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テレケア介入で、がん患者の疼痛症状、うつ病を改善

症状監視自動モニタリングと連結した遠隔医療(テレケア)管理システムは、都市部の点在するがんケア施設の患者や、地方のがんケア施設で暮らす患者の、疼痛症状やうつ病を改善する効果があるという。米国インディアナポリス・Richard Roudebush退役軍人メディカルセンターのKurt Kroenke氏らが、無作為比較対照試験を行い明らかにした。疼痛症状とうつ病は、がん関連の最も一般的かつ治療可能な症状だが、認知されていなかったり、治療がされていなかったりする頻度も高い。Kroenke氏らは、テレケア管理システムに、そうした状況を改善する効果があるのか検討を行った。JAMA誌2010年7月14日号掲載より。がんケア施設入所者をテレケア介入群と通常ケア群に無作為化し追跡試験は、INCPAD(Indiana Cancer Pain and Depression)試験に協力する地域密着型がんケア施設(都市部と地方合わせて16施設)で行われた。2006年3月~2008年8月に被験者を動員し、2009年8月まで追跡された。うつ病(Patient Health Questionnaire-9)スコアが10以上か、がん疼痛[Brief Pain Inventory(BPI)worst pain]スコアが6以上、あるいは両スコアを満たしていた被験者を、無作為に、テレケアの介入を受ける群(202例)と、通常ケア群(203例)に割り付け、症状タイプごとに分析した。介入群の患者は、ナースフィジシャン専門家チームによるテレケア統合管理システムを受けた。双方向の音声録音またはインターネットで症状を自動で監視する在宅モニタリングシステムが活用された。主要評価項目は、基線・1・3・6・12ヵ月時点で盲見評価された、HSCL-20評価によるうつ病スコア、およびBPI評価による疼痛重症度とした。介入群の改善効果が一貫して大きい被験者405例のうち、うつ病の単一症状が認められたのは131例、疼痛の単一症状が認められたのは96例、両症状が認められたのは178例だった。疼痛症状があった274例のうち、介入群の137例は通常ケア群の137例より、試験12ヵ月一貫してBPIスコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~10)の改善(P<0.001)、基線からのBPI改善が30%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。同様にうつ症状があった309例も、介入群の154例が通常ケア群の155例より、12ヵ月の間のHSCL-20スコアの改善が、より大きかった。平均スコア(範囲0~4)の改善(P<0.001)、基線からのHSCL-20改善が50%以上(P<0.001)、いずれの指標でも介入群の改善が大きかった。両群間の標準エフェクトサイズ差は、疼痛については3ヵ月時点0.67(95%信頼区間:0.33~1.02)、12ヵ月時点0.39(同0.01~0.77)、うつ病については3ヵ月時点0.42(同0.16~0.69)、12ヵ月時点0.41(同0.08~0.72)だった。

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脳卒中の90%は、10のリスク因子に起因:INTERSTROKE試験

脳卒中リスクの約90%が10のリスク因子に起因し、降圧や喫煙制限の実施、身体活動や健康的な食事の推奨といった介入により、脳卒中の世界的負担は実質的に低減しうることが、カナダMcMaster大学地域健康調査研究所のMartin J O’Donnell氏らが実施した症例対照研究で示された。脳卒中は世界第2位の死亡原因であり、ほとんどの地域では成人の後天性身体障害の主要原因である。一方、脳卒中の世界的負担に対して種々のリスク因子がどの程度寄与しているかは不明であり、特に低~中収入国における調査が遅れているという。Lancet誌2010年7月10日号(オンライン版2010年6月18日号)掲載の報告。リスク因子と脳卒中との関連、疾病負担への寄与の程度などを評価INTERSTROKE試験の研究グループは、既知の緊急を要するリスク因子と脳卒中の主なサブタイプの関連を明らかにし、これらのリスク因子が脳卒中の負担にどの程度寄与するかを評価し、さらに脳卒中と心筋梗塞のリスク因子の違いを探索的に検討することを目的に、大規模な標準化症例対照研究を実施した。2007年3月1日~2010年4月23日までに、低~中収入国を中心とする22ヵ国84施設から初回急性脳卒中(症状発現後5日以内、入院後72時間以内)の症例および年齢と性別をマッチさせた脳卒中の既往歴のない対照が登録された。すべての参加者が質問票に回答して身体検査を受け、ほとんどが血液および尿のサンプルを提供した。脳卒中、虚血性脳卒中、出血性脳卒中と個々のリスク因子の関連の指標として、オッズ比(OR)および人口寄与リスク(PAR)を算出した。虚血性脳卒中は10項目すべてが、出血性脳卒中は5項目が有意なリスク因子試験開始からの累積症例数が3,000例[虚血性脳卒中2,337例(78%)、出血性脳卒中663例(22%)]となった時点で、対照3,000人とともに解析を行ったところ、有意差を認めた脳卒中のリスク因子は以下の10項目であった。(1)高血圧の既往歴[OR:2.64、99% 信頼区間(CI):2.26~3.08、PAR:34.6%、99% CI:30.4~39.1](2)喫煙(OR:2.09、99% CI:1.75~2.51、PAR:18.9%、99% CI:15.3~23.1)(3)ウエスト/ヒップ比(三分位の最低値に対する最高値のOR:1.65、99% CI:1.36~1.99、PAR:26.5%、99% CI:18.8~36.0)(4)脳卒中に関連する食事のリスクスコア(三分位の最低値に対する最高値のOR:1.35、99% CI:1.11~1.64、PAR:18.8%、99% CI:11.2~29.7)(5)規則的な身体活動(OR:0.69、99% CI:0.53~0.90、PAR:28.5%、99% CI:14.5~48.5)(6)糖尿病(OR:1.36、99% CI:1.10~1.68、PAR:5.0%、99% CI:2.6~9.5)(7)アルコール摂取[月に30杯以上飲酒する者あるいは大酒飲み(月に1回以上、5杯以上飲酒する日がある者)のOR:1.51、99% CI:1.18~1.92、PAR:3.8%、99% CI:0.9~14.4](8)社会心理的ストレス(OR:1.30、99% CI:1.06~1.60、PAR:4.6%、99% CI:2.1~9.6)およびうつ病OR:1.35、99% CI:1.10~1.66、PAR:5.2%、99% CI:2.7~9.8)(9)心臓の原因(OR:2.38、99% CI:1.77~3.20、PAR:6.7%、99% CI:4.8~9.1)(10)アポリポ蛋白B/A1比(三分位の最低値に対する最高値のOR:1.89、99% CI:1.49~2.40、PAR:24.9%、99% CI:15.7~37.1)これらのリスク因子を合わせると、全脳卒中のPARの88.1%(99% CI:82.3~92.2)を占めた。高血圧の定義を「高血圧の既往歴あるいは>160/90mmHg」に変更すると、全体のPARは全脳卒中の90.3%(99%CI:85.3~93.7)に達した。虚血性脳卒中ではこれら10項目がいずれも有意なリスク因子であったのに対し、出血性脳卒中の有意なリスク因子は高血圧、喫煙、ウエスト/ヒップ比、食事、アルコール摂取の5つであった。これらのデータをふまえ、著者は「脳卒中リスクの約90%が、10のリスク因子によって起こることが示唆される。降圧や喫煙制限の実施、身体活動や健康的な食事の推奨といった介入により、脳卒中の負担は実質的に低減する可能性がある」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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企業向けメンタルヘルス対策用「eラーニングサービス」を販売

