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新型コロナワクチン、予診票で確認すべきポイントは?/厚労省

 4月12日以降に予定されている高齢者への新型コロナワクチン接種開始を前に、厚生労働省は3月26日、新型コロナワクチン「予診票の確認のポイント」を公開した。予診票記載の14項目について接種前に確認すべき点がまとめられている。事務職員が確認可能な項目、最終的に医師の確認が必要な項目についても整理されている。既往症、現在の治療内容についての確認ポイント 予診票には、「現在何らかの病気にかかって治療(投薬など)を受けていますか」という問いが設けられ、抗凝固薬(血をサラサラにする薬と表記)の利用状況を問う項目が設けられている。確認ポイントとしては、とくに以下に該当するかに注意して接種の判断をするよう求めている:・基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い場合 体調が回復してから接種することが大切なため、体調が悪いときの接種は控える。体調がよくなった頃に、改めて次の接種を相談するよう説明する。接種後の軽度の副反応が重篤な転帰に繋がることのないよう、とくに慎重に予防接種の適否を判断する必要がある。・免疫不全、血が止まりにくい病気のある場合や、抗凝固薬を服用している場合 免疫不全のある方は、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクが高いとされている。米国CDCの見解では、現時点で、有効性と安全性に関する確立されたデータはないが、他の接種不適当者の条件に該当しなければ、接種は可能としている。 血が止まりにくい病気のある方や、抗凝固薬を服用している方は、筋肉内出血のリスクがあるため、接種後2分以上、強めに接種部位を圧迫してもらう必要はあるが、接種は可能(なお、抗血小板薬を服用している方は、筋肉内出血のリスクではないとされているので、接種は可能。ただし、止血に時間がかかる可能性があることに留意が必要)※なお厚労省では、「血をサラサラにする薬を飲まれている方へ」と題した情報提供用資料も公開している。・アレルギー疾患のある方 アレルギー歴についての確認ポイントを参照。アレルギー歴についての確認ポイント 予診票には、「薬や食品などで、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがありますか」という問いが設けられ、「薬・食品など原因となったもの」が記載できる。ここでの確認のポイントとしては、下記のようにまとめられている:・接種するワクチンの成分に対し重度の過敏症の既往のある人は、接種不適当者に該当・1回目の接種でアナフィラキシーを起こした人は、2回目の接種はできない・食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症含む)、蕁麻疹、アレルギー体質等だけでは、接種不適当者にはならず、接種するワクチンの成分に関係のないものに対するアレルギーを持つ方も接種は可能・ただし、即時型のアレルギー反応の既往歴がある人は、接種要注意者として、接種後30分間の経過観察をする さらに、「接種するワクチンの成分」について、ファイザー社のワクチンに含まれるポリエチレングリコールや、交差反応性が懸念されているポリソルベートが含まれる製品例や、接種判断の考え方が解説されている。 今回発表された「予診票の確認のポイント」では、上記2項目を含め、下記の全14項目について、確認のポイントとその解説がまとめられている。1~4、13は事務職員等が確認可能とされ、その他の項目も、記入の有無などの確認は事務職員等が行うことができるとされている。5~12、14については、最終的に医師が確認した上で接種を判断する必要があるとしたうえで、これらの項目も、記載内容を医師以外の医療従事者があらかじめ確認することで、医師の予診の時間が短縮されると考えられるとしている。[確認のポイントが示された予診票記載の14項目]1.新型コロナワクチンの接種を初めて受けますか。2.現時点で住民票のある市町村と、クーポン券に記載されている市町村は同じですか。3.「新型コロナワクチンの説明書」を読んで、効果や副反応などについて理解しましたか。4.接種順位の上位となる対象グループに該当しますか。5.現在何らかの病気にかかって治療(投薬など)を受けていますか。6.その病気を診てもらっている医師に今日の予防接種を受けてよいと言われましたか。7.最近1か月以内に熱が出たり、病気にかかったりしましたか。8.今日、体に具合が悪いところがありますか。9.けいれん(ひきつけ)を起こしたことがありますか。10.薬や食品などで、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)を起こしたことがありますか。11.これまでに予防接種を受けて具合が悪くなったことはありますか。12.現在妊娠している可能性(生理が予定より遅れているなど)はありますか。または、授乳中ですか。13.2週間以内に予防接種を受けましたか。14.今日の予防接種について質問がありますか。

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中等~重症アトピー性皮膚炎、abrocitinib vs.デュピルマブ/NEJM

 中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者において、abrocitinibは1日1回200mgまたは100mgのいずれの用量でも、プラセボと比較し12週および16週時の所見および症状を有意に改善した。デュピルマブに対しては、abrocitinib 200mgは2週時のそう痒の改善に関し優越性が認められたが、同100mgは認められなかった。ドイツ・ボン大学病院のThomas Bieber氏らが行った無作為化二重盲検第III相試験「JADE COMPARE試験」で示された。インターロイキン(IL)-4およびIL-13のシグナル伝達を抑制する経口ヤヌスキナーゼ1(JAK1)阻害薬abrocitinibは、アトピー性皮膚炎の治療薬として検討されているが、デュピルマブのようなIL-4受容体を阻害するモノクローナル抗体とJAK1阻害薬を比較検証したデータには限りがあった。NEJM誌2021年3月25日号掲載の報告。中等症~重症AD患者約840例を対象に試験 研究グループは、外用薬の効果が不十分または全身療法が必要なアトピー性皮膚炎患者を、abrocitinib 200mg(1日1回経口投与)群、100mg(同)群、デュピルマブ300mg(負荷投与量600mg、隔週皮下投与)群、またはプラセボ群に、2対2対2対1の割合で無作為に割り付けた。全例に対し、外用療法も行った。 主要評価項目は、12週時点における医師による皮膚症状重症度の全般評価(Investigator's Global Assessment:IGA、スコア範囲:0~4点)での奏効率(IGAスコアが0[消失]または1[ほぼ消失]、かつベースラインから2点以上改善と定義)、ならびに湿疹面積・重症度指数(Eczema Area and Severity Index:EASI、スコア範囲:0~72点)がベースラインから75%以上改善した患者の割合(EASI-75達成率)であった。 主な副次評価項目は、2週時点におけるそう痒(Peak Pruritus Numerical Rating Scale:PP-NRS、スコア範囲:0~10点)の改善(4点以上改善と定義)、16週時点でのIGA奏効、EASI-75達成率とした。 2018年10月29日~2019年8月5日に1,234例がスクリーニングを受け、838例が無作為化された(abrocitinib 200mg群226例、abrocitinib100mg群238例、デュピルマブ群243例、プラセボ群131例)。abrocitinib 200mg群のみ2週時のかゆみをデュピルマブより改善 12週時点におけるIGA奏効率は、abrocitinib 200mg群48.4%、abrocitinib 100mg群36.6%、デュピルマブ群36.5%、プラセボ群14.0%であった(両abrocitinib群のプラセボ群に対するp<0.001)。また、12週時点におけるEASI-75達成率は、それぞれ70.3%、58.7%、58.1%および27.1%であった(両abrocitinib群のプラセボ群に対するp<0.001)。 2週時点におけるそう痒の改善(PP-NRSがベースラインから4点以上改善した患者の割合)については、abrocitinib 200mg群(49.1%)はデュピルマブ群(26.4%)に対して優越性が認められたが、abrocitinib 100mg群(31.8%)では認められなかった。また、abrocitinib両用量群は、16週時のほとんどの副次評価項目に関してデュピルマブ群と有意差はなかった。 有害事象は、悪心がabrocitinib 200mg群11.1%、abrocitinib 100mg群4.2%に、ざ瘡がそれぞれ6.6%、2.9%に認められた。

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第49回 新型コロナと東日本大震災(後編) あの時の医療支援は、被災地の医療をどう変えたか?

