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ビタミンD欠乏で統合失調症発症リスクが2倍に

 統合失調症はビタミンD欠乏と強く関連していることが、システマティックレビューおよびメタ解析の結果、明らかにされた。統合失調症患者の65.3%でビタミンD欠乏が認められること、ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して統合失調症である可能性が2.16倍高かったことを、イラン・エスファハーン医科大学のGhazaleh Valipour氏らが報告した。これまでに観察研究においてビタミンDの状態と統合失調症との関連が検討されているが、包括的なメタ解析は把握されていなかった。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。 研究グループは、観察研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施し、血清ビタミンD濃度と統合失調症に関連する適用可能なデータをまとめた。2013年10月までに発表されたすべての公表記事をPubMed、ISI(Web of science)、SCOPUSおよびGoogle Scholarを用いて系統的に検索。統合失調症患者の血清ビタミンD濃度を測定した観察研究すべてについてシステマティックレビューを行った。除外基準を考慮した結果、19件の研究についてシステマティックレビューを行い、(1)25-ヒドロキシビタミンD[25(OH)D]の平均濃度(13件)、(2)ビタミンD欠乏の頻度(8件)、(3)オッズ比(8件)の3つのメタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者とコントロール群における血清25(OH)D平均濃度の差は、-5.91ng/mL(95%信頼区間[CI]:-10.68~-1.14)であった。サブグループ解析の結果、入院状況、研究の質、研究の場所は試験間の不均一性に関連していなかった。しかし、25-ヒドロキシビタミンD3 vs 25(OH)Dを評価したバイオマーカーの種類は不均一性にある程度関連していた。・統合失調症患者におけるビタミンD欠乏頻度は65.3%(95%CI:46.4~84.2%)であった。・ビタミンD欠乏例はビタミンD充足例と比較して、統合失調症である可能性が2.16倍(95%CI:1.32~3.56)高かった。不均一性を示すエビデンスは認められなかった。・結果を踏まえて著者は「今回の所見を明確にするため無作為化臨床試験が求められる」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター うつ病治療にビタミンD投与は有用か 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

2262.

境界性パーソナリティ障害でみられる幻覚の正体は

 境界性パーソナリティ障害(BPD)の約3分の1の患者で認められると報告されている幻覚症状について、フランス・リール第2大学のA. Gras氏らは、研究状況などをまとめるためレビューを行った。その結果、現状において同症状への理解は不十分であり、病態生理を明らかにする研究が必要であることを指摘した。Encephale誌オンライン版2014年7月22日号の掲載報告。境界性パーソナリティ障害の幻覚症状 本検討は、境界性パーソナリティ障害患者における幻覚症状への対処を模索することを目的に行われた。2013年3月時点でMedline、Scopus、Google Scholarデータベースを、「境界性パーソナリティ障害」「幻覚」「精神病症状」のキーワードを用いて論文を検索した。英語またはフランス語の査読を受けたジャーナルに発表されたレビュー論文で、DSM基準で診断されたBPD患者が試験登録されているものを適格とした。 境界性パーソナリティ障害の幻覚症状についての主な報告は以下のとおり。・1985~2012年に発表された15試験、被験者計635例のデータがレビューに組み込まれた。・BPDで観察された幻覚は現象学的経験で、統合失調症スペクトラムにおいて述べられる幻覚と同様に、鮮明で、持続的で、3次元的であり、悪意または万能性に関する信念が認められるものであった。その一方で、幻覚の内容はよりネガティブで苦痛に満ちたものであった。・こうした症状は長い間、「偽性幻覚(または幻覚様症状)」とみなされてきたことも本レビューによって判明した。・またそうした捉え方が、科学的な検証作業を阻害し、BPD患者に対して本当にそのような経験を有しているのかという疑問や、患者が感じている苦痛を認めないというスティグマを引き起こしていた。著者は「これらの状況が、BPDの幻覚症状の解明に焦点を当てた研究の必要性を指摘するものであった」としている。・一方で興味深いことに、最近の併存症研究において、40年来議論されてきたBPDと精神病との潜在的な関連性についての」議論が再燃していることが明らかになった。・当初、前精神病性障害とみなされたBPDは、Otto F. Kernberg氏により独立したカテゴリーに分類され、DSM-III定義に至り、精神病症状から除外された。・しかしながら、幻覚は、気分障害のみでなく薬物の過剰摂取によっても生じ、幻覚それ自体をもって統合失調症と診断するには依然として不十分であり、BPDにおけるすべての幻覚を説明することもできなかった。・著者らは、BPDの幻覚は視床下部-脳下垂体-副腎系およびストレス下のドパミンシステムの機能亢進に関わるとして、「ストレスに対する精神病性反応」とのフレームワークで理解することを試みた。そのようなモデルは、小児期の心的外傷では中心的な役割を有する可能性があった。・結果、小児期の心的外傷について、BPDにおける有病率が高いこと、また非臨床集団における幻覚の強い関連因子でもあることが示された。・BPDで起きている幻覚と、外傷後ストレス障害およびその他の頻度の高い併存障害で観察された幻覚との比較検討は、最後に行われていた。

