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双極性障害患者の長期健康状態の独立予測因子は肥満!

 双極性障害において、肥満が内科的、精神科的負担を増大させるというエビデンスが横断的研究で多く示されている。しかし、双極性障害と肥満の関係を検証する縦断的研究はほとんど行われていなかった。カナダ・トロント大学のBenjamin I Goldstein氏らは、肥満と双極性障害との関連を3年間にわたり検討した。その結果、肥満は双極性障害患者の長期的な健康状態を予測する独立した因子であり、肥満の治療は双極性障害患者の内科的、精神科的負担の軽減につながる可能性が示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年1月3日号の掲載報告。 研究は、アルコールおよび関連障害全国疫学調査(National Epidemiologic Survey on Alcohol and Related Conditions)の第1期および第2期の調査を完了した双極性障害患者1,600例を対象に、3年間にわたる肥満と双極性障害との関連を調べた。第1期の調査データを基に双極性障害と肥満との関連を検討したほか、第1期と第2期の間における双極性障害、精神科合併症、内科合併症の経過を検討した。 主な結果は以下のとおり。・肥満のある双極性障害患者(506例、29.43%)は、肥満のない双極性障害患者(1,094例、70.57%)と比べ、1)大うつ病エピソードの発現、2)うつ病に対するカウンセリング、3)自殺企図の報告、が有意に多かった。・肥満のある双極性障害患者は肥満のない双極性障害患者と比べ、アルコール使用障害の新規発症が有意に少なかった。・ベースラインの患者特性で調整した後、肥満の有無によるこれらの差は有意でなくなった。・新たなエピソードの発症、躁病/軽躁病の治療において有意な差はみられなかった。・患者特性で調整した後でも、内科合併症の新規発症[オッズ比(OR):2.32、95%信頼区間(CI):1.63~3.30]、高血圧の新規発症(OR:1.81、95%CI:1.16~2.82)、関節炎の発症(OR:1.64、95%CI:1.07~2.52)に関しては、肥満患者で有意に多かった。・肥満患者では、糖尿病(OR:6.98、95%CI:4.27~11.40)、脂質異常症(同:2.32、1.63~3.30)(第2期のみにおいて評価)と診断・報告された者が有意に多かった。・統計学的に有意ではなかったが、肥満患者では心臓発作の発生頻度が2倍であった。・肥満と将来的なうつ増加との関連は、ベースラインの患者特性に左右されると考えられた。関連医療ニュース ・抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」 ・双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か? ・第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

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うつ病の差別経験、社会参加や受療機会の障壁に:ASPEN/INDIGO試験/Lancet

 うつ病に関連する差別経験は、病態の増悪や社会的機能の低下だけでなく、うつ病の非公表を助長して支援や受療の機会をも奪うことが、イタリア・ベローナ大学のAntonio Lasalvia氏らの調査で示された。現在、うつ病は世界的な疾病負担の第3位を占める(中~高所得国では第1位)。診断はプライマリ・ケアでも十分に可能であり、抗うつ薬や心理療法は60~80%の患者に有効なことが知られているが、実際に治療を受けている患者は半数に満たないという。有効な治療に対する障壁には種々の要因があるが、なかでも精神疾患に関連するスティグマ(罹患者に対する否定的な態度を誘引する不名誉の烙印・象徴)は重要な課題とされる。Lancet誌2013年1月5日号(オンライン版2012年10月18日号)掲載の報告。大うつ病性障害患者の差別経験を横断的調査で検討 ASPEN(Anti Stigma Programme European Network)/INDIGO(International Study of Discrimination and Stigma for Depression)試験は、大うつ病性障害の成人患者における差別経験の特徴や程度を評価する横断的調査。差別経験と病歴、医療供給、診断名公表との関連や、差別予測と差別公表や過去の差別経験との関連についても調査を行った。 35ヵ国39施設(ASPEN試験:18ヵ国19施設、INDIGO試験:日本を含む17ヵ国20施設)で大うつ病性障害と診断された患者に対し、差別およびスティグマ尺度(第12版、DISC-12)に関する聞き取り調査を行った。対象は18歳以上、母国語の理解および会話の能力がある者とした。データの解析には多変量回帰モデルを用いた。差別経験はうつ病の公表にも悪影響、非公表が受療の大きな障壁に 2010年6月1日~12月31日までに1,082例(平均年齢:44.9歳、男性:34%、単身者:18%、就業者:39%)のデータが収集された。そのうち855例(79%)が「差別経験がある」と答えた。 親密な人間関係の構築を断念したと答えたのが405例(37%)で、271例(25%)は就職活動を、218例(20%)は教育や訓練を諦めたと回答した。 差別経験の程度が大きいほど、生涯うつ病エピソード数との関連性が高く[陰性二項回帰係数:0.20、95%信頼区間(CI):0.09~0.32、p=0.001]、1回以上の精神病院入院(同:0.29、0.15~0.42、p=0.001)や社会的機能の低さ(配偶者との死別/別居/離婚:0.10、0.01~0.19、p=0.032、無報酬就労:0.34、0.09~0.60、p=0.007、就職活動中:0.26、0.09~0.43、p=0.002、失業:0.22、0.03~0.41、p=0.022)と有意な関連が認められた。 差別経験は、うつ病の診断を公表する意欲をも失わせた(平均差別スコア:うつ非公表4.18 vs うつ公表2.25、p<0.0001)。 差別の予感は実際の差別経験とは必ずしも関連せず、就職活動中や就業中に差別を予測した者の47%(147/316例)および親密な相手からの差別を予測した者の45%(160/353例)は、実際には差別を経験しなかった。 著者は、「うつ病に関連する差別は、社会参加や職業的な統合に対する障壁として機能しており、うつ病の非公表はそれ自体が支援の探索や有効な治療の受療に対するいっそうの障壁となっている」と結論付け、「うつ病患者におけるスティグマ化を防止し、すでに確立されたスティグマの作用を減弱するには、新たな持続的アプローチが必要なことが示唆される」としている。