株式会社セーフティネットは7日、社員の「セルフケア意識の向上」を目的とした、企業向けのメンタルヘルス対策用『eラーニングサービス』を同日より販売を開始すると発表した。同サービスは同社の顧問精神科医・医学博士を務める児玉芳夫氏監修のもと開発したもの。昨今の景気悪化に伴う労働環境の悪化により、うつ病など「こころの病」にかかる社員が増え、多くの企業が対応や対策に取り組んでいる。厚生労働省の調査によると、メンタルヘルス対策に取り組んでいる企業の割合は全体の33.6%[前回23.5%]で前回調査から10.1%増えており、取り組む企業が増加傾向にあることがうかがえる。同サービスは、「自分もかかるかもしれない病気」であることを認識させ、さらに、予防法、早期気づきの時期、かかってしまった場合どうすべきか、周囲の対応は、などが身に付くようになっているとのこと。そのため、月1回、簡単にできる学習を12回実施するという特異な方法を用いている。また、アンケート機能も付加してあり、社員個々の健康状態などを調査することもできるという。詳細はプレスリリースへhttp://www.safetynet.co.jp/images/press100607.pdf

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以前のように働きたい、でもどうすればいい?  -東京都世田谷区と精神科医がうつ病患者さんの就労を支援-

近年、うつ病患者数の急増が注目されている。その中でも、働き盛りの世代のうつ病は単なる疾患の問題にとどまらず、経済的な損失の観点からも大きな社会問題として指摘されている。そのような中、東京都世田谷区では精神科医や心理士らと共に、うつ病に悩む区民の就労を支援するため、2008年からうつ病に関する講演会や就労支援講座を実施してきた。同企画の3年目となる今年は、5月17日(月)に世田谷区役所第3庁舎ブライトホールにて、区民約100名を集めた講演会が開催された。そこで、同企画の立ち上げから参加し、講演会の講師を務めている仮屋暢聡氏(まいんずたわーメンタルクリニック〔渋谷区〕)に同企画の趣旨と今後の展望についてお話を伺った。行政との二人三脚で始まったうつ病患者さんの就労支援世田谷区の東京都立松沢病院、東京都健康局の精神保健福祉課長などの経歴を持つ仮屋氏は、地域活動の一環として十数年、同区の保健所に様々な支援をしてきた。このような経緯を経て、世田谷区の保健所からうつ病患者さんの就労支援の相談を受けたのが3年前に遡る。「本企画を立ち上げた3年前は、なかなか復職できずに会社を辞めてしまう患者さんも多く、患者さんの家族からも『どのように患者さんを支えてよいかわからない』という悩みを多く聞いていた」と仮屋氏は振り返る。うつ病に対する認識が広がりつつあるものの、3年前はうつ病に対する認識はまだまだ低く、相談できるところがないような状況だった。そこで、その対策として立ち上げたのがこの企画だ。患者さんやご家族が本当に知りたいことに応える講演会の内容は、“うつ病とは何か?”という全般的な話を一通り説明した上で、今、うつ病で何が問題になっているのかなどの視点や、うつ病に対して自分の臨床経験が深まっていくからこそできる話も織り交ぜ、毎年少しずつ話を変える工夫をしている。現在、インターネットやメディアからの情報で、一般の人たちもうつ病について大まかには知られるようになってきた。しかし、「うつ病は治るのか、いつ治るのか」「どこに受診すればいいのか」「どのような治療法があるのか」「薬はどの程度効くのか」「家族はどうしたらいいのか」など、まだまだうつ病患者さんやご家族ではわからないことが多いと、仮屋氏は指摘する。仮屋氏は、今回の講演会においてうつ病と神経の関連についても言及し、今回はうつ病によって引き起こされる体の変化についても触れた。実際のデータも見せ、自律神経の亢進が身体に及ぼす影響を説明した。そして、「打たれ弱いから、心が弱いからうつ病になったのではない」「何かのショックによってうつ病になったのではない」ことを今回の講演会で最も強調した。仮屋氏は「心を抽象的に捉えてしまうとどうしてもわかりにくくなってしまうが、目に見える形で提示するとうつ病患者さんの理解が得られる」と、講演会の手応えをしっかり感じていた。本企画は、仮屋氏によるうつ病患者さんへの疾患の説明にとどまらない。別の日程で、うつ病患者さんのご家族に対しても、個別にご家族の悩みを聞き、どうしたらよいか相談に乗る機会を設けた。さらに、うつ病患者さんの就労のためのセミナーも用意している。「頑張ったらいけない」ことが、いけないこと?うつ病患者に対して「頑張り過ぎない」「頑張ったらいけない」とよく言われる。この点について逆説的に「頑張らなければならない時は頑張らなければならないのだから、「どういう部分を頑張ればよいのか」「どういう部分は頑張ってはいけないのか」と説明すると患者さんもご家族の方もよくわかってくださる」と、うつ病患者さんに対する対処方法も披露した。聴講者も最後までしっかり聞き入り、「よくわかった」と感想を話していたという。全国に先駆けた世田谷区の取り組み仮屋氏は「うつ病患者さん本人やご家族へのうつ病の講演はあるが、うつ病患者さんの就労支援や患者さん本人のスキルアップのためのセミナーまでやっているところは全国でも少ないのではないか」という。 