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抗精神病薬が脳容積の減少に関与か

 抗精神病薬投与が、統合失調症患者でみられる発症後の脳容積減少に関与している可能性が示された。フィンランド・オウル大学のJuha Veijola氏らが、一般住民ベースの出生コホートの被験者を9年間追跡し脳容積の変化などを評価し報告した。先行研究において、統合失調症患者では経時的に脳容積が減少することが示されていた。PLoS One誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。 研究グループは、追跡期間が約10年と比較的長期に行われていた一般住民ベースのコホートサンプルから、統合失調症を有する被験者と対照被験者を選定し、脳容積の変化、その重症度との関連、機能、認知および抗精神病薬治療について調べた。1999~2001年の間に、33~35歳で、あらゆる精神障害を有していたNorthern Finland Birth Cohort 1966の全参加者と、精神疾患を有していなかったランダムサンプルに対して、MRI脳スキャン、臨床および認知機能の評価を行い、9年後の2008~2010年にフォローアップを行った。両時点のデータを基に、回帰モデルを用いて、脳容積変化が臨床および認知機能の変化を予測するかどうか、また抗精神病薬治療が脳容積変化を予測するかを調べた。 主な結果は以下のとおり。・両時点でMRI脳スキャンを行ったのは、統合失調症被験者33例、対照被験者71例であった。・年平均の全脳容積減少は、統合失調症群で0.69%、対照群0.49%であった(性別、教育水準、アルコール摂取、体重増加で補正後p=0.003)。・統合失調症患者の脳容積減少は、とくに側頭葉、脳室周囲領域でみられた。・統合失調症における脳容積減少と、重症度および機能レベル、認知機能の低下との関連はみられなかった。・追跡期間中に受けた抗精神病薬の投与量(クロルプロマジン換算100mg/日の年間投与量に相当)は、脳容積減少を有意に予測した(症状、アルコール摂取、体重増加で補正後p=0.003)。関連医療ニュース 統合失調症と双極性障害、脳の違いはどこか 若年発症統合失調症、脳の発達障害が明らかに 治療抵抗性統合失調症患者の脳は、特徴的な所見を示す  担当者へのご意見箱はこちら

2264.

高齢統合失調症、遅発性ジスキネジアのリスク低

 高齢患者に対するオランザピンvs. 旧来の抗精神病薬治療による遅発性ジスキネジアの発生率は、それぞれ2.5%、5.5%と低率で有意差もみられなかったことが、米国のBruce J. Kinon氏らが行った検討の結果、報告された。これまで55歳以上を対象とした比較試験は行われていたが、今回の検討は、平均年齢78歳、約8割が認知症を有する高齢患者を対象に行われたものである。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。 遅発性ジスキネジア(TD)を有さない患者を、オランザピン投与群(2.5~20mg/日、150例)と旧来の抗精神病薬投与(CNV)群(各ラベル用量、143例)に無作為に割り付け、6週間の漸減/導入期間後、最長1年間治療を行った。 主要アウトカムのエンドポイントは、アプリオリに定義した持続性TDで、異常不随意運動評価尺度(Abnormal Involuntary Movement Scale:AIMS)でスコア2(1~7項目のうち2項目以上で)または3以上(同1項目以上で)が1ヵ月以上続く場合とした(基準A)。また事後解析では、中等度(1項目以上でスコア3以上が1ヵ月間持続;基準B)と定義した持続性TDの評価、およびAIMSスコアの上昇(基準A、B)が1ヵ月間持続しなかったprobable TDの評価を行った。治療群間の比較にはKaplan-Meier法が用いられ、log-rank検定も行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者の平均年齢は78歳であり、多くが認知症と診断されていた(オランザピン群76.7%、CNV群82.5%)。・CNV群の患者のうち40.6%が、ハロペリドールを投与されていた。・持続性TD発症については、治療群間で有意差はみられなかった。累積発生率はオランザピン群2.5%(95%信頼区間[CI]:0.5~7.0)、CNV群5.5%(同:2.1~11.6)であった(p=0.193)。・曝露量で補正後のイベント発生率も、治療群間で有意差は示されなかった。オランザピン群は100人年当たり2.7、CNV群は同6.3で、率比は0.420(95%CI:0.068~1.969)であった。・事後解析の結果、オランザピン治療群における、1ヵ月間持続している中等度の持続性TD(p=0.012)、および1ヵ月間持続しなかったprobable TD(基準Aのp=0.030、基準Bのp=0.048)のリスクは、有意に低いことが示された。・ベースライン時に顕著な錐体外路症状がない患者については、CNV治療群のほうが、オランザピン治療群よりも、治療によりパーキンソニズムが発現した患者が有意に多かった(CNV群70%[35/50例]、オランザピン群44%[25/57例]、p=0.011)。・治療により出現したアカシジアについては、治療群間の有意差はみられなかった(CNV群6%[7/117例]、オランザピン群10%[13/130例]、p=0.351)。関連医療ニュース 遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学 遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見 高齢発症の統合失調症様症状、死亡リスク高  担当者へのご意見箱はこちら

2265.