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新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。 患者データのプール解析によりアゴメラチンの抗うつ効果をSSRIやSNRIと比較した。適応用量内で実施されたベンラファキシン、セルトラリン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラムを用いた6試験無作為化二重盲検比較試験より解析を行った。一次評価にはHAM-D17を用いた。治療間の差の推定については、最終観察時点(6、8、12週目)の値に基づいて算出した。 主な結果は以下のとおり。・各試験で無作為化された対象患者は2,034例(年齢:47.6±14.9歳、男女比:27:73、HAM-D17トータルスコア:29.6±3.0)。・解析対象患者は最大で1,997例(アゴメラチン群:1,001例、SSRI/SNRI群:996例)。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、HAM-D17トータルスコア(E[SE]=0.86[0.35]、95%CI=0.18~1.53、p=0.013)、HAM-D17におけるレスポンダーレート(p=0.012)、CGI-I(CGI-Improvement)スコア(p=0.032)の有意な改善が認められた。・重度なうつ病患者においても同様な結果が得られた。・アゴメラチン群では、SSRI/SNRI群と比較し、優れた忍容性が認められた。関連医療ニュース ・難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」 ・ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

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第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

 第二世代抗精神病薬(SGA)は2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。米国・ザッカーヒルサイド病院のPeter Manu氏らは、SGAであるクロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンについて、インスリン分泌への影響を検討した。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 SGAは2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。SGAのインスリン分泌への独立した影響については、これまで動物モデルの試験においては示唆されていたが、臨床では実証されていなかった。研究グループは、SGA治療中の患者における負荷試験後インスリン分泌について評価することを目的に、単一施設で代謝評価を受けた連続する783例の成人精神疾患入院患者コホートのうち、520例の非糖尿病患者を対象とした試験を行った。インスリン分泌は、75gブドウ糖負荷試験後のベースライン、30分、60分、120分時点での記録を基に作成した曲線下面積[AUC(インスリン)]で評価し、インスリン分泌の独立予測因子について、サンプル全体で、または正常耐糖能(NGT)と糖尿病前症患者に分けて回帰分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者520例の内訳は、クロザピンを服用する群が73例、オランザピン群190例、クエチアピン群91例、リスペリドン群166例であった。・負荷後AUC(インスリン)の独立予測因子は、AUC(グルコース)・腹囲・トリグリセリド値・低年齢(p<0.0001)、非喫煙(p=0.0012)、クロザピン治療(p=0.021)であった。・モデルが示すインスリン分泌バリアンスは、33.5%であった(p<0.0001)。・クロザピンの影響は、NGT群ではみられたが、糖尿病前症患者群では認められなかった。関連医療ニュース ・抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」 ・統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証! ・「糖尿病+うつ病」に対する抗うつ薬の有効性は“中程度”

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「糖尿病+うつ病」に対する抗うつ薬の有効性は“中程度”

 糖尿病患者におけるうつ病発症は高頻度にみられ、不良な予後と関連する。ドイツ・フライブルグ大学のHarald Baumeister氏らは、うつ病を併発した糖尿病患者への、うつ病治療としての精神療法および薬物療法の効果について、システマティックレビューを行った。その結果、いずれもうつ病改善に中程度の有意な臨床的効果をもたらすことが示され、また血糖コントロールについても、薬物療法群では短期間での改善が認められたという。精神療法の血糖コントロールへの効果については確たるエビデンスが得られなかった。Cochrane Libraryオンライン版2012年12月12日号の掲載報告。 本研究は、糖尿病とうつ病を有する患者を対象に、うつ病治療としての精神療法と薬物療法の効果について評価することを目的とした。CENTRAL in The Cochrane Library、MEDLINE、EMBASEなどの電子データベースをソースとして2011年12月までに発行された論文(無作為化試験を適格)を検索した。参照リストも調べて著者と接触する機会も持った。主要アウトカムは、うつ病および血糖のコントロールであった。副次アウトカムは、糖尿病治療のアドヒアランス、糖尿病合併症の発症、全死因死亡、医療コスト、健康関連QOL(HRQoL)などであった。データ収集と解析は、2人の独立レビュワーにより行われた。全体の推定治療アウトカムの算出のため、ランダム効果モデルでのメタ解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・データベース検索により、3,963件の文献が同定された。そのうち、19試験、参加者計1,592例分のデータが解析に組み込まれた。【精神療法試験】・精神療法試験(8試験・被験者1,122例、治療期間3週~12ヵ月、治療開始後追跡期間0~6ヵ月)のレビューから、短期的(治療終了時など)・中期的(治療1~6ヵ月後など)・長期的(治療後6ヵ月超など)に、うつ病重症度の改善効果が認められた[8試験の標準化平均差の範囲(SMD):-1.47~-0.14]。しかし試験間の不均一性が大きく、精神療法試験の結果に関するメタ解析は行われなかった。・通常ケアと比較して精神療法群は、短期的うつ病寛解率(OR:2.88、95%CI:1.58~5.25、p=0.0006、4試験・被験者647例)、中期的うつ病寛解率(同:2.49、1.44~4.32、p=0.001、2試験・296例)の上昇がみられた。・精神療法試験の血糖コントロールに関するエビデンスは、不均一で不確定であった。・QOLについては3試験で、通常ケアと比較して有意な改善は認められなかった。・糖尿病およびうつ病の薬物治療のコストおよびアドヒアランスについては、検討されていたのが1試験のみで、信頼できる結論を導き出すことはできなかった。・糖尿病合併症および全死因死亡は、精神療法試験では検討項目に含まれたものがなかった。【薬物療法試験】・一方、薬物療法試験(対プラセボ8試験・被験者377例、治療期間3週~6ヵ月、治療後追跡なし)からは、抗うつ薬の中等度の効果が、短期的うつ病重症度の改善に認められた(7試験・被験者306例のSMD:-0.61、95%CI:-0.94~-0.27、p=0.0004/SSRIに関する5試験・241例は同-0.39、-0.64~-0.13、p=0.003)。・短期的うつ病寛解率は、抗うつ薬治療の試験で上昇が認められた(OR:2.50、95%CI:1.21~5.15、p=0.01、3試験・被験者136例)。・また短期間での血糖コントロールの改善がみられた[HbA1cの平均差(MD):-0.4%、95%CI:-0.6~-0.1、p=0.002、5試験・被験者238例]。・健康関連QOLおよびアドヒアランスは、検討されていたのが1試験のみであり、いずれの項目についても統計的有意差はみられなかった。・薬物療法試験では、中期および長期うつ病ならびに血糖コントロールのアウトカム、医療コスト、糖尿病合併症および全死因死亡について検討されていなかった。・異なる薬物療法を比較した試験間(3試験・被験者93例、治療期間12週、治療後追跡なし)の結果に有意差はみられなかった。ただし、フルオキセチン治療患者では、シタロプラム治療と比較して血糖コントロールの有意な改善がみられた(HbA1cのMD:-1.0%、95%CI:-1.9~-0.2、1試験・被験者40例)。関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能 ・うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

