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うつ病と殺虫剤、その関連が明らかに

 これまで、うつ病と殺虫剤曝露が関連する可能性は指摘されていたが、うつ病エピソードの経過または殺虫剤個々についての検討はほとんど行われていなかった。米国・ノースカロライナ大学のJohn D Beard氏らは、Agricultural Health Studyに登録された殺虫剤を個人で散布した男性のデータを解析し、殺虫剤の曝露とうつ病との関連を調べた。その結果、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、7種類(リン化アルミニウム、二臭化エチレン、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸、ジエルドリン、ジアジノン、マラチオン、パラチオン)において、うつ病との明らかな関連が認められたことを報告した。Environmental Health Perspectives誌オンライン版2014年6月6日号の掲載報告。 研究グループは、Agricultural Health Studyへと1993~1997年に登録され、2005~2010年に電話インタビューによる追跡調査を完了した被験者について、10系統50種類の殺虫剤に関するデータを解析した。逆確率重み付け法により潜在的な交絡因子を補正し、多分割ロジスティック回帰により、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推算した。解析には、Agricultural Health Study参加者のうち、共変数データ不明の3,315例、電話インタビューにより追跡を完了しなかった2万4,619例を除外した2万1,208例が含まれた。 主な結果は以下のとおり。・被験者2万1,208例のうち、1,702例(8%)が、医師によりうつ病と診断されていた。・それらのうち、登録時にうつ病と診断されたが追跡時にうつ病を認めなかった者は474例(28%)、登録時と追跡時の両方でうつ病と診断された者540例(32%)、登録時にうつ病と診断されておらず追跡時にうつ病と診断された者は688例(40%)であった。・上記3群について、2系統(燻蒸剤・有機塩素系)、以下7種類の殺虫剤について解析した結果、各ケース群のORは1.1~1.9と、すべてうつと明確な関連が認められた。 …リン化アルミニウムおよび二臭化エチレン …フェノキシ系除草剤(2,4,5-トリクロロフェノキシ)酢酸 (2,4,5-T) …有機塩素系殺虫剤ジエルドリン …有機リン系殺虫剤ジアジノン、マラチオン、パラチオン関連医療ニュース 殺虫剤でアルツハイマー病リスクが増加 河川や水道水で抗うつ薬検出:東ヨーロッパ ゲームのやり過ぎは「うつ病」発症の原因か?!  担当者へのご意見箱はこちら

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日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学

 抗うつ療法(ADT)を施行した日本人の大うつ病性障害(MDD)患者におけるアリピプラゾール補助療法を検討した無作為化プラセボ対照試験であるADMIRE研究において、アリピプラゾール補助療法はADT単独よりも優れ、忍容性も良好であったことが報告されている。名古屋大学の尾崎 紀夫氏らは、人口統計学的因子および疾患関連因子の影響、また各症状の改善とMDD全体の改善との関連についてサブ解析を実施した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年6月26日号の報告。  ADMIRE研究のデータを分析した。サブグループ解析は、一次評価項目である最終時点のMADRS合計スコアの平均変化量を用い実施した。主な結果は以下のとおり。・MADRS合計スコアの変化は、各サブグループにおいて、アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し一貫して大きかった。・有効性に以下の項目は関連していなかった[性別、年齢、現エピソードに対する十分なADT施行数、MDD診断、うつ病エピソード数、現エピソードの期間、うつ病発症年齢、うつ病罹病期間、抗うつ薬(SSRI/SNRI)の種類および治療終了時点での重症度]。・アリピプラゾール群ではプラセボ群と比較し、MADRAS10項目のうち悲しみ(sadness)を含めた7項目に対し、有意かつ迅速な改善を示した。 著者らは、これらの結果から「SSRI/SNRIで効果不十分な日本人MDD患者に対し、アリピプラゾール補助療法は有効であり、うつ病の主症状に対し大幅かつ急速な効果が期待できることが示唆された」としている。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか  担当者へのご意見箱はこちら

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抗精神病薬の多剤大量処方からの安全で現実的な減量法~日本精神神経学会学術総会より