東北沿岸部の医療を進化させた在宅医療の支援こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。3月11日を境に、東日本大震災の関連報道も一気に下火となりました。NHKは、先々週はドラマが主軸でしたが、11日を迎えた先週はドキュメンタリー中心で、考えさせられる番組も多かった印象です。中でも、3月11日の夜に放送された「定点映像 10年の記録〜100か所のカメラが映した“復興”〜」は、被災3県100カ所で定期的に撮影してきた映像を基につくられたドキュメンタリーで、被災地によって復興の歩みに大きな違いがあり、そこに住む人々の思いや生活も多様であることを、改めて我々に気づかせてくれる内容でした。番組の最後で被災地を取材してきたNHKの記者が、「被災地では一般の方々は復興という言葉をほぼ使わない。使っているのは行政であり、政治家であり、われわれマスコミ」と語り、「行政の復興は、基本は住まい。被災された方は住まいも大事だが、そこがゴールとは思っていない。復興という言葉をめぐる行政と一般の方々のズレが広がっている」と指摘していたのが印象的でした。さて、今回も引き続き、東日本大震災が医療に及ぼした影響について考えてみたいと思います。東日本大震災では、前回(第48回 新型コロナと東日本大震災(前編) あの時の経験は今、医療現場でどう役に立っているか?)書いたDMAT以外にも、さまざまな医療支援チームが被災地に入りました。日本医師会のJMAT、日本プライマリ・ケア連合学会のPCATなどは、急性期医療だけではなく、亜急性期や慢性期の患者にも臨機応変に対応しました。そんな中、被災地のそれまでの医療提供体制を一気に進化させた支援もありました。それは、東北沿岸部のいくつかの町で展開された「在宅医療」です。日本の10年後だった東北沿岸部東日本大震災は、高齢化が進んだ東北沿岸部を襲ったことにより、病院や介護施設など入院・入所“施設”主体であった日本の医療提供体制の問題点を浮き彫りにしました。今から10年前の2011年、日本人口はちょうど減少傾向に入ったばかりでした(日本の人口のピークは2008年の1億2,800万人)。当時、日本全体の高齢化率は23%(現在は約29%)。それに対し、東北沿岸部の市町村の多くは30%前後に達していました。つまり、震災当時の東北沿岸部は日本の10年後の姿だった、とも言えるわけです。震災直後は津波で道路が寸断され、自動車も流されて、病院に通えない患者が続出しました。また、停電が続いたことで電動ベッドが動かず、自宅や施設で褥瘡が悪化する患者が続出しました。その時、自宅や施設において渇望されたのは、病院での医療でなく、在宅医療でした。しかし、当時、東北沿岸部の多くの市町村において、在宅医療はまだ十分に普及・定着していませんでした。医療支援チームと一体になって在宅専門部隊を組織一例として、宮城県の沿岸部最北に位置する気仙沼市では、震災前までは基幹病院である気仙沼市立病院が市民の医療の最後の砦として、急性期から慢性期まで対応しており、同病院で死を迎える人も多かったと言われています。震災前から同病院でも急性期医療への特化が模索されてはいましたが、地域で在宅医療が定着しておらず、回復期の機能を持った病床も未整備で、急性期後の患者の退院先探しには難渋していました。そんな状況の中、東日本大震災が起こり、在宅医療のニーズが急速に高まったわけです。その危機をどう乗り越えたのか……。気仙沼では全国から集った医療支援チームと地元の開業医、市立病院の医師らが一体となって、急遽、「気仙沼巡回療養支援隊」が組織され、突発的な在宅医療のニーズに対応したのです。同支援隊の活動は約6ヵ月続き、地元の開業医に在宅患者を引き継ぐ形で終了しましたが、在宅医療や口腔ケア・摂食嚥下のサポートは着実に普及・定着していきました。10年経った今、気仙沼周辺は、在宅医療だけではなく、多職種連携でも先進地域となっています。それは、大震災で気仙沼巡回療養支援隊の活動をベースに、地元の医療機関や介護事業所のスタッフたちが、研修や交流などを継続し、連携を深めてきた結果だと言えます。2017年に新築移転した気仙沼市立病院も、病床を震災時の451床から340床(一般336床〈うち回復期リハビリ病床48床〉、感染症4床)まで一気にスリム化し、地域の医療機関との連携にも力を入れはじめている、とのことです。なお、気仙沼のように、地元のリソースで在宅医療を定着させた地域がある一方で、宮城県の石巻市や登米市などでは関東を本拠とする医療法人が在宅専門診療所を開設し、やはり在宅医療や医療連携の定着・普及に寄与しています。在宅医療のニーズ拡大はコロナ禍と似ている震災によって“弱者”である高齢者が自宅に留まらざるを得なくなって、在宅医療・介護のニーズが拡大した状況は、現在のコロナ禍と似ています。今、感染防止の観点から医療機関の受診を控える高齢者が増えています。また、がん手術後の患者や末期患者なども、病院ではなく自宅療養を選択する人が増加しています。コロナ患者についても、重症病床から回復期病床、在宅への流れがきちんと定まっていなかったことが、病床逼迫の一因であったことは確かです。今後の第4波の襲来に備え、通常診療の在宅医療での対応拡大や、コロナ回復患者の在宅医療での対応なども考えておく必要があるでしょう。そうした仕組みづくりには、ひょっとすると、気仙沼巡回療養支援隊をはじめとした被災地での在宅医療の展開事例が参考になるかもしれません。

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小児アトピー性皮膚炎、精神障害との関連は?

