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緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?【非専門医のための緩和ケアTips】第53回

第53回 緩和ケアは24時間主治医が対応するものなのか?「医師の働き方改革」があちこちで議論されていますが、皆さんの職場では何かしらの取り組みをしているでしょうか? 私は比較的長時間労働を経験してきた世代であり、今後この改革がどのように進んでいくのか、イメージが湧かない部分もあります。ただ、患者さんのみならず、医療に関わる人の健康を大切にしなければならないのは当然のことです。この問題をどう考えればいいのでしょうか?今日の質問医師になって5年目です。将来は実家のクリニックを継いで在宅緩和ケアも提供したいと思っているのですが、医師が自分だけになるため、夜間対応などに不安を感じます。働き方改革の影響もあって、これまでの勤務先ではずっとチーム制で働いてきました。主治医として夜間もずっと対応する、といった経験がないのですが、在宅医療では24時間、1人で対応しなければならないのでしょうか?今回は若手の先生からご質問をいただきました。私も規模の大きい病院の緩和ケア部門を運営していますので、医師の働き方改革を意識した労務管理は必須の状況です。昔話になってしまいますが、私の研修医時代や若手の頃は主治医制で、担当患者さんが急変とあれば、勤務時間外でも病院から呼び出しの電話がかかってきました。とくにお看取りが近い担当患者さんがいれば、病院にいつでも駆け付けるのが当然、といった風潮もありました。このあたりは今でも議論があるところでしょう。「夜間のお看取りも主治医が対応すべき」「1人の医師に一貫して対応してもらうことが大切だ」といった考え方もあるでしょう。私自身こうした考え方に対応してきた経験もあり、真っ向から否定するわけではありません。ですが、基本的には、これからの緩和ケアの実践には「複数人で対応できる体制」をつくることが必須だと考えています。これからさらに進む少子高齢化時代において、緩和ケアは在宅医療や施設などにおける、地域の医療インフラとして長期間提供するニーズが高まるでしょう。1人の医師の頑張りに頼っていては、インフラとしての持続性が担保できません。機能強化型在宅療養支援診療所のように、複数の医療機関や医師でカバーし合うような体制を整える在宅医療機関も増えてきました。入院患者の夜間の対応を当直医が対応するように、在宅の当番制には情報共有が非常に大切です。さらに、患者さんやその家族にも現状と体制を理解してもらうことが大切です。「主治医に診てもらいたい」という気持ちは自然なものなので、私は初回の訪問診療などで、「私も夜などはすぐに駆け付けられないことがあります。体調が悪くなっても困らないよう、ほかの先生が伺うこともあります。皆でサポートするので安心してください」といったように、チーム制について説明し、理解を求めています。医療者自身の健康も大切にして、持続可能な緩和ケアの実践を目指しましょう。今回のTips今回のTips1人で頑張るよりも、持続可能な緩和ケアの提供体制をつくることが大切。

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第150回 改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会

<先週の動き>1.改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会2.コロナの検査数の水増しで183億円の補助金請求、取り消しへ/東京都3.電子カルテ共有化を2024年度から開始/医療DX推進本部4.30年ぶりに看護師の確保指針を初改定へ/厚労省5.2025年までに地域医療構想の実現を確実に/経済財政諮問会議6.子宮頸がん予防に関する報告書を国立がん研究センターが公表1.改正マイナンバー法可決、来年秋に健康保険証は廃止、マイナンバーカードに1本化/国会2024年秋に現行の健康保険証が廃止され、マイナンバーカードと1本化する、改正マイナンバー法など改正関連法が6月2日に、参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。これにより「マイナ保険証」が導入され、高齢者や障害者などマイナカードの取得が困難な人々には「資格確認書」が発行される。また、マイナンバー法の改正により、マイナンバーカードは年金受給者の預貯金口座とひもづけられるほか、行政機関がマイナンバーを活用できる範囲が広がることも含まれている。その一方で、マイナ保険証に他人の情報と誤ってひもづけされるトラブルが相次いでいる問題に関しては、再発防止が求められている。参考1)マイナンバー法等の一部改正法案について(厚労省)2)いまの健康保険証、24年秋に原則廃止 改正マイナンバー法が成立(朝日新聞)3)マイナンバーカードと健康保険証が一体化へ 改正法可決・成立(NHK)2.コロナの検査数の水増しで183億円の補助金請求、取り消しへ/東京都東京都の新型コロナウイルスのPCR検査などの無料検査事業で不正が発覚し、11の事業者に対して補助金交付の取り消しなどの処置が行われたことが明らかとなった。東京都によると、新型コロナウイルスの無料検査事業で初の不正発覚となった。不正を行った事業者は検査数の水増しを行い、補助金を不正に受け取ろうとしたとされ、不正に申請された額はおよそ183億円で、そのうち17億円がすでに交付されていた。東京都は補助金を受け取った事業者に対して返還命令を出した上で、不正な申請をした11の事業者には、補助金交付決定の取り消しなどを行っている。参考1)令和4年度PCR等検査無料化事業補助金 交付決定の取消し等について(東京都)2)無料PCR検査で11業者が不正 183億円補助取り消し 東京都(朝日新聞)3)東京都のコロナ無料検査事業、不正申請183億円(日経新聞)3.