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世界中で起きている障害を有する人の高齢化/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の障害生存年(years lived with disability:YLD)について、オーストラリア・School of Population HealthのTheo Vos氏らがGlobal Burden of Diseases Study 2010(GBD2010)の系統的解析を行い報告した。その結果、10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であったが、年齢に伴う着実な上昇が認められたという。背景には人口増加と平均年齢の上昇があった。またYLDの最も頻度の高い原因(メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害など)の有病率は減少しておらず、著者は「各国のヘルスシステムは死亡率ではなく障害を有する人の増加について対処する必要があり、その上昇する負荷に対する効果的かつ可能な戦略が、世界中のヘルスシステムにとって優先すべきことだ」と提言した。Lancet誌2012年12月15/22/29日合併号掲載の報告。世界の289の疾患・外傷の1,160の後遺症について系統的な解析を実施 研究グループは、GBD2010のデータを基に、その291の疾患・外傷リストのうち、障害をもたらす289の疾患・外傷の1,160の後遺症について、有病率、発生率、軽快した割合、障害持続期間、超過死亡率について系統的解析を行った。データは、公表されている研究、報告症例、住民ベースがんレジストリ、その他疾患レジストリ、マタニティクリニック血清サーベイランス、退院データ、外来ケアデータ、世帯調査、その他サーベイおよびコホート研究から構成された。 YLDを、シミュレーション手法により共存症について補正し、年齢、性、国、年度レベルで算出した。主因は、メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害、糖尿病や内分泌系疾患 解析の結果、2010年の全年齢統合の1,160の後遺症の世界的な有病率は、100万人当たり1例未満から35万例まで広範囲にわたった。有病率と健康損失をもたらす重症度との関連はわずかであった(相関係数:-0.37)。 2010年のあらゆるYLDの有病者は7億7,700万人で、1990年の5億8,300万人から増加していた。 YLDをもたらした主要な要因は、メンタル問題と行動障害、筋骨格系障害と糖尿病や内分泌系疾患であった。 YLDの主要な特異的要因は、1990年と2010年でほぼ同様であり、腰痛、大うつ病、鉄欠乏性貧血、頸痛、COPD、不安障害、偏頭痛、糖尿病、転倒であった。 年齢別YLD有病率は、全地域で年齢に伴う上昇がみられたが、1990年から2010年にかけてわずかだが減少していた。 10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であった。 YLDの主要な要因の地域別パターンは、早期死亡による生命損失年(YLL)とよく似ていた。サハラ以南のアフリカでは、熱帯病、HIV/AIDS、結核、マラリア、貧血がYLDの重大な要因であった。

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神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる?