 小児アトピー性皮膚炎(AD)と精神障害との関連について、デンマークで行われた大規模な調査結果が発表された。デンマーク・コペンハーゲン大学のI. Vittrup氏らによる検討で、病院でADと診断された児において、病院で精神障害を診断されるリスクは高くなかったが、治療リスクは高く、AD児における精神的問題は一過性で可逆的であり、軽度~中等度である可能性が示唆されたという。これまで、成人ADは不安症やうつ病との関連が示されているが、小児ADは注意欠陥多動性障害(ADHD)との関係が示唆されているものの、他の精神障害との関連性はほとんどわかっていなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2021年1月16日号掲載の報告。 研究グループは、1995年1月1日~2012年12月31日にデンマークで誕生したすべての児を対象に、小児におけるADと小児精神障害の診断および治療との関連を調べた。病院でADと診断された児(1万4,283例)と、ADと診断されなかった児を1対10の割合で適合抽出して分析した。 評価項目は、向精神薬の使用、病院で診断されたうつ病、不安症、ADHD、または自傷行為、不慮の死/自殺、および精神科医または心理学者への受診(コンサルテーション)であった。 主な結果は以下のとおり。・病院でのAD診断と有意な関連が観察されたのは、抗うつ薬(補正後ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.04~1.36)、抗不安薬(1.72、1.57~1.90)、中枢神経系の交感神経作用薬(1.29、1.18~1.42)であった。・精神科医(aHR:1.33、95%CI:1.16~1.52)または心理学者の(1.25、1.11~1.41)受診も、ADとの関連性がみられた。・一方で、うつ病(aHR:0.58、95%CI:0.21~1.56)、不安症(1.47、0.98~2.22)、自傷行為(0.88、0.27~2.88)は関連性が認められなかった。・しかし、ADHDはADとの顕著な関連が認められた(aHR:1.91、95%CI:1.56~2.32)。・絶対リスクは概して低かった。

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中等~重症アトピー性皮膚炎、バリシチニブ+TCSの有効性・安全性を確認

 経口JAK1/2阻害薬バリシチニブについては、外用コルチコステロイド薬(TCS)で効果不十分な中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)への単独療法の有効性および安全性が、これまでに2件の第III相試験の結果で報告されている。今回、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らは、バリシチニブとTCSの併用療法について検討し、中等症~重症ADに対してバリシチニブ1日1回4mg+TCSが症状を有意に改善することを明らかにした。安全性プロファイルは、バリシチニブのこれまでの試験で既報されているものと変わらなかった。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年9月30日号掲載の報告。 研究グループは、TCS治療では効果不十分であった中等症~重症AD成人患者について、TCSを基礎療法としながらバリシチニブ4mgまたは2mg用量の有効性と安全性を評価する、二重盲検プラセボ対照第III相無作為化試験「BREEZE-AD7試験」を実施した。 試験は2018年11月16日~2019年8月22日まで、アジア、オーストラリア、欧州、南米の10ヵ国、68の医療センターで行われた。被験者は、18歳以上のTCSで効果不十分の中等症~重症AD患者であった。 被験者は無作為に3群(1対1対1)に割り付けられ、バリシチニブ1日1回2mg(109例)、同4mg(111例)、プラセボ(109例)のいずれかを16週間投与された。基礎療法として、低度~中等度効能のTCSの使用が認められた。 主要評価項目は、Validated Investigator Global Assessment for AD(vIGA-AD)スコアが16週時点の評価でベースラインから2ポイント以上改善し、0(改善)または1(ほとんど改善)を達成した患者の割合であった。 主な結果は以下のとおり。・被験者329例は、平均[SD]年齢33.8[12.4]歳、男性216例(66%)であった。・16週時点でvIGA-ADスコア0または1を達成した患者は、プラセボ群16例(15%)に対し、バリシチニブ4mg群34例(31%)、同2mg群26例(24%)であった。・対プラセボのオッズ比(OR)は、バリシチニブ4mg群2.8(95%信頼区間[CT]:1.4~5.6、p=0.004)、同2mg群1.9(0.9~3.9、p=0.08)であった。・治療関連有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群で64/111例(58%)、同2mg群で61/109例(56%)、プラセボ群で41/108例(38%)であった。・重篤な有害事象の報告は、バリシチニブ4mg群4例(4%)、同2mg群2例(2%)、プラセボ群4例(4%)であった。・最も頻度の高い有害事象は、鼻咽頭炎、上気道感染症、毛包炎であった。・なお試験完了後、被験者は4週間のフォローアップもしくは拡大延長(長期)試験に登録された。

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Dr.水谷の妊娠・授乳中の処方コンサルト

第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開 臨床では妊娠中・授乳中であっても薬が必要な場面は多いもの。ですが、薬剤の添付文書を見ると妊婦や授乳婦への処方は禁忌や注意ばかり。必要な治療を行うために、何なら使ってもいいのでしょうか?臨床医アンケートで集めた実際の症例をベースとした30のQ&Aで、妊娠中・授乳中の処方の疑問を解決します。産科医・総合診療医の水谷先生が、実臨床で使える、薬剤選択の基準の考え方、そして実際の処方案を提示します。第1回 【妊娠中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗インフルエンザ薬臨床医アンケートで集めた妊婦・授乳婦への処方の疑問を症例ベースで解説・解決していきます。初回は、妊娠中の解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬の選択についてです。明日から使える内容をぜひチェックしてください。第2回 【妊娠中】抗てんかん薬・抗うつ薬・麻酔薬妊娠を機に服薬を自己中断してしまう患者は少なくありません。そして症状の悪化とともに受診することはよくあります。今回は抗てんかん薬、抗うつ薬の自己中断症例から妊娠中の薬剤選択について解説します。緊急手術時に必須の麻酔薬の処方についても必見です。第3回 【妊娠中】β刺激薬・チアマゾール・レボチロキシン喘息は妊娠によって症状の軽快・不変・増悪いずれの経過もとりえます。悪化した場合にβ刺激薬やステロイド吸入など一般的な処方が可能のか?甲状腺関連の疾患では妊娠の希望に応じて、バセドウ病患者はチアマゾールを継続していいのか?橋本病ではレボチロキシンを変更すべきなのか?といった実臨床で遭遇する疑問を解決します。第4回 【妊娠中】経口血糖降下薬・ワルファリン・制酸薬今回のクエスチョンは弁置換術既往の妊婦の抗凝固薬選択。ワルファリンからヘパリンへの変更は適切なのでしょうか?降圧薬の選択では妊娠週数に応じて使用可能な薬剤が変わる点を必ず押さえましょう!そのほか、妊娠中の内視鏡検査の可否とその判断、2型糖尿病の薬剤選択についても取り上げます。2型糖尿病管理は、薬剤選択とともに血糖管理目標についてもチェックしてください。第5回 【妊娠中】抗リウマチ薬・抗アレルギー薬・タクロリムス外用薬膠原病があっても妊娠を継続するにはどのような薬剤選択が必要なのでしょうか?メトトレキサートや抗リウマチ薬の処方変更について解説します。花粉症症状に対する抗アレルギー薬処方、アトピー性皮膚炎へのタクロリムス外用薬の継続可否など、臨床で頻用される薬剤についての解説もお見逃しなく。第6回 【妊娠中】漢方薬・CT,MRI検査・悪性疾患の治療方針妊娠中に漢方薬を希望する患者は多いですが、どういうときに漢方薬を使用すべきなのでしょうか?上気道炎事例を入り口に、妊婦のよくある症状に対する漢方薬の処方について解説します。CTやMRIの適応判断に必要な放射線量や妊娠週数に応じたリスクを押さえ、がん治療については永久不妊リスクのある治療をチェックしておきましょう。第7回 【授乳中】解熱鎮痛薬・抗菌薬・抗ウイルス薬今回から授乳中の処方に関する質問を取り上げます。授乳中処方のポイントはRID(相対的乳児投与量)とM/P比(母乳/母体濃度比)。この2つの概念を理解して乳児への影響を適切に検討できるようになりましょう。今回取り上げるのは、解熱鎮痛薬、抗菌薬、抗インフルエンザ薬といった日常診療に必要不可欠な薬剤。インフルエンザについては、推奨される薬剤はもちろん、家庭内での感染予防に対する考え方なども必見です。第8回 【授乳中】抗てんかん薬・向精神薬・全身麻酔ほとんどの母親は服薬中も授乳継続を希望します。多くの薬剤は添付文書上で授乳中止が推奨されていますが、実は授乳を中断しなくてはならないケースはあまり多くありません。育児疲労が増悪因子になりやすい、てんかんや精神疾患について取り上げ、こうした場合の対応を解説します。治療と母乳育児を継続するための、薬剤以外のサポートについても押さえておきましょう。第9回 【授乳中】胃腸薬・降圧薬・抗アレルギー薬授乳中の処方で気を付けるべきは、薬剤の児への移行だけではありません。見落としがちなのが、乳汁分泌の促進・抑制をする薬剤があるということ。症例ベースのQ&Aで、胃腸薬、降圧薬、抗アレルギー薬など日ごろよく処方する薬の注意点を解説していきます。OTC薬で気を付けるべき薬剤やピロリ菌除菌の可否なども押さえておきましょう。第10回 【授乳中】ステロイド・乳腺炎への対処・造影検査後の授乳再開ステロイド全身投与で議論になるのは児の副腎抑制と授乳間隔。どちらも闇雲に恐れる必要はありません。乳腺炎については、投与可能な薬剤だけでなく再発を予防するための知識を押さえておきましょう。造影剤使用後の授乳再開については日米での見解の違いを臨床に活かすための知識を伝授します。