 現在、わが国では抗精神病薬の多剤大量処方を是正する動きがある。今年4月の診療報酬改定においては、非定型精神病薬加算が見直され、3種類以上の処方で10点の加算が削除、2種類以下の15点加算のみになった。しかし、すでに多剤大量処方されている場合には処方薬の種類を減らすことは簡単ではない。このようななか、第110回日本精神神経学会学術総会(2014年6月26~28日)にて、国立精神・神経医療研究センターの山之内 芳雄氏が「抗精神病薬多剤大量処方からの安全で現実的な減量法」と題して講演し、SCAP法(Safety Correction of Antipsychotics Poly-pharmacy and hi-dose)による減量試験の結果を紹介した。 SCAP法とは、3~6ヵ月かけて、1種類ずつ、ごく少量ずつ、減量を休むことも戻すことも可能という、非常にゆっくり減量する方法である。3剤以上の処方薬剤からの減量を検討したいくつかの研究において、成功例の減量速度がクロルプロマジン(CP)換算で約40mg/週、悪化例は約100mg/週であったことから、SCAP法では減量速度を高力価薬でCP換算50mg/週以内、低力価薬で同25mg/週以内として臨床研究を行った(厚生労働科学研究「抗精神病薬の多剤大量処方の安全で効果的な是正に関する臨床研究」、代表:藤田保健衛生大学教授 岩田 仲生氏)。 本研究では、2剤以上の抗精神病薬(CP換算500~1,500mg/日)が処方されていた入院・外来の統合失調症患者(55施設、163例)を、減量群101例と対照(経過観察)群62例に単純ランダム化で割り付けた。減量群では、3~6ヵ月で1種類ずつ上記の減量速度で順番に減らし、それぞれマンチェスタースケール(慢性精神病尺度)、DIEPSS(薬原性錐体外路症状評価尺度)、EuroQOL(QOL尺度)などの変化を検討した。 その結果、症状、副作用、QOLのいずれも両群で差はなく、SCAP法を用いることにより、減量してもしなくても変わらないという結果が得られた。試験に参加した主治医に対するアンケートでは、開始前に減量への不安があった医師は、「症例によりあり」を含めて約7割に上っていたが、減量後は63%が「大丈夫だった」と回答している。また、「多剤大量の是正は必要か」との質問には、91%が「はい」と回答していた。 本研究では減量群101例中脱落例が24例と多いが、この理由について山之内氏は、24例のうち17例が減らし過ぎによる脱落であり、それほどゆっくりした減量ペースのプロトコールであると説明した。本研究での減量ペースはCP換算平均9mg/週で、処方にあたりいくつかの薬剤で粉砕が必要とのことである。どの薬剤から減らすかについては医師の判断によるが、山之内氏は「力価が低いものから減量する」「主剤を選び、それを残す」とアドバイスしている。 なお、国立精神・神経医療センター精神保健研究所のホームページには、精神科医療関係者向けの「SCAP法による抗精神病薬減量支援シート」のページがあり、SCAP法の説明や使い方の閲覧、処方計画シートのダウンロードが可能である。

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統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は

 カナダ・Institut Universitaire en Sante Mentale de MontrealのStephane Potvin氏らは、統合失調症にみられる認知機能低下に関わる因子について検討を行った。その結果、陰性症状および年齢や性別などの社会人口統計学的特徴が認知パフォーマンスと関連していること、抗精神病薬に誘発されるパーキンソニズムが作業記憶に関連していることを報告した。European Archives of Psychiatry and Clinical Neuroscience誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。 統合失調症における著しい認知機能低下、およびそれが患者の社会的・職業的機能に及ぼす影響、そして抗精神病薬に誘発される錐体外路症状が統合失調症の認知機能に及ぼす影響については十分に理解されていない。本研究では、統合失調症患者の認知能力を予測する臨床的、社会人口統計学的および神経学的因子を特定するため、検討を行った。統合失調症スペクトラム(DSM-IV分類)の外来患者82例を登録し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、統合失調症に関するカルガリーうつ病尺度(CDSS)により精神症状を評価した。また、錐体外路症状評価尺度(ESRS)により錐体外路症状を、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)により空間作業記憶、プランニング能力、視覚的対連合学習を評価し、ストループ検査も実施。多変量階層線形回帰解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症の陰性症状は、認知的柔軟性、プランニング、視覚的学習および作業記憶と関連していた。・年齢、性別、入院回数および抗精神病薬の種類も有意な予測因子であった。・さらに、抗精神病薬に誘発されるパーキンソニズムと作業記憶が有意に関連していた。・統合失調症の陰性症状と社会人口統計学的特徴が認知パフォーマンスを予測するという事実は、過去の文献と一致していた。・結果を踏まえて著者は「作業記憶障害は統合失調症の中間表現型と考えられており、患者の社会的および職業的機能を損なうことが知られているため、パーキンソニズムと作業記憶との関連は臨床的意義のある知見と思われる」とまとめている。・また今回の結果については「より大規模な患者集団を用いた長期研究により、追試する必要がある」と指摘している。関連医療ニュース 統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か 統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

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GABAA受容体修正にアリール・ピラゾール誘導体

 イタリア・チッタデッラ大学のMaria Paola Mascia氏らは、異なる分子構造(柔軟vs.制約的)で特徴づけられ、リモナバントやAM251と化学的結びつきのある複数のアリール・ピラゾール誘導体について、GABAA受容体機能の修正能力を調べた。結果、その構造特性により、GABAA受容体で異なる活性を示すことが明らかにされた。2014年6月15日号(オンライン版2014年4月1日号)の掲載報告。 研究グループはアフリカツメガエルの卵母細胞を用いて、複数のアリール・ピラゾール誘導体の組換え型α1β2γ2LGABAA受容体機能を修正する能力を調べた。2電極電圧クランプ法を用いて、6Bio-R、14Bio-R、NESS 0327、GP1aとGP2a(0.3~30μM)の影響について評価が行われた。 主な結果は以下のとおり。・6Bio-R、14Bio-Rは、GABA誘発Cl-電流を強化した。・NESS 0327、GP1aとGP2aは、GABAA受容体機能に影響を及ぼさなかったが、6Bio-Rに対して拮抗作用を有した。さらにNESS 0327は、リモナバントによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を阻害した。・ベンゾジアゼピン結合部は、これら合成物の活性に関与するように思われた。・たとえば、フルマゼニルは6Bio-Rによって引き起こされるGABAA受容体機能の強化を拮抗させた。NESS 0327はロラゼパム、ゾルピデムの活性を低下させたが、その一方で、“典型的”なGABA作動性修飾物質(プロパノール、麻酔薬、バルビツール、ステロイド)の活性を拮抗させなかった。・α1β2受容体において6Bio-RはGABA作動性機能を強化したが、フルマゼニルは、6Bio-Rにより引き起こされる活性を拮抗することが可能であった。・GABAA受容体でのアリール・ピラゾール誘導体の活性は、それらの分子構造に依存する。これらの合成物は、αβγ結合部位、γサブユニットを伴わないα/β部位の両部位に結合しており、抗けいれん効果を有する可能性がある薬剤構造の提供につながる可能性がある。関連医療ニュース 統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学 統合失調症、双極性障害で新たに注目される「アデノシン作用」  担当者へのご意見箱はこちら