 近年、臨床および前臨床研究から、GABA受容体作動性神経ステロイドの量的変動と気分障害の病態との関連性が明らかになりつつある。イタリア・カリアリ大学のMauro Giovanni Carta氏らは、これまでに報告された基礎的ならびに臨床的研究をレビューし、神経ステロイド量の減少が気分障害の悪化に関連しており、神経ステロイド量の是正/増加が気分安定化につながる可能性を示唆した。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月19日号の掲載報告。 神経ステロイドは脳内で合成され、脳の興奮性を調節しているが、この神経ステロイドが鎮静作用、麻酔作用、抗痙攣作用を有し、さらに気分に影響を及ぼすというエビデンスが蓄積されつつある。一般に、神経ステロイドはプレグナン系(アロプレグナノロン、アロテトラヒドロデオキシコルチコステロン)、アンドロスタン系(アンドロスタンジオール、エチオコラノン)、サルフェート系(プレグネノロンサルフェート、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート)などに分類されるが、とくにアロプレグナノロン、アロテトラヒドロデオキシコルチコステロンなどのプロゲステロン誘導体が気分障害の病態に関与し、気分安定化に重要な役割を果たしている可能性が示唆されている。  著者は、これらは、以下の主な知見によって支持されるとした。・双極性障害の気分安定化への有効性が示されているクロザピンおよびオランザピンは、ラットの海馬、大脳皮質および血清中のプレグネノロンレベルを上昇させる。・リチウム投与マウスでは、非投与マウス(コントロール)に比べ血中アロプレグナノロン、プレグネノロンレベルの上昇が認められる。・双極性障害の女性では、概して月経周期に関連して症状の悪化がみられる。出産直後はプロゲステロン誘導体レベルの低下が認められ、それに伴って気分障害が発症または再発しやすい。・一方、双極性障害の改善を認めた女性では、月経前の期間に健常人または大うつ病性障害の女性に比べて血漿アロプレグナノロン濃度の上昇が認められる。・うつ病エピソードの期間、血中アロプレグナノロンレベルは低い。・フルオキセチンは、うつ病患者における神経ステロイドレベルを正常化する傾向にある。・以上の結果、「多くの抗痙攣薬が双極性障害に対して有効である、あるいは神経ステロイドに抗痙攣作用がみられるという事実と矛盾しない」とした上で、「神経活性ステロイドの作用に関するさらなる探究は、気分障害、とくに双極性障害の病因および治療の研究において、新分野の開拓につながりうる」としている。関連医療ニュース ・夢遊病にビペリデンは有望!? ・オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善 ・南に住んでる日本人では発揚気質が増強される可能性あり

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抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」

 統合失調症患者では体重増加がしばしば問題となる。中枢神経系経路における食欲や体重を調節する薬剤としてレボキセチン(選択的ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)、ベタヒスチン(ヒスタミンH1受容体アゴニスト/H3受容体アンタゴニスト)が補完的薬剤として期待されている。Michael Poyurovsky氏らは、プラセボ対照二重盲検比較試験においてレボキセチンとベタヒスチンの併用が統合失調症患者のオランザピン誘発性体重増加を減弱させるかどうかを検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2012年12月13日号の報告。 対象はDSM-IVで統合失調症と診断された入院患者43例。対象患者をレボキセチン(4mg/日)+ベタヒスチン(48mg/日)併用群29例、プラセボ群14例に無作為に割り付け、オランザピン(10mg/日)とともに6週間継続投与を行った。精神症状は、ベースラインとエンドポイントのレーティングスケールにて評価した。統計分析には、Intention-to-treat解析を用いた。 主な結果は以下のとおり。・レボキセチン+ベタヒスチン併用群で7例、プラセボ群で4例が試験を中止した。・試験終了時において、レボキセチン+ベタヒスチン併用群はプラセボ群と比較し体重増加が有意に少なかった(2.02±2.37kg vs. 4.77±3.16kg 、t=2.89、自由度[df]=41、p=0.006)。・レボキセチン+ベタヒスチンによる体重増加抑制効果は、以前にレボキセチン単独で認められた効果と比較し2倍であった。・レボキセチン+ベタヒスチン併用群はプラセボ群と比較し7%以上の体重増加(臨床的に有意な体重増加)が認められた患者の割合が有意に少なかった(3/29[10.3%] vs. 6/14[42.9%]、Χ2=6.03、df=1、p=0.014)。・レボキセチン+ベタヒスチンの併用は安全であり、忍容性は良好であった。関連医療ニュース ・統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証! ・統合失調症患者における「多飲」その影響は? ・オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善

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MDMA誘発の高熱にメマンチンが有用?:自治医大

 自治医科大学精神医学教室教授・西嶋康一氏ら研究グループはラット試験の結果、違法ドラッグ3,4-Methylenedioxymethamphetamine (MDMA)が引き起こす可能性がある致命的ともなりうる高熱に対し、メマンチンが有用である可能性が示唆されたことを報告した。Neuroscience Letters誌2012年12月7日号(オンライン版2012年11月6日号)の掲載報告。 本研究は、効果的な薬物治療が確立されていないMDMA誘発の高熱に対する、メマンチン、非競合的N-methyl-d-aspartate(NMDA)型グルタミン酸受容体拮抗薬、α-7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)拮抗薬の効果について、ラット試験により検討することを目的とした。 主な内容は以下のとおり。・MDMA(10mg/kg)の投与前あるいは投与後のメマンチン(10または20mg/kg)投与により、いずれの場合もラットの最高体温は有意に低下した。・マイクロダイアリシス法の結果、MDMA投与前のメマチン20mg/kg投与は、視床下部前部のMDMA誘発により増大したセロトニン(5-HT)およびドパミン(DA)への影響は認められなかった。・非競合的NMDA受容体拮抗薬のMK-801(0.5mg/kg)や、競合的NMDA拮抗薬のCGS 19755(5mg/kg)について、事前投与の場合、MDMA誘発の高熱は有意に低下した。一方、選択的α-7 nAChR拮抗薬のメチルリカコニチン(6または10mg/kg)では低下はみられなかった。・以上の結果は、MDMA誘発の高熱におけるメマンチンの抑制効果は、NMDA受容体拮抗薬そのものの活性によるものであり、5-HTやDAシステムへのメマンチンの効果によってもたらされるものではない可能性を示唆する。・本研究は、メマンチン中等量の投与が、ヒトにおけるMDMA誘発の高熱の治療薬として役立つ可能性を示唆する。関連医療ニュース ・難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム

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統合失調症患者の体重増加、遺伝子との関連を検証!