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第26回 悪玉細菌を減らす常在細菌ロゼオモナスの塗布でアトピー性皮膚炎が改善

プラセボ群なしの非盲検第I/II相試験の結果、健康なヒトの皮膚に備わっていることが多いグラム陰性細菌・Roseomonas mucosa(以下、ロゼオモナス)を塗布した軽度~重度のアトピー性皮膚炎小児20人中18人が病状指標EASIの半減(EASI-50)を達成しました1~3)。中等~重度の小児に限ると9人全員(100%)がEASI-50に至りました。Science Translational Medicine誌に掲載された今回の総ざらい報告に先立ち、2年前の2018年には途中結果が報告されています4,5)。2年前の報告では、健康なヒトの皮膚から集めたロゼオモナスを塗布した9~14歳の小児5人と成人10人のアトピー性皮膚炎改善効果が認められました。また、ロゼオモナスはアトピー性皮膚炎の進展に寄与するらしい黄色ブドウ球菌を減らしました。その後小児15人がさらに加わり、3~16歳の小児全部で20人にロゼオモナスが投与された最終結果が今回報告され、2018年の発表と同様に病状は改善し、効果は投与を終えてから長ければ8ヵ月後の観察時点まで持続しました。皮膚の黄色ブドウ球菌の減少も確認されました。また、ロゼオモナスが作る脂質がどうやらアトピー性皮膚炎治療効果に寄与していることが新たに判明しています。ロゼオモナス治療の権利は米国カリフォルニア州拠点のForte Biosciences社に付与され、同社はFB-401という名称でその治療の開発を進めています。間もなく今月中には軽~中等度のアトピー性皮膚炎を患う2歳以上の小児や成人が参加するプラセボ対照第II相試験がいよいよ始まります1)。ロゼオモナスの効果はアトピー性皮膚炎のみに限定されるわけではなさそうで、他の皮膚疾患へのFB-401の試験もやがて実施されるかもしれません。たとえば、顔の皮膚の炎症を特徴とする酒さの患者の皮膚のロゼオモナスもアトピー性皮膚炎患者と同様に乏しいことが最近の試験6)で確認されており、FB-401を試してみる価値がありそうです。アトピー性皮膚炎の治療効果を担いうる細菌は他にもあり、スタフィロコッカス ホミニス(S. homini)はロゼオモナスと同様にアトピー性皮膚炎患者皮膚の黄色ブドウ球菌を強力に抑制しうることが確認されています7)。それらの有益と思しき細菌を減らす恐れがある環境要因の検討によると、スキンケア製品におなじみの防腐剤パラベンは健康な皮膚のロゼオモナスを増えにくくします4)。また、保湿剤はアトピー性皮膚炎に使うことが一般的に推奨されていますが、それらの幾つかも健康な皮膚のロゼオモナスの増殖をより阻害しました。それらの製品はアトピー性皮膚炎の悪化を招いたりロゼオモナスなどの微生物塗布治療の効果を妨げてしまうかもしれません5)。実際、パラベンとアトピー性皮膚炎の関連が東京の国立成育医療研究センターの小児患者138人を調べた研究で示されています8)。ほとんどの小児(85%;117/138人)はパラベン含有製品を使っており、それら製品の使用とアトピー性皮膚炎が関連し、アトピー性皮膚炎小児の尿中にはパラベンがより多く含まれていました。これまでの前臨床実験や臨床試験成績を総括するに黄色ブドウ球菌を減らすロゼオモナスやS. hominiなどの常在細菌によるアトピー性皮膚炎治療の検討の価値は大いにあり9)、Forte社が今月中に始めるプラセボ対照試験はアトピー性皮膚炎の細菌治療の力量を示すひとまずの試金石となるでしょう。参考1)Forte Biosciences, Inc. Announces Full Publication of Phase 1/2 Data in Science Translational Medicine / BUSINESS WIRE2)Probiotic skin therapy improves eczema in children, NIH study suggests / Eurekalert3)Myles IA,et al. Sci Transl Med. 2020 Sep 9;12 [Epub ahead of print]4)Myles IA,et al.JCI Insight. 2018 May 3;3. [Epub ahead of print]5)Bacteria Therapy for Eczema Shows Promise in NIH Study6)Rainer BM, et al. Am J Clin Dermatol. 2020 Feb;21:139-147. 7)Nakatsuji T, et al. Sci Transl Med. 2017 Feb 22;9: [Epub ahead of print]8)Mitsui-Iwama M, et al. Asia Pac Allergy. 2019 Jan 21;9:e5. [Epub ahead of print]9)Paller AS, et al. J Allergy Clin Immunol. 2019 Jan;143:26-35.

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バリシチニブ、中等~重症アトピー性皮膚炎への単剤有効性・安全性を確認