自治体ができることには限度があるが、「その中でも、少しでも本企画のような動きが広まってくれることを世田谷区も期待している」とのことだ。就労を希望するうつ病患者さんは、一体何に困っている?「今のうつ病患者さんの就労の問題は、就労のための実際のやり方がわからないということ。だから本企画では、私が講演会でうつ病の疾患や治療、対応、家族の基本的な考え方などについて話し、精神保健福祉士やケースワーカーの人たちがセミナーで就労支援の制度の大枠、たとえば障害基礎年金や傷病手当金、失業保険など制度について大まかに説明している。」と、仮屋氏は本企画の特徴を述べた。「世田谷区でもこの事業を毎年総括し、成果がよければまたこの形で続けていくことになるかもしれない」と今後の見解も示した。世田谷区内へ、そして全国へ。 うつ病患者の就労支援は広まるか?仮屋氏は「本企画は世田谷区内の小さいエリアへの展開も考えられる。世田谷区は5つくらいの地区に分かれるので、区が実施した企画が、より小さい地区においても細かくフォローされていくことを実現したいと考えているようだ」と、今後の発展の可能性があることを示唆した。また、これらの成果を、「公衆衛生学会や保健師の学会などで発表できれば、他の地区にも波及して様々な方法が検討され全国に広まっていく。世田谷区がそのような雛形作りになればいい」と仮屋氏は語った。過去世田谷区では、今回のうつ病同様に、全国に先駆けて虐待やアルコール依存症対策などについても取組んできた歴史がある。結果として、この動きは全国に広まっていった。このような世田谷区の特徴を仮屋氏は「世田谷区は80万人という人口を抱えており、いろんな資源もある。区長も積極的にこのような事業に力を入れているという伝統がある。逆にいえば、世田谷区は恵まれているのかもしれない」と説明する。うつ病対策の主力は「コ・メディカル」?もう一つ、仮屋氏が熱い視線を送っているのがコ・メディカルだ。仮屋氏によれば、「世田谷区は心の問題、たとえばアルコール依存症などは今でもコ・メディカルの方々が、「家族が変われば患者さんも変わるのではないか」「コ・メディカルがこの問題に自発的に取り組むことでさらに成果が上がるのではないか」と考え、患者さんの家族に対するアプローチを開始して成果を上げている。このような医師以外のコ・メディカルの運動が、実は地方のような医師が少ない地域でもうつも防げるのではないか。」とコ・メディカルの活動に大きな期待を寄せている。「実際に地方では、臨床に対するアプローチとして、医師がすべてできない部分を保健師などがフォローしていくというように進んでいるようだ」と地方のうつ病診療にまで話が及んだ。最後に仮屋氏は「精神科医も含め医師は不足している。コ・メディカルや職場の産業医、一般の内科医などいろんな職域が上手く連携し、うつ病患者を早期に発見して早期にアプローチしていくということが必要なのだろう。精神科医の仕事として、そういった人たちに対して教育していくということも重要だ」と言葉を結んだ。(ケアネット 高橋 洋明)

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外傷性脳障害後の1年間、患者の半分以上が大うつ病性障害を発症

外傷性脳障害を負った人の半数以上が、その後1年間に大うつ病性障害(MDD)を発症していることがわかった。なかでも、障害を負った時点やそれ以前にMDD歴のある人が、障害後の発症リスクが高かった。米国ワシントン大学リハビリテーション部門のCharles H. Bombardier氏らが、外傷性脳障害を負った500人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。53.1%がMDD発症、事故当時MDDの人はリスクが1.6倍同氏らは、2001年6月~2005年3月にかけて、中等度から重度の外傷性脳障害で入院した559人について、事故発生後1、6、8、10、12ヵ月時点に、それぞれ電話によるインタビューを行った。その結果、いずれかの調査でMDDの症状が認められたのは、全体の53.1%にあたる297人に上った。MDD発症率は、事故1ヵ月後が31%、同6ヵ月後が21%だった。なかでも、事故当時にMDDを有していた人は、事故後1年間の同発症リスクが大きく、リスク比は1.62(95%信頼区間:1.37~1.91)だった。事故当時はMDDを有していなかったが、それ以前にMDD歴のある人の同リスク比も高く、1.54(同:1.31~1.82)だった。MDD発症者の不安障害リスクはそうでない人の約9倍また、年齢が60歳以上だと、18~29歳に比べ、事故後1年間のMDD発症リスクは小さく、リスク比は0.61(同:0.44~0.83)だった。一方、アルコール依存症歴のある人の同リスクは大きく、リスク比は1.34(同:1.14~1.57)だった。事故後1年間にMDDを発症した人の不安障害の発症率は60%で、MDDを発症しなかった人の同7%に比べ、リスク比は8.77倍(同:5.56~13.83)にも上った。なお、MDDを発症した人のうち、抗うつ薬の処方やカウンセリングを受けたのは、44%にとどまっていた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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本当に病気? うつ病の診断後、疑問を持った患者は約半数