 いくつかの抗精神病薬による体重増加には、遺伝的要因が関与していると言われている。一般人における肥満に関連する遺伝子にFTO遺伝子がある。イギリス・クイーンズ大学ベルファストのGavin P. Reynolds氏らは、このFTO遺伝子における共通のリスク多型(rs9939609)が抗精神病薬誘発性の体重増加や肥満と関連があるかどうかを検討した。The international journal of neuropsychopharmacology / official scientific journal of the Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum (CINP).誌オンライン版2012年12月14日号の報告。 以下2つのサンプルを検討した。(1)初めて抗精神病薬の投与を受けた初回エピソード患者93例における体重の変動を最大12ヵ月間観察した。(2)慢性期統合失調症患者187例における肥満や代謝機能不全を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬にナイーブな患者の体重増加とFTO遺伝子との間に関連は認められなかった。・慢性期統合失調症患者では腹囲、ウエスト/ヒップ比、中心性肥満の頻度に関連づけられたBMIとFTO遺伝子との間に有意な関連が認められた。関連医療ニュース ・統合失調症患者における「多飲」その影響は? ・日本人統合失調症患者の脂質プロファイルを検証! ・情動障害患者よりも統合失調症患者で有意に体重を増加

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抗精神病薬投与前に予後予測は可能か?

 抗精神病薬処方に際し、効果や副作用を事前に予測することができるのであろうか。Eric D A Hermes氏らは、第二世代抗精神病薬の選択時に、医療関係者が心血管疾患のリスクを予測できるかを検証した。Psychiatric services (Washington, D.C.)誌オンライン版2012年12月15日号の報告。 本試験はアカデミック・ディテーリングの一環として、2007年10月~2009年5月に行われた。単一の退役軍人医療センターのすべての精神科医療関係者を対象に、第二世代抗精神病薬による新規処方を行ったすべての患者について調査を完了した。調査では、処方薬、患者の社会人口学的データ、精神疾患および併存疾患の診断、処方理由を記述した。肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病と心血管疾患や心血管代謝レベルに応じた抗精神病薬の選択との関係を評価した。 主な結果は以下のとおり。・259名の医療関係者から2,613件のデータが集積された。・心血管代謝リスクの高いオランザピン、中等度のクエチアピン、リスペリドン、これら3剤の処方箋は全体の79%を占めた。・第二世代抗精神病薬の処方は肥満、脂質異常症、糖尿病との間に有意な相関が認められたが(p<0.001)、高血圧、心血管疾患との相関は認められなかった。・オランザピンの投与は、心血管疾患の既往がない患者より、既往のある患者において処方割合がわずかに少なかった(平均4%)。・心血管代謝リスクが低いかほとんどないアリピプラゾールを投与された患者の割合は、心血管代謝疾患既往患者で一貫して高かった(平均2%)。 ・医療関係者による統計学的に有意な心血管代謝リスクについてのセンシティビティの存在が明らかになったが、このセンシティビティは強力ではなく統計学的に一様に有意でもなかった。・治療決定を行う際、薬剤のリスクに関する多くの情報を収集しておくことで、ケアの質を向上させることができると考えられる。関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・検証!非定型抗精神病薬の神経保護作用

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境界性パーソナリティ障害患者の症状把握に期待!「BPDSI-IV」は有用か?

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、患者の機能的能力を低下させる深刻な疾患であり、医療経済的な損失が大きい。BPDの症状を短期的に評価可でき、臨床評価や治療アウトカムの研究に適用可能な、信頼性と妥当性が担保されたツールが求められている。フィンランド・オウル大学のLeppänen Virpi氏らは、境界性パーソナリティ障害患者の重症度を評価するために、BPDSI-IVが有効であるかどうかを、フィンランドにおいて初めて検討した。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2012年12月11日号の報告。 フィンランドのBPD患者に対しBPDSI-IVインタビューを行い、心理学的特性を評価した。本研究は、通常治療と専門家による治療の有効性を比較した無作為化試験monocentre Oulu-BPD試験の一部である。対象は、2年間の無作為化比較試験に登録されたBPD患者71例。最近のBPD症状を評価するためにBPDS-IVを用いた。フィンランドの患者サンプルにおけるBPDSI-IVの内的整合性は、クロンバックの α係数(Cronbach's alpha coefficient)と平均I-T相関分析を用い評価した。判別の妥当性は、フィンランドのBPD患者とオランダのBPD患者、非患者群を比較することにより検討した。 主な結果は以下のとおり。・クロンバックの α係数は0.58~0.79であり、解離性が最も高く、関係性が最も低かった。・9項目のうち5項目のサブスケールが許容範囲を超えていた(≧0.70)。・平均I-T相関に関しては、9項目のうち7項目のサブスケールが許容範囲内であった(≧0.30)。・BPDSI-IVはBPD患者の重要度や症状変化を測定するうえで、有用であると考えられる。関連医療ニュース境界性人格障害の自殺対策へ期待「DBT PEプロトコール」パイロット試験境界性人格障害患者の自殺予防のポイントはリハビリ うつ病や拒食症の女性は…「感情調節が困難」

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EPA/DHAはADHD様行動を改善する可能性あり?

