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2101.

統合失調症への支持療法と標準的ケア、その差は

 英国・チェリイ・ノウル病院のLucy A Buckley氏らは、統合失調症に対する支持療法の有効性を、その他の治療法と比較するレビューのアップデートを行った。24件の無作為化試験(RCT)を組み込み評価した結果、標準的ケアとの比較では再発、入院、全般的機能に有意差は認められず、また心理的あるいは心理社会的療法のほうが入院、精神状態の改善、患者の治療満足度において有意に良好であったという。ただし、いずれの試験もエビデンスの質がきわめて低いものであったため、支持療法とその他の治療法との差異を明確化するには至らなかったと述べている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 レビューは、Cochrane Schizophrenia Group's register of trials(2012年11月)のデータを検索して行った。統合失調症患者を対象とし、支持療法とその他の治療あるいは標準的ケアを比較検討したすべてのRCTを検索対象とした。信頼性の高いソースから試験を選択し、質の評価ならびにデータを抽出。固定効果モデルを用いてリスク比(RR)および95%信頼区間(CI)を推算した。可能な限りintention-to-treat解析を実施した。連続データについては主に固定効果の平均差(MD)をCIと共に算出した。不均質性、公表バイアスも算出し、GRADEを用いてエビデンスの質を評価した。 主な結果は以下のとおり。・2012年以降に4件の新規試験が追加され、本レビューでは妥当な研究24件(2,126例)を対象とした。全体的に、エビデンスの質はきわめて低かった。・主要アウトカムである再発、入院、全般的機能において、支持療法と標準的ケアの間に有意差は認められなかった。・一方、心理的あるいは心理社会的療法は、支持療法と比べて有意に良好な成績であることが示された。すなわち、入院率(4件、306例、RR:1.82、95%CI:1.11~2.99、エビデンスの質は非常に低い)、精神状態の臨床的改善(3件、194例、RR:1.27、95%CI:1.04~1.54、エビデンスの質は非常に低い)、患者の治療満足度(1件、45例、RR:3.19、95%CI:1.01~10.7、エビデンスの質は非常に低い)において有意差が認められた。・再発率、試験からの早期脱落、QOLに関して有意差は認められなかった。・支持療法を認知行動療法(CBT)と比較した場合も、主要アウトカムに有意差は認められなかった。・支持療法を家族療法および心理教育療法と比較したデータはきわめて限定的であり、関心の高い主要アウトカムの1つである全般的機能に関しては、いずれの研究においても臨床的に重要な変化を示すデータはなかった。・支持療法と標準的ケアのアウトカムにおける差異を明確にするにはデータが不十分であった。・入院、全般的な精神状態など、支持療法に比べ、その他の心理療法のほうが優位であることを示すアウトカムが複数認められた。しかしこれらの結果は、エビデンスの質が非常に低いと評価された数少ない小規模試験に基づいたものであった。支持療法を比較対照群とせず、主要な治療群に設定した大規模試験により研究を進めることで、成果が期待できるであろう。関連医療ニュース 統合失調症の妄想低減へ、新たな介入方法 統合失調症治療、家族への介入に効果はあるか 重度アルツハイマー病に心理社会的介入は有効か:東北大  担当者へのご意見箱はこちら

2102.

アリピプラゾール、脳卒中後の抑うつに対するメカニズム

 虚血性脳卒中後、うつ病を発症することは少なくない。虚血性脳卒中の発作後、慢性弱ストレス(chronic mild stress:CMS)が加わることにより抑うつに進展するか否かに関し、韓国・釜山大学校のYu Ri Kim氏らは、マウスを用いて検討を行った。その結果、発作後のCMSにより生じるドパミン作動性ニューロン損傷や海馬におけるニューロン新生低下をアリピプラゾールが回復させ、抗うつ作用を発揮する可能性を示唆した。Behavioural Brain Research誌2015年7月号の掲載報告。 マウスを用い、CMS、左中大脳動脈閉塞(MCAO)、MCAO後のCMS(MCAO+CMS)の各種条件下におけるうつ障害を、行動学的および病理組織学的分析により評価した。抑うつスクリーニングテストとしてオープンフィールドテスト、スクロース嗜好性試験、強制水泳試験、モリス水迷路試験を実施した。 主な結果は以下のとおり。・MCAO+CMSマウスはMCAOマウスに比べ、有意な抑うつ行動を示した。・MCAO+CMSマウスはCMSマウスに比べ、強制水泳試験およびモリス水迷路試験において明らかな障害を示した。・病理組織学的分析において、MCAO治療マウスはCMSマウスに比べ、線条体と中脳に顕著な萎縮性変化が認められた。・MCAO+CMSマウスはCMSあるいはMCAO単独治療マウスに比べ、中脳におけるドパミン作動性ニューロンの損傷と線条体および海馬における神経細胞の増殖および分化の減少が顕著に認められた。・MCAO+CMSマウスをアリピプラゾールで治療したところ、評価したすべての抑うつ行動が減少し、とくにモリス水迷路テストにおいてその効果がみられた。・中脳におけるドパミン作動性ニューロンの損傷回復および海馬におけるニューロン新生の増強も示された。関連医療ニュース 日本人うつ病患者に対するアリピプラゾール補助療法:名古屋大学 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

2103.

難治性うつ病発症に肥満が関連か

 肥満と大うつ病性障害(MDD)は公衆衛生上の大きな問題である。MDDは不均一な疾患であり、反復性MDD(MDD-R)と単一エピソードのMDD(MDD-S)とでは病因や予後が異なることが知られているが、肥満との関連性についてのエビデンスは不十分である。オランダ・フローニンゲン大学のYeshambel T Nigatu氏らは、一般住民を対象とした大規模観察研究において、肥満がとくにMDD-Rの発症と関連している可能性があることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「この問題を十分に評価するためにはさらなる大規模研究が必要であり、MDDに対する肥満の影響を調べる場合はMDDの不均一性を考慮すべきである」とまとめた。BMC Public Health誌オンライン版2015年4月10日号の掲載報告。 研究グループは、PREVEND研究に参加した1,094例を対象とし、ベースラインおよび平均2年の追跡期間後のデータを分析した。MDD-SとMDD-Rの評価にはComposite International Diagnostic Interview(CIDI 2.1)を使用した。肥満はBMI 30以上と定義した。肥満がMDD-S/MDD-Rを予測するか、またはその逆の予測がなされるかどうかについて、潜在的交絡因子補正後、バイナリロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・予測分析において、ベースラインのBMIと追跡期間中のMDD-R発症の関連が示された(OR 1.32、95%信頼区間[CI]:1.11~1.57)。・しかし、MDD-S発症との関連は示されなかった(OR 0.98、95%CI:0.89~1.07)。・ベースラインの肥満は、追跡期間中のMDD-S発症と関連していなかった(OR 0.75、95%CI:0.25~0.23)。しかし、追跡期間中のMDD-R発症とは関連していた(同:11.63、1.05~128.60)。・2年の追跡期間中、MDD-SとMDD-Rのいずれも、追跡期間中の肥満への進展とは関連していなかった(それぞれOR 1.67、95%CI:0.64~4.29およびOR 2.32、95%CI:0.82~6.58)。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 難治性うつ病に対する効果的な治療は何か  担当者へのご意見箱はこちら