電子カルテ共有化を2024年度から開始/医療DX推進本部政府は、6月2日に医療分野のデジタル化を議論する第2回医療DX推進本部を首相官邸で開催し、「医療DX」の工程表を発表した。2024年度から「全国医療情報プラットフォーム」を順次運用し、全国の医療機関や薬局で電子カルテの情報の共有を開始する。さらに電子カルテの導入を推進し、30年までにほぼすべての医療機関での導入を目指す。24年度中にプラットフォームを構築し、調剤情報など共有できる情報を徐々に増やしていくほか、電子カルテの導入については、厚生労働省は診療所などが使いやすい標準型の電子カルテの規格を定め、2030年までにほぼすべての医療機関で導入を完了し、電子カルテの情報共有がすべての医療機関で可能となるようにする予定。また、来年度の診療報酬改定に向けて、医療機関の事務作業の効率化を図るため、共通のプログラムを開発し、コスト削減に取り組む。診療報酬改定DXは、2026年度から本格的に実施し、診療報酬の算定や患者の窓口負担の自動計算を行う共通算定モジュールが提供される。参考1)第2回 医療DX推進本部(内閣府)2)医療DX加速へ 全国で患者情報共有 24年度からシステム稼働(朝日新聞)3)電子カルテ情報、来年度から共有 政府が医療DX工程表(日経新聞)4.30年ぶりに看護師の確保指針を初改定へ/厚労省厚生労働省は、5月29日に医道審議会・保健師助産師看護師分科会の検討部会を開催し、策定から約30年間、1度も見直しをしていない「看護婦等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」の改正に向け、議論を始めた。現行指針は1992年に制定され、看護師の人材確保や養成、処遇改善、資質向上、就業促進などが基本的な方針として記載されている。しかし、看護現場の状況が変わっているため、改定が求められており、自民党の厚生労働部会・看護問題小委員会も指針改定を要望していた。部会では少子高齢化の進展に伴い看護師などの確保が非常に重要であり、新興感染症への対応も考慮して指針改定が決定された。議論は、今年秋に告示される基本指針の改正に向けて進められる。また、指針の名称も「看護『婦』等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」から「看護『師』等の確保を促進するための措置に関する基本的な指針」に改められる予定。参考1)第1回医道審議会保健師助産師看護師分科会看護師等確保基本指針検討部会(厚労省)2)看護師の確保指針を初改定へ 今秋にも、少子高齢化で(東京新聞)3)30年ぶりに「看護師等確保」基本指針見直し、少子高齢化が進む中での看護職員確保策、専門性向上支援策などが鍵-看護師確保基本指針検討部会(Gem Med)5.2025年までに地域医療構想の実現を確実に/経済財政諮問会議政府が5月26日に開催した経済財政諮問会議で、地域医療構想に関する議論が行われた。この中で、民間議員は実効性を担保するために法制上の措置を講じるべきだと主張、目標年限の2025年に向けて都道府県の権限強化だけでは不十分と指摘し、地域医療介護総合確保基金やかかりつけ医機能報告制度の見直しを求めた。さらに診療報酬・介護報酬改定にあたっては、タスク・シフト/シェアや地域包括ケアシステムの重要性を強調し、徹底した給付見直しを指示するよう要請した。さらに地域医療構想の実現や医療・介護提供体制の構築を進めるよう意見が出された。厚生労働省が5月25日に開催した「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」の資料によれば、公立・公的医療機関などで具体的対応方針の再検証が必要とされた医療機関については、対応方針の「検証済み」(「措置済み」を含む)の割合が、3月は医療機関単位58%、病床単位62%。昨年9月の53%、56%に比べて進捗が確認されている。参考1)社会保障分野における経済・財政一体改革の重点課題とマイナンバー制度の利活用拡大(経済財政諮問会議)2)地域医療構想調整会議における検討状況等調査の報告(厚労省)3)地域医療構想、協議・検証未開始は約3000施設 地域医療構想調整会議で外来・在宅医療の実態に即した議論も必要(日経メディカル)4)2025年度に全国の病床数総量は119万床で「必要量と一致」するが、地域ごとの過剰・過少がある―地域医療構想・医師確保計画WG(1)(Gem Med)6.子宮頸がん予防に関する報告書を国立がん研究センターが公表国立がん研究センターは、子宮頸がんの予防方法についての報告書を公表した。報告書では、HPVワクチンの接種と子宮頸がん検診の重要性を強調し、わが国では子宮頸がんの死亡率が他の先進国より高いことを指摘した。報告書によれば、近年の20~30代の若年層で子宮頸がんの発症率が上昇しており、HPV感染ががんの原因の95%を占めているという。しかし、依然として国内のHPVワクチンの接種率は低く、検診受診率も43.7%にとどまっている。報告書では、子宮頸がんは予防可能ながんであり、ワクチンと検診の両方を受ける必要があることを訴えている。本報告書は「ファクトシート」の名称で国立がん研究センターの下記のホームページで公開されている。参考1)子宮頸がんとその他のヒトパピローマウイルス(HPV) 関連がんの予防ファクトシート 20232)子宮頸がんの対策を 最新の報告書公表 国立がん研究センター(NHK)3)子宮頸がん、もっと知って 「ワクチン・検診で予防を」-高い死亡率・国立センター報告書(時事通信)

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第162回 止められない人口減少に相変わらずのんきな病院経営者、医療関係団体(後編) 「看護師に処方権」「NP国家資格化」の行方は?