株式会社QLifeは14日、うつ病患者が「医療機関での治療」をどう捉えているか、について、うつ病患者1000名(回復群500名、未回復群500名)を対象にアンケートを行った結果を発表した。調査結果によると、一般的に精神科受診は他科受診に比べ抵抗感が強いといわれるが、実際には半数近い患者が精神科受診に全くためらいを感じていないことがわかった。受診を強くためらった患者は2割強と少なく、男性や中高年層の方が、受診に抵抗感がなかった。また、精神疾患は自己診断が難しいといわれるが、実際には、患者の8割近くが、受診前から自分がうつ病という可能性を疑っていた。その一方で、「うつ病」と診断された後でも「本当に病気か」などと疑問に思ったことのある人が半数近くにのぼる。この数字は前述の結論と矛盾するようだが、「単なる心の悩みではなく、病気だ」と医師に診断された後でも、完全には納得できずに不安を持ち続ける患者が多い様子が伺える。なお、6割弱の患者が薬物療法に疑問を感じる。一番多い疑問は「薬の内容や量が不適切ではないか」であり、疑問を感じた人の5割を占めた。全体的に、女性、若年層の方が、診断や薬物療法に疑問を持ちやすい傾向があった。また、うつ病から回復した元患者が考える「改善のきっかけ」は様々であった。「時間と共になんとなく」「休養で」「薬が効いた」がそれぞれ4割程度。一方で「悩みの見直し」「家族や友人との会話」「主治医や医療者との会話」といった心理学的なきっかけを挙げる人もそれぞれ3割程度いた。「その他のきっかけ」を挙げた人の半数近く(=未回復群全体の1割強)が、うつ病回復のきっかけとして「退職」「転職」「結婚」など大きな環境変化で回復していた。うつ病の治療においては「会社を辞めるなど重要な決断をしてはいけない」と強調されるが、実際には退職や転職がうつ病回復のきっかけになったと捉えている患者が少なくないことがわかった。逆に、うつ病未回復群が考える「回復しない要因」としては、「自分の考え方や性格のため」が7割強と一番多く、「抱えている問題が深刻なため」が5割強と続いた。「薬の効果が不十分」や「治療内容が問題」を理由として挙げるものはそれぞれ1割程度と、回復しない原因を医療に帰す患者は少数派だった。詳細はこちら(PDF)http://www.qlife.co.jp/news/1005014qlife_news.pdf

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venlafaxineは、うつ病患者の心臓突然死リスクを増大させない

 venlafaxineは他の一般的な抗うつ薬に比べ、うつ病や不安障害患者の心臓突然死のリスクを増大させないことが、カナダMcGill大学疫学・生物統計学科のCarlos Martinez氏らの調査で明らかとなった。イギリスでは、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)であるvenlafaxineは、他の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に比べ致死的な過剰摂取率が高いことが報告され、患者の背景因子(自殺リスクが高い患者など)、venlafaxine固有の毒性、催不整脈作用などの原因が指摘されている。治療量のvenlafaxineが心臓突然死や致死的な不整脈のリスクを増大させる可能性については、これまで検討されていなかったという。BMJ誌2010年2月13日号(オンライン版2010年2月5日号)掲載の報告。Venlafaxineと他の一般的な抗うつ薬の心臓突然死リスクを評価 研究グループは、venlafaxineが他の一般的な抗うつ薬に比べ心臓突然死あるいは重症左室不整脈のリスクを増大させる可能性について評価する、地域住民ベースのコホート内症例対照研究を実施した。 イギリスの一般医の診療情報が記録されたGeneral Practice Research Databaseを用い、1995年1月以降に新規にvenlafaxine、fluoxetine、citalopram、ドスレピン(商品名:プロチアデン)の使用を開始した18~89歳のうつ病あるいは不安障害の患者を対象とした。 フォローアップは2005年2月あるいは心臓突然死や瀕死の病態(診療記録で非致死的な急性左室頻脈や突然死が心臓に起因することを確認)、急性の虚血性心イベントによる院外死を発現するまで行った。個々の患者に対し、年齢、性別、暦時間、適応で調整した対照を30人ずつ選択した。venlafaxine群の心臓突然死リスクは他の抗うつ薬と同等 20万7,384人が登録され、平均3.3年のフォローアップが行われた。心臓突然死あるいは瀕死の病態は568人(急性左室頻脈27人、心臓突然死236人、虚血性心イベントによる院外死305人)に認め、背景因子をマッチさせた対照は1万4,812人であった。 心臓突然死、瀕死の病態の内訳は、venlafaxine群18人(3.2%)、fluoxetine群63人(11.1%)、citalopram群39人(6.9%)、ドスレピン群35人(6.2%)であった。venlafaxineに関連した心臓突然死、瀕死の病態の補正オッズ比は、fluoxetineとの比較では0.66(95%信頼区間:0.38~1.14)、citalopramとの比較では0.89(同:0.50~1.60)、ドスレピンに対しては0.83(同:0.46~1.52)であった。 このように、venlafaxineによる心臓突然死、瀕死の病態の頻度は他の抗うつ薬3剤と有意な差はなく、むしろ低い傾向がみられたことから、著者は「venlafaxineは、うつ病や不安障害患者の心臓突然死リスクを過度に増大させることはない」と結論している。なお、venlafaxineは一般的なSSRIに比べ好ましくない有害事象の頻度が高く治療中止例が多いことを示唆するデータがあるため注意を要するという。

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抗うつ薬「サインバルタ カプセル20mg/30mg」 製造販売承認を取得

塩野義製薬株式会社は20日、うつ病・うつ状態の治療薬として、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤「サインバルタ カプセル20mg/30mg」(一般名:デュロキセチン塩酸塩)の製造販売承認を取得したと発表した。サインバルタは、米国イーライリリー社で創製されたセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)で、2004年8月の米国での発売以来、95ヶ国で承認され約1800万人に処方されている。日本国内における臨床試験については、塩野義製薬が中心となって開発を進めていた。同剤は、1日1回の経口投与で、精神症状のみならず身体症状も含めた多様なうつ症状に対する効果および良好な寛解率が期待できるという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.shionogi.co.jp/ir/news/detail/100120.pdf