2104.

うつ再発にマインドフルネス認知療法が有望/Lancet

 うつの再発・再燃の予防療法として、マインドフルネス認知療法(mindfulness-based cognitive therapy:MBCT)と抗うつ薬維持療法を比較検討する無作為化試験PREVENTが、英国・オックスフォード大学のWillem Kuyken氏らにより行われた。有効性および費用対効果の観点で行われた評価の結果、MBCTが抗うつ薬維持療法より優れるというエビデンスは示されなかったが、両療法とも、再発・再燃、残存性のうつ症状およびQOLなどで良好なアウトカムを保つことが認められたという。Lancet誌オンライン版2015年4月20日号掲載の報告より。MBCT vs. 抗うつ薬維持療法の無作為化試験で検討 うつの再発経験がある人は、再燃リスクが高く、最低2年間の抗うつ薬維持療法が推奨されている。しかし患者の多くが、薬物療法に代わる治療法を望んでいる。 MBCTは、通常ケアとの比較で、再発・再燃リスクを減少することが示されているが、抗うつ薬維持療法と比較した検討は行われていなかった。 研究グループは、MBCT-TS(MBCTと併せて抗うつ薬を漸減または中断投与する療法)が抗うつ薬維持療法に優れるか、24ヵ月間のPREVENT試験を行った。多施設単盲検並行群間無作為化対照試験であった。 英国内の都市および周辺地域のプライマリケア一般医から、3回以上の重大うつエピソード経験があり、抗うつ薬維持療法を受ける患者を集めた。 参加者を、MBCT-TS群または抗うつ薬維持療法群に無作為に割り付けた。割り付けはコンピュータ生成乱数配列法にて行った。登録施設および症状で層別化した。参加者は治療割り付けを認識していたが、試験の評価者には治療割り付けはマスキングされた。  主要アウトカムは、うつの再発・再燃までの期間で、患者は24ヵ月間試験期間中5回にわたってフォローアップを受けた。主要解析は原則intention to treatに基づき行われた。24ヵ月間の再発・再燃リスクのハザード比0.89、両群差はなし 2010年3月23日~2011年10月21日の間に、2,188例の参加者について適格性を評価し、一般医95人から集めた424例の患者をMBCT-TS群(212例)と抗うつ薬維持療法群(212例)に無作為に割り付け検討した。 結果、うつの再発・再燃までの期間は、両群間で差はみられなかった。24ヵ月時点で再発・再燃がなかった人はMBCT-TS群44%、抗うつ薬維持療法群47%で、ハザード比は0.89(95%信頼区間[CI]:0.67~1.18、p=0.43)であった。 重篤有害事象の発生についても差はみられなかった。有害事象は5件報告され、うち2例が死亡(MBCT-TSと抗うつ薬維持療法の各群で報告)であったが、有害事象は、介入または試験に起因したものはなかった。

2105.

うつ病と抗うつ薬治療は乳がんリスクに影響しているのか

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説があるが、これらに同時に曝露した場合を考慮した先行研究はなく、うつ病によるリスク上昇が抗うつ薬使用に起因したものか、あるいはそうでないのかは未解決であった。米国マサチューセッツ大学アマースト校のKW Reeves氏らは、うつ病と抗うつ薬の使用を同時に考慮したモデルを用いて、乳がんリスクに及ぼす影響を検討した。その結果、うつ病は乳がんリスクと関連しなかったこと、抗うつ薬がわずかであるが乳がんのリスクを増加させ、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)によるリスク上昇が確認されたことを報告した。Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention誌2015年4月号の掲載報告。うつ病と乳がんリスクとの関連は認められなかったが抗うつ薬使用は有意にリスク増加 検討は、前向きコホートである米国看護師健康調査(Nurses’ Health Study)に2000年初頭に登録された女性7万7,482例の、うつ病と抗うつ薬使用に関するデータを使用して行われた。医師によるうつ病の診断歴、特定の種類の抗うつ薬使用について自己報告をしてもらい、2012年の1年間に乳がんと自己報告された症例を精査し、浸潤性がんと確定された症例のみをアウトカムに含めた(2,567例)。ロジスティック回帰モデルを用い、ベースライン時のうつ病ならびに抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響を、個々におよび相互調整後の両面から評価した。 うつ病ならびに抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響を評価した主な結果は以下のとおり。・被験者の平均年齢は66.2(SD 7.1)歳であった。臨床的にうつ病と診断された患者は8.9%で、8.7%が抗うつ薬を使用していた。・年齢、BMI、閉経状況で調整後、うつ病と抗うつ薬使用それぞれの個別モデルにおいて、うつ病(オッズ比[OR]:0.94、95%信頼区間[CI]:0.81~1.08)あるいは抗うつ薬使用(同:1.07、0.93~1.22)と、乳がんリスクとの間に統計的に有意な関連は認められなかった。・うつ病と抗うつ薬使用を1つのモデルに同時に組み込んだ場合、うつ病と乳がんリスクとの関連は依然認められなかったが(OR:0.87、95%CI:0.74~1.03)、抗うつ薬使用は有意なリスク増加と関連していた(同:1.15、0.98~1.35)。ただし、その差は小さく、有意差は境界線上であった。・抗うつ薬使用と乳がんリスクとの関連は、SSRIにおいて常に確認されたが(OR:1.16、95%CI:0.96~1.39)、他の種類の抗うつ薬では明らかではなかった(同:1.07、0.85~1.35)。・これら最初に得られた結果は、うつ病が乳がんリスクと関連しないことを示しているが、SSRI使用とリスクのわずかな上昇との関連は除外できなかった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる分析でフォローアップ時の曝露情報が更新され、閉経状況やホルモン受容体サブタイプによる関連性の評価が可能となると思われる」と述べ、また「うつ病と抗うつ薬使用の乳がんリスクに及ぼす影響が明確になれば、うつ病や抗うつ薬を使用する数百万の女性に重要な情報を提供しうる」とまとめている。関連医療ニュース 片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない がん患者のうつ病を簡単にスクリーニングするには SSRIは月経前症候群の治療に有用か?