 ノルウェー・オスロ大学のKine S Dervola氏らが行ったラット試験の結果、ADHDに対し、ω3(n-3系)多価不飽和脂肪酸(PUFA)のサプリメントを投与することにより、挙動や神経伝達物質代謝について、性特異的な変化をもたらすことが示された。先行研究において、n-3系PUFAサプリメントがADHD様行動を減じる可能性が示唆されていた。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月10日号の掲載報告。 本研究の目的は、ADHD動物モデルにおけるn-3系PUFA投与の影響を調べることであった。高血圧自然発症ラット(SHR)を用いて、n-3系PUFA(EPAとDHA)強化飼料(n-6系 対 n-3系の割合1:2.7)を妊娠期間中、およびその産児に死亡するまで投与し続けた。SHRコントロール群とWistar Kyoto(WKY)ラットのコントロール群には、対照飼料(n-6系 対 n-3系の割合7:1)が与えられた。産児は生後25~50日の間、強化-依存的な注意力、衝動性、多動性および自発運動について検査を受けた。その後、55~60日時点で処分し、モノアミン、アミノ酸神経伝達物質に関して、高速液体クロマトグラフィーにて解析した。 主な結果は以下のとおり。・n-3系PUFA給餌により、オスのSHRでは強化-依存的な注意力の改善が認められたが、メスではみられなかった。・同一ラットでの新線条体の解析において、オスのSHRでは、ドパミンとセロトニン代謝率の有意な上昇が示されたが、メスのSHRでは、セロトニン分解代謝が上昇したことを除き、変化はみられなかった。・対照的に、オスとメスの両方のSHRで示されたのが、非強化の自発運動の低下と、グリシン値およびグルタミン代謝の性非依存的変化であった。・n-3系PUFAはADHDラットモデルにおいて、強化刺激行動において性特異的な変化をもたらし、非強化関連行動において性非依存的な変化をもたらすことが示された。それらは、シナプス前部線条体モノアミンとアミノ酸伝達シグナルとそれぞれ関連があった。・以上のことから、n-3系PUFAの摂取は、ADHD様行動(男性では強化誘発メカニズム、男女ともでは強化無反応メカニズム)をある程度改善する可能性が示された。関連医療ニュース ・うつ病予防に「脂肪酸」摂取が有効? ・統合失調症患者の脳組織喪失に関わる脂肪酸、薬剤間でも違いが ・抗てんかん薬の処方、小児神経科医はどう使っている?

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オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善

 統合失調症患者に対して、オキシトシンを投与することで症状改善につながるとの先行研究がある。しかし、それらは短期間の研究にとどまっており、統合失調症患者に対するオキシトシン投与について、3週間超のエビデンスは存在しなかった。イラン・テヘラン医科大学Roozbeh精神病院のAmirhossein Modabbernia氏らは、リスペリドンによる治療を受けている統合失調症患者にオキシトシン鼻腔内スプレーを8週間併用し、有効性と忍容性についてプラセボと比較検討した。その結果、オキシトシン鼻腔内投与により統合失調症患者の症状、なかでも陽性症状が著明に改善されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2012年12月12日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症患者におけるオキシトシン鼻腔内スプレーの有効性と忍容性を評価することを目的とした、8週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験。DSM-IV-TRにて統合失調症と診断され、リスペリドン固定用量(5または6mg/日)の治療を少なくとも1ヵ月以上受けている患者40例(18~50歳男女)を対象とし、オキシトシン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。オキシトシン鼻腔内スプレーは、最初の1週間は20 IU(5スプレー)を1日2回投与し、以降は40 IU(10スプレー)を1日2回、7週間投与した。ベースライン時、2、4、6、8週後に、陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale:PANSS)により評価を行った。主要アウトカムは、治療終了時におけるPANSSスコアの2群間の差とした。主な結果は以下のとおり。・全患者がベースライン後1回以上の評価を受け、37例(オキシトシン群19例、プラセボ群18例)が試験を完了した。・反復測定分散分析によると、PANSS総スコア[F(2.291,87.065) = 22.124、p<0.001]および陽性スコア[F(1.285,48.825) = 11.655、p = 0.001]、陰性スコア[F(2.754,104.649) = 11.818、 p < 0.001]、総合精神病理[F(1.627,61.839) = 4.022、 p = 0.03]サブスケールについて、相互作用による有意な効果がみられた。・8週後までに、オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陽性症状について著明かつ有意な改善を示した(Cohen's d=1.2、スコアの減少20%vs. 4%、p<0.001)。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陰性症状(Cohen's d=1.4、スコアの減少7%vs. 2%、p<0.001)、総合精神病理(Cohen's d=0.8、スコアの減少8%vs. 2%、p=0.021)においても統計学的に有意な改善を示したが、臨床的にはその差が実感されなかった。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSの総スコア(Cohen's d=1.9、スコアの減少11%vs. 2%、p<0.001)において有意な改善を示した。・有害事象の発現状況は、2群間で同程度であった。・以上のことから、リスペリドン併用下のオキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者のとくに陽性症状を、忍容性を保ちつつ有効に改善することが示された。・本パイロット試験で得られた興味深い知見は、より大規模な母集団を用いて再現する必要がある。関連医療ニュース ・統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは? ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