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多彩な冠疾患のリスクマーカー、その強みと弱み

冠疾患との関連が指摘されるリスクマーカーは心理社会的、行動的、生物学的など多様である一方、それぞれが現にガイドラインに含まれている。そうした中で、これまでのシステマティックレビューは、1つのリスクマーカー、1つの研究デザインに焦点を合わせた「縦」の比較検討がされてきたが、異なるタイプのリスクマーカー、異なる固有の限界や不足を有する異なる研究デザインを組み込んでの「水平」比較が必要ではないかとの指摘が高まった。ロンドン大学衛生熱帯医学校のHannah Kuper氏らは、この「水平」比較に取り組み、BMJ誌2009年11月28日号(オンライン版2009年11月5日号)で結果を発表した。うつ、運動、CRP、2型糖尿病の4つのリスクマーカーを水平比較冠疾患の多様なリスクマーカーのエビデンスを系統的に比較するための新しい方法論を開発し、さらに求められたエビデンスとガイドラインにおける勧告とを比較するため、Kuper氏らは、Medlineとガイドラインを基に水平システマティックレビューを行った。2人のレビュアーにより、4つのリスクマーカー(うつ、運動、C反応性蛋白:CRP、2型糖尿病)のエビデンスを求めた3つの異なる試験デザイン(観察研究、遺伝子研究、無作為化試験)の適格性を判定。4つのリスクマーカーについて、観察研究の大規模メタ解析、遺伝学的研究、メタ解析と個々の無作為化試験の分析が行われた。現行ガイドラインは、うつとの関連に重きを置きすぎている観察研究のメタ解析による冠疾患の補正相対リスクは、うつが1.9(95%信頼区間:1.5~2.4)、運動の最高と最低との4分位の比較で0.7(0.5~1.0)、CRPの最高と最低との3分位の比較で1.6(1.5~1.7)、そして糖尿病では女性は3.0(2.4~3.7)、男性は2.0(1.8~2.3)だった。事前特定された試験の限界は、うつと運動で最も多く見られたという。遺伝的変化を用いて交絡因子を排除するメンデル無作為化試験のメタ解析では、CRPを特定することはできた(ただしそれがもたらす影響の裏づけはできなかった)が、運動、糖尿病、うつの影響については確認できなかった。無作為化試験の検討からは、冠疾患の発病率とうつ、運動、CRPとの関連を示すエビデンスは求められず、糖尿病患者の試験において、血糖コントロールが冠疾患リスクに対する予防効果があることがわずかに認められた。冠疾患患者にうつ病治療を行っていた4つの無作為化試験は、いずれも冠動脈イベントリスクの低下は示されていなかった。これらを踏まえ、2007年に公表された2つのガイドラインと今回の水平エビデンス・レビューとを比較した結果、ガイドラインではうつに重きを置きすぎているという点で明らかな食い違いが見られたという。研究グループは、今回の水平システマティックレビューによって、うつ、運動、CRP、糖尿病を冠疾患の原因とするエビデンスの弱みと強みを特定することができたと述べ、この新しい手法が、今後のガイドラインおよび研究開発に寄与するであろうと報告をまとめている。

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大塚製薬 中枢神経系疾患における共同研究を延長

大塚製薬株式会社は2日、同社とGalenea Corporation (本社:米国マサチューセッツ州、以下「ガレニア社」) は、統合失調症や双極性障害などを含む中枢神経系疾患の革新的治療薬を創出するための共同研究を1年間延長することに合意したと発表した。同社とガレニア社は、脳の記憶・認知などに重要な働きをするタンパク質脱リン酸化酵素「カルシニューリン」の中枢神経系疾患への関与の可能性に着目し、統合失調症やその他の中枢神経系疾患に対するファースト・イン・クラスの治療薬の創出を目指し、2005年1月より共同研究を行っている。今回の合意に基づき、両社の共同研究契約期間は、6年から7年へ延長され、さらに大塚製薬からガレニア社へ共同研究期間中に支払われる研究開発資金は総額最大約 9,000万米ドルになる。同資金は両社で運営する研究チームの研究開発に提供される。両社は、2008年10月にも共同研究期間を1年延長している。詳細はプレスリリースへhttp://www.otsuka.co.jp/company/release/2009/1202_01.html

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認識されずに治療されなかった疾患 ~社交不安障害の新たな治療選択肢~

11月18日、丸ビルコンファレンススクエア(東京都千代田区)において「社交不安障害※(Social Anxiety Disorder:SAD)」についてのメディアセミナー(グラクソ・スミスクライン株式会社主催)(演者:山田和夫医師 東洋英和女学院大学 人間科学部 教授/和楽会横浜クリニック院長)が開催された。その内容をレポートする。「結婚式のスピーチで汗びっしょりになってしまう」「高級レストランで手が震えてナイフを落としてしまう」一般的に「あがり症」と言われるこの症状も、場合によっては日常生活に多大な支障をきたすことがある。SADとは?その症状SADは、人前で話をするなど注目が集まる状況に強い不安や恐怖を感じ、日常生活に大きな支障を生じさせる疾患である。「不安に耐え切れず会社を辞めてしまう」「外出を避け引きこもるようになる」など重症化すると、その人の人生に大きな影響を与えかねない。手足の震え、動悸、吐き気、赤面といった自律神経症状が主症状のため、「性格的なもの」「自意識過剰」と周囲から判断されることも多い。SADの診断とそこに潜む問題点この病の診断はうつ病や認知症同様難しい。SADの診断基準として海外ではLSAS(Liebowitz Social Anxiety Scale)が広く使用されているが、国内で患者を診る場合、日本語版であるLSAS-Jを用いることが推奨されている。この総得点が高い場合にSADの可能性を疑う。患者の多くは10~20代で発症するので、診断時には「症状がいつから始まったか」についても確認することが大切だ。スコアが高く、さらに14歳頃など思春期からその症状が始まっている場合はSADの可能性がある。このようにSAD患者の多くは、思春期からその症状に悩まされている。しかし来院するのは、ほとんどの場合社会人になってからだ。そのため、かなり症状が進行していることが多い。さらに病院へ行ってからもSADと診断されるまでに時間がかかる。何軒も病院をまわった後にようやく診断されるケースがほとんどだという。「SADの診断は難しいが、疾患の可能性が思い浮かべば、患者の診断時期が早まり進行が抑えられる可能性が高くなる。だからまずはSADという疾患を認識することから始めてほしい」演者の山田医師はそう呼びかけた。広がるSAD治療の選択肢前述のようにSADは診断が難しい病気だが、薬物療法が奏功しやすい疾患でもある。SADの発症機序自体は未だ明確ではないが、セロトニンの放出バランスが崩れることが原因のひとつと考えられている。そのため治療はSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors)が奏功する可能性が高い。SSRIを投与することで、一旦放出されたセロトニンがもとの神経細胞に再取り込みされることを防ぎ、神経細胞間の遊離セロトニン量のバランスを保つことができるからだ。2009年10月、SSRIであるパロキセチン(商品名:パキシル)が新たにSADの適応を取得した。国内で販売しているSSRIの中では2005年のフルボキサミン(商品名:デプロメール、ルボックス)に続き2剤目の適応だ。同剤のSADに対する有効性は国内外の臨床試験で確認されている。SSRIを中心とした薬物治療により症状が改善すれば「人生が変わった」「生きがいを持てた」と感じる患者も増えるだろう。今回パロキセチンが適応を取得したことでSAD治療の選択肢はまたひとつ広がったといえる。※2008年に日本精神神経学会において「社会不安障害」は「社交不安障害」に名称が改められた。パロキセチンは名称変更前の2007年に適応追加申請を行い「社会不安障害」として承認されている。(ケアネット 佐藤寿美)