 経口JAK1/2阻害薬は、COVID-19重症患者のサイトカインストーム治療に有用と報告されている。その1つ、経口JAK1/2阻害薬バリシチニブは、わが国を含め70ヵ国で関節リウマチの治療薬として承認されているが、外用コルチコステロイド薬で効果不十分な中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)への同薬剤の有効性と安全性を検討した、米国・オレゴン健康科学大学のE. L. Simpson氏らによる、2件の第III相試験の結果が報告された。投与16週以内で臨床徴候と症状の改善が認められ、かゆみが速やかに軽減、安全性プロファイルは既知の所見と一致しており、新たな懸念は認められなかったという。これまで第II相試験において、バリシチニブと外用コルチコステロイド薬の併用が、ADの重症度を軽減することが示されていた。British Journal of Dermatology誌2020年8月号掲載の報告。 外用コルチコステロイド薬で効果不十分な中等症~重症AD患者に対する、バリシチニブの有効性と安全性の評価は、2件の多施設共同無作為化二重盲検並行群間比較プラセボ対照試験「BREEZE-AD1試験(2017年11月~2019年1月)」「BREEZE-AD2試験(2017年11月~2018年12月)」で検討された。 試験は欧州、アジア、中南米、オーストラリアの173施設で実施。中等症~重症AD成人患者を4群(1日1回のプラセボ、バリシチニブ1mg/2mg/4mg)に、2対1対1対1の割合で無作為に割り付けた(地域、ベースラインの疾患重症度による層別化も施行)。 有効性の主要エンドポイントは、バリシチニブ4mgまたは2mgのプラセボに対する優越性で、ベースラインから16週目にValidated Investigator's Global Assessment(vIGA)-ADスコアが2ポイント以上改善し、0(改善)または1(ほとんど改善)を達成した患者の割合で評価した。vIGA-ADは5段階評価(0[改善]~4[重症])で、医師の全体的な疾患重症度の印象で評価する。 主な結果は以下のとおり。・BREEZE-AD1試験(AD1)には624例、BREEZE-AD2試験(AD2)には615例が登録された。ベースラインの被験者特性は、割付治療群間で類似していた(平均年齢:AD1:35~37歳、AD2:33~36歳、女性の割合:33.3~40.6%、33.3~47.2%など)。ベースラインのvIGA-ADスコア4の被験者割合は、AD1が40%、AD2が50%だったが、EASIおよびSCORADスコアは同等であった。4mg群とプラセボ群は試験中断率が低く、試験完遂率はAD1が86.9%、AD2が88.0%だった(これらの被験者は、長期追跡の延長試験BREEZE-AD3試験に組み込まれている)。・16週時点で2試験ともに、4mg群と2mg群がプラセボ群と比べて、主要エンドポイントを達成した患者割合が有意に高率であった。・AD1では、プラセボ群4.8%に対し、バリシチニブ4mg群16.8%(プラセボ比較とのp<0.001)、2mg群11.4%(p<0.05)、1mg群11.8%(p<0.05)。AD2では、プラセボ群4.5%に対し、バリシチニブ4mg群13.8%(p=0.001)、2mg群10.6%(p<0.05)、1mg群8.8%(p=0.085)であった。・かゆみの改善は、4mg群は1週目から、2mg群は2週目からと、早期に達成された。・夜間覚醒、皮膚の疼痛、QOLの改善は、4mgと2mgの両方で1週目に観察された(すべての比較のp≦0.05)。・バリシチニブ投与群で最も頻度の高かった有害事象は、鼻咽頭炎、頭痛であった。・すべての用量のバリシチニブ投与群で、心血管イベント、静脈血栓塞栓症、消化管穿孔、重大な血液学的変化、死亡は観察されなかった。

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アトピー性皮膚炎の聖書【Dr.倉原の“俺の本棚”】第34回

【第34回】アトピー性皮膚炎の聖書満を持しての登場。著者の堀向 健太先生は、通称ほむほむ先生として有名です。個人的にもよくメッセージをやりとりしているので、ずうずうしくも「ぼくの知り合い」だと勝手に思っています。彼の尊敬できるところは、「優しさとデータのバランス」です。私みたいに頭でっかちのエビデンスマンだと、いささか人格に支障がありますが(笑)、彼は恐ろしい数の論文を読みながら、たくさんの子供から「ほむほむ先生大好き」という手紙をもらっているのです。優しさが滲み出過ぎていて、嫉妬すら覚えるレベルです。ちきしょう、羨ましいぞ!くらくら先生にも、誰かファンレターください!『マンガでわかる!子どものアトピー性皮膚炎のケア』堀向 健太(文)・青鹿 ユウ(画)/著. 内外出版社. 2020年青鹿 ユウ先生のスーパープリティなマンガとともに、アトピー性皮膚炎のベーシックな話が進んでいくわけですが、おそるべきは、ほむほむ先生の情熱・魂です。上述したように、彼はとことんエビデンスを突き詰める小児科医で、参考文献の数がものすごい数になっています。「参考文献の数が最も多い漫画」としてギネスに認定してもらってください、ぜひとも。アトピー性皮膚炎に対するステロイドのエビデンスから、入浴、布団の管理にいたるまで、至れり尽くせりココに極まれり。とくに、ステロイド軟膏に関する項目は必見。ステロイド軟膏って、まだまだ一般の人の恐怖心が大きいですし、アトピー性皮膚炎の子供を持っている親で、「ステロイドは使わない」と決めている家庭もあるでしょう。そういう人に対して有効性を説明をしても、心を開いてもらうのはなかなか難しい。そんなとき、この本ですよ。何なら、この本を渡しちゃえばいいんじゃないかって。そのくらいのクオリティです。この書籍の読者層は、アトピー性皮膚炎で悩む親ですが、小児科医や皮膚科医以外の医師が読んでも勉強になります。とくに、プライマリ・ケア医や小さなお子さんがいるドクターは必携じゃないでしょうか。「ほむほむ、なるほど」と唸る1冊。おあとがよろしいようで。『マンガでわかる!子どものアトピー性皮膚炎のケア』堀向 健太(文)・青鹿 ユウ(画) /著出版社名内外出版社定価本体1,500円+税サイズ四六判刊行年2020年

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入院中の成人アトピー性皮膚炎患者、全身性感染症リスク増大

 成人アトピー性皮膚炎(AD)と全身性感染症との関連について、デンマーク・コペンハーゲン大学のCatherine Droitcourt氏らが全国規模のコホート研究を行った結果、入院治療中のAD患者において全身性感染症のリスクが増大していることが明らかになった。ADと全身性感染症との関連は指摘されていたが、これまでに行われた大規模研究はわずかで、関連性は明確にはなっていなかった。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2020年8月1日号掲載の報告。 研究グループは成人AD患者について、入院治療と関連した全身性感染症リスクの上昇が認められるかどうかを調べるため、全国レジストリベースのコホート研究を行った。 被験者は1995~2017年にレジストリに登録されたデンマーク成人。Coxモデルを用いて、ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出し、評価した。 主な結果は以下のとおり。・成人AD患者1万602例(年齢中央値29.8歳、IQR:22.6~44.8)と、参照対照群10万6,020例を対象に評価を行った。・全身性感染症の全罹患率は、1万人年当たり、成人AD群180.6(95%CI:172.6~189.0)、参照対照群120.4(118.3~122.5)であった。・ADと全身性感染症の関連は、筋骨格系(補正後HR:1.81、95%CI:1.42~2.31)、心臓(1.75、1.21~2.53)、上気道感染症(1.42、1.15~1.73)および下気道感染症(1.21、1.10~1.33)で観察された。・敗血症(補正後HR:1.19、95%CI:1.01~1.44)、皮膚感染症(2.30、2.01~2.62)のリスク上昇も認められた。 なお著者は、「本所見は、病院外で認められる成人の軽症AD患者に一般化することはできない限定的なものである」としている。

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事例008 特異的IgE半定量・定量の査定【斬らレセプト シーズン2】