2268.

統合失調症患者は、なぜ過度に喫煙するのか

 統合失調症患者にみられる過度な喫煙行動について、米国・ミシガン大学のMika Hirasawa-Fujita氏らによる検討の結果、ミューオピオイド受容体(mu opioid receptor)機能欠損の一塩基遺伝子多型(SNP)が、統合失調症患者における喫煙を増加していることを明らかにした。また同女性患者では、ドパミンD2受容体の変異も喫煙行動の増大に関与していた。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2014年6月20日号の掲載報告。 精神に障害がある人では過度な喫煙がみられるが、その理由については明らかではない。研究グループは、内因性オピオイドやドパミンの作用機序が喫煙行動の強化に関与しているとして、ミューオピオイド受容体(OPRM1)A118G(rs1799971)遺伝子型、ドパミンD2受容体(DRD2)Taq1A(rs1800497)遺伝子型、および性差について検討した。喫煙者および非喫煙者の統合失調症および双極性障害患者を募り、遺伝子型分析を行った。被験者を3群に分類(現在喫煙、過去に喫煙歴あり、喫煙歴なし)し、1日当たりの喫煙本数を主要喫煙パラメーターとして評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者は統合失調症177例、双極性障害113例であった。・統合失調症患者では、喫煙率は、予想どおり女性よりも男性で高かったが、1日の喫煙量は女性のほうが多かった(p<0.01)。・統合失調症でOPRM1 *G遺伝子型の患者は、AAアレル遺伝子キャリアの患者よりも、1日当たりの喫煙量が多かった(p<0.05)。・DRD2 Taq1A遺伝子型についての差は、1日当たりの喫煙本数に影響していなかった。しかし、GGホモ接合DRD2受容体を有している統合失調症の女性では、*A男性喫煙者よりも、喫煙量が多かった(p<0.05)。・双極性障害患者では、喫煙状態についてOPRM1、DRD2 Taq1A遺伝子型の差はみられなかった。・また双極性障害患者では、性差による喫煙行動の違いもみられなかった。・本検討により、統合失調症患者における喫煙行動の増大に、ミューオピオイド受容体機能欠損のSNPが関与していることが示唆された。・また、DRD2受容体機能の変異も、女性の統合失調症患者において喫煙行動を増大していることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 統合失調症患者における「禁煙」は治療に影響を与えるか うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は  担当者へのご意見箱はこちら

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入院から地域へ、精神疾患患者の自殺は増加するのか

 英国では、精神科病棟への入院の代替として、危機解決在宅医療チームによる地域ケアの利用がますます増えている。しかし、これらのチームによるケアが自殺率にどのような影響を及ぼすかについて、系統的な分析は行われていない。英国・マンチェスター大学のIsabelle M Hunt氏らは、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者および精神科入院患者について、自殺率ならびに自殺者数の比較検討を行った。また、家庭または病院で自殺し、死亡した患者の臨床的特徴を評価した。Lancet Psychiatry誌オンライン版2014年6月18日号の報告。 2003年~2011年の国民保健サービス(NHS)データを基に、危機解決在宅医療チームによる治療を受けた患者または精神科入院患者のうち、自殺により死亡した18歳以上の患者を対象に後ろ向きに縦断的解析を行った。 主な結果は以下のとおり。・1,256例(全自殺患者の12%)は、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた(年間平均140例)。・分母が異なるためグループ間での直接比較は困難であるが、危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者(1万エピソードあたり:14.6例)は、精神科入院患者(同: 8.8例)よりも平均自殺率が高い傾向にあった。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者における年間平均自殺者数は、80例(2003、2004年)から163例(2010、2011年)へと増加しており、調査期間の後半数年間では、精神科入院患者の2倍程度となっていた。・しかし、危機解決在宅医療チームによるケアを受ける患者は増加しており、調査の前半と後半の2年間を比較すると自殺率自体は平均18%減少していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた自殺患者のうち548例(44%)は一人暮らしであった。また、594例(49%)は、最近不幸なライフイベントを経験していた。・危機解決在宅医療チームによるケアを受けていた患者の3分の1(428例)では、精神科病棟から退院後3ヵ月以内に自殺が起きていた。関連医療ニュース 日本人統合失調症患者の自殺、そのリスク因子は:札幌医大 日本人統合失調症患者における自殺企図の特徴は?:岩手医科大学 厚労省も新制度義務化:精神疾患患者の「社会復帰」へ  担当者へのご意見箱はこちら