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うつ病患者の6割「痛み」伴うも、「患者の多くに『痛み』ある」医師の認識は3割にとどまる

「うつの痛み」情報センターは、患者と医師の「うつ病に伴う身体症状としての『痛み』の認識」や、「患者さんに及ぼす影響」などを明らかにするため、WFMH(世界精神保健連盟)、イーライリリー社及びパートナー企業が実施した世界調査“Depression:The Painful Truth” と同じ内容の調査を、日本国内で実施し、調査結果を発表した。日本イーライリリー株式会社が17日に報告した。この調査は、過去5年以内にうつ病と診断され、現在うつ病治療薬を服用している患者(有効回収数:297)およびうつ病、うつ状態の患者を1ヵ月に1人以上診察している一般内科医師および精神科医(有効回収数:309)を対象に実施された。その結果、患者の6割が身体の「痛み」を経験している一方、医師の「患者さんの多くに『痛み』がある」との認識は3割に留まり、患者と医師の認識のギャップが明らかになった。また、医師は、「痛み」の治療がより良い治療に繋がると認識しているにもかかわらず、多くの患者は「痛み」がうつ病の症状のひとつであるという認識がなく、医者に伝えないままで、より良い治療に繋がっていないことがわかった。患者側の認識では、うつ病の診断前に「痛み」がうつ病の症状の一つだと知っていた人はわずか21.9%で、うつ病の痛みは「頭痛」だけではなく、「最も痛みがひどい」症状の66.3%は「頭痛」以外の症状であったという。また、「痛み」が原因で仕事を休んだ平均日数は年間106.7日で、「痛み」が原因で、仕事の能率は平均51.0%低下し、「痛み」が原因で家事の能率は平均52.1%低下するとのことであった。一方、医師側の認識では、62.8%が「身体的な痛みの治療が成功しないと再発リスクが増大する」と認識しており、約7割にあたる68.9%の医師が「精神的、身体的な痛み双方の治療で症状消失の可能性大」と認識していた。調査結果の詳細はこちらhttp://www.utsu.ne.jp/itami/survey/outline.html

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抗うつ薬処方が増大している真の理由:英国

英国における抗うつ薬処方は、ここ20年で実質的にかなりの伸びを示したという。処方率の増加は1970年代中頃から確認されているが、特に2000~2005年の間に処方率は36%増、コストは20%増を示した。その半分は、45%増という伸びを示した選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が占めた。2005年以降も、特許切れを迎えた製剤がありコストは減少したが、SSRIについてはさらに増加しているという。英国・サウサンプトン大学Aldermoor医療センターのMichael Moore氏らは、こうした長期的増加傾向の要因について、登録患者300万人分が集約されている開業医リサーチデータベース「GPRD」を使って明らかにすることを試みた。BMJ誌2009年10月24日号(オンライン版2009年10月15日号)より。開業医研究データベースから長期変化を読み取る本調査は、GPRDから開業医の処方パターンの長期変化を読み取ることを目的とした。具体的には、新規うつ病患者は増えているのか、抗うつ薬新規処方の割合は増えているのか、新規症例に対し処方期間は長くなっているのか、全体的に抗うつ薬の長期投与(再処方)例が増えているのかが調べられた。対象としたのは、GPRDの1993~2005年のデータのうち、同年期間中のデータが集約可能であった170診療所170万人分のデータ中の新規うつ病全症例とした。患者発生率は減少傾向、一方で長期治療が必要な患者が増えていることが明らかに対象期間中、初発のうつ病エピソード患者は18万9,851例だった。そのうち15万825例(79.4%)が、診断を初めて受けた年に抗うつ薬を処方されていた。この割合は調査期間中ほぼ一定していた。新規症例は、若い女性で増加していた。しかしそれ以外では、わずかだが減少しており、総発生率は、わずかだが減少していた。男性は、1993年は7.83件/1,000患者・年だったが、2005年は5.97件/1,000患者・年に、女性は15.83件/1,000患者・年から10.06件/1,000患者・年へと減少している。一方で、1患者当たりの平均処方回数が、1993年の2.8回が、2005年には5.6回とほぼ2倍になっていた。抗うつ薬処方の大半は、維持療法として、あるいはうつのさまざまなエピソードを呈する患者に断続的に投与されていた。これらからMoore氏は、「抗うつ薬処方率の増大は、主に維持療法を受けている患者が、わずかずつだが増えているためと説明できる。これまでの臨床ガイドラインは、抗うつ薬の開始についておよびターゲッティングに集中していたが、抗うつ薬処方のコスト増大に言及するには、今後の研究およびガイドラインでは、長期投与例の妥当性、処方の定期的なレビューについて注目する必要がある」と結論した。

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心不全患者へのアルドステロン拮抗薬処方、適応患者の3分の1:米国調査結果