線維筋痛症、教育的介入より認知行動療法

 米国・エモリー大学のSoumitri Sil氏らは、認知行動療法に反応する若年性線維筋痛症患者の特定と予測因子について検討し、教育的介入より認知行動療法で治療反応率が高いこと、認知行動療法は治療開始時の機能障害が大きく自己効力感が高い患者でより有効であること、疼痛強度やうつ症状は治療反応性と無関係であることなどを明らかにした。Pain誌2014年7月号(オンライン版2014年3月17日号)の掲載報告。 本研究の主要目的は、若年性線維筋痛症に対する認知行動療法の治療反応例を特定する、臨床的に有意かつ定量可能な機能障害の変化を推定することであった。 また、副次目的は、試験開始時の機能障害(Functional Disability Inventory:FDI)、疼痛強度、うつ病(Children's Depression Inventory:CPI)、疼痛コーピング(Pain Coping Questionnaire:PCI)、両親の疼痛の既往歴が6ヵ月後の機能障害に関する治療反応を予測できたかどうかを検討することであった。 試験対象は、最近発表された、線維筋痛症に対する教育的介入と認知行動療法の比較試験に登録された11~18歳の若年性線維筋痛症患者100例であった。FDIが7.8ポイント以上の減少および臨床基準ポイントに基づいた障害グレードの低下の両方を満たした場合を治療反応例と定義した。 主な結果は以下のとおり。・定義に基づく治療反応率は、教育的介入群28%(14/50例)に対して、認知行動療法群は40%(20/50例)であった。・認知行動療法群では、試験開始時の機能障害がより大きく、自己効力感がより高い患者で、臨床的に有意な機能障害の改善が得られた。・疼痛強度、うつ症状および両親の疼痛既往歴は、治療反応性を予測しなかった。

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抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は

 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者に対する抗精神病薬の併用は、長期的に安全なのか。米国・バージニア大学のAnita H Clayton氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)/セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)またはブプロピオン(国内未承認)にアリピプラゾールを併用した場合の長期忍容性を評価した。その結果、いずれの併用においても予期せぬ有害事象は認められず、同様の症状改善効果が認められたことを報告した。BMC Research Notes誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。 研究グループは、MDD患者を対象とし、アリピプラゾールをSSRIs/SNRIsに併用した場合の長期治療の安全性、忍容性および有効性を評価するpost hoc解析を実施した。具体的には、1~4種類の抗うつ薬治療(ADT:SSRI、SNRIまたはブプロピオン)に対する反応性が不良で、その後にアリピプラゾールを投与した52週間の非盲検安全性試験の登録患者で、過去に実施された2つの研究に参加していない新規患者のデータを解析した。安全性、忍容性、性機能(マサチューセッツ総合病院性機能評価項目[MGH-SFI])、Clinical Global Impression-Severity(CGI-S)を評価した。 主な結果は以下のとおり。・ブプロピオン+アリピプラゾールが47例、SSRI/SNRI+アリピプラゾールが245例で、52週間の治療完了例はそれぞれ19例(40.4%)、78例(31.8%)であり、試験薬を1回以上投与(安全性評価対象)された例は46例、242例であった。・何らかの理由による中止までの期間中央値は、184.0日であった。・ブプロピオン群の97.8%、SSRI/SNRI群の93.8%に、1件以上の有害事象が発現した。・ブプロピオン群で最も多かった治療関連有害事象は疲労(26.1%)と傾眠(21.7%)であった。SSRI/SNRI群は疲労(23.6%)とアカシジア(23.6%)であった。・52週時の平均体重変化は、ブプロピオン群で+3.1kg、SSRI/SNRI群は+2.4kgであった。・治療に関連する、臨床的に意味のある空腹時血糖異常はブプロピオン群8.3%、SSRI/SNRI群で17.4%であった。空腹時総コレステロール値の異常は、それぞれ25.0%、34.7%であった。・空腹時血糖値のベースラインからの平均変化(標準誤差)は、ブプロピオン群1.4(1.9)mg/dL 、SSRI/SNRI群2.7(1.5)mg/dLであった。・ベースライン時のMGH-SFIスコアにおいて、ブプロピオン群はSSRI/SNRIと比べて性機能障害の程度が低いことが示唆された。そして両群ともMGH-SFIスコアの改善は、52週時に最大値を示した。・52週時点の平均CGI-S改善(最終的に改善に向かっている)は、ブプロピオン群-1.4、SSRI/SNRI群は-1.5であった(有効性の解析対象において)。・ブプロピオンまたはSSRI/SNRIのいずれにアリピプラゾールを追加しても、長期投与に伴う予期せぬ有害事象はみられなかった。また、症状改善は抗うつ薬群間で同様であった。MDD患者の性機能もまた、アリピプラゾール追加後に穏やかに改善した。関連医療ニュース 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか  担当者へのご意見箱はこちら

2267.

長期抗精神病薬曝露は記憶にどう影響するか

 統合失調症における長期的な抗精神病薬投与と認知機能の推移との関連は、明らかになっていない。フィンランド・オウル大学のAnja P Husa氏らは、9年間のフォローアップ期間における言語学習や記憶の変化と生涯累積抗精神病薬投与量との関連を分析した。本研究は、同関連について長期にわたり自然的に追跡した初の報告となる。Schizophrenia research誌オンライン版2014年7月15日号の報告。 1966年のフィンランド北部出生コホートから、統合失調症患者40例とコントロール群73例を抽出し、34歳と43歳の時点でのカリフォルニア言語学習テスト(CVLT)により評価した。生涯抗精神病薬の投与量に関するデータは、クロルプロマジン換算で収集した。抗精神病薬の年間投与量とベースラインのパフォーマンスやCVLT変化との関連は、ベースラインのパフォーマンス、性別、発症年齢、重症度をコントロールし、分析した。 主な結果は以下のとおり。・ベースラインまでの抗精神病薬年間投与量が多い群では、言語学習と記憶のいくつかの項目で、ベースラインにおける低パフォーマンスと有意に関連していた。また、フォローアップ期間中に短期遅延自由再生において大きく低下した(p=0.031)。・フォローアップ期間中の抗精神病薬年間投与量が多い群では、フォローアップ期間中の1~5試験における即時自由再生の大幅な低下と関連していた(p=0.039)。・コントロール群と比較して、高用量群のCVLT変数は大きな低下が見られたが、低用量群では認められなかった。 以上の結果より、著者らは「抗精神病薬の高用量使用は、統合失調症患者の言語学習や記憶の低下と関連付けられた。このことから、一般的に抗精神病薬が認知機能低下を予防したり認知機能回復を促進したりするとは言えない」とした。関連医療ニュース 統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