2106.

双極性障害、平均余命に大きく影響

 双極性障害患者は、平均余命が11~20年短縮することが報告されている。この計算は、個人の15歳時データに基づいており、それ以降に双極性障害を発症した多くの患者の誤解を招く可能性がある。デンマーク・コペンハーゲン大学のLars Vedel Kessing氏らは、異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2015年4月4日号の報告。双極性障害患者の平均余命が大幅に短縮 1970~2012年にデンマークのすべての精神科病院に入院または外来通院している全患者の全国レジスタを用い、2000年に生存していた患者について、15~75歳まで10歳刻みでの平均余命を計算した。 異なる年齢の双極性障害患者における平均余命の計算を行った主な結果は以下のとおり。・25~45歳の標準的な双極性障害患者における平均余命は、男性で12.0~8.7年、女性で10.6~8.3年短かった。・双極性障害患者と一般集団の平均余命比は、年齢とともに低下しており、これは双極性障害が若年または中年期における余命期間の減少開始に影響していることが示唆された。・双極性障害患者の平均余命は、以前報告された程度ではないものの、大幅に短縮していた。関連医療ニュース うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 若年双極性障害への治療効果を高めるには アルツハイマー病への薬物治療は平均余命の延長に寄与しているのか:東北大学

2107.

統合失調症、維持期では用量調節すべきか:慶應義塾大

 抗精神病薬による65%以上のドパミンD2受容体遮断は、統合失調症患者にとって最適な臨床効果と関連付けられている。しかし最近のデータでは、統合失調症の維持療法において、閾値はより低いことが示唆されている。慶應義塾大学の坪井 貴嗣氏らは、ドパミンD2受容体の持続的な高遮断が、統合失調症の維持治療において必要かどうかを検討した。Schizophrenia research誌2015年5月号の報告。 本研究は、リスペリドンまたはオランザピンによる治療で臨床的に安定している統合失調症患者を、持続的D2遮断群(D2遮断レベルの推定トラフ値>65%)と非持続的D2遮断群(推定トラフ値<65%、かつ推定ピーク値>65%)に無作為割り付けを行った、52週間の単盲検ランダム化比較試験。著者ら自身が開発したモデルを用い、割り付けられたD2遮断レベルに必要な抗精神病薬の経口投与量をランダム血漿中薬物濃度から推定し、調整を行った。精神病理作用および副作用は、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Simpson-Angus 錐体外路系副作用評価尺度(SAS)、異常不随意運動評価尺度(AIMS)を用い、ベースラインと1年後で評価した。 主な結果は以下のとおり。・68例(各群34例)が登録された。・持続的D2遮断群26例、非持続的D2遮断群31例が試験を完了し、両群間で有意な差はなかった。・評価スケールのいずれにおいても、両群間で有意な差は認められなかった。・投与量変更の度合いは、両群において小さかった。 結果を踏まえ、著者らは「統合失調症の維持治療におけるドパミンD2受容体遮断は、65%より低くできることが示された。これらの予備的結果は、より長期の追跡を行う大規模な二重盲検比較試験で検討する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か 統合失調症の治療目標、急性期と維持期で変更を:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

2108.

グルタミン酸受容体阻害薬、気分障害での可能性は

 新規の選択的な代謝性グルタミン酸5(mGlu5)受容体ネガティブアロステリックモジュレータであるDSR-98776について、齧歯目モデル試験の結果、有効な経口抗うつ薬および抗躁薬として作用することが示され、躁うつ病態を呈する幅広い気分障害の治療オプションと成りうることが示された。大日本住友製薬のTaro Kato氏らが報告した。European Journal of Pharmacology誌オンライン版2015年3月28日号の掲載報告。 モノアミン・モジュレーション・システムは、気分障害治療の主流である。しかし、最近のエビデンスとして、グルタミン酸システムが、この障害の病理生体において重要な役割を担うことが示唆されている。そこで研究グループは、mGlu5受容体ネガティブアロステリックモジュレータのDSR-98776の薬理学的な特徴および躁うつマウスモデルにおける効果を評価した。はじめに、in vitroのDSR-98776プロファイルを細胞内カルシウムと放射性リガンド結合アッセイを用いて評価した。次に、in vivoでDSR-98776の治療ベネフィットについて、一般的な躁うつ齧歯目モデルで評価した。 主な結果は以下のとおり。・DSR-98776は、mGlu5受容体に対し用量依存の阻害活性を示した。同活性は、mGlu5インヒビターとして知られる同一アロステリック部位の2-methyl-6-(phenylethynyl)-pyridine(MPEP)との結合によるものであった。・ラットの強制水泳試験において、DSR-98776(1~3mg/kg)は7日間の治療後、無動時間を有意に短縮した。一方でパロキセチン(3または10mg/kg)は2週間の連続治療後に、無動時間が短縮した。・マウスの強制水泳試験では、DSR-98776(10~30mg/kg)の急速投与が、無動時間を有意に短縮した。この効果は、4-chloro-DL-phenylalanineメチルエステル塩酸塩誘発5HTの減少には影響しなかった。・最後に、DSR-98776(30mg/kg)は、マウスにおいてメタンフェタミン/クロルジアゼポキシド誘発の機能亢進を有意に減少させ、この複雑な抗躁病様薬の効果を反映する結果が示された。関連医療ニュース 精神疾患におけるグルタミン酸受容体の役割が明らかに:理化学研究所 精神疾患のグルタミン酸仮説は支持されるか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学  担当者へのご意見箱はこちら

2109.