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うつ病診療:混乱から地域連携へ 第110回日本精神神経学会学術総会

 第110回日本精神神経学会学術総会(会長:北里大学精神科学 宮岡 等氏)が、2014年6月26日(木)より、神奈川県横浜市にて開催された。会長の宮岡氏は、冒頭の会長講演「うつ病診療:混乱から地域連携へ」で、うつ病診療の現状の課題について同大学の取り組みも併せて紹介した。精神科医療にとって地域連携は今まで以上に重要になるようである。 同氏が北里大学に着任した当時の状況は、混乱と呼ぶにふさわしいものであったという。同大学のある相模原市は、精神科の大病院はもとより総合病院の精神科もなく、北里大学精神科が唯一の精神科大型入院施設という医療状況だった。こうした地域において、精神科クリニックは予約診療が主体であり、プライマリ・ケアクリニックで精神科医療を受けるべき患者がいても、十分に紹介できない。おのずと患者は同大学の精神科に紹介されることになる。その結果、大学の精神科で診るべき患者が診られない。さらに、回復した患者を地域に帰そうとしてもフォローアップする受け皿がない、という悪循環に陥っていたという。 そのような中、北里大学精神科では、「県北うつ病地域ネットワーク」を立ち上げた。地域での参加医師を集め、定期的な勉強会で診断や治療について検討し、また、患者さんの相互紹介の円滑化を図っている。この活動を通し、組織が整うのを待つのではなく、連携できる医師から活動を始めること、グループ内でコンセンサスを求め不適切な治療を減らしていくことが重要であるということが明らかになったそうだ。 宮岡氏は、今後解決すべき精神科診療の課題として、「医療機関の連携」、「精神医療の質の向上と均てん化」、「精神科救急」、「身体合併症医療」の4点を挙げている。とくに医療機関の連携については、「地域連携パスを早期に作成し、医療者が相互に担い合うことで、うつ病医療を推進していく必要がある」と述べた。

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抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学

 これまでに、統合失調症患者において長期の抗精神病薬服用により骨粗鬆症/骨減少症の高リスクが引き起こされる可能性を示唆するエビデンスが蓄積されてきた。しかし、抗精神病薬服用がどの程度、骨密度(BMD)低下を引き起こすのかについては明らかになっていなかった。千葉大学の沖田 恭治氏らは、統合失調症患者における第二世代抗精神病薬と骨代謝との関連について検討した。その結果、統合失調症患者のBMD低下について複雑な原因を示唆する知見が得られたことを報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告。 研究グループは、精神疾患患者を対象として、骨状態の進行を正確に予測できる骨代謝マーカーを用いて試験を行った。被験者(統合失調症患者167例、健常対照60例)のプロラクチン、エストラジオール、テストステロン、骨吸収マーカー(TRACP-5b)を測定し評価した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症患者は健常対照と比較して、プロラクチン値が有意に高値であり、TRACP-5b値は有意に低値であった。・さらに、すべての男性被験者群および男性患者において、プロラクチンとエストラジオールおよびテストステロンとの間に、負の関連性が認められた。・TRACP-5bは、女性患者ではプロラクチンと正の関連性が、すべての女性被験者群ではエストラジオールと負の関連性が認められた。・骨吸収率は、健常対照と比べて患者のほうでかなり低かったことが示され、統合失調症患者におけるBMD低下の原因は複雑であることが示唆された。・本研究によりキーとなる因子間でいくつかの意味がある関連が確認された。すなわち高プロラクチン血症が性ホルモンの抑制を誘発し、高骨代謝に結びついている可能性が示された。・これらの結果を踏まえて著者は、「骨吸収マーカーであるTRACP-5b測定が、BMD低下の病理を明らかにするのに役立つ可能性があることが示唆された」とまとめている。関連医療ニュース 統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当? 抗てんかん薬の長期服用者、80%が骨ミネラル障害 抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は  担当者へのご意見箱はこちら

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治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性:島根大学