解説今回事例は、「D015 13 特異的IgEの査定」です。39種類の実施は、“View39”とも称され、気管支喘息、鼻アレルギー、蕁麻疹、アトピー性皮膚炎などのI型アレルギー疾患を誘発するアレルギー抗原を特定するために使用されます。これは査定が多い検査の1つです。今回のようにアレルギー性皮膚炎が確定していない状態では、検査の適応がないとして、病名不足もしくは病名不備を理由にA事由(医学的に適応と認められないもの)として査定されたものです。I型アレルギー以外の検査適応病名がレセプトに記載されていたとしても、同月実施などの検査間隔が短い場合や、項目の重複は査定対象となります。医学的な妥当性がレセプト内容から読み取れるように、あらかじめ病名の追加や症状詳記の記載が査定対策として必要です。また、医学的理由を記載した後に2回目の実施の場合、血液採取料が算定されていないと同一検体からの実施と判断され、検査項目の重複部分は査定対象となります。これらの点は常にご留意ください。

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中等~重症アトピー性皮膚炎へのabrocitinib、第III相試験結果/Lancet

 中等症~重症アトピー性皮膚炎の青年および成人患者の治療において、経口選択的JAK1阻害薬abrocitinibの1日1回投与は、プラセボに比べ有効性が優れ、忍容性も良好であることが、米国・オレゴン健康科学大学のEric L. Simpson氏らが行った「JADE MONO-1試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年7月25日号に掲載された。中等症~重症アトピー性皮膚炎の全身療法では、高い有効性と良好なベネフィット・リスクプロファイルを有する経口薬が求められているという。abrocitinibは、第IIb相試験で、中等症~重症アトピー性皮膚炎の成人患者における有効性と良好な忍容性が報告されている。JADE MONO-1試験ではabrocitinibの2用量をプラセボと比較 JADE MONO-1試験は、オーストラリア、カナダ、欧州、米国の69施設が参加した二重盲検無作為化第III相試験であり、2017年12月~2019年3月の期間に患者登録が行われた(Pfizerの助成による)。 JADE MONO-1試験の対象は、年齢12歳以上、体重40kg以上の中等症~重症のアトピー性皮膚炎の患者であった。アトピー性皮膚炎は、医師による皮膚症状重症度の全般評価[IGA]スコア≧3点、湿疹面積・重症度指数[EASI]≧16点、アトピー性皮膚炎に罹患した体表面積(BSA)≧10%、最高そう痒数値評価尺度(PP-NRS)スコア≧4点と定義された。 被験者は、abrocitinib 100mg、同200mgまたはプラセボを1日1回投与する群に2対2対1の割合で無作為に割り付けられ、12週の治療を受けた。患者、担当医、研究資金提供者には、治療割り付け情報は知らされなかった。 複合主要エンドポイントは、12週の時点におけるIGAスコアが1点(0点:病変消失、1点:ほぼ消失)以下かつベースラインから2点以上低下した患者の割合(IGA≦1達成割合)と、EASIスコアがベースラインから75%以上改善した患者の割合(EASI-75達成割合)とした。有効性は最大の解析対象集団(FAS、試験薬の投与を1回以上受けた患者)で、安全性は無作為化の対象となったすべての患者で評価された。JADE MONO-1試験でabrocitinibが有意に優れた結果 JADE MONO-1試験には387例が登録され、100mg群に156例(平均年齢32.6、18歳未満22%、男性58%)、200mg群に154例(33.0歳、21%、53%)、プラセボ群には77例(31.5歳、22%、64%)が割り付けられた。全体の59%が中等症、41%が重症であった。全例が試験薬の投与を少なくとも1回受けた。 12週時のIGA≦1達成割合は、100mg群が24%(37/156例)と、プラセボ群の8%(6/76例)に比べて有意に高く(p=0.0037)、200mg群は44%(67/153例)であり、プラセボ群との間に有意差が認められた(p<0.0001)。 また、12週時のEASI-75達成割合も、100mg群(40%[62/156例]vs.プラセボ群12%[9/76例]、p<0.0001)および200mg群(63%[96/153例]vs.12%[9/76例]、p<0.0001)のいずれもが、プラセボ群に比べ有意に良好であった。 JADE MONO-1試験の主な副次エンドポイント(2、4、12週時のPP-NRS、12週時のアトピー性皮膚炎のそう痒・症状評価[PSAAD]総スコアのベースラインからの変化)についても、100mg群および200mg群のいずれもが、プラセボ群と比較して有意に優れた。 有害事象は、100mg群が69%(108/156例)、200mg群が78%(120/154例)、プラセボ群は57%(44/77例)で報告された。頻度の高い治療関連有害事象として、悪心(100mg群9%、200mg群20%、プラセボ群3%)、鼻咽頭炎(15%、12%、10%)、頭痛(8%、10%、3%)などが認められた。治療関連の単純ヘルペスウイルス感染症は、100mg群1例、200mg群3例で、帯状疱疹はそれぞれ1例および2例で、口腔ヘルペスは3例および1例で発現した。また、重篤な有害事象の発生率は、それぞれ3%(5/156例)、3%(5/154例)、4%(3/77例)であった。治療関連死の報告はなかった。 著者は、「abrocitinibは、外用薬による局所療法でコントロールされない、12歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者の治療において、有望な新規の経口全身療法薬となる可能性がある」としている。

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Dr.安部の皮膚科クイズ 中級編

第1回 その皮疹はいつからあるか?第2回 痒みがあるとは限らない第3回 患者にやめさせるべき習慣第4回 片側か両側か、それが問題だ第5回 コモンな所見ほど、入念な診察が必要第6回 触ってみるとわかる疾患 内科で見かける皮膚症状の特徴をクイズ形式で紹介するDr.安部の皮膚科クイズ。中級編では、遭遇頻度が高いけれど正しい判断が難しいトリッキーな症例12問を出題。1問5分で皮膚疾患がもっとわかるようになるクイズに挑戦してください!第1回 その皮疹はいつからあるか?Dr.安部の皮膚科クイズ中級編は、内科での遭遇頻度が高く、かつ鑑別の難しい症例を取り上げていきます。第1問の所見は手指にできた黒い黒子のようなもの。患者はがんを心配していますが、皮膚科医は「いつからあるか」を聞いて、鑑別疾患を3つ考えます。第2問は大量のフケを主訴に来院した若年男性。1問5分で、診断・治療・紹介のタイミングまで、内科で必要十分な皮膚疾患の理解を深めていきます!第2回 痒みがあるとは限らない第3問の所見は腹部の皮疹と、日常生活に支障を来すほどの落屑。第4問は痒みや痛みのないぷっくり膨れた皮疹。皮疹の性状と主訴を組み合わせて正解を導いてください!第3回 患者にやめさせるべき習慣第5問は、アトピー性皮膚炎の女性。頸部に生じたアトピーが悪化した原因を3つの選択肢から選んでください。第6問は過去に化粧品が原因で社会現象になったこともある疾患。治癒過程で生じる変化を知っておきましょう。第4回 片側か両側か、それが問題だ第7問の所見は、手掌にできた大量の皮疹。考えられる疾患3つの違いを挙げ、診断の決め手になる質問を解説します。第8問は口唇の水疱。口唇ヘルペスと即断しがちですが、皮疹がある部位を確認して、考慮すべき鑑別疾患が2つあります。これらの違いを知り、吟味するトレーニングを番組でしていきましょう。第5回 コモンな所見ほど、入念な診察が必要第9問の所見は腹部に集簇する小水疱。第10問は腹部の色素沈着。第9問では誰もが疑うあの疾患を確実に診断するコツを、第10問では鑑別に挙がる2つの疾患の違いを、それぞれ短時間で解説します。第6回 触ってみるとわかる疾患第11問の所見は、耳の後ろにできた白い膨らみ。第12問は顔面にできた堤防状の腫瘍。第11問は番組をご覧の先生も持っていてもおかしくないくらい頻度の高い疾患です。診断のポイントになる触診について、短時間で解説していきます。

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成人アトピーは糖尿病を引き起こす?