片頭痛予防にSSRIやSNRIは支持されない

 うつ病および抗うつ薬の使用がそれぞれ乳がんのリスクを高めるという仮説2005年に発表した、片頭痛および緊張型頭痛の予防のためのSSRIに関するコクランレビューを、イタリア・Laboratory of Regulatory PoliciesのRita Banzi氏らはアップデートした。今回のレビューでは、SSRIやセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるベンラファキシン(国内未承認)を片頭痛の予防として用いることを支持するエビデンスは得られなかった。また、2~3ヵ月超の治療でSSRIやベンラファキシンがプラセボやアミトリプチリンより片頭痛の頻度、重症度および持続期間を減少させるというエビデンスも示されなかった。これらの結果を踏まえて著者は、「片頭痛の予防にSSRIやSNRIの使用は支持されない」とまとめている。Cochrane Database Systematic Reviewオンライン版2015年4月1日号の掲載報告。 今回研究グループは、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2014年第10号)、MEDLINE(1946年~2014年11月)、EMBASE(1980年~2014年11月)、PsycINFO(1987年~2014年11月)を用い、18歳以上の片頭痛を有する男女を対象としたSSRI/SNRIとあらゆるタイプの介入との無作為化比較試験を検索するとともに、検索した論文の参照文献リストや進行中の臨床試験も調査した。2人の研究者が独立してデータ(片頭痛の頻度、インデックス、重症度、持続期間、対症療法あるいは鎮痛薬の使用、休業日数、QOL、気分の改善、費用対効果、有害事象)を抽出し、試験のバイアスリスクを評価した。なお、本レビューでの主要アウトカムは片頭痛の頻度とした。 結果は以下のとおり。・本レビューには、5種類のSSRIおよび1種類のSNRIを用いた11件(被験者合計585例)の試験が含まれた(プラセボ対照試験6件、SSRIまたはSNRIとアミトリプチリンとの比較試験4件、エスシタロプラムとベンラファキシンの比較試験1件)。・大半の試験は、方法論や報告(もしくはその両方)が不十分であった。すなわち、すべての試験が選択および報告バイアスのリスクがはっきりしておらず、また、追跡調査が3ヵ月を超える試験はまれであった。・大半の試験は十分な検出力もなく、片頭痛の頻度を主要評価項目としてSSRIまたはSNRIの効果を検討した試験は、ほとんどなかった。・プラセボ対照試験のうち2件の試験は、SSRIおよびSNRIとプラセボとの差についてエビデンスがないことを示唆する曖昧な報告であった。・アミトリプチリンとの比較試験のうち2件の研究では、SSRIやSNRIとアミトリプチリンとの間で片頭痛の頻度に差があるというエビデンスは見出されず(標準化平均差:0.04、95%信頼区間[CI]:-0.72~0.80、I2=72%)、片頭痛の重症度や持続期間などの副次的評価項目にも差はなかった。・SSRIやSNRIは、三環系抗うつ薬よりも全般的に忍容性が良好であった。しかし、有害事象または他の理由のために試験を中止した患者数に差はなかった(1件の研究で、オッズ比[OR]:0.39、95%CI:0.10~1.50、およびOR:0.42、95%CI:0.13~1.34)。・SSRIまたはSNRIと抗うつ薬以外の薬物治療(たとえば抗てんかん薬や降圧薬)とを比較した研究はなかった。関連医療ニュース 片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か なぜSSRIの投与量は増えてしまうのか SSRI中止は離脱症状に注意を  担当者へのご意見箱はこちら

2110.

成人発症精神疾患の背景に自閉スペクトラム症が関連

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、成人発症精神障害患者における自閉症的特性/症状の存在について検討を行った。その結果、成人発症精神障害患者(大うつ病性障害[MDD]寛解例を除く)の約半数で高レベルの自閉症様特性/症状を有する割合が認められること、双極性障害および統合失調症患者では重症度と関係なく自閉症様特性/症状を認める割合が高かったこと、MDD患者ではうつ症状の重症度と自閉症様特性/症状の発生に関連を認めることなどを報告した。結果を踏まえて著者は、「最適な治療のためには、成人発症精神障害の背景にある自閉症様特性/症状を評価することの重要性が示された。前向きデザインの大規模集団によるさらなる研究が必要である」と述べている。PLoS One誌オンライン版2015年4月2日号の掲載報告。 自閉スペクトラム症は、しばしば他の精神疾患との同時発症がみられる。正常知能の小児精神疾患集団において自閉症様特性/症状が高頻度に発現することが確認されているが、成人精神疾患集団における報告はない。本研究では、成人発症のMDD、双極性障害、統合失調症等の精神障害患者において自閉症的特性/症状が高頻度に認められるか否か、そしてこうした関連が症状の重症度と独立してみられるのか否かを検討した。 対象は、25~59歳の正常知能の成人290例である(MDD125例、双極性障害56例、統合失調症44例、健常対照65例)。自閉症様特性/症状は成人用対人応答性尺度(Social Responsiveness Scale:SRS)を用いて評価した。症状の重症度は陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Symptoms Scale)、ハミルトンうつ病評価尺度(Hamilton Depression Rating Scale)やヤング躁病評価尺度(Young Mania Rating Scale)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・MDD寛解患者を除いた被験者の約半数は、自閉スペクトラム症の診断閾または診断閾下レベルの自閉症様特性/症状を示した。・さらに、精神疾患患者において自閉症様特性が高レベルを示した者の割合は健常対照と比べ有意に多く、双極性障害あるいは統合失調症の寛解または非寛解であるかによる差異はなかった。・一方、MDD寛解患者において、自閉症様特性が高レベルを示した者の発生率または程度において、健常対照と差はなかった。・双極性障害および統合失調症成人患者ではかなりの割合で、重症度と関係なく自閉症様特性/症状が認められたが、これは自閉スペクトラム症とこれら精神疾患との間に共通の病態生理が存在することを示唆するものである。・これに対し、MDD患者における自閉症様特性は、うつ症状の重症度と関連がみられた。関連医療ニュース 成人ADHDをどう見極める 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 日本人若年性認知症で最も多い原因疾患は:筑波大学

2111.