アルドステロン拮抗薬(商品名:セララ)が適応となる心不全患者のうち、退院時に同薬の処方を受けていたのは、3分の1にも満たないことが明らかになった。病院間での処方率の格差も大きかった。米国Cleveland ClinicのNancy M. Albert氏らの調べで明らかになったもので、JAMA誌2009年10月21日号で発表されている。これまでの研究から、アルドステロン拮抗薬は、中等度から重度の心不全患者に対して有効であることが明らかになっている。そのため米国心臓協会(AHA)などの臨床ガイドラインでも、投与が勧告されている。アルドステロン拮抗薬処方は適応患者の32.5%、調査期間中やや増加の傾向同研究グループは、臨床ガイドラインに沿った診療の推進を目的とした全米プログラム、「Get With The Guidelines–HF」に参加する、241の病院で観察研究を行った。試験期間は2005年1月~2007年12月で、期間中に心不全で入・退院した人は合わせて4万3,625人に上った。そのうち、アルドステロン拮抗薬が適応だった1万2,565人中、退院時に同薬の処方を受けていたのは、4,087人(32.5%)に留まった。同割合は試験期間中、28%から34%へとわずかに増加傾向は見られてはいる。一方、同割合の病院間格差は、0~90.6%と大きかった。不適切処方は期間を通じて低率アルドステロン拮抗薬の処方増の要因は、アフリカ系アメリカ人(補正後オッズ比:1.17)への処方増加、植え込み型除細動器の病歴のある人(同:1.51)、うつ病(同:1.15)、アルコール摂取(同:1.23)、ペースメーカー挿入(同:1.21)が挙げられた。一方、減少要因は、年齢が若い(同:0.85)、低収縮期血圧(同:0.94)、腎機能不全歴なし(同:0.85)だった。また、血清クレアチン値とカリウム値を基準に用いた場合、アルドステロン拮抗薬の不適切処方の割合は、試験期間中を通じて低く抑えられていた。(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)

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うつがあると肥満になるリスクが高い:うつと肥満の相互関係

うつ病や不安障害といったありふれた精神疾患は肥満になりやすいのか、あるいは肥満であることがうつや不安をもたらすのか、相互の関連性については明らかになっていない。ロンドン大学疫学・公衆衛生部門のMika Kivimaki氏らは、両者間に用量反応の関係性が存在するのかを調査した。BMJ誌2009年10月17日号(オンライン版2009年10月6日号)より。オフィス公務員4,363例の4期19年間の、うつと肥満の追跡データを解析うつと肥満の相互関連性は、1985年に始められたイギリス・ロンドンのオフィス公務員を対象とする前向きコホートスタディ「Whitehall IIスタディ」の参加者(基線時被験者:35~55歳、10,308例)を対象に、「1985~1988年:0期」「1991~1993年:1期」「1997~1999年:2期」「2003~2004年:3期」の4期19年間にわたる、うつ病等および肥満のデータを調べ検討された。4期にわたるデータが解析されたのは、4,363例(女性28%、基線時の被験者平均年齢44歳)。一般的な健康調査で「事例」として定義されるありふれた精神疾患、およびWHOの過体重、肥満の定義に基づき調査された。うつがある人には肥満が予測されるが、逆のエビデンスは弱い年齢、性、基線時BMI値での補正後モデルで、精神疾患がなく肥満だった人と比べて、精神疾患があり肥満だった人のオッズ比は、1期で1.33(95%信頼区間:1.00~1.77)、2期で1.64(1.13~2.36)、3期で2.01(1.21~3.34)だった(傾向のP

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パキシルが社会不安障害の適応を取得

 グラクソ・スミスクライン株式会社は16日、抗うつ剤 「パキシル錠 10mg」「パキシル錠 20mg」(一般名:パロキセチン塩酸塩水和物)について、「社会不安障害」を効能・効果として、厚生労働省より適応追加の承認を取得したと発表した。 社会不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)とは、人前で注目が集まるような状況に対し、強い不安や恐怖を感じる疾患で、自分が恥をかくのではないかという心配や手足の震え、動悸、吐き気、赤面、尿意などの自律神経症状が現れる。症状の起こりやすい状況としては、人前で話をする、文字を書く、人と食事をする、電話の応対時などがあり、強い苦痛を感じたり、そのような状況を回避するようになり、日常生活に大きな支障を来たす疾患である。 「パキシル錠」はうつ病・うつ状態に加え、多くの不安障害の適応を有するSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:選択的セロトニン再取り込み阻害剤)。2009年4月現在、「うつ病・うつ状態」および「パニック障害」でそれぞれ世界110ヵ国以上、「強迫性障害」で100ヵ国以上、「全般性不安障害」および「外傷後ストレス障害」でそれぞれ80ヵ国以上、「社会不安障害」の治療薬としても100ヵ国以上で承認されている。1日1回夕食後服用と簡便であり患者の服薬の負担を軽減する。 日本においては、2000年11月より「うつ病・うつ状態」及び「パニック障害」の適応症にて発売し、2006年1月には「強迫性障害」の効能・効果を取得している。 パキシルは、世界でこれまでに延べ1億人以上の患者に使用されている。日本でも2008年4月から2009年3月までの1年間で延べ120万人以上に使用されている。 詳細はプレスリリースへhttp://glaxosmithkline.co.jp/press/press/2009_07/P1000584.html

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ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤 リフレックス(ミルタザピン)新発売

明治製菓株式会社は7日、ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤「リフレックス錠15㎎」(一般名:ミルタザピン)を発売した。本製品は、9月4日に薬価収載された。リフレックスは、N.V.オルガノン社(現シェリング・プラウコーポレーション)が創製したうつ病治療薬で、1994年にオランダで発売されて以来、世界90ヵ国以上で承認されている。また、その特徴的な作用メカニズムによって、海外では『ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ薬(NaSSA:Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)』というカテゴリーに分類され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)とは異なる作用機序を持つ薬剤として知られている。1日1回就寝前服用の簡便な用法で、服用開始1週目から、うつ病・うつ状態にある患者の不眠や不安・焦燥感といった症状を速やかにしっかりと改善するなど、うつ病・うつ状態に対する効果の早期発現と優れた有効性を合わせ持つ。同社は、「うつ病の寛解(REmission)、そしてその先の回復(REcovery)をかなえ、患者さんの人生をしなやかで柔軟(FLEXibility)なものにする」という思いを込めて、「リフレックス(REFLEX)」と名付けたという。また、発売に備えて中枢神経系領域専任医薬情報担当者を100名体制に拡充し、市場への早期浸透を図っていくとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.meiji.co.jp/corp/news/2009/0907.html