 統合失調症患者のうち抗精神病薬が無効の治療抵抗性患者は20~25%を占めると推定されている。漢方薬の抑肝散は、D2および5-HT1Aの部分的作用、5-HT2Aとグルタミン酸の拮抗作用を有しており、最近行われた試験において、認知症やその他の神経精神症状と関連した行動および精神症状の治療において、安全かつ有用であることが示されていた。今回、島根大学の宮岡 剛氏らによる多施設共同二重盲検プラセボ対照の無作為化試験の結果、治療抵抗性統合失調症に対する漢方薬「抑肝散」の有用性が実証された。結果を踏まえて著者は、「抑肝散は、治療抵抗性統合失調症の補助的治療戦略となりうることが示された。とくに、興奮や敵愾心の症状改善に有用と思われる」とまとめている。Psychopharmacology誌オンライン版2014年6月13日号の掲載報告。治療抵抗性統合失調症に漢方薬の抑肝散の有効性と安全性 研究グループは、漢方薬である抑肝散の治療抵抗性統合失調症患者に対する有効性と安全性を評価した。試験は2010年5月~2012年8月に行われ、日本国内34の精神科病院から抗精神病薬治療を受けている入院患者120例が試験に参加した。追跡期間は4週間で、精神病理について陽性・陰性症状尺度(PANSS)を用いて、5つの症状(興奮/敵愾心、抑うつ/不安、認知、陽性症状、陰性症状)について評価した。そのほか、Clinical Global Impression-Severity(CGI-S)、Global Assessment Functioning(GAF)、Drug-Induced Extrapyramidal Symptoms Scale(DIEPSS)を用いた評価も行った。主要有効性アウトカムは、PANSS評価の5つの症状スコアの変化で、副次アウトカムは、CGI-Sスコアの変化であった。 抑肝散の治療抵抗性統合失調症患者に対する有効性と安全性の主な結果は以下のとおり。・治療抵抗性統合失調症患者において、抑肝散は、PANSS評価の5つすべての症状スコアの低下においてプラセボに対する優越性を示した。・抑肝散群とプラセボ群の差は、総合スコア、抑うつ/不安、認知、陽性症状、陰性症状については、統計的に有意ではなかった。・しかし、興奮/敵愾心については、抑肝散群において有意な改善がみられた(p<0.05)。・抑肝散の副作用については、ほとんど認められなかった。関連医療ニュース 高齢の遅発統合失調症患者に対する漢方薬の効果は 治療抵抗性統合失調症女性、エストラジオールで症状改善 治療抵抗性統合失調症へのクロザピン投与「3つのポイント」

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メタ解析の前に各治験報告内の整合性チェックを/BMJ

 メタ解析は、臨床試験報告を信頼性が高い情報源として活用している。デンマークのノルディックコクラン・センターのEmma Maund氏らは、デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の大うつ病性障害治療に関する研究報告を題材に、試験プロトコルと臨床試験報告、および入手できた主要刊行ソース(ジャーナル文献、試験レジストリ)との間において、または臨床試験報告内で、有益性と重大有害性に関して矛盾が認められるかを調べた。その結果、臨床試験報告内で有害性データについて、要約と図表との間に矛盾がありうることを報告した。著者は、「システマティックレビューの著者は、可能な限り臨床試験報告での正確さ、整合性のチェックをすべきである」と指摘している。BMJ誌オンライン版2014年6月4日号掲載の報告より。主要有効性、重大有害性について矛盾はないかを検討 研究グループは、「無作為化試験のメタ解析は、公表論文に基づき行われるが、概して有益性については過大評価し、有害性については過小評価されている」として本検討を行った。無作為化試験は、試験デザイン、試験要項および結果について詳細に報告したもので、当局に対してマーケティングへの適用許可のために提出される。 本検討では、デュロキセチン研究報告から、主要有効性解析および重大有害性のデータを抽出し比較した。具体的には、欧州医薬品庁(EMA)に大うつ病性障害の販売承認のために提出された9件の無作為化プラセボ対照試験(被験者2,878例)で、2011年5月時点でEMAから、プロトコルを含む臨床試験報告総計1万3,729ページ分を入手した。また、文献データベースおよびメーカーのイーライリリー社と連絡を取りジャーナル論文を特定し、さらにClinicaltrials.govと手動オンライン臨床試験レジストリによる試験結果の検索も行った。ジャーナル論文、レジストリ報告に載っていないデータがある 臨床試験報告では、主要有効性解析および重大有害性(死亡[自殺を含む]、自殺企図、重篤な有害事象、有害事象のために投与を中断)が、詳述されていた。 主要有効性解析については、プロトコル、試験報告、1試験内での報告において、軽度だが試験集団に関し矛盾がみられた。 また、7件の重篤な有害事象と8件の有害事象について、報告内の情報に矛盾があった。それらは投与の中断に結びついていたが顕性バイアスではなかった。 各試験において、無作為化相で中央値406例(範囲:177~645例)と166例(同:100~241例)の治療例に、有害事象(試験薬投与後に発現または増悪した有害事象)が認められていたが、ジャーナル論文、リリー社メーカーのレジストリ報告では、いずれも報告されていなかった。 そのほかに、薬効に関する刊行バイアスがみつかった。 これらの結果を踏まえて著者は、「臨床試験報告には、重大有害性に関する広範なデータが含まれているが、それらはジャーナル論文や試験レジストリ報告では入手できなかった」と述べ、「プロトコルと臨床試験報告、臨床試験報告内でも矛盾はあった。医薬品のシステマティックレビューは臨床試験報告をデータソースとして用いるべきだが、まず初めに、プロトコルとの対比および試験報告内での正確さ、整合性のチェックをすべきである」とまとめている。