精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか

 てんかん患者に精神障害(PD)が高頻度に認められることを受け、これらの患者、とくに手術適応となる難治性内側側頭葉硬化を伴う側頭葉てんかん(TLE-MTS)患者に対する精神的評価の必要性を示す研究がこれまでに行われてきた。近年のエビデンスは、TLE-MTS やPDの評価手段であるビデオ脳波(VEEG)の安全性を強調している。しかし、てんかんセンターの中には、PDがある場合は、陰性行動イベントのリスクがあることを主な理由として、VEEGによる術前評価を禁忌としているところが依然としてある。ブラジル・Faculdade de Medicina de Sao Jose do Rio Preto(FAMERP)のGerardo Maria de Araujo Filho氏らは、精神障害を認める難治性てんかん患者において、PDの評価として施行する術前のVEEGが禁忌となりうるのかを明らかにするため、後ろ向きコホート研究を行った。Epilepsy & Behavior誌4月号(オンライン版2015年3月20日号)の掲載報告。 研究グループは、PDの存在が術前VEEGの禁忌となりうるか否かを明らかにするため、ブラジル内のてんかん専門センターの協力を得て、後ろ向きコホート研究を実施した。術前評価の1つとしてVEEGが施行された患者41例の臨床的、社会人口学的、精神医学的データを、VEEGを実施しなかった難治性TLE-MTS患者32例のデータと比較した。精神障害の診断はDSM-IV 分類および国際抗てんかん連盟(ILAE)の分類を用いた。 主な結果は以下のとおり。・34例(46.6%)が精神障害ありと診断され、大うつ病性障害が最も高頻度で22例(30.1%)に、不安障害が14例(19.2%)に認められた。・術前VEEGを施行した41例のうち、術前精神評価でPDが確認されたのは12例(29.2%)にとどまった。一方、VEEG非施行例32例では22例(68.7%)にPDが確認された(p=0.001、RR:2.35)。・VEEG施行例に比べ、むしろVEEG非施行例でPDの割合が有意に高い結果が示された。 結果を踏まえ著者らは、「PDの存在のみで、VEEGモニタリングおよびてんかん手術が禁忌と考えるべきでないことが示唆された」と述べている。関連医療ニュース 難治性てんかん患者に対するレベチラセタムの有用性はどの程度か 高齢者焦点てんかん、治療継続率が高い薬剤は 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか  担当者へのご意見箱はこちら

2112.

うつ病治療の助けとなるか、うつ病認知再評価ツール

 うつ病について、セルフガイドのWebベース介入は有望な結果を示すが、脱落率が高く、使用者との結び付きが低い。オンライン・ピア・サポート・ネットワークは、結び付きは強いが、さまざまな結果を示し、根拠に基づくコンテンツが不足している。米国・マサチューセッツ工科大学のRobert R Morris氏らは、Webベースのピア・ツー・ピアのうつ病認知再評価プラットホームを開発し、有効性の評価を行った。結果、同プラットホォームは、うつ病患者のうち、とくに自身で再評価テクニックを十分に活用できない人に有用であることが示されたという。検討の結果を踏まえて著者は、「さらなる研究を行い、長期的な有効性を調べ、また多様な集団が使用できるよう普遍化できないかを検討する必要がある」とまとめている。Journal of Medical Internet Researchオンライン版2015年3月号の掲載報告。 研究グループは、新たなWebベースのピア・ツー・ピア認知再評価プラットホームを開発し、評価を行った。プラットホームは根拠に基づくテクニックを促進するようデザインされおり、(1)プラットホームの反復使用により再評価が増え、うつ病が減る、(2)クラウドを通じた社会的相互関与が関わりを強化する、との仮説について検討した。 18~35歳の参加者をオンラインで集めて、治療群(「Panoply」、84例)またはアクティブ対照群[オンラインで筆記開示(express writing)を行う、82例]に無作為に割り付けた。いずれも、自動Webベースのプラットホームであった。参加者は、1週間に最低25分間、3週にわたってそれら割り当てられたプラットホームを使用するよう依頼された。いずれも、ストレスを感じていること、および状況について説明を送信することが必要だった。Panoply群の参加者は、送信後に(中央値9分後)、クラウドを介した再評価サポートを受けた。また、同群の参加者は、他の使用者によって提出されたストレスを感じている状況について、再評価の実践を行うこともできた。ベースラインと、3週時点でオンライン・アンケートを行い、抑うつ症状、再評価、固執思考について評価した。関わりの評価は、自己報告、セッション・データ、アクティブレベルにより行われた。 主な結果は以下のとおり。・Panoplyプラットホームの使用前と比べて使用後は、抑うつ(p=0.001)、再評価(p<0.001)、固執思考(p<0.001)が有意に改善した。・対照群も、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p<0.001)は有意に改善したが、再評価は改善しなかった(p=0.45)。・介入後の、抑うつや固執思考の測定において、両群に有意な差はみられなかった。しかし、再評価スコアが、Panoply使用者は対照群と比較して有意に上昇した(p=0.02)。・また、治療の相互作用による群間の有意差も認められた。・うつ症状の高い人は、抑うつ(p=0.02)、固執思考(p=0.008)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・ベースラインで再評価の障害があった人は、抑うつ(p=0.002)、固執思考(p=0.002)について、Panoply使用で、より大きなベネフィットを得たことが示された。・対照の筆記開示ではみられなかったが、再評価の変化にはPanoplyの効果が介在し、これは抑うつ(ab=-1.04[SE 0.58]、95%信頼区間[CI]:-2.67~-0.12)、固執思考(同-1.02[0.61]、-2.88~-0.20)の両アウトカムにも影響を及ぼした。・試験からの脱落率は両群で同程度であった。一方で、Panoply群のほうが有意に使用頻度が高く(p<0.001)、使用者数も有意に多かった(p<0.001)。関連医療ニュース これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか うつ病患者の疲労感を評価する新ツール スマホ版うつ病スクリーニングアプリの精度は  担当者へのご意見箱はこちら