 アトピー性皮膚炎(AD)は糖代謝に影響を及ぼすのか。デンマーク・コペンハーゲン大学のLise Gether氏らは、ADの成人において、インスリン感受性の低下やその他の糖代謝異常が認められるかを調べるため、経口糖負荷検査(OGTT)と高インスリン正常血糖クランプ法を用いて検討した。結果として、健康成人との間に違いはなかったことが報告され、著者は、「炎症性皮膚疾患であるADは、糖代謝にほとんどあるいはまったく影響しないことが示唆される」と述べている。疫学研究では、一般集団と比較して、ADの成人における2型糖尿病の発生の増加が示されている。Diabetes Obesity and Metabolism誌オンライン版2020年7月20日号掲載の報告。 検討では、非肥満、非糖尿病でADが軽症~中等症の成人16例(AD群)と、性別・年齢・BMI適合の健康成人16例(対照群)を対象とし、消化管・膵ホルモンについて頻回な採血による高インスリン正常血糖クランプ法(インスリン注入速度40mU/m2/分)とOGTTを行った。 主な結果は以下のとおり。・両群は、年齢(平均±平均の標準誤差:33±3 vs.33±3歳)、性別(女性:56%)、BMI(24.5±0.7 vs.24.4±0.7)、身体活動度、空腹時血糖値およびHbA1cが類似していた。・AD群は、EASI(Eczema Area and Severity Index)の平均スコア8.5±1.0(中等度)、ADの平均罹患期間28±3年であった。・OGTT中のcirculatingグルコース、インスリン、C-ペプチド、グルカゴン、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドはそれぞれ両群間で同等であり、グルカゴン様ペプチド-1はAD群で上昇した。・クランプ法の結果は、インスリン感受性(M値:9.2±0.6 vs.9.8±0.8、p=0.541、95%信頼区間:-1.51~2.60)、circulatingインスリン、C-ペプチド、グルカゴンについて、両群間で差がないことを示した。

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皮膚科医デルぽんのデルマな日常

連載でおなじみのデルぽん先生が放つ、笑いありタメになる話ありのコミックエッセイ!!皮膚科といえば、医療界いちのジミ(?)な存在。いまだテレビドラマの主役になったことはなく、命のやり取りをすることもほぼなし。そんな脇役に甘んじていた皮膚科ですが、ここに笑撃の一冊が誕生しました。著者のデルぽん先生は CareNet.comの連載でもおなじみの現役の女医さん。大の漫画好きが高じて、「医療あるある」をテーマにブログを始めたところ、大人気になりました。そんな4年にわたるブログ漫画を「皮膚科医vs.患者さん」「皮膚科のお仕事」「華麗なる(!?)医者の世界」「皮膚科医からのアドバイス」の章に分けて再構成し、新たにエッセイや漫画を書き下ろしたのが本書。皮膚科のみならず、他科のお医者さんや看護師さんにもぜひ読んでいただきたい一冊!著者・デルぽんより発刊のご挨拶皮膚科外来のオモシロ事件簿や、医療業界あるある話、皮膚科女医の日常と妄想など、患者さんに馴染みの深い皮膚科の世界を赤裸々に綴る、業界初(?)4コマコミックエッセイ本。日常診療に役立つ皮膚科豆知識や、患者さんによく訊かれる話題もとりあげています! エッセイあり、実用あり、笑いながらためになる(?) 外来の片隅に一冊、いかがでしょうか?画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。 皮膚科医デルぽんのデルマな日常定価1,300円 + 税判型A5判頁数128頁 発行2020年7月著者デルぽんAmazonでご購入の場合はこちら

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「キンダベート」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第9回

第9回 「キンダベート」の名称の由来は?販売名キンダベート軟膏0.05%一般名(和名[命名法])クロベタゾン酪酸エステル(JAN)効能又は効果アトピー性皮膚炎(乳幼児湿疹を含む)顔面、頸部、腋窩、陰部における湿疹・皮膚炎用法及び用量通常1日1~数回適量を患部に塗布する。なお、症状により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)【禁忌】(次の場合には使用しないこと)(1)本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者(2)鼓膜に穿孔のある湿疹性外耳道炎[穿孔部位の治癒が遅れるおそれがある。また、感染のおそれがある](3)潰瘍(ベーチェット病は除く)、第2度深在性以上の熱傷・凍傷[皮膚の再生が抑制され、治癒が著しく遅れるおそれがある]【原則禁忌】(次の場合には使用しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に使用すること) 細菌、真菌、ウイルス皮膚感染症(病期あるいは症状に応じて使用すること)[感染を悪化させるおそれがある]※本内容は2020年7月22日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2019年4月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「キンダベート軟膏0.05%」2)GSK:製品情報

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アトピーのそう痒、nemolizumab+外用薬で改善/NEJM