2268.

双極性障害へのDBT追加療法、自殺念慮の改善も

 米国・ピッツバーグ大学医療センターのTina R Goldstein氏らは、思春期双極性障害(BP)に対する弁証法的行動療法(DBT)の有用性を明らかにするため、通常の心理社会的治療(TAU)との無作為化パイロット試験を行った。その結果、薬物治療にDBTを追加することで、うつ症状および自殺念慮の改善傾向がみられることを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2014年7月10日号の掲載報告。 試験は、小児専門クリニックの12~18歳の新規BP患者(I、II、または他に分類されない[NOS])を対象とし、適格例をDBT群または心理社会的TAU群に2対1で無作為化した。全例で、試験に関与する精神科医により薬物療法が行われ、DBT群には年間36セッション(個人トレーニング18、家族のスキルトレーニング18)の介入が、TAU群には、精神教育、サポーティブケア、認知行動テクニックといった広範な精神療法アプローチが行われた。任意の評価者が盲検下にて、感情的な症状、自殺念慮および行動、自殺を目的としない自傷行為(NSSI)、感情調節障害などのアウトカムを年4回評価した。  主な結果は以下のとおり。・DBTを受けた思春期患者(14例)は、TAUを受けた患者(6例)に比べ、1年を通して治療への参加が有意に多かった。・両治療とも、患者ならびに両親の受容度は高かった。・追跡期間中DBT群はTAU群に比較して、うつ症状は有意に軽度であり、自殺念慮の改善傾向は3倍近く高かった。・モデルにおけるエフェクトサイズは大きく、DBT群の追跡期間中の躁うつ寛解期(週)はより長期にわたった。・躁症状または感情調節障害に群間差は認められなかったが、DBT群では躁症状および感情調節障害の両方において、治療前と比べて治療後は改善がみられた。・以上より、思春期BPのうつ症状および自殺念慮の治療において、薬物療法にDBTを追加する方法は有望と思われた。・著者は、「DBTを治療の1つとして着目することは、早期発症BPの治療において重要な意味を持つと思われる。さらなる大規模な比較試験で、有効性の確立、自殺行動への影響の検討、ならびに費用対効果を明らかにする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害とうつ病で自殺リスクにどの程度の差があるか うつ病患者の自殺企図、遺伝的な関連性は 入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか  担当者へのご意見箱はこちら

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高齢発症の統合失調症様症状、死亡リスク高

 60歳超の高齢で発症する統合失調症様症状(VLOSLP)患者は、とくに男性において、早期発症(60歳未満)患者と比べて死亡リスクが高いことが示された。また、この結果は、身体合併症および事故で説明しうることも明らかにされた。フィンランド・ヘルシンキ大学中央病院のTiina Talaslahti氏らが、65歳以上患者を10年超追跡した試験の結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「これら患者の死亡率を低減するためには、精神科ケア・プライマリケア・専門的身体ケアの効果的なコラボレーションによる目標を定めた臨床的介入が重要である」と提言している。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年7月2日号の掲載報告。 研究グループは、60歳超でVLOSLPを診断された患者の死亡率と死亡原因について、性別と年齢で適合したフィンランド一般住民と比較。また、VLOSLP患者の標準化死亡比(SMR)を早期発症(60歳未満)群と比較し、さらに両群患者間の死亡ハザード比も算出した。データは、フィンランド国家レジストリから入手し、1999年1月1日時点で65歳以上であったVLOSLP患者と早期発症患者について、1999~2008年の10年間の死亡を追跡した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、VLOSLP群918例、早期発症群6,142例であった。・全体のSMRは、VLOSLP群は5.02(4.61~5.46)、早期発症群は2.93(2.83~3.03)であった。・男性のSMRは、VLOSLP群は8.31(7.14~9.62、179例)、早期発症群は2.91(2.75~3.07、1,316例)であった。・女性のSMRは、VLOSLP群は4.21(3.78~4.66、364例)、早期発症群は2.94(2.82~3.07、2,055例)であった。・SMRはVLOSLP群において、大半の死因カテゴリー(事故、呼吸器疾患、認知症、腫瘍、循環器疾患など)で高値であった。・しかしながら、これらのVLOSLP群と早期発症群の差は、いくつかの変数を補正後の直接比較では、わずかなものであった(ハザード比:1.16、95%信頼区間[CI]:1.05~1.27、p=0.003)。関連医療ニュース 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 統合失調症患者の突然死、その主な原因は

2270.