ジャニーズの性加害問題報道でNHKが「反省」の弁こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末、メディアはG7広島サミットの話題に加え、ジャニーズ事務所の「謝罪」動画、歌舞伎役者の自殺未遂事件など社会部ネタが頻発し、バタバタだった模様です。ジャニー喜多川氏によるジャニーズJr.の少年への性的虐待については、この連載の「第155回 日本はパワハラ、セクハラ、性犯罪に鈍感、寛容すぎる?WHO葛西氏解任が日本に迫る意識改造とは?(後編)」でも簡単に触れたのですが、「謝罪」動画公開後の5月17日にNHKで放送された「クローズアップ現代」(クロ現)はなかなか興味深い内容でした。「“誰も助けてくれなかった” 告白・ジャニーズと性加害問題」と題されたこの回の「クロ現」では、元ジャニーズJr.の男性が実名で登場、自身が受けた性被害の詳細を語っていました。印象的だったのは、桑子 真帆キャスターが、「なぜこの問題を報じてこなかったのか。私たちの取材でもこうした声を複数いただきました。海外メディアによる報道がきっかけで波紋が広がっていること。私たちは重く受けとめています」と反省の弁を述べ、番組の最後に「私たちは、これからも問題に向き合っていきます」と語ったことです。日本で長年に渡って起こっていた性被害事件にもかかわらず、日本のメディアで報道してきたのは週刊文春などごくわずかです。英国BBCのドキュメンタリーが放映されたので渋々動きました、というのではNHKも報道機関としての存在意義が問われても仕方ありません。今回、NHKの顔とも言えるキャスターが番組で反省の弁を述べたというのは、とても大きな意味があることだと思います。逆に言えば、ジャニーズ事務所に忖度し、BBCのドキュメンタリーや今回の「謝罪」動画に関しても、お茶を濁した報道しかしていない民放(「クロ現」ではジャーナリストの松谷 創一郎氏が「民放の人たち、テレビ朝日やフジテレビなんかはとくにそうですけれども」と名指しして批判していました)は、報道機関としては完全に“失格”と言えそうです。人口減少に対する、医療関係団体の希薄過ぎる危機感さて、今回も4月26日に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した「将来推計人口」に関連して、日本の医療に及ぼす影響について考察してみます。前回は、一向に進まない地域医療構想や、病院の役割分担の明確化や病床削減などへ取り組みの遅れなど、医療提供体制における問題点について書きました。今回は、急速に進む人口減少が招くであろう医療・介護人材難に対して、日本医師会や日本薬剤師会といった医療関係団体の危機感が希薄過ぎる点について書きます。訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案に「断固反対」と日本薬剤師会会長5月12日付のメディファクス等の報道によれば、日本薬剤師会の山本 信夫会長は5月10日に開かれた三師会の会見で、政府の規制改革推進会議で議論が進められている、訪問看護ステーションに配置可能な医薬品の拡大案について、「配置可能薬を拡大するということについては断固反対という立場だ」と述べたとのことです。この案は、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループで3月6日、医師の佐々木 淳専門委員(医療法人社団 悠翔会理事長)と弁護士の落合 孝文専門委員が提案したものです。佐々木氏は関東を中心に在宅医療専門のクリニックを複数ヵ所運営する医療法人を経営しています。佐々木氏らが提案したのは、訪問看護ステーションに配置する薬剤の種類を増やし、訪問看護師がある程度自由に使用できるようにするための新しいスキームです。現状では看護師が薬局で薬剤を入手してから患者宅に向かうか、看護師から連絡を受けた薬剤師が薬剤を配達しているのですが、このスキームによって患者への薬剤提供が効率化される、としています。このスキームでは、薬剤師はオンラインで訪問看護ステーションに配置された薬剤を遠隔管理(倉庫室温、ピッキングの適切性、在庫など)し、薬局がステーションに随時医薬品を授与します。一方、ステーションの看護師は、必要に応じて医師の指示内容を薬局と共有、処方箋の写しに基づいてステーションの倉庫から薬剤をピッキング、患者に投薬します。なお、倉庫内に配置する薬剤としては、脱水症状に対する輸液、被覆剤、浣腸液、湿布、緩下剤、ステロイド軟膏、鎮痛剤などを想定しているとのことです。薬剤師の調剤権を著しく侵害することにつながり「極めて問題がある」現状、薬剤師法などで、調剤を行えるのは、医師、歯科医師、獣医師が自己の処方箋により自ら調剤するときを除いて薬剤師に限られています。山本会長は、この改革案は医師の処方権、薬剤師の調剤権を著しく侵害することにつながり「極めて問題がある」と述べたそうです。その上で、在宅医療の提供について、「チームを組んで医療を提供するのが本来の姿。専門職が集まってその患者さんに対してどんな医療が必要か、医師や看護師、薬剤師など各専門職種が議論していくことが大前提だ。