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日本人の気質は精神状態にどう影響するのか:順天堂大学

 状態ではなく気質を同定するよう設計されているTEMPS-A 気質評価質問紙(Temperament Evaluation of Memphis, Pisa, Paris and San Diego-auto questionnaire)について、これまでに、非臨床集団では精神状態が影響を及ぼす可能性が示唆されていた。順天堂大学の馬場 元氏らはTEMPS-Aの完全バージョンとさまざまな抑うつ尺度、あるいは躁病評価尺度との関連性を調べた。Journal of Affective Disorders誌2014年6月号の掲載報告。 検討は、ベックうつ病評価尺度(BDI)、自己記入式簡易抑うつ症状尺度・日本語版(QIDS-SR-J)、患者健康質問票-9(PHQ-9)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)などの精神評価スコアと気質スコアとの関連を調べるため、314人の医学生および職員を対象に行われた。 主な結果は以下のとおり。・抑うつ状態スコアは、TEMPS-Aの抑うつ気質、不安気質、憂鬱と陽気さを繰り返す循環気質、焦燥気質スコアと、有意に明らかに関連していた。・一方で、閾値下の低躁状態スコアは、TEMPS-Aの焦燥気質と有意に明らかに関連していた。・抑うつ状態あるいは閾値下の低躁状態スコアと発揚気質スコアとの間に関連はみられなかった。・本検討は次の点で限定的なものであった。すなわち、断面的な研究であったこと、抑うつ/低躁状態スコアが気質スコアに影響を及ぼすのか、またはその逆で、気質スコアが抑うつ/低躁状態スコアに影響しているのかは判明しなかったこと。さらに、サンプルが必ずしも代表的集団ではなかったこと、日本人における所見が日本以外でも適用可能であるとのエビデンスはない点である。 以上を踏まえて、著者は「非臨床集団であってもTEMPS-Aの気質スコアへの精神状態の影響を検討することは意義深いことである」とまとめている。関連医療ニュース 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 出産後のうつ病リスクは「10~15%」新スクリーニングツール期待 たった2つの質問で認知症ルールアウトが可能  担当者へのご意見箱はこちら

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遅発性ジスキネジアへの対処に新たな知見

 遅発性ジスキネジア(TD)は遅延的かつ潜在的に不可逆的な運動合併症であり、抗精神病薬やメトクロプラミドなどの中枢ドパミンD2受容体拮抗薬を慢性的に投与された患者において発現することがある。TDにおける古典的なドパミンD2受容体過敏仮説は、げっ歯類の研究に端を発しており、ヒトにおける証明は不十分なままである。カナダ・モントリオール大学のSouha Mahmoudi氏らは、TDの神経科学的基礎調査を行うため、霊長類を用いた研究を行った。 Movement disorders誌オンライン版2014年5月16日号の報告。 オマキザルにハロペリドール(中央値:18.5ヵ月、n=11)またはクロザピン(同6ヵ月、n=6)を慢性的に投与した。また、非薬物治療群(n=6)を対照として用いた。線条体ドパミンD1、D2、D3受容体レベルの測定には受容体オートラジオグラフィーを用いた。また、線条体におけるD3受容体/プレプロタキキニンmRNAの共発現およびプレプロエンケファリンmRNAレベルの定量化を調べた。 主な結果は以下のとおり。・ハロペリドール群では5例で軽度のTDが認められた。・クロザピン群ではTDは認められなかった。・クロザピン群と異なり、ハロペリドール群では、前方尾状核被殻内のドパミンD3受容体を強く誘導した。とくに、TDを発現した群においては、結合レベルとTDの強度に正の相関が認められた。・D3受容体のアップレギュレーションは、黒質線条体系の神経細胞で観察された。・一方、D2受容体結合は対照群と同等であり、D1受容体結合は、前方被殻で減少した。・エンケファリンmRNAはどの群においても増加していたが、TDが発現していない群ではより広い範囲で増加していた。 以上の結果より、著者らは「霊長類において線条体D3受容体のアップレギュレーションとTDの相関が初めて示され、ドパミン受容体過敏仮説に新たな洞察が加わると考えられる。このことから、D3受容体は、TDの薬物介入における新規標的となりうることが示唆された」としている。関連医療ニュース 遅発性ジスキネジアが発現するD2受容体占有率は:慶應義塾大学 PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学

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非定型うつ病は肥満になりやすい~前向きコホート研究

 うつ病と肥満の関連性はたびたび報告されているが、そのメカニズムや経時的な順序はよくわかっていない。スイス・ローザンヌ大学病院のAurelie M Lasserre氏らは、肥満の発症とBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化を調査し、うつ病におけるサブタイプ(メランコリー型、非定型、混合型、特定不能)が肥満発症の予測因子となるかどうかを検討した。その結果、非定型うつ病が肥満の強力な予測因子であることが示された。JAMA psychiatry誌オンライン版2014年6月4日号に掲載。 本研究は人口ベースの前向きコホート研究(CoLaus/PsyCoLaus)で、スイス・ローザンヌ市の住民から無作為に選ばれ、開始時の身体的・精神医学的評価と追跡時の身体的評価を受諾した参加者3,054人を5.5年間追跡した。参加者は2003年時点で35~66歳(平均49.7歳)で、女性の割合は53.1%であった。 本研究では、遺伝研究のための半構造化診断面接を用いて、開始時および追跡時の診断(DSM-IVによるうつ病のサブタイプ)を行い、社会人口学的特性、ライフスタイル(飲酒、喫煙、運動)、薬物療法についても聴取した。また、追跡期間中のBMI・ウエスト周囲径・体脂肪量の変化(開始時の値に対する変化率)や、開始時に肥満ではなかった参加者の追跡期間中の肥満発症率を検討した。体重・身長・ウエスト周囲径・体脂肪量(生体インピーダンス法)は開始時に測定され、訓練されたインタビュアーがフォローアップした。 主な結果は以下のとおり。・開始時に非定型うつ病であった参加者においてのみ、うつ病ではなかった参加者に比べて、追跡期間中に肥満が増加した。・非定型うつ病との関連性は、広範囲の潜在的交絡因子の調整後においても、BMI(β=3.19、95%CI:1.50~4.88)、肥満発症率(オッズ比3.75、95%CI:1.24~11.35)、ウエスト周囲径(β=2.44、95%CI:0.21~4.66)において男女とも有意であり、体脂肪量(β= 16.36、95%CI:4.81~27.92)においては男性で有意であった。 これらの結果から、著者らは「非定型うつ病は肥満の強力な予測因子である」と結論し、臨床および研究で本タイプを同定する必要性を強調している。また、「非定型の特徴を持つうつ病症状がみられるときは、食欲増進への影響が少ない治療方法が提唱される」としている。