精神疾患患者、救急受診の現状は

 米国では年間推定約9万件の、精神疾患治療薬に関連した薬物有害事象での救急部門受診(ADE ED)が発生していることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のLee M. Hampton氏らによる分析調査の結果、明らかになった。処方薬の種類ごとのADE ED受診率なども分析され、著者は「ADEを減らす努力は、すべての年代の成人を対象に必要だが、有害事象での救急部門受診が多発している薬物を優先する必要がある」とまとめている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。 米国において、2011年に精神疾患のために処方薬を使用した人は年間推定2,680万人で、全成人の11.5%であったという。精神疾患治療薬はメンタルヘルスに重要な役割を果たしているが、重大な有害事象を引き起こす可能性もある。 そこで研究グループは、2009年1月1日~2011年12月31日の間に発生した精神疾患治療薬に関連したADE ED受診件数および受診率を明らかにする検討を行った。全国傷害電子監視システム-医薬品有害事象共同監視(NEISS-CADE)システムを用いて全米を代表するADE ED受診サーベイランスの記述的分析と、全米外来医療調査(NAMCS)および全米病院外来医療調査(NHAMCS)を用いて、外来受診の処方状況の記述的分析を行った。国を代表するサンプルとして19歳以上成人の、EDおよび外来受診医療記録をレビューし分析した。被験者は、抗うつ薬、抗精神病薬、リチウム、鎮静薬、抗不安薬、刺激薬の処方を受けていた。主要評価項目は、精神疾患治療薬の使用によるADE ED受診、および外来での精神疾患治療薬の処方数1万当たりのADE ED受診であった。 主な結果は以下のとおり。・2009~2011年において、精神疾患治療薬ADE ED受診は、年間推定8万9,094件(95%信頼区間[CI]:6万8,641~10万9,548件)であった。・そのうち入院となったのは19.3%(95%CI:16.3~22.2%)、また19~44歳の患者は49.4%(同:46.5~52.4%)であった。・処方薬別にみると、鎮静薬と抗不安薬によるものが3万707件(95%CI:2万3,406~3万8,008件)、抗うつ薬2万5,377件(同:1万9,051~3万1,704件)、抗精神病薬2万1,578件(同:1万6,599~2万6,557件)、リチウム3,620件(同:2,311~4,928件)、刺激薬2,779件(同:1,764~3,794件)であった。・外来処方1万当たりでみると、抗精神病薬は11.7件(95%CI:10.1~13.2件)リチウムは16.4件(同:13.0~19.9件)であったのに対し、鎮静薬は3.6件(同:3.2~4.1件)、刺激薬2.9件(同:2.3~3.5件)、抗うつ薬2.4件(同:2.1~2.7件)であった。・鎮静薬で使用頻度の高いゾルピデム酒石酸塩は、すべての成人精神疾患治療薬ADE EDの11.5%(95%CI:9.5~13.4%)を占めており、また、65歳以上の受診患者が21.0%(同:16.3~25.7%)と、いずれも、そのほかの精神疾患治療薬と比べて症例数が有意に多かった。関連医療ニュース 救急搬送患者に対する抗精神病薬の使用状況は 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 急性期精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の使用をどう考える  担当者へのご意見箱はこちら

2271.

妊娠中 抗うつ薬使用はリスク?

 妊娠中の抗うつ薬の使用が、出生児の先天性心疾患リスクにつながるか調査したところ、集団ベースでは妊娠初期3ヵ月間の抗うつ薬使用によるリスクの実質的な増加は示されなかった。米国ブリガム&ウィメンズ病院のKrista F Huybrechts氏らがコホート研究の結果、報告した。現在、妊娠中の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)や他の抗うつ薬の使用が出生児の先天性心疾患のリスク増加と関連しているかどうかは不明であり、なかでもパロキセチン使用と右室流出路閉塞との関連、セルトラリン使用と心室中隔欠損症との関連性が懸念されていた。NEJM誌2014年6月19日号掲載の報告。 研究グループは2000~2007年のメディケイド分析抽出のデータを用い、コホート研究を行った。対象は、最終月経期間前3ヵ月から分娩後1ヵ月までの妊娠女性94万9,504人およびその出生児であった。妊娠初期3ヵ月間に抗うつ薬を使用した女性から生まれた乳児群と、抗うつ薬を使用しなかった女性から生まれた乳児群に分け解析を行い、乳児らの重大な先天性心疾患リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・全体のうち、6万4,389人(6.8%)の女性が妊娠初期3ヵ月間に抗うつ薬を使用していた。・全体として、抗うつ薬未使用女性から生まれた乳児のうち先天性心疾患児は6,403例(乳児1万例あたり72.3例)、抗うつ薬を使用した女性では先天性心疾患児は580例(1万例あたり90.1例)であった。・抗うつ薬使用と先天性心疾患との関連性は、交絡因子の補正に伴って減少した。SSRIs使用に伴うあらゆる心疾患の相対リスク(ⅰ)未補正解析 1.25(95%信頼区間[CI]: 1.13~1.38)(ⅱ)うつ病の女性に限定した解析 1.12(95%CI:1.00~1.26)(ⅲ)うつ病の女性に限定しすべての補正を行った解析 1.06(95%CI:0.93~1.22)・パロキセチン使用と右室流出路狭窄、ならびにセルトラリン使用と心室中隔欠損症との間に有意な関連は確認されなかった(それぞれの相対リスク:1.07、95%CI:0.59~1.93、相対リスク:1.04、95%CI:0.76~1.41)。

2272.