それを抜きにして、ただ置けばいいという発想について私どもとしては大変断固反対だ」と述べたとのことです。他の医療・看護・介護拠点が薬局機能を代替して何が悪い?「薬局の遠隔倉庫」案と呼ばれるこの案、患者が薬剤を手に入れるまでの時間が短縮されるだけでなく、調剤をする薬局自体がない地域や、土日や夜間は営業しない薬局しかない地域では、とても便利で現実的な方策に見えます。「薬剤師の調剤権を侵害」「チーム医療が本来の姿」と山本会長は語っています。しかし、そもそも薬局薬剤師が機能しない地域や時間帯があるなら、ほかの医療・看護・介護拠点がその機能を代替して何が悪いというのでしょう。山本会長の発言は、薬剤師のことは考えているが、患者のことは考えていないように感じます。ちなみに、令和4年度の厚生労働白書によれば、2020年度において、無薬局町村は34都道府県で136町村あるそうです。「包括指示」の仕組みを活用、「訪問看護師に一定範囲内の薬剤の処方箋を発行できるようにする」案も規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループは先週、5月15日にも開かれ、佐々木氏は「薬局の遠隔倉庫」案をベースとした、もう一歩踏み込んだ改革案を提案しています。5月16日付のCBnewsマネジメントの報道によれば、佐々木氏は一定の条件下で訪問看護師が処方箋を発行して投薬できる規制緩和策を検討すべきだと提案したとのことです。具体的には、医師に連絡がついたものの処方箋を発行できない場合、看護師は医師の指示に基づいて処方箋を発行できる医師と連絡がつかない場合、看護師は医師の包括的指示に基づいて処方箋を発行できる24時間対応を標榜する薬局がある場合、薬剤師は迅速・確実に患者宅に薬剤を届ける。24時間対応の薬局がなければ訪問看護事業所に薬剤を配備し、看護師がその備蓄から薬剤を使用することができる24時間対応する薬局の有無にかかわらず、訪問看護事業所内への輸液製剤の配備を可能とするなお、佐々木氏は、これらの対象となる薬剤(輸液製剤を含む)の範囲をあらかじめ指定しておくことも提案しています。医師から看護師への「包括指示」の仕組みを活用して、「訪問看護師に一定範囲内の薬剤の処方箋を発行できるようにする」という大胆な提案です。日本薬剤師会が再び激怒しそうですが、働き方改革や人材難を背景に、タスクシフト/タスクシェア推進が叫ばれる中、とても理に適った提案ではないでしょうか。「NPを導入し、国家資格として新たに創設するというのは適切ではない、反対だ」と日本医師会政府の規制改革会議ですが、その議論や提案はいつもラジカルで、旧態依然とした医療関係団体を時折怒らせています。2月13日、規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキング・グループは、医師と看護師のタスクシェア、とくにナース・プラクティショナー(NP)について日本医師会等にヒアリングを実施しました。NPとは、端的に言えば、医師と看護師の中間的な技量を有した医療専門資格です。現行の特定行為研修を修了した看護師ができる医療行為の範囲を超えて、“医師のように”自主的に医療行為が行える新しい国家資格(NP)をつくろうというのがNPの国家資格化のコンセプトです。米国においてNPは医師の指示・監督がなくても診察、診断、治療・処方のオーダーができる資格として確立しています。この回のワーキング・グループに日本医師会から参加した常任理事の釜萢 敏氏は「外国で行われているものを日本に導入すれば必ずうまくいくというものでは決してない。特定行為研修の修了者を増やしていくという方向に大きく踏み出したので、まずそれをしっかり実現することが喫緊の課題。NPという新たな職種を導入し、国家資格として新たに創設するというのは、現状において適切ではない、反対だ」と述べました。日本医師会などが慎重な姿勢を示してきたため業務範囲の拡大は遅々として進まず医療・介護分野のタスクシェア・タスクシフトを巡っては、これまで日本医師会などが慎重な姿勢を示してきました。そのため、実際の医療現場での業務範囲の拡大は遅々として進んでいません。2021年5月の医療法等改正においても、業務範囲が拡大されたのは診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士、救急救命士のみで、“本丸”とも言える看護師には踏み込んでいません(「第66回 医療法等改正、10月からの業務範囲拡大で救急救命士の争奪戦勃発か」参照)。政府の規制改革推進会議が昨年5月に決めた令和4年度の最終答申には「医療・介護分野のタスクシェア・タスクシフトの推進」は記述されていますが、より本格的な検討は今期の同会議の“宿題”となりました。その後、議論を進めてきた規制改革推進会議は、昨年12月に当面の改革テーマに関する中間答申をまとめました。そこには、医師や看護師が職種を超えて業務を分担する「タスクシェア」の推進が明記され、医師の業務の一部を看護師らに委ねる「タスクシフト」も進めると書かれました。