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鎮痛薬+不眠症治療薬の併用、鎮痛薬単独より腰痛+不眠を改善

 米国・デューク大学医療センターのHarold W. Goforth氏らによる、不眠症治療の有効性を検証する二重盲検プラセボ対照並行群間試験の結果、標準的な鎮痛薬と不眠症治療薬の併用は、慢性腰痛患者の疼痛、睡眠、抑うつ症状を有意に改善することが明らかにされた。不眠症は、慢性腰痛患者によくみられる症状だが、これまで長い間、特別治療する必要はないとみなされてきた。しかし最近の研究で疼痛治療に不眠症治療を加えることにより予後が改善することが示唆されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「慢性腰痛患者の日常診療においては、睡眠と疼痛いずれもの治療が重要であることを意味している」と述べるとともに、さらに「睡眠障害の改善が疼痛を改善するというエビデンスが得られた」とまとめている。Sleep誌2014年6月1日号の掲載報告。 試験は、不眠症の診断基準を満たし3ヵ月以上腰痛が続いている慢性腰痛患者52例(平均年齢42.5歳、女性63%)を対象に行われた。 被験者を、エスゾピクロン(ESZ)3mg+ナプロキセン500mg1日2回投与群(ESZ群)とプラセボ+ナプロキセン500mg1日2回投与群(プラセボ群)に無作為に割り付け、1ヵ月間投与した。 主な結果は以下のとおり。・ESZ群はプラセボ群に比べ、主要評価項目とした総睡眠時間が有意に改善した(平均増加時間:ESZ群95分、プラセボ群9分)。・疼痛強度(視覚アナログスケール/ 平均減少量:ESZ群17mm、 プラセボ群2mm)、ならびに抑うつ症状(ハミルトンうつ病評価尺度/ 平均改善度:ESZ群3.8点、プラセボ群0.4点)も、プラセボ群に比べESZ群で有意に改善した。・疼痛強度の変化は、睡眠の変化と有意に相関していることが認められた。

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他の精神科医は薬剤の選択基準をどこに置いているのか

 統合失調症患者に対する抗精神病薬治療のベネフィット・リスク評価にあたり、精神科医はどのように判断を定量化しているのだろうか。また、患者のアドヒアランスはこの判断にどのような影響を及ぼしているのか。米国のMichael A Markowitz氏らが、その答えを明らかにすべく検討を行った結果、精神科医は当然ながら治療法選択にあたって陽性症状の改善を最も重視しており、アドヒアランス低下時には剤形の選択がより重要となることが示された。Psychiatric services誌オンライン版2014年5月15日号の掲載報告。 精神科医にとっての統合失調症治療におけるリスクとベネフィット、代替薬処方に関する相対的重要性について、離散選択モデルを用いたWeb調査により評価した。米国と英国の精神科医は、剤形ごとにさまざまなレベルの改善(陽性症状、陰性症状、社会的機能、体重増加、錐体外路症状、高プロラクチン血症、高血糖)によって特徴づけられる選択肢より回答した。回答者の判断には、過去の患者アドヒアランスの影響を評価に含んだ。ランダムパラメータロジットおよび二変量プロビットモデルにより推定を行った。 主な結果は以下のとおり。・394名の精神科医から回答が集まった。・陽性症状が「改善なし」から「大いに改善」となるシナリオが最も好ましいという結果が得られ、相対的重要度スコアは10と割り当てられた。・その他、重要度の高い順に見ると、陰性症状[改善なし→大いに改善(相対的重要度5.2、95%CI:4.2~6.2)]、社会的機能["severe problems"→"mild problems"(4.6、CI:3.8~5.4)] 、高血糖なし(1.9、CI:1.5~2.4)、15%超の体重増加なし(1.5、CI:0.9~2.0)、高プロラクチン血症なし(1.3、CI:0.8~1.6)、錐体外路症状なし(1.1.CI:0.7~1.5)であった。・剤形については、若干の有効性の変化よりも、アドヒアランス低下例に重要であり、注射剤は毎日の経口剤より好まれた(p<0.05)。関連医療ニュース 抗精神病薬の用量決定時、精神科医が望むことは 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の認知機能改善に抗認知症薬は有用か