高力価vs低力価、有効性の違いは

 統合失調症に対する治療の中心である抗精神病薬について、治療ガイドラインでは、有効性に差はないとしている。しかし、臨床的には低力価抗精神病薬は高力価抗精神病薬に比べて有効性が低いと認識されることが多く、また副作用の面でも異なるると言われていた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMagdolna Tardy氏らは、低力価と高力価の抗精神病薬について臨床的有効性の差を明らかにするため、無作為化比較試験のレビューを行った。その結果、臨床的有効性の優劣は明らかでなく、有害事象についてはハロペリドール群で運動障害が、低力価抗精神病薬群で起立性症状、鎮静および体重増加がより高頻度であったことを報告した。Cochrane Database Systematic Review誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。 そこで研究グループは、統合失調症患者に対するハロペリドールおよび低力価抗精神病薬の臨床的有効性についてレビューした。2010年7月までのCochrane Schizophrenia Group Trials Registerを用い、統合失調症または統合失調様精神異常を呈する患者に対し、ハロペリドールと第一世代の低力価抗精神病薬の比較を行っている無作為化試験すべてを検索した。任意にデータを抽出し、intention-to-treatにおけるランダム効果モデルに基づき、二分変数についてはリスク比(RR)とその95%信頼区間(CI)を算出。連続変数についてもランダム効果モデルに基づき、平均差(MD)を算出した。  主な結果は以下のとおり。・無作為化試験17件の877例についてレビューを行った。試験の対象例数は16~109例の範囲であった。また、いずれの試験も調査期間は2~12週と短期間であった。なお、割付の順番、割付方法および盲検化に関する記載のある報告は少なかった。・ハロペリドールが、低力価抗精神病薬に比べて臨床的有効性が優れるという明らかなエビデンスは見出せなかった(ハロペリドール40%、低力価抗精神病36%、14試験、574例、RR:1.11、95%CI:0.86~1.44、エビデンスの質:低)。・何らかの理由で試験から早期脱落した被験者数の差は不明確で、いずれかの群で治療の忍容性にベネフィットがあるという明らかなエビデンスも見出せなかった(同:13%、17%、11試験、408例、0.82、0.38~1.77、エビデンスの質:低)。・1件以上の有害事象発現という点でも、明確な差はみられなかった(同:70%、35%、5試験、158例、1.97、0.69~5.66、エビデンスの質:きわめて低)。・低力価抗精神病薬群では、鎮静(同:14%、41%、2試験、44例、0.30、0.11~0.82、エビデンスの質:中等度)、起立性症状(同:25%、71%、1試験、41例、0.35、0.16~0.78)および体重増加(同:5%、29%、3試験、88例、0.22、0.06~0.81)を認めた患者の頻度がより高かった。・一方、「1つ以上の運動障害」というアウトカムに関しては、ハロペリドール群のほうが高頻度であった(同72%、41%、5試験、170例、1.64、1.22~2.21、エビデンスの質:低)。・死亡またはQOLに関するデータはなかった。・いくつかのサブグループおよび感度解析において、主要アウトカムは確固たるものであった。・全体に試験の質が低く、主要なアウトカムのエビデンスの質は中等度から非常に低度までとばらつきがあった。ハロペリドールと低力価抗精神病薬の優劣について明確な結論を得るためには、新規の試験が必要である。関連医療ニュース 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は 統合失調症への抗精神病薬、第一世代vs. 第二世代の注射製剤の効果は 第一世代 vs 第二世代抗精神病薬、初回エピソード統合失調症に対するメタ解析  担当者へのご意見箱はこちら

2275.

うつ寛解のポイントは疲労感

 大うつ病性障害(MMD)患者に対する、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)治療のアウトカムに、疲労感はどのような影響を及ぼすのだろうか。この疑問を明らかにすべく、M. Ferguson氏らはSTAR*Dの二次解析により検討を行った。その結果、ベースライン時の疲労感が軽度であること、および治療中の疲労回復は、うつ症状の寛解、および良好な機能やQOLと関連していることが示された。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年7月4日号掲載の報告。 研究グループは、STAR*Dのレベル1治療(14週以下のシタロプラム単独療法)のデータを解析した。疲労感は、16項目のうつ症状簡易自己評価票(QIDS-SR16)から活力(energy)レベルに関係していた項目14で、前向きに評価した(スコア0~3、0は疲労感なし、3は疲労感が最大)。評価は、レベル1治療の導入および終了時に行った(疲労感なし/ 治療により疲労感が出現/ 疲労感が軽減/ 疲労感が残る)。 主要評価項目は、抑うつ症状の寛解(17項目のハミルトンうつ病評価尺度で7以下、またはQIDS-SR16で5以下)、生活の質に関する楽しみと満足感の簡易質問票(Quality of Life Enjoyment and Satisfaction Questionnaire-Short Form)の評価、簡易健康調査の精神・身体的サブスケール(Short-Form Health Survey Mental and Physical subscales)、仕事と社会性の調整尺度(Work and Social Adjustment Scale;WSAS)であった。 主な結果は以下のとおり。・ベースライン時2,868例の患者が、解析に組み込まれた。QIDS-SR16の項目14のスコアが0であった患者は5.5%、1は22.9%、2は53.6%、3は18.0%であった。・レベル1の治療中、疲労感なしであった患者は3.5%、治療により疲労感が出現は2.1%、治療中に疲労感が軽減33.6%、疲労感が残った患者は60.8%であった。・「女性」「失業中」「教育を受けた期間が短い」「月収が低い」が、ベースライン時の疲労感と有意に関連していた(すべてp<0.0001)。・ベースライン時の疲労感レベルが高かった人または疲労感が継続した人は、寛解の尤度が低く、あらゆる満足感が低かった(p<0.0001)。治療アウトカムにおける精神的・身体的機能が低く(p≦0.005)、WSAS総スコアも高い(p<0.0001)ことから、機能障害がより重度であることが示唆された。・一方、ベースライン時の疲労感レベルが低く抗うつ薬治療中に疲労感が軽減したMMD患者は、うつ症状寛解率が高く、機能およびQOLも良好であった。・本検討は、STAR*Dのレベル1サンプル(抗うつ薬がシタロプラムのみであった)を採用していたこと、活力/疲労感の代替指標を用いていたこと(QIDS-SR16の項目14)、副次的な事後解析デザインであることから限定的であった。関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 「笑い」でうつ病診断が可能に うつ病患者、SSRI治療開始1年以内に約半数がセカンド治療に  担当者へのご意見箱はこちら

