PANSSスコア、SANSスコア、QOLスコア、MADRSスコアとした。主な結果は以下のとおり。・フルボキサミン併用療法の忍容性は良好であった。・CANTABスコア、PANSSスコア、SANSスコア、QOLスコア、MADRSスコアに関する、時間×群の有意な交互作用は認められなかった。・二次分析では、フルボキサミン群における空間認識に関わるワーキングメモリー(実行機能)の改善が示された。・本試験では、統合失調症患者の認知機能改善に対するフルボキサミンの目立った効果は認められなかった。関連医療ニュース ・認知機能への影響は抗精神病薬間で差があるか? ・日本人統合失調症患者の認知機能に影響を与える処方パターンとは ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準!

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