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抗精神病薬間で虚血性脳卒中リスクに違いはあるか

 従来抗精神病薬(CAP)と非定型抗精神病薬(AAP)で、虚血性脳卒中のリスクに違いがあるのか。韓国医薬品安全性・リスク管理研究所のJu-Young Shin氏らは、高齢者を対象にCAPとAAPの虚血性脳卒中リスクを比較した。その結果、CAPであるクロルプロマジンおよびハロペリドールの虚血性脳卒中リスクが高いことが示された。CAPとAAPにおける虚血性脳卒中リスクの差に対する関心が高まっているが、今回示された結果を受けて著者は、「所見は、AAPに伴う重篤な有害事象を考慮してCAPを高齢者に処方する場合、とくに注意を払う必要性があることを示すものであった」とまとめている。PLoS Oneオンライン版2015年3月19日号の掲載報告。 本研究では、CAPまたはAAPを投与した高齢患者の虚血性脳卒中リスクを比較した。新規にCAP(ハロペリドールまたはクロルプロマジン)およびAAP(リスペリドン、クエチアピン、オランザピンのいずれか)を処方した高齢患者7万1,584例を対象とした後ろ向きコホート研究を実施した。健康保険審査評価院(HIRA)によるNational Claims Databaseにおいて2006年1月1日から2009年12月31日までのデータを使用した。虚血性脳卒中発症例を特定し(ICD-10, I63)、AAP、CAPそして各抗精神病薬のハザード比(HR)を、多変量Cox回帰モデルを用い、リスペリドンを基準として算出した。 主な結果は以下のとおり。・合計7万1,584例のうち、リスペリドンが2万4,668例、クエチアピンが1万5,860例、オランザピンが3,888例、ハロペリドールが1万9,564例、クロルプロマジンが7,604例に処方されていた。・クロルプロマジン処方例のリスクがかなり高く(HR:3.47、95%信頼区間[CI]:1.97~5.38)、次いで、ハロペリドール(同:2.43、1.18~3.14)、クエチアピン(1.23、0.78~2.12)、オランザピン(1.12、0.59~2.75)の順であった。・クロルプロマジンの150日以上の長期処方は、それ以下の短期間投与に比べリスクが高かった(HR:3.60、95%CI:1.83~6.02)。・クロルプロマジンおよびハロペリドール使用例は、リスペリドン使用例に比べ、虚血性脳卒中のリスクが大きかった。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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うつ病と双極性障害を見分けるポイントは

 大うつ病性障害(MDD)と双極性障害(BP)の鑑別は、患者の予後や治療において重要な意味を持っている。これまでの研究で、これら2つの疾患で異なる臨床的特徴が同定されているが、不均一性および再現性の欠如により限定的であった。米国・ジョンズホプキンス大学のA K Leonpacher氏らは、再現性を持つ大規模サンプルを用い、MDDとBPを鑑別するために、うつ関連の特徴の特定を試みた。Psychological medicine誌オンライン版2015年4月8日号の報告。 研究グループは、MDDおよびBPを有する患者データを適宜、収集・確認するために大規模なデータを用い、1,228例(BP-I:386例、BP-II:158例、MDD:684例)の被験者からなる初期開示データセットから、診断カテゴリー間で試験するためのうつ関連の臨床的特徴を34件選択した。ROC分析により、BPに関連付けられる有意な特徴を1,000例のBP-Iケースと1,000例のMDDケースの独立したサンプルを用いて検証した。 主な結果は以下のとおり。・MDDと比較して、BP-Iとの有意な相関が認められたのは以下の7つの特徴であった。 ■妄想 ■精神運動遅滞 ■無能力 ■混合症状の多さ ■エピソード数の多さ ■エピソード期間の短さ ■うつ病治療後の躁経験歴・これら7つの要因を含むモデルのROC解析では、独立したデータセットにおいて、BP-IとMDDを識別する有意なエビデンスが示された(曲線下面積:0.83)。・混合症状数と抗うつ薬投与後の躁気分の2つの特徴のみにおいて、MDDに対しBP-IIとの関連が認められた。・これらの要素は、新たな診断バイオマーカーの評価におけるベースラインの項目として組み込まれるべきである。関連医療ニュース うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は 双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場 双極性障害ラピッドサイクラーの特徴は  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症患者、どんな剤形を望んでいるのか

 統合失調症に対する抗精神病治療のベネフィットとリスクに関連した患者の選好を定量化し、治療の特性やアドヒアランスの相対的重要性を評価することを目的とした研究を、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメント社のBennett Levitan氏らが実施した。その結果、統合失調症の病識がある患者は陽性症状の改善が最も重要な治療効果であると考えていること、また、アドヒアランス良好の患者は月1回注射剤より経口剤のほうが好ましいと考え、逆にアドヒアランス不良の患者は経口剤より月1回注射剤のほうが好ましいと考えていることが明らかになった。Psychiatric Services誌オンライン版2015年3月16日号の掲載報告。 研究グループは、統合失調症と医師に診断されたと自己申告した米国住民を対象に、離散選択実験(discrete-choice experiment)という手法を用いた調査を行った。陽性症状・陰性症状・社会的機能の改善という3つの特徴と体重増加・錐体外路症状(EPS)・高プロラクチン血症・高血糖の出現という矛盾する仮想のシナリオおよび薬剤の剤形を提示し、その選択における患者の選好度を算出した。 主な結果は以下のとおり。・最終的な解析対象は、271例であった。・最も重要な治療ベネフィットとは、陽性症状の完全消失(相対的重要度スコア10)で、次いで高血糖の消失(3.6、95%信頼区間[CI]:2.6~4.6)、陰性症状の改善(3.0、1.6~4.3)、体重増加の減少(2.6、1.2~4.0)、高プロラクチン血症の回避(1.7、0.9~2.6)、社会的機能の改善(1.5、0.4~2.5)、EPSの回避(1.0、0.3~1.8)の順であった。・アドヒアランスが良好の患者は、3ヵ月ごとの注射剤より月1回注射剤のほうが、月1回注射剤より毎日の錠剤のほうがより好ましいと判断していた(いずれもp<0.01)。・アドヒアランスが不良の患者は、毎日の錠剤より月1回注射剤のほうがより好ましいと判断していた(p=0.01)。・最も重要な有害事象として挙げられたのは、高血糖であった。関連医療ニュース 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ  担当者へのご意見箱はこちら