2276.

バレニクリンにNRT併用の禁煙効果/JAMA

 禁煙治療について、ニコチンパッチ+バレニクリン(商品名:チャンピックス)の併用療法(治療期間12週間)は、バレニクリン単独よりも12週時点(治療終了時)および6ヵ月時点で禁煙率が有意に高く有効であることが示された。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のCoenraad F. N. Koegelenberg氏らが、無作為化盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。行動療法と薬物療法の組み合わせが禁煙支援に有益であることは示されている。しかし、ニコチン補充療法(NRT)とバレニクリンの組み合わせによる禁煙への寄与について、有効性および安全性は明らかではなかった。JAMA誌2014年7月9日号掲載の報告より。バレニクリン単独群と比較、主要エンドポイントは治療9~12週の連続禁煙率 試験は2011年4月~2012年10月に南アフリカ共和国の7施設で、治療期間12週間、フォローアップ12週間にて行われた。一般健常の喫煙者446例が1対1の割合で無作為化され、有効性と安全性の解析には435例が含まれた。 被験者には、目標禁煙日(TQD)の2週間前からニコチンパッチまたはプラセボの貼付を開始し、TQD後12週間継続した。バレニクリンは、TQDの1週間前より投与を開始し、TQD後12週間継続し、13週間目に漸減した。 禁煙の達成は、TQD時点とその後の24週時点までに一定間隔で測定した呼気CO濃度で評価し確認した。 主要エンドポイントは、第4週測定の呼気CO濃度(治療9~12週の禁煙率、すなわち治療介入最後の4週時点での完全な禁煙率を示す)。副次エンドポイントは、6ヵ月時点の禁煙率、9週から24週までの連続禁煙率、有害事象などであった。主要および副次エンドポイントとも、多重代入分析法(multiple imputation analysis)にて評価した。12週連続禁煙率は併用群55.4%対単独群40.9%、6ヵ月時点は65.1%対46.7% 結果、併用療法は、12週時点の連続禁煙率が有意に高率であった(55.4%対40.9%、オッズ比[OR]:1.85、95%信頼区間[CI]:1.19~2.89、p=0.007)。また、24週時点(49.0%対32.6%、OR:1.98、95%CI:1.25~3.14、p=0.004)、6ヵ月時点の完全禁煙率(65.1%対46.7%、同:2.13、1.32~3.43、p=0.002)も、有意に高率だった。 併用療法群では、悪心、睡眠障害、皮膚反応、便秘、うつ病の発生件数が多かった。ただし統計的に有意であったのは皮膚反応のみであった(14.4%対7.8%、p=0.03)。バレニクリン単独群の発生件数が多かったのは、夢見が悪い、頭痛であった。

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不眠の薬物療法を減らすには

 睡眠の質はプライマリ・ケアにおける教育的介入により改善し、ベンゾジアゼピン系睡眠薬の投薬の必要性を減らせることが示された。スペイン・Centro de Salud El LlanoのAna Gancedo-Garcia氏らが単盲検非無作為化臨床試験の結果、報告した。Atencion Primaria誌オンライン版2014年6月27日号の掲載報告。 不眠症患者に対し、薬物療法+プライマリ・ケアでの教育介入を行った場合の効果を評価する検討は、スペイン・アストゥリアス州ヒホンにある2つの都市部のプライマリ・ヘルスセンターで行われた。2012年7月~2013年1月に不眠症で受診し、包含基準を満たした患者をシステマティックに対照群と介入群に分類した。全患者は、ロラゼパム1mg(夕方服用)で治療を開始し、翌月以降に週4回15分の外来受診+1回のフォローアップ受診を受けた。介入群には4回の受診の際、刺激のコントロール、睡眠衛生、呼吸法、リラックス法に関する教育的介入が行われた。対照群には非侵襲的な測定のみが行われた。ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)で6未満を達成またはベースライン値から50%低下した患者を、治癒したとみなして評価。また、ベースライン時から最終受診時およびフォローアップ受診時までのPSQIの変化と、ロラゼパムの自発的な服薬中断についても分析した。すべての分析はベイズ推定にて行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は50例であった(介入群26例、対照群24例)。・治癒が認められたのは、介入群26例中12例(46.2%)、対照群は24例中1例(4.2%)であった。・PSQIの平均変化は、ベースライン時から最終受診時までは、介入群-4.7(95%CI:-5.9~-3.5)、対照群-1.8(同:-3~-0.5)であった。ベースライン時からフォローアップ受診時まではそれぞれ-6.3(同:-7.5~-5.1)、-1.7(同:-2.9~-0.4)であった。・ロラゼパムを中断したのは、介入群9例(34.6%)、対照群4例(16.7%)であった。・本試験を完了したのは介入群19例、対照群17例であった。per protocol解析は類似した結果が示された。関連医療ニュース 認知症の不眠にはメラトニンが有用 不眠症の人おすすめのリラクゼーション法とは 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

2278.