それを踏まえ、看護師らが担える業務の対象拡大を主要テーマとして、医療・介護・感染症対策ワーキング・グループが議論を進めてきた、というのがこれまでの流れです。6月にまとめられる規制改革推進会議の最終答申に注目それにしても、医師や薬剤師がタスクシェア・タスクシフトをこうも毛嫌いする理由はなんでしょう。自分たちの仕事が、「看護師ごときには対応できないほど高度なもの」とでも考えているのでしょうか。あるいは逆に、「意外に簡単で誰にでもできそうであることがバレるのが怖い」のでしょうか。確か、日本医師会は医師増(医学部新設)にも反対していましたから、単に自分たちの既得権を守りたいだけなのかもしれません。前回の冒頭で書いた青森の下北半島ではないですが、現状、医師確保にあえいでいる地域は全国にたくさんあります。人口減が今以上に進めば、無医町村も増えていくでしょう。そんな中、相応の資格を得た訪問看護ステーションなどの看護師が、処方を含む医療行為を自らの判断で行うことができるようになれば、地域医療に一定の安心感を与えるのではないでしょうか。また、老人保健施設や介護医療院は医師でなければ施設長になれませんが、高齢者医療を専門とするNPが施設長になることができれば、貴重な医師人材の節約にもつながります。今年6月にもまとめられる予定の令和5年度の規制改革推進会議の最終答申に、医師から看護師への包括指示の活用や、訪問看護師への処方権付与、NP国家資格化といった、ワーキング・グループで議論されてきた内容がどれくらい盛り込まれることになるか、注目されます。

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緩和ケアの「質」、どう評価する?【非専門医のための緩和ケアTips】第51回

第51回 緩和ケアの「質」、どう評価する?医療マネジメントにおいて「質の評価」はメジャーな分野ですが、“質の高い緩和ケア”って何なのでしょう? なかなか難しいテーマですが、考えてみたいと思います。今日の質問いろいろな分野で医療の質の重要性が議論されていると思うのですが、緩和ケアの質はどう評価するのでしょうか?「在宅看取りの数」が重要な指標とされているようですが、一概に「在宅で看取ることができたら、緩和ケアの質が高い」とも言えない気がするのです。どのように考えるとよいのでしょうか?今回は難しい質問を頂きました。「緩和ケアの質評価」という研究分野があって、さまざまな取り組みがなされています。一方、緩和ケアを提供する場は、急性期病院から慢性期病院まで、在宅医療でも自宅や施設で過ごす方などさまざまです。このように幅広い緩和ケアの在り方に共通する、唯一の指標はありません。それでもあえて設定するとしたら、緩和ケアは「QOLの向上」を目的としていますので、患者さんおよびその家族のQOLを精密に測定できるのであれば、それが妥当な指標かもしれません。QOLの評価ツールはもちろん存在するのですが、それをすべての患者さんに運用するのも現実的ではないですよね。結果として、現状では代替指標で質を評価し、改善しています。では、ベストでないまでも、現状、ある程度妥当だと思われている緩和ケアの質評価手法には、どのようなものがあるのでしょうか? 日本の緩和ケアの「QI:Quality Indicator(質の評価指標)」に関する論文を見ると、さまざまな切り口のQIが示されています。データベースから抽出するQI診療記録から抽出するQIICUにおける終末期に関するQIナーシングホームにおける医師のケアをパフォーマンスモニタリングするインジケーター地域ベースのQIこれらを見るだけでも、冒頭で述べたように、診療の状況によってさまざまなQIが検討されていることがご理解いただけるかと思います。今回、ご質問いただいた先生は在宅医療に関わっているようですので、ナーシングホームにおける医師のQIを見てみましょう。1)患者の希望や事前指示が記録されているか2)痛みがある場合は、それが医師の記録にあり、疼痛緩和に積極的な試みがなされているか3)呼吸困難がある場合は、それが記録にあり、それを最小限にする試みがなされているか4)痛みがある場合、鎮痛治療の効果が継続評価されて、痛みが緩和されているか5)深い症状が医師の記録にあり、緩和する試みがなされているか6)心理、社会的サポートが記載されているか7)患者が望まない治療処置がされていないか8)衛生状態が医師の記録にあるか(失禁、清潔、褥瘡、尊厳)9)患者・家族が医師のカウンセリングを受けているか10)死別後のケアについて医師から提案・提供されているかいかがでしょう? こういった指標を厳密に運用するのはなかなか大変ですし、現状の課題にマッチしたものではないなど課題もあると思います。それでも、私は時々QIを見返し、現状の改善につながる指標として活用できるものはないかと考える機会を持つようにしています。皆さんも活用方法を考えてみるとよいかもしれませんね。今回のTips今回のTips緩和ケア領域のQI指標を眺めてみよう。宮下光令ほか. Palliat Care Res. 2007;2:401-415.