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注意が必要、高齢者への抗コリン作用

 高齢者への薬物治療において、しばしば問題となる抗コリン作用。オーストラリア・フリンダース大学のKimberley Ruxton氏らは、抗コリン作用を有する薬剤と高齢者の認知機能障害や転倒、全死因死亡との関連をシステマティックレビューおよびメタ解析で検証した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2015年3月2日号の報告。 65歳以上を対象とし、抗コリン作用を有する薬剤(DACEs)の使用と転倒、認知機能障害、全死因死亡との関連を検討したランダム化比較試験、前向きおよび後ろ向きコホート研究、ケースコントロールスタディを、CINAHL、Cochrane Library、EMBASE、PubMedのデータベースを使用し検索した。期間は2013年6月以前に公表されたものとした。抗コリン薬への曝露は、薬物クラス、DACEスコアリングシステム(anticholinergic cognitive burden scale [ACB]、anticholinergic drug scale [ADS]、anticholinergic risk scale [ARS]、anticholinergic component of the drug burden index [DBIAC])または各DACEsの評価により調べた。メタ分析は、個々の研究から結果をプールして行った。 主な結果は以下のとおり。・18報の研究が選択基準を満たした(合計参加者12万4,286例)。・DACEsへの曝露は、認知機能障害のオッズ増加と関連していた(OR 1.45、95%CI:1.16~1.73)。・オランザピンとトラゾドンは、転倒のオッズおよびリスクの増加と関連していた(各々OR 2.16、95%CI:1.05~4.44;RR 1.79、95%CI:1.60~1.97)。しかし、アミトリプチリン、パロキセチン、リスペリドンでは関連が認められなかった(各々RR 1.73、95%CI:0.81~2.65;RR 1.80、95%CI:0.81~2.79;RR 1.39、95%CI:0.59~3.26)。・ACBスケールの単位増加は、全死因死亡のオッズ倍増と関連していた(OR 2.06、95%CI:1.82~2.33)。しかし、DBIACまたはARSとの関連は認められなかった(各々OR 0.88、95%CI:0.55~1.42;OR 3.56、95%CI:0.29~43.27)。・特定のDACEsまたは全体的なDACE曝露の増加は、高齢者の認知機能障害や転倒リスク、全死因死亡率を増加させる可能性がある。関連医療ニュース長期抗コリン薬使用、認知症リスク増加が明らかに統合失調症患者の抗コリン薬中止、その影響は抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響

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NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大

 最近の研究で、近赤外分光法(NIRS)が大うつ病性障害(MDD)の診断支援ツールとして臨床使用可能であることが示されている。しかし、認知タスク施行中のNIRSシグナルの変化がうつ病の状態に依存しているのか、あるいはうつ病の特性に依存しているのか、またNIRSにより治療反応の神経学的予測が可能か否かは明らかとなっていない。昭和大学の富岡 大氏らは、うつ病の診断と治療におけるNIRSの使用意義を明らかにするため、MDD患者を対象に、抗うつ薬治療後の機能的神経画像の縦断的研究を行った。その結果、NIRSシグナルの変化がうつ病の疾患特異的マーカーになりうること、および抗うつ薬の効果を予測するバイオマーカーになり得る可能性を示した。PLoS One誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、52チャンネルNIRSを使用し、薬物未治療のMDD患者における抗うつ薬治療後の前頭部血行動態の変化を、縦断研究にて調べた。薬物未治療のMDD患者25例および健常対照(HC)62例を対象とした。抗うつ薬治療前後にNIRSスキャンを実施し、治療後の言語流暢性課題(VFT)実施中のオキシ-ヘモグロビン濃度[oxy-Hb]の変化を測定した。 主な結果は以下のとおり。・MDD患者では、ベースライン期の両側前頭葉および側頭葉におけるVFT実施中の[oxy-Hb]値が、HCに比べ有意に減少した。・MDD患者は抗うつ薬投与後にうつ症状が有意に改善したにもかかわらず、抗うつ薬治療前後で[oxy-Hb] 値に変化は認められなかった。・MDD患者では、ベースライン期の両側下前頭回および中側頭回におけるVFT実施中の平均[oxy-Hb]値とうつ症状改善との間に有意な関連が認められた。・これらの結果は、VFTに対応する前頭葉機能低下は、うつ病の状態像マーカーというよりも、うつ病の疾患特異的マーカーとなる可能性を示唆する。・さらに、治療開始前のNIRSシグナルが、患者の抗うつ薬治療に対する臨床反応を予測するバイオマーカーとなりうる可能性が相関分析により示された。・本研究により、NIRSがうつ病の診断と治療に応用可能であることを支持するさらなるエビデンスが提供された。 関連医療ニュース うつ病治療、概念や診断方法の相違が課題 統合失調症の新たなバイオマーカー:順天堂大学 アルツハイマー病とレビー小体型認知症、共通のバイオマーカー  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症への抗精神病薬、用量依存的に死亡リスクが増加

 抗精神病薬治療は認知症高齢者における死亡率上昇と関連がある。しかし、無治療またはその他の向精神性の薬剤と比べた場合のリスクに対する絶対的影響については明確にされていない。米国・ミシガン大学のDonovan T. Maust氏らは、認知症高齢者における抗精神病薬による死亡リスクを明らかにするため、後ろ向きケースコントロール研究を実施した。その結果、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンなどの非定型抗精神病薬による治療は、無治療および抗うつ薬治療と比べ死亡リスクが大きく、用量依存的に死亡リスクが増大することを報告した。JAMA Psychiatry誌オンライン版2015年3月18日号の掲載報告。 研究グループは、無治療、あるいは抗うつ治療と比較した認知症患者における抗精神病薬、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、抗うつ薬使用における、絶対死亡リスクの上昇と有害必要数(NNH)(何人の患者を治療するごとに死亡1例が発生するかを示す指標)を明らかにする検討を行った。1998年10月1日~2009年9月30日に、米国退役軍人健康庁(VHA)にて後ろ向きケースコントロール研究を実施した。対象は、65歳以上の認知症患者9万786例で、最終分析は2014年8月に実施された。抗精神病薬(ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)、バルプロ酸およびバルプロ酸製剤、あるいは抗うつ薬の新規処方(薬剤使用者4万6,008例)について検討した。フォローアップ期間180日における死亡リスクおよびNNHの絶対変化を、複数のリスク因子をマッチングさせた非薬剤治療患者と比較した。薬剤治療開始患者では、各薬剤関連の死亡リスクを、年齢、性別、認知症罹患年数、せん妄の有無、その他の臨床的・人口学的特性を調整したうえで、抗うつ薬投与群を対照として用い、比較した。副次的分析ではオランザピン、クエチアピン、リスペリドンそれぞれに関する用量調整絶対死亡リスクを比較した。 主な結果は以下のとおり。・各要素をマッチさせた非薬剤治療群との比較において、ハロペリドール群では死亡リスクが3.8%(95%信頼区間[CI]:1.0~6.6%、p<0 .01)増加し、NNHは26(95%CI:15~99)であった。・次にリスペリドンの3.7%(同:2.2~5.3%、p<0 .01)、NNH 27(同:19~46)と続き、オランザピンは増加率2.5%(0.3~4.7%、p=0 .02)、NNH 40(21~312)、クエチアピンは2.0%(0.7~3.3%、p<0 .01)、NNH 50(30~150)であった。・抗うつ薬使用患者との比較において、死亡リスクの上昇およびNNHはハロペリドール群の増加率12.3%(8.6~16.0%、p<0 .01)およびNNH 8(6~12)から、クエチアピン群の3.2%(1.6~4.9%、p<0 .01)およびNNH 31(21~62)までの範囲にあった。・非定型抗精神病薬(オランザピン、クエチアピン、リスペリドン)のグループ全体では、高用量群における死亡率が低用量群に比べて3.5%高く(0.5~6.5%、p=0 .02)、死亡リスクにおける用量反応関係が示された。・クエチアピンとの直接比較において、リスペリドン(1.7%、95%CI:0.6~2.8%、p=0 .003)およびオランザピン(1.5%、95%CI:0.02~3.0%、p=0.047)はいずれも用量調整死亡リスクの増加を認めた。・以上より、認知症高齢者における抗精神病薬の死亡率に与える絶対的影響は、これまでの報告より大きく、用量に伴い増加する可能性が示された。関連医療ニュース 認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 抗精神病薬は統合失調症患者の死亡率を上げているのか  担当者へのご意見箱はこちら