 ガランタミンとメマンチンの組み合わせ治療は、統合失調症の認知機能改善に有効であることが米国・メリーランド大学のMaju Mathew Koola氏らによる検討プロジェクトの結果、示された。両薬の組み合わせが、いずれか一方の単独療法よりも認知機能を選択的に増強するためだという。今回の結果を踏まえて著者は、「将来的には、統合失調のような複雑な疾患の治療では、マルチターゲットの誘発リガンドが役に立つであろう」とまとめている。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月27日号の掲載報告。 プロジェクトは、統合失調症における認知機能改善のための調査と治療の研究(MATRICS)および神経認知と統合失調症研究のための治療ユニットプロジェクトで、統合失調症患者の認知機能改善を治療する新薬開発を促すようデザインされたものであった。 主な知見は以下のとおり。・MATRICSプロジェクトでは、ドーパミン作動性、コリン作動性、グルタミン酸作動性の3つの作用機序を有する薬剤を特定した。・統合失調症を有する人では中程度の認知障害がみられ、それが最も有力な長期アウトカムの予測因子であった。・しかし、現状ではこれら認知障害を有する患者に対する承認薬はなく、疾患関連の障害を改善するため新たな薬理学的アプローチの開発は重大である。・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)とメマンチンの併用療法は、アルツハイマー型認知症の認知機能改善に、各単独療法よりも有効である。・ガランタミンは、単なるAChEIではなく、α4β2とα7のニコチン受容体の陽性アロステリックモジュレータでもある。・N-メチル-D-アスパラギン酸塩(NMDA)受容体は、統合失調症の認知症状の病態生理に関連しており、それゆえにメマンチンは認知機能にプラスの影響をもたらす可能性がある。・メマンチンは、tonic NMDA currentを減弱し、ガランタミンはシナプス後部のNMDA currentによる活性を増強すると思われる。このことがシグナル転写の増大に結びつき、両薬の併用時にはメマンチン単独よりも、より大きなシグナルノイズ比が発生する。・ガランタミンは、α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazol-propionate(AMPA)シグナルを改善することで神経保護を可能としており、また記憶コーディングを改善している可能性がある。・以上から、ガランタミンとメマンチンの併用は、いずれか単独よりも選択的に認知機能を増強し、統合失調症における特異的な効果を発揮する可能性が示唆された。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か 抗認知症薬の神経新生促進メカニズムに迫る:大阪大学  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子を示唆:名古屋大学

 名古屋大学のChenyao Wang氏らは、神経新生などに重要な役割を担っているF-box protein 45(FBXO45)について、統合失調症の病因としての可能性を探るため、統合失調症患者を対象にFBXO45エクソン領域の変異スクリーニングを行った。その結果、新規のまれなミスセンス変異としてR108Cを同定し、FBXO45が統合失調症の病因に関連する新たな候補遺伝子となる可能性を示唆した。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年5月27日号の掲載報告。 ユビキチンリガーゼ群のFBXO45は、神経新生、神経細胞遊走およびシナプス伝達に重要である。まれな構造上の変異に関する研究で示されているように、FBXO45は統合失調症の有意なリスクとなる3q29微小欠失領域に存在する。このことから研究グループは、FBXO45を統合失調症の病因候補として有望視できると仮定した。本研究では、統合失調症感受性に寄与する可能性のある、FBXO45におけるまれだが有害な一塩基置換変異(SNVs)および小規模な挿入および欠失(INDELs)について検討を行った。 統合失調症患者337例を対象に、FBXO45エクソン領域の変異スクリーニングをサンガーシーケンシング法により行った。統合失調症患者601例と対照916例の独立したサンプル、変異の臨床結果への影響を評価した症例報告、発端者家族における変異の遺伝を検討した家系研究、変異がタンパク質構造および機能に及ぼす影響を評価するバイオインフォマティクス解析、FBXO45発現に影響を及ぼす変異転写を検討するmRNA発現解析などにおいて、新規のミスセンスまたはノンセンス変異を遺伝子関連解析によりフォローアップした。 主な結果は以下のとおり。・1例の統合失調症患者と彼の健常な母親において、ヘテロ接合性の新規のまれなミスセンス変異(R108C)を同定した。なお、同患者は20歳時に妄想型統合失調症と診断され、3q29欠失表現型を呈し、発病前にIQ低下を認めた。・遺伝子型判定のフォローアップにより、独立したサンプルの統合失調症患者(0/601例)または健常対照(0/916例)において、同変異は発見されなかった。・バイオインフォマティクス解析により、R108CがFBXO45タンパク質の構造と機能に影響している可能性が予測された。・SCZ例におけるR108C変異を伴うFBXO45の相対的な発現は、統合失調症患者50例および健常対照52例と比べた場合、きわめて低かった。・以上のように、FBXO45におけるR108C変異はまれであるが、FBXO45タンパク質の構造と機能を崩壊しうるリスクに少なからず影響を及ぼすことが示された。・FBXO45は統合失調症の病因に関連する、新たな興味深い候補遺伝子と思われた。関連医療ニュース 統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定  担当者へのご意見箱はこちら

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