孤独はSSRIの効果を下げる

 米国・ノースカロライナ大学のElyse C Dankosk氏らは、マウスにストレスを与えた場合の選択的セロトニン取り込み阻害薬(SSRI)の効果への影響を検討した。その結果、社会的孤立というストレスを受けているシングルマウスは、ペアで飼育されているマウスよりもSSRIの効果が弱いことなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「うつおよび脅迫性障害の治療において、SSRIの効果は現状のストレッサーに依存することが示唆された」とまとめている。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2014年7月1日号の掲載報告。 セロトニン作動系の機能低下は、大うつ病性障害および強迫性障害としばしば関連する。これらの障害に対してはSSRIが一般に処方され、症状改善までに3~6週間の治療が必要となる。SSRIはセロトニントランスポーターを阻害することにより細胞外セロトニン濃度を増加させる。したがって、SSRIの有効性は持続的なセロトニン濃度増加に対する脳の適応反応に依存する傾向にある。SSRI治療に対する個体の反応性は、ストレスをはじめ、これら変化に影響を及ぼす因子によってさまざまである。社会的孤立は、慢性の軽度なストレスを誘発するうえで受動的かつ自然な方法であり、げっ歯類のうつモデルを作成しうる。 本研究は、1匹で飼育されているシングルマウスとペアで飼育しているマウスにおいて、SSRIのシタロプラム(国内未発売;CIT)による20日間の治療が、marble-burying behavior(敷き詰められたおがくずの上のビー玉を埋めて隠そうとする行動)、オープンフィールド行動およびセロトニンシグナルに、いかに影響を及ぼすかを比較検討した。セロトニン誘発電位の測定、放出率の比較、オーバーフロー、クリアランスの測定にin vivoボルタンメトリーを使用した。  主な結果は以下のとおり。・ペアで飼育されているマウスは、CIT治療に対し有意な反応性を示し、marble-burying が減少し、電気刺激の頻度に対応するセロトニン放出を促進した。・これらCIT治療の効果は、シングルマウスでは弱かった。・ペアで飼育されているマウスでは、CIT治療がセロトニン放出を増強させたが、再取り込み率の有意な変化はみられなかった。関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学  担当者へのご意見箱はこちら

2280.

統合失調症の再発予防、ω-3脂肪酸+α-LAは有用か

 統合失調症の抗精神病薬中止後の再発予防に、オメガ-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3 PUFAs)と代謝抗酸化物質であるα-リポ酸(α-LA)の組み合わせが有効であるというエビデンスは、示されなかったことが報告された。南アフリカ共和国・ステレンボス大学のRobin Emsley氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。検討では、服薬中止後の再発率が75~90%と高かったことから、著者は「統合失調症の単回エピソード後の抗精神病薬の中止は再発のリスクが非常に高く、同プラクティスを支持するガイドラインを改訂すべきであろう」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年7月1日号の掲載報告。 統合失調症の維持治療として抗精神病薬は有効である一方、安全性および忍容性のリスクがある。本検討では、統合失調症または統合失調症様障害の初回エピソード後2~3年間、良好にコントロールされている患者における抗精神病薬中止後の再発防止に対し、ω-3 PUFAs+α-LAが有効であるか否かを検討した。抗精神病薬を漸減および中止後、被験者をω-3 PUFAs(エイコサペンタエン酸2g/日およびドコサヘキサエン酸1g/日)+α-LA(300mg/日)群またはプラセボ群に無作為化し、2年間あるいは再発が起こるまで追跡した。 主な結果は以下のとおり。・両群とも、再発率ならびに再発エピソードの重症度が高かったため、登録は時期を早めて終了となった。被験者は33例であった。・ω-3 PUFAs+α-LA 群に無作為化された21例中19例(90%)で再発が認められ、再発せずに2年間の試験を完了できたのは1例(5%)であった(p=0.6)。・プラセボ群に無作為化された12例中9例(75%)で再発が認められ、再発せずに2年間の試験を完了できた例はなかった。・再発までの期間中央値は、ω-3 PUFAs+α-LA群が39.8±25.4週、プラセボ群が38.3±26.6週であった(p=0.9)。・再発症状の重症度に、2群間に有意差は認められなかった。・小規模試験であったが、再発予防における抗精神病薬維持治療の代替として、ω-3 PUFAs+α-LAが適切な選択肢になりうるというエビデンスは得られなかった。関連医療ニュース 統合失調症“再発”の危険因子は 統合失調症の再発、どう定義とすべきか 統合失調症患者の再発を予測することは可能か  担当者へのご意見箱はこちら

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