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第149回 今の日本の医療IoT、東日本大震災のイスラエル軍支援より劣る?(後編)

2月6日に発生したトルコ・シリア大地震のニュースを見て村上氏は東日本大震災時のイスラエル軍の救援活動を思い出します。後編の今回は、現在の日本が顔負けのIoTを駆使したイスラエル軍の具体的な支援内容についてお伝えします。前編はこちら 仮設診療所エリアには内科、小児科、眼科、耳鼻科、泌尿器科、整形外科、産婦人科があり、このほかに冠状動脈疾患管理室(CCU)、薬局、X線撮影室、臨床検査室を併設。臨床検査室では血液や尿の生化学的検査も実施できるという状態だった。ちなみにこうした診察室や検査室などはそれぞれプレハブで運営されていた。一般に私たちが災害時の避難所で見かける仮設診療所は避難所の一室を借用し、医師は1人のケースが多い。例えて言うならば、市中の一般内科クリニックの災害版のような雰囲気だが、それとは明らかに規模が違いすぎた。当時、仮設診療所で働いていたイスラエル人の男性看護師によると、これでも規模としては小さいものらしく、彼が参加した中米・ハイチの地震(2010年1月発生)での救援活動では「全診療科がそろった野外病院を設置し、スタッフは総勢200人ほどだった」と説明してくれた。この仮設診療所での画像診断は単純X線のみ。プレハブで専用の撮影室を設置していたが、完全なフィルムレス化が実行され、医師らはそれぞれの診療科にあるノートPCで患者のX線画像を参照することができた。ビューワーはフリーのDICOMビューアソフト「K-PACS」を使用。検査技師は「フリーウェアの利用でも診療上のセキュリティーもとくに問題はない」と淡々と語っていた。実際、仮設診療所内の診療科で配置医師数が4人と最も多かった内科診療所では「K-PACS」の画面で患者の胸部X線写真を表示して医師が説明してくれた。彼が表示していたのは肺野に黒い影のようなものが映っている画像。この内科医曰く「通常の肺疾患では経験したことのない、何らかの塊のようなものがここに見えますよね。率直に言って、この診療所での処置は難しいと判断し、栗原市の病院に後送しましたよ」と語った。ちなみに東日本大震災では、津波に巻き込まれながらも生還した人の中でヘドロや重油の混じった海水を飲んでしまい、これが原因となった肺炎などが実際に報告されている。内科医が画像を見せてくれた症例は、そうした類のものだった可能性がある。診療所内の薬局を訪問すると、イスラエル人の薬剤師が案内してくれたが、持参した医薬品は約400品目にも上ると最初に説明された。薬剤師曰く「持参した薬剤は錠剤だけで約2,000錠、2ヵ月分の診療を想定しました。抗菌薬は第2世代ペニシリンやセフェム系、ニューキノロン系も含めてほぼ全種類を持ってきたのはもちろんのこと、経口糖尿病治療薬、降圧薬などの慢性疾患治療薬、モルヒネなども有しています」と説明してくれ、「見てみます?」と壁にかけられた黒いスーツカバーのようなものを指さしてくれた。もっとも通常のスーツカバーの3周りくらいは大きいものだ。彼はそれを床に置くなり、慣れた手つきで広げ始めた。すると、内部はちょうど在宅医療を受けている高齢者宅にありそうなお薬カレンダーのようにたくさんのポケットがあり、それぞれに違う経口薬が入っていた。最終的に広げられたカバー様のものは、当初ぶら下げてあった時に目視で見ていた大きさの4倍くらいになった。この薬剤師によると、イスラエル軍衛生部隊では海外派遣を想定し、国外の気候帯や地域ブロックに応じて最適な薬剤をセットしたこのような医薬品バッグのセットが複数種類、常時用意されているという。海外派遣が決まれば、気候×地域性でどのバッグを持っていくかが決まり、さらに派遣期間と現地情報から想定される診療患者数を割り出し、それぞれのバッグを何個用意するかが即時決められる仕組みになっているとのこと。ちなみに同部隊による医療用医薬品の処方は南三陸町医療統轄本部の指示で、活動開始から1週間後には中止されたという。この時、最も多く処方された薬剤を聞いたところ、答えは意外なことにペン型インスリン。この薬剤師から「処方理由は、糖尿病患者が被災で持っていたインスリン製剤を失くしたため」と聞き、合点がいった。ちなみにイスラエルと言えば、世界トップのジェネリックメーカー・テバの本拠地だが、この時に持参した医薬品でのジェネリック採用状況について尋ねると、「インスリンなどの生物製剤、イスラエルではまだ特許が有効な高脂血症治療薬のロスバスタチンなどを除けば、基本的にほとんどがジェネック医薬品ですよ。とくに問題はないですね」とのことだった。この取材で仮設診療所エリア内をウロウロしていた際に、偶然ゴミ集積所を見かけたが、ここもある意味わかりやすい工夫がされていた。感染性廃棄物に関しては、「BIO-HAZARD」と大書されているピンクのビニール袋でほかの廃棄物とは一見して区別がつくようになっていたからだ。大規模な医療部隊を運営しながら、フリーウェアやジェネリック医薬品を使用するなど合理性を追求し、なおかつ患者情報はリアルタイムで電子的に一元管理。ちなみにこれは今から11年前のことだ。2020年時点で日常診療を行う医療機関の電子カルテ導入率が50~60%という日本の状況を考えると、今振り返ってもそのレベルの高さに改めて言葉を失ってしまうほどだ。

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第136回 マイナ保険証の代わりの資格確認書、窓口負担は増額の方針/厚労省