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新規作用メカニズムの抗うつ剤 レメロン(ミルタザピン)発売

シェリング・プラウ株式会社は7日、約10年ぶりに登場する新規作用メカニズムを持つ抗うつ剤「レメロン錠15mg」(一般名:ミルタザピン)を新発売した。レメロン錠は10年ぶりに登場する特徴的な作用メカニズムである『NaSSA(Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant):ノルアドレナリン作動性・特異的セロトニン作動性抗うつ剤』と称される新規のカテゴリーに属し、既存の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI:Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI:Serotonin Noradrenaline Reuptake Inhibitor)とは全く異なるタイプの新しいうつ病治療剤となる。日本における臨床試験では、この領域では実施することが難しいとされているプラセボ対照比較試験において、投与1週目から有意な改善効果が示され、日本で初めてプラセボに対して抗うつ効果における優越性が検証された。さらに、長期投与試験においては、52週まで抗うつ効果が維持されることも示されたという。これらの結果で示されている通り、レメロン錠は、投与1週目からの早い効果の発現と長期にわたる効果の維持という特長を持ち合わせた薬剤といえる。レメロン錠はN.V.オルガノン社(2007年11月19日、シェリング・プラウ・コーポレーションと統合)が創製したうつ病治療薬で、1994年に製品名『REMERON』としてオランダで発売されて以来、現在では世界90ヵ国以上で販売されており、日本では明治製菓株式会社と共同開発を行い、本年7月7日に製造販売承認を取得していた。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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抗うつ薬、自殺リスクの低下効果は年齢依存的

抗うつ薬と青少年の自殺の危険性(自殺念慮/企図リスク)は注意を要する問題であるが、その一方で、疫学研究では、抗うつ薬の投与により自殺率が下がる傾向が確認されていている。この相違を確かめるため、米国食品医薬品局(FDA)のMarc Stone氏ら研究グループは、成人を対象とする抗うつ薬臨床試験における自殺行動のリスク評価を試みた。BMJ誌2009年8月22日号(オンライン版2009年8月11日号)より。被験者約10万人のプラセボ対照試験をメタ解析FDA研究グループは、12の承認抗うつ薬に関する372の二重盲検無作為化プラセボ対照試験についてメタ解析を行った。参加者は成人9万9,231人。被験者の年齢中央値は42歳で、63.1%が女性だった。治療の適応は、大うつ病(45.6%)、その他のうつ病(4.6%)、その他の精神障害(27.6%)と非精神障害(22.2%)であった。主要評価項目は自殺行動(自殺既遂、自殺未遂または予備行為)と自殺念慮とした。解析の結果、非精神病的患者群においては、自殺行動と自殺念慮は非常にまれだったが、精神病患者群では、リスクと年齢に関連が見られた。「自殺行動・自殺念慮」もしくは「自殺行動のみ」のオッズ比は、25歳未満ではそれぞれ1.62(95%信頼区間:0.97~2.71)、2.30(同:1.04~5.09)、25~64歳では0.79(同:0.64~0.98)と0.87(同:0.58~1.29)、65歳以上では0.37(同:0.18~0.76)、0.06(同:0.01~0.58)だった。自殺傾向リスクが年齢依存的に確認年齢を連続変数としてモデル化した場合、自殺行動・自殺念慮のオッズ比は、年齢ごとに2.6%(-3.9%~-1.3%、P=0.0001)の割合で減少した。さらに、自殺行動だけでみると、オッズ比は年齢ごとに4.6%(-7.4%~-1.8%、P=0.001)の割合で減少。抗うつ薬投与に伴う自殺傾向リスクは、年齢に強く依存していた。プラセボと比較すると、25歳未満成人における自殺傾向と自殺行動のリスク増加は、これまで小児と未成年者でみられた値に近かかった。自殺行動に対するネット効果は明らかではないが、おそらく25~64歳の自殺念慮に対しては保護的に作用し、65歳以上では自殺傾向と自殺行動のリスクを低下させると推測している。

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米国FDAが向精神病薬SAPHRISを承認

米国シェリング・プラウ・コーポレーションは、SAPHRIS(一般名:asenapine)舌下錠の成人統合失調症および精神症状の有無を問わない成人双極I型障害に伴う躁病または混合エピソードの急性期治療に対する承認を米国食品医薬品局(FDA)より取得したことを発表した。SAPHRISは、第一選択薬として使用することができ、また、両適応について同時に初回承認された最初の向精神病薬。28日に、同社の日本法人が報告した。欧州ではasenapineはSYCRESTという販売名で、統合失調症および双極I型障害に伴う躁病エピソードの治療薬として販売承認申請(MAA)を行い、現在、欧州医薬品庁(EMEA)による承認審査が行われている。同社は、本製品を開発したオルガノン・バイオサイエンスとの統合により、2007年11月にasenapineを取得した。 FDAによるSAPHRISの承認は、3,000例以上を対象とした統合失調症および双極性障害の躁状態試験からなる臨床試験プログラムからの有効性データを含む新薬承認申請(NDA)に基づいている。SAPHRISの申請では、2年以上の治療を受けた患者を含む4,500例の安全性データが提出されている。今回の承認は、SAPHRIS(5mgの1日2回投与)がプラセボと比較して統計学的に有意な有効性が実証された急性統合失調症試験の成績と、SAPHRIS(10mgの1日2回投与)がプラセボと比較して統計学的に有意に双極性障害の躁状態を減少させることが実証された急性双極I型障害試験の成績に基づいている。SAPHRISは、2009年の第4四半期に米国で発売される予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.schering-plough.co.jp/press/index.html

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