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第1世代と第2世代抗精神病薬、認知機能への影響の違いは

 抗精神病薬は作業記憶(ワーキングメモリ)での重要な鍵の役割を担う神経伝達物質システムをターゲットとしている。それゆえに、抗精神病薬はこれらの神経伝達物質受容体での働きを介して、認知機能を調整することが期待されている。しかし、作業記憶に対する抗精神病薬の正確な作用は、明らかにされていない。英国キングス・カレッジ・ロンドンのRhianna Goozee氏らは、機能的MRI研究を行い、健常者の作業記憶中における脳活性化について、ハロペリドールとアリピプラゾールの1回投与での即時および特異な作用を立証した。結果を踏まえて著者は、「正確なメカニズムは不明だが、このハロペリドールとアリピプラゾールの作用の違いが、異なる受容体親和性プロファイルを反映する可能性が示唆される」とまとめている。Schizophrenia Research誌2015年3月13日号(オンライン版2015年2月23日号)の掲載報告。 研究グループは、健常者17人を対象に、N-back課題を使用して、作業記憶能に関する2つの抗精神病薬の効果を調べるため、完全にバランスの取れた二重盲検クロスオーバー無作為化プラセボ対照比較試験を実施した。参加者は3回にわたって、プラセボ、ハロペリドール、アリピプラゾール(順不同)の投与下において、機能的MRI検査を受け、それぞれの状態での作業記憶能を検査した。そして、主な作業記憶能と線形負荷を調べるために、神経活性化の図解はランダム効果一般線形回帰分析で考察した。各介入で脳活性化の変化領域を得るため、ボクセル・ワイズと関心領域(ROI)分析を実施した。 結果は以下のとおり。・アリピプラゾールは、プラセボと比較して神経活性化の変化にはつながらなかった。しかし、正しい反応への反応時間はプラセボ(p=0.046)とハロペリドール(p=0.02)の両方と比較して、アリピプラゾールでは有意に増加した。・アリピプラゾールとは対照的に、プラセボと比較して、ハロペリドールは頭頂部(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.005;FWE-corr. right:p=0.007)と前額部(前頭葉を含む;BA9/44/46;left:FWE-corr. p=0.009;right:FWE-corr. p=0.014)の各大脳皮質と、左被殻(FWE-corr. p=0.004)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールは、アリピプラゾールと比較すると、頭頂皮質(BA7/40;left:FWE-corr. p=0.034;right:FWE-corr. p=0.045)と左被殻(FWE-corr. p=0.015)の活性化を遅らせた。・ハロペリドールはプラセボと比較して作業記憶パフォーマンスへの影響はなかった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール+リハビリ、認知機能に相乗効果:奈良県立医大 統合失調症患者の認知機能に対するアリピプラゾール vs リスペリドン 抗コリン薬は高齢者の認知機能に悪影響  担当者へのご意見箱はこちら

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認知症への抗精神病薬使用は心臓突然死リスクに影響するか

 死亡診断書や処方箋データを用いた研究によると、認知症患者に対するハロペリドールによる治療は、心臓突然死のリスク増大と関連していることが示唆されている。ルーマニア・トランシルバニア大学のPetru Ifteni氏らは、ハロペリドールで治療した認知症患者の突然死例において心臓突然死率が高いかどうかを、剖検所見を用い調査した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2015年3月19日号の報告。 1989年から2013年までに、精神科病院に入院した行動障害を伴う認知症患者1,219例のうち、65例(5.3%)が突然死していた。突然死後、剖検を完了したのは55例(84.6%)であった。剖検例のうち27例(49.1%)が、経口ハロペリドール単剤(2.2㎎±2.1㎎/日)治療を受けていた。多変量比較および多変量回帰分析を用い、心臓突然死および非心臓突然死であった患者群との比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・死亡の主な原因は、心臓突然死(32.7%)、心筋梗塞(25.5%)、肺炎(23.6%)、脳卒中(10.9%)であった。・心臓突然死患者と解剖学的に死亡原因が特定された患者では、ハロペリドールの治療率に差はなかった(p=0.5)。・心臓突然死患者では、アルツハイマー型認知症(p=0.027)、心臓病の既往歴(p=0.0094)の割合が高く、気分安定薬による治療率が低かった(p=0.024)。しかし、これらはいずれも心臓突然死の独立した危険因子ではなかった。・剖検データによる本調査では、精神科入院認知症患者に対する経口ハロペリドールの使用は、心臓突然死リスクと関連しないことが示唆された。関連医療ニュース 日本では認知症への抗精神病薬使用が増加 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット 統合失調症患者の突然死、その主な原因は  担当者へのご意見箱はこちら

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