<先週の動き>1.マイナ保険証の代わりの資格確認書、窓口負担は増額の方針/厚労省2.健康保険証の廃止、マイナ保険証義務化に反対、医師274人が国を提訴へ/東京保険医協会3.「かかりつけ医機能」報告は、無床診療所も在宅医療機関も報告対象に/厚労省4.コロナ後遺症に対応する医療機関のリストを全都道府県で公表を/厚労省5.梅毒報告件数が過去最多に、3月に無料の即日検査などを実施/東京都6.製薬企業の寄付講座、大学内で不適切なメールを発信した医師が懲戒処分/広島大1.マイナ保険証の代わりの資格確認書、窓口負担は増額の方針/厚労省厚生労働大臣は2月24日の記者会見で、2024年秋に健康保険証の廃止に伴ってマイナンバーカードによる「マイナ保険証」を持たない人への資格確認書について、加藤厚労大臣は、患者の窓口負担を割高にする方針を明らかにした。厚生労働省は、デジタル庁の「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」の中間取りまとめについての議論のため、同日に社会保障審議会医療保険部会を開催した。これによれば、マイナンバーカードを取得せず、オンライン資格認証が得られない人については、無償で資格確認書を発行するが、有効期間は最大1年となる見込み。なお、デジタル庁はマイナンバーカードの申請を推進のため、カード申請すると2万円分のマイナポイントを付与してきたが、このキャンペーンによる申請期限については2月28日までとして延期は行わないとしている。(参考)「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」中間とりまとめについて(厚労省)資格確認書の無償発行に異論なし 社保審・医療保険部会(CB news)医療の窓口負担、「資格確認書」ならマイナ保険証より割高に 厚労相(朝日新聞)2万円付与のマイナポイント、カード申請期限は2月28日まで-「延長はしない」と河野大臣(CNET Japan)2.健康保険証の廃止、マイナ保険証義務化に反対、医師274人が国を提訴へ/東京保険医協会政府が進めている、2024年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを健康保険証として運用する「マイナ保険証」の導入を、医療機関に義務付けたのは違法だとして、東京保険医協会の医師、歯科医ら274人が2月22日に、国に対してマイナ保険証の導入義務の無効と1人10万円の慰謝料を求める訴訟を東京地裁に起こした。東京保険医協会は、去年12月にまとめられた中医協の答申書に対して、12月26日に厳重な抗議をしていたが、オンライン資格確認のシステム導入の原則義務化の撤回を求めていた。(参考)オンライン資格確認 「義務化」撤回訴訟へ(東京保険医協会)マイナ保険証、導入義務化は違憲 保険医274人が東京地裁に提訴(毎日新聞)“マイナ保険証 導入義務はリスク負担大きい” 医師ら提訴(NHK)3.「かかりつけ医機能」報告は、無床診療所も在宅医療機関も報告対象に/厚労省岸田内閣は2月24日に、全世代型社会保障構築会議を開き、持続可能な社会保障制度を構築するために、健康保険法などの改正案について議論した。この改正案には、出産育児一時金を後期高齢者医療制度からの支援金の導入のほか、後期高齢者医療制度の後期高齢者負担率の見直し、かかりつけ医機能が発揮される報告制度についても含まれている。出席した委員からは、厚生労働省が従来から行なっている「病床機能報告」と令和7年4月から開始される「かかりつけ医機能」の報告制度との違いについて質問があり、担当官から「『かかりつけ医機能』報告の対象には無床診療所や、在宅医療機関が含まれる」と回答がなされた。今後、具体化がさらに進む見込み。(参考)「かかりつけ医機能」報告、無床診なども対象 厚労省が見通し示す(CB news)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について(全世代型社保構築会議)(内閣府)4.コロナ後遺症に対応する医療機関のリストを全都道府県で公表を/厚労省厚生労働省は全国の都道府県に対し、コロナ後遺症の患者を診療する専門医療機関のリストを4月28日までにホームページなどで公表するよう、2月20日付で事務連絡を行った。厚労省によれば、2月現在でリストを公表しているのは約4割の都道府県にとどまっており、格差が認められている。国立国際医療研究センターの報告によれば、新型コロナウイルス感染の後遺症は、感染から1年半後にも4人に1人が記憶障害や集中力の低下、嗅覚異常といった後遺症を訴えていることが明らかになっている。(参考)新型コロナウイルス感染症の罹患後症状に悩む方の診療をしている医療機関の選定及び公表等について(厚労省)コロナ後遺症を診る医療機関、都道府県に選定と公表を要請 厚労省(朝日新聞)コロナ後遺症対応医療機関のリスト公表へ 厚労省、都道府県に作成要請(CB news)「コロナ後遺症の専門医療機関」を各都道府県で本年(2023年)4月28日までに選定し、公表せよ-厚労省(Gem Med)“コロナ後遺症” 症状と傾向は 感染1年半後でも4人に1人が訴え(NHK)Epidemiology of post-COVID conditions beyond 1 year:a cross-sectional study.5.梅毒報告件数が過去最多に、3月に無料の即日検査などを実施/東京都東京都は都内の令和4年の梅毒報告数が3,677件と、平成11(1999)年の調査開始以来、過去最多になったと発表した。最近は女性の報告数が増加しており、直近10年で約40倍なっている。年齢別では、男性は20~50代、女性は20代が多くを占めている。東京都は梅毒の急増に対応するため、3月に梅毒に関する正しい知識の普及と早期発見に向けて、即日検査を行うほか、3月22日には医療従事者向けオンライン講習会の実施など集中的な取り組みを行う。(参考)梅毒患者が過去最多、女性は10年で40倍 都内で昨年3,677人(朝日新聞)性感染症の梅毒が急増 来月 無料の検査会場設置へ 東京都(NHK)都内で梅毒が急増しています!3月にとくべつ検査など早期発見・治療につながる取組を行います(東京都)6.