 セルビア・ベオグラード大学のRadica M. Stepanovic-Petrovic氏らは、ラット炎症性疼痛モデルを用いて、レベチラセタムの末梢局所における鎮痛・抗浮腫作用とその作用機序について検討した。その結果、レベチラセタムはオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介して末梢性の鎮痛作用を示すことが明らかになった。Anesthesia & Analgesia誌2012年12月号(オンライン版2012年11月9日号)の掲載報告。 本研究は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて、レベチラセタムの炎症局所における鎮痛・抗浮腫作用ならびにその作用機序を検討することを目的とした。ラット足底(paw)皮下にカラゲナンを注射して炎症性浮腫を惹起させ、レベチラセタム(200~1,000nmol/paw)および各種受容体アンタゴニストの鎮痛作用を足圧痛法により評価した。さらに、レベチラセタムの浮腫に及ぼす影響を体積変動測定法により測定した。検討した各種受容体アンタゴニストは以下。オピオイド受容体アンタゴニスト:ナロキソン(75~300nmol/paw)、CTAP(1~5nmol/paw)アドレナリン受容体アンタゴニスト:ヨヒンビン(130~520nmol/paw)、BRL 44408(50~200nmol/paw)、MK-912(5~20nmol/paw)アデノシン受容体アンタゴニスト:カフェイン(500~1,500nmol/paw)、DPCPX(3~30nmol/paw)5-HT受容体アンタゴニスト:メチセルギド(10~100nmol/paw)、GR 127935(50~200nmol/paw)GABA受容体アンタゴニスト:ビククリン(400nmol/paw) 主な結果は以下のとおり。・レベチラセタムは、用量依存的かつ有意な疼痛閾値の低下、足浮腫抑制作用を示した。・レベチラセタム(1,000nmol/paw)の鎮痛作用は、GABA受容体アンタゴニストのビククリンで抑制されなかった。一方で、オピオイド受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アデノシン受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニストにより有意に抑制された。・ラットの対側後足にレベチラセタム、各種受容体アンタゴニストを投与した場合に効果が観察されなかったことから、これらの作用は末梢性であると考えられた。・以上のことから、レベチラセタムは末梢局所で鎮痛ならびに抗浮腫作用を示し、その作用はオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介したものであることが示唆された。レベチラセタムは、全身性の副作用および薬物相互作用の出現を低く抑え、炎症性疼痛を改善させうる。■関連記事とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは?

 米国・Western New York Stem Cell Culture and Analysis CenterのM.K. Stachowiak氏らは、マウス試験の結果、FGF受容体シグナル伝達の変異が統合失調症に結びつく発達異常の中心的な役割を果たしており、統合失調症の治療についてニコチン作動薬が有効であることを示唆する知見を得た。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。 統合失調症は、複数の神経システムの構造や結びつき、化学的作用を特徴とする神経発達障害であり、脳の発達障害は、成人期の初期に表れる臨床的な疾患症状よりずっと以前の妊娠期間中に確立されるとみられている。一方で、統合失調症には多数の遺伝子が関連しており、大半の患者に共通してみられる変異遺伝子の存在が認められていない。著者は、さまざまな変異遺伝子が統合失調症患者の脳でみられる複合的な一連の障害にどのように結びつくのかを検証した。 主な内容は以下のとおり。・著者は、さまざまな変異遺伝子からつくられるタンパク質が、共通の神経発達経路に収束し、複数の神経回路や神経伝達システムの発達に影響するのではないかと仮説を立てた。・そのような神経発達経路は、Integrative Nuclear FGFR1 Signaling(INFS)であった。・INFSには多様な神経性シグナル(直接的な遺伝子再プログラミングで、有糸分裂後に肝幹細胞や神経前駆細胞、未成熟な神経細胞の成長に直接働きかける)が集積される。・さらに、FGFR1とそのパートナータンパク質は、統合失調症と結びついた遺伝子が機能する複数の上位経路と結びつき、それらの遺伝子と直接的に影響し合う。・FGF受容体シグナル伝達の障害があるトランスジェニックマウスにより、複数の重要なヒト擬態統合失調症の特徴(神経発生的成因、出生時の解剖学的異常、行動症状の遅延発症、疾患の複数領域にわたる欠損、定型・非定型抗精神病薬とセロトニン拮抗薬およびニコチン受容体作動薬による症状の改善)が実証された。関連医療ニュース ・第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析 ・日本人女性の統合失調症発症に関連する遺伝子が明らかに ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か?

 双極性障害患者は薬物療法を継続してもなお、再発するケースが少なくない。再発抑制を目指し、近年注目されているのがマインドフルネス認知療法(MBCT)である。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のT Perich氏らは、12ヵ月間のフォローアップを行ったランダム化比較試験により、双極性障害患者の治療におけるMBCTの有用性を検証した。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年12月9日号の報告。 対象はDSM-IVで双極性障害と診断された患者95例。通常療法+MBCT実施群48例と通常療法単独群47例に無作為に割り付けた。主要評価項目は、DSM-IVの大うつ病、軽躁、軽躁エピソードの再発までの期間、モントゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)とした。副次的評価項目は再発回数、うつ病・不安ストレススケール(DASS)、特性不安尺度(STAI)とした。 主な結果は以下のとおり。・気分エピソードの最初の再発までの期間、12ヵ月間の再発合計回数は両群間で有意な差が認められなかった(ITT解析)。・MADRS、YMRSのスコアも両群間で有意な差は認められなかった。・STAIの不安状態スコアにおいては、両群間に有意な差が認められた。・DASSのアチーブメントサブスケールの治療反応時間に有意な差が認められた。・今回の試験では、MBCTは主要評価項目に対する有用性は認められなかったものの、双極性障害に併存する不安症状の軽減に対し有効である可能性が示唆された。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より-