 アトピー性皮膚炎の治療において、nemolizumabと外用薬の併用は、プラセボと外用薬の併用に比べそう痒が大幅に減少し、湿疹面積・重症度指数(EASI)スコアや皮膚科学的生活の質指数(DLQI)も良好であるが、注射部位反応の発現率はnemolizumabで高いことが、京都大学の椛島 健治氏らが実施した「Nemolizumab-JP01試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年7月9日号に掲載された。nemolizumabは、アトピー性皮膚炎のそう痒と炎症に関与するインターロイキン(IL)-31受容体Aのヒト化モノクローナル抗体であり、投与は皮下注射で行われる。本薬は、第II相試験でアトピー性皮膚炎の重症度を軽減すると報告されている。そう痒の低減効果を評価する日本の無作為化第III相試験 本研究は、アトピー性皮膚炎と中等度~重度のそう痒がみられ、外用薬に対する反応が不十分な日本人患者を対象とする16週間の二重盲検無作為化第III相試験で、2017年10月に開始され、2019年2月にデータ解析が行われた(マルホの助成による)。 被験者は、外用薬併用下に、nemolizumab(60mg)を4週ごとに16週まで皮下投与する群、またはプラセボを投与する群に2対1の割合で無作為に割り付けられた。 主要エンドポイントは,そう痒の視覚アナログ尺度(VAS)のスコア(0~100点、点数が高いほどそう痒が重度)のベースラインから16週目までの平均変化率とした。 副次エンドポイントは、4週目までのそう痒VASスコアの変化率の推移、EASIスコア(0~72点、点数が高いほど重症)の変化率、DLQIスコア(0~30点、点数が高いほど日常生活への影響が大きい)が4点以下の患者の割合、不眠重症度指数(ISI)スコア(0~28点、点数が高いほど重症)が7点以下の患者の割合、および安全性などであった。有害事象の頻度は同じ、多くが軽度~中等度 215例が登録され、nemolizumab群に143例(年齢中央値39.0歳[範囲:13~73]、男性65%)、プラセボ群には72例(40.5歳[13~80]、67%)が割り付けられた。ベースラインのそう痒VASスコアの中央値は75.4点、EASIスコア中央値は23.2点であった。全例が事前に外用薬の投与を受けており、88%は経口抗ヒスタミン薬を投与されていた。 16週の時点で、そう痒VASスコアのベースラインからの最小二乗平均の変化率は、nemolizumab群が-42.8%と、プラセボ群の-21.4%に比べ有意に改善された(群間差:-21.5ポイント、95%信頼区間[CI]:-30.2~-12.7、p<0.001)。また、4週までのそう痒VASスコアの平均変化率は、nemolizumab群が−34.4%であり、プラセボ群の−15.3%に比し良好であった(-19.3ポイント、-26.6~-11.9)。 16週までのEASIスコアの平均変化率(nemolizumab群:-45.9% vs.プラセボ群:-33.2%、群間差:-12.6%、95%CI:-24.0~-1.3)、16週時にDLQIスコア≦4点の患者の割合(40% vs.22%、17%、2~31)、16週までにDLQIスコアが4点以上低下した患者の割合(67% vs.50%、17%、3~31)、16週時にISIスコア≦7点の患者の割合(55% vs.21%、33%、17~48)も、nemolizumab群で優れた。 有害事象は、両群とも71%で発生した。ほとんどが軽度~中等度で、重度の有害事象はnemolizumab群で3例(メニエール病、急性膵炎、アトピー性皮膚炎)に認められた。薬剤の投与中止の原因となった治療関連有害事象は、nemolizumab群の3例で4件(アトピー性皮膚炎、メニエール病/円形脱毛症、末梢性浮腫)発現した。 最も頻度の高いとくに注目すべき有害事象はアトピー性皮膚炎の増悪で、nemolizumab群で24%、プラセボ群では21%に発現した。注射関連反応の発現率は、nemolizumab群が8%で、プラセボ群の3%よりも高かった。 著者は、「本試験では、16週以降のnemolizumabの効果の持続性と安全性は検討しておらず、これら課題を明らかにするためには、より長期で大規模な試験を行う必要がある」としている。

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アトピーの「痒み」に対するnemolizumabの有効性、第III相試験で確認/マルホ

 マルホ株式会社(大阪市、代表取締役社長:高木 幸一)は7月9日、中等度~重度のアトピー性皮膚炎に伴うそう痒を対象に、国内で実施したnemolizumabの第III相臨床試験の結果、主要評価項目である投与開始16週後のそう痒VAS変化率が、プラセボ群と比べ有意に低下させたことを発表した。本結果はThe New England Journal of Medicine誌オンライン版2020年7月9日号に掲載された。 nemolizumabは、中外製薬が創薬した抗IL-31レセプターAヒト化モノクローナル抗体。IL-31は、そう痒誘発性サイトカインで、アトピー性皮膚炎、結節性痒疹および透析患者におけるそう痒発生に関与していることが報告されているほか、アトピー性皮膚炎の炎症惹起および皮膚バリア機能の破綻についても関与が示唆されている。同薬は、IL-31とそのレセプターの結合を競合的に阻害することで、IL-31の生物学的作用を抑制する。2016年9月、マルホ株式会社が皮膚科疾患領域における国内ライセンス契約を締結している。 本試験について、論文の筆頭著者である椛島 健治氏(京都大学大学院医学研究科 皮膚科学教室教授)は、「アトピー性皮膚炎の患者さんは、かゆみによる仕事や学業における集中力の低下や睡眠障害などのQOL低下に苦しんでいる。本試験は、アトピー性皮膚炎の患者さんとその家族の苦しみ、そしてアトピー性皮膚炎がもたらす社会的損失の軽減につながる可能性がある」と述べている。

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経口JAK1阻害薬、中等症~重症ADに有用

 中等症~重症アトピー性皮膚炎(AD)に対する、1日1回服用の経口JAK1阻害薬abrocitinibの、第III相プラセボ対照無作為化試験の結果が発表された。米国・ジョージ・ワシントン大学のJonathan I. Silverberg氏らによる報告で、12歳以上の同患者における有効性および忍容性が確認された。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年6月3日号掲載の報告。 試験は青年および成人について、同一試験デザインを用いて、二重盲検・並行群間比較にて行われた。被験者は12歳以上で、少なくとも1年以上の中等症~重症ADと臨床診断され、直近6ヵ月以内に4週間以上の外用薬治療を受けたが十分な奏効が得られなかった患者とした。オーストラリア、ブルガリア、カナダ、中国、チェコ、ドイツ、ハンガリー、日本、韓国、ラトビア、ポーランド、英国、米国の計115施設で2018年6月29日~2019年8月13日に被験者の登録が、2019年9月13日~10月25日にデータ解析が行われた。 適格患者は、2対2対1の割合で(1)経口abrocitinib(1日1回)200mg群、(2)同100mg群、(3)プラセボ群に無作為に割り付けられ、12週間投与を受けた。 主要評価項目は2つで、12週時点でInvestigator Global Assessment(IGA)反応(0:クリア、1:ほぼクリアのうち2グレード以上の改善を伴う)を達成した患者の割合、同じくEczema Area and Severity Indexスコア75%以上改善(EASI-75)を達成した患者の割合であった。 主な副次評価項目は、12週時点のPeak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS)反応(4ポイント以上の改善)を達成した患者の割合。その他の副次評価項目は、EASIスコア90%以上改善(EASI-90)を達成した患者の割合であった。安全性は、有害事象および検査室モニタリングにより評価した。 主な結果は以下のとおり。・計391例(男性229例[58.6%]、平均年齢35.1[SD 15.1]歳)が、解析に含まれた(abrocitinib 200mg群155例、同100mg群158例、プラセボ群78例)。・12週時点でデータが入手できた被験者において、200mgおよび100mg群は、プラセボ群と比べて、2つの主要評価項目がいずれも有意に高かった。 IGA達成の割合:59/155例(38.1%)・44/155例(28.4%)vs.7/77例(9.1%)、p<0.001 EASI-75達成の割合:94/154例(61.0%)・69/155例(44.5%)vs.8/77例(10.4%)、p<0.001・PP-NRS達成の推定割合も有意に高かった(55.3%[95%CI:47.2~63.5]・45.2%[37.1~53.3]vs.11.5%[4.1~19.0]、p<0.001)。・EASI-90達成の割合も高かった(58/154例[37.7%]・37/155例[23.9%]vs.3/77例[3.9%])。・有害事象は200mg群102例(65.8%)、100mg群99例(62.7%)、プラセボ群42例(53.8%)で報告され、重篤な有害事象は2例(1.3%)、5例(3.2%)、1例(1.3%)で報告された。・200mg群で、血小板数の減少(2例[1.3%])、検査室で確認された血小板減少症(5例[3.2%])が報告された。

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