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検証!結婚できない男性の精神的健康状態

 中国は100人の女性あたり118人の男児を出産する、世界中で最も男児の出生が過剰な国であり、現在、生殖年齢に達する男性は2,000万人も過剰となっている。そのため、結婚できない男性が少なくない。これらかなりの数の結婚できない男性の精神的健康(well-being)における影響は不明である。Xudong Zhou氏らは、30~40歳の未婚男性についてうつ病の発症リスク、自尊心、攻撃性に関する検証を行った。Social psychiatry and psychiatric epidemiology誌オンライン版2012年12月12日号の報告。 男性比率の高い農村部(雲南省と貴州省)で、自己記入式アンケートを用いた横断的調査を行った。評価には、ベックのうつ病調査票、Rosenbergの自尊心尺度、Bryant-Smithの攻撃性アンケートを用いた。 主な結果は以下のとおり。・30~40歳の未婚男性1,059名、既婚男性1,066名が調査を完了した。・未婚男性は既婚男性と比較して、経済的に劣っており、教育水準が低かった。・年齢、教育、所得を調整した結果、未婚男性は既婚男性と比較して、低い自尊心のスコア、高い抑うつスコア、高い攻撃性スコアを示す傾向が有意に高く、自殺念慮や自殺願望を有する傾向が高かった(各々p

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SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能

 SSRIなどの抗うつ薬は、うつ病患者の行動や神経の評価指標である感情プロセスを改善させる。しかし、それが臨床変化の前に起こるのか、結果として起こるのか明らかではなかった。英国・Warneford病院のGodlewska BR氏らは、うつ病患者へのSSRIの短期治療の影響を調査し、抑うつ症状の改善に先立ち扁桃体機能活性が正常化されることを明らかにした。Psychological Medicine誌2012年12月号の掲載報告。 本研究は、うつ病患者へのSSRIの短期治療について、感情面の臨床的改善以前における恐怖の表情に対する神経性反応への影響について調査した、プラセボ対照無作為化並行群間試験である。42例の未治療うつ病患者に、SSRI(エスシタロプラム10mg/日)かプラセボを投与した。恐怖の表情と幸福な表情に対する神経性反応は、治療開始7日目にMRIを用いて脳内を測定し評価した。同様の方法で、健常者(対照群)の画像診断も行った。 主な結果は以下のとおり。・恐怖の表情に対する扁桃体反応は、対照群よりもうつ病患者群で有意に強かった。・一方で、この反応はSSRIによる治療を7日間受けた患者では正常化していた。・7日時点の臨床的なうつ病評価について、SSRI治療群とプラセボ群に有意な差はみられなかった。・以上から、SSRIの短期治療は、うつ病患者の抑うつ感情を改善するのに先立って、ネガティブな感情刺激に反応する扁桃体機能活性を正常化することが示唆された。・この結果は、抗うつ薬の臨床効果は早期の感情プロセスの変化を通じてもたらされるとの仮説を支持する。さらなる研究で、これら早期の効果が、最終臨床転帰を予想しうるかを検証する必要がある。関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

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第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症患者に対するメタ解析

 初回エピソードの統合失調症スペクトラム障害の治療では、早期治療の選択が重要である。米国・ザッカーヒルサイド病院のJian-Ping Zhang氏らは統合失調症スペクトラム障害患者における第一世代抗精神病薬(FGAs)と第二世代抗精神病薬(SGAs)の有効性および忍容性をメタアナリシスにより比較検討を行った。The international journal of neuropsychopharmacology / official scientific journal of the Collegium Internationale Neuropsychopharmacologicum (CINP)誌オンライン版2012年12月3日号の報告。 2010年12月12日までに報告された、「急性期、1剤以上のFGAとSGAを比較した無作為化試験、初回エピソードで精神疾患、統合失調症スペクトラム障害と診断された患者、精神病理学的変化(治療反応、治療中止、副作用、または認知機能)について得られたデータ」に関する系統的文献検索を行い、メタアナリシスを実施した。13試験、2,509例が該当した。 主な結果は以下のとおり。・有効性の評価においてFGAs(ハロペリドール9/13試験)を上回ったのは、オランザピン(7試験)で9/13試験、アミスルプリド(1試験)で8/13試験、リスペリドン(8試験)4/13試験、クエチアピン(1試験)3/13試験、クロザピン(2試験)1/13試験、ジプラシドン(1試験)1/13試験であった。・錐体外路症状(EPA)に関連する評価においてFGAsと比較したところ、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは少なかったが、体重増加はクロザピン、オランザピン、リスペリドンで多かった。・総合精神病理学的変化、うつ症状、治療反応、代謝系の変化においてSGAsはFGAsと同等であった。・SGAsは体重増加を来す一方で、治療中止率(原因にかかわらず)、陰性症状、認知機能、EPS、アカシジアについて、FGAsと比較し有意に少なかった(p<0.05~0.01)。・結果はFGAsの用量や出版バイアスによる影響を受けなかったが、業界主催の研究の方が政府主導の研究よりもSGAsに好ましい結果が得られていた。初回エピソード統合失調症患者の治療においてFGAsと比較したところ、オランザピン、アミスルプリド、次いでリスペリドン、クエチアピンが優れた有効性、治療継続性、EPSの少なさを示した。しかしながら、オランザピン、リスペリドン、クロザピンは体重増加が多く、オランザピンは代謝系の変化に来す影響が大きかった。関連医療ニュース ・初回エピソード統合失調症患者、長期予後予測に新基準! ・長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与 ・抗精神病薬の効果をどのタイミングで見極めるべきか?

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