製薬企業の寄付講座、大学内で不適切なメールを発信した医師が懲戒処分/広島大学広島大学は2月22日に、製薬企業の寄付金によって開設された寄付講座の医師が、不正行為をしたとの公益通報を受け、調査の結果、同僚医師らへ不適切なメール送信を行なったことを確認したと発表した。不適切とされたメールは寄付金を受けた製薬企業の製品の使用推奨を求める内容で、医師の行為は違法行為に当たらないが、利益相反の観点で、不適切な行為とし、2ヵ月の停職とする懲戒処分としたが、同日付で医師は依願退職した。大学によれば、この寄付講座は2018年度に開設され、製薬企業から3年間で4,500万円を拠出を受けた。医師は同僚向けのメールに「院内採用が条件で寄付の2年延長が約束された」と記載し、2019年12月、当該の医薬品が院内採用が決まった後は処方を働きかけていた。(参考)広島大医師が不適切メール 寄付講座巡り、違法性否定(共同通信)製薬会社の寄付講座巡り不適切メール 広島大医師を懲戒処分(産経新聞)広大 “利益相反の観点から問題あった” 寄付講座めぐり謝罪(NHK)広島大学 寄付講座めぐり医師がグラクティブの使用働き掛け「利益相反の観点から問題」調査会が報告書(ミクスオンライン)

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糖尿病対策で外来指導強化など中間とりまとめ公表/厚労省

 「厚生労働省の腎疾患対策及び糖尿病対策の推進に関する検討会」は、2月13日に「糖尿病対策に係る中間とりまとめ」を発表した。 中間とりまとめによると、診療提供について「外来療養指導や外来栄養食事指導の強化」が謳われ、高齢者の糖尿病患者の低血糖予防や在宅看護など地域ケアの取り組みが追記された。また、糖尿病対策に係る指標の見直しでは、「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸とすることが記述された。 主な中間とりまとめの概要は下記の通り。【1 糖尿病対策に係る他計画との連携等を含めた診療提供体制について】1)見直しの方向性(1)健康日本21や医療費適正化計画の見直しにかかる検討状況、重症化予防や治療と仕事の両立支援に係る取組状況などを踏まえる。(2)厚生労働科学研究の内容などを踏まえる。2)具体的な内容(1)引き続いての推進事項として・地域の保健師・管理栄養士などと連携した糖尿病発症予防の取組や、保健師・管理栄養士などと医療機関の連携、健診後の受診勧奨・医療機関受診状況などに係るフォローアップなど予防と医療の連携。・研究班や関係学会で整理された、かかりつけ医から糖尿病専門医への紹介基準、その他関係する専門領域への紹介基準なども踏まえ、合併症の発症予防・重症化予防に係る医療機関間連携や関連機関などとの連携。・糖尿病対策推進会議や糖尿病性腎症重症化予防プログラムなど、保険者と医療機関などの連携。・「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に基づく治療と仕事の両立支援を含め、産業医などと連携した職域における糖尿病対策。・周術期や感染症入院中の血糖コントロールなど、糖尿病を併存している他疾患を主たる病名として治療中の患者の血糖管理体制。・患者およびその家族などに対する教育や、国民に対する正しい知識の普及啓発。・糖尿病の動向や治療実態を把握するための取組や、取組評価の適切な指標の検討。(2)追記事項として・治療などに係る記載について、更新された糖尿病に係るガイドラインにおける記載内容や調査・研究の結果などを踏まえ、内容を更新する。また、外来療養指導、外来栄養食事指導の強化、運動指導の重要性について。・高齢者糖尿病に関しては、高齢者糖尿病におけるコントロール目標などが設定されたことにも留意し、低血糖予防、フレイル対策、併存症としての心不全に関する実態把握、在宅医療・在宅訪問看護や介護・地域包括ケアとの連携などの要素も含め、糖尿病の治療や合併症の発症予防・重症化予防につながる取組について。【2 新型コロナウイルス感染症拡大時の経験を踏まえた今後の糖尿病医療体制について】1)見直しの方向性(1)今回の新型コロナウイルス感染症拡大時の経験も踏まえ、地域の実情に応じ、多施設・多職種による重症化予防を含む予防的介入、治療中断対策などを含む、より継続的な疾病管理に向けた診療提供体制の整備などを進める観点から必要な見直しを行う。2)具体的な内容(1)感染症流行下などの非常時においても、切れ目なく糖尿病患者が適切な医療を受けられるような体制整備を進める。(2)ICTの活用やPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の利活用、在宅医療との連携を含めた継続的・効果的な疾病管理に係る検討を進めるとともに、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」にそって、オンライン診療による対応が可能な糖尿病患者の病態像についても整理を進める。【3 糖尿病対策に係る指標の見直しについて】1)見直しの方向性(1)第8次医療計画における糖尿病対策に係る指標については見直しを行う。(2)具体的な方向性は、以下の通りとする。・「糖尿病の予防」「糖尿病の治療・重症化予防」「糖尿病合併症の発症予防・治療・重症化予防」の3項目を軸として整理。・「専門家数」または「専門医療機関数」のいずれも用いうる指標については、医療提供体制の整備という観点から「専門医療機関数」を採用。【4 今後検討が必要な事項について】(1)高齢者の糖尿病の実態把握や、ICTなどを活用した糖尿病対策のあり方。(2)糖尿病対策の取組の評価に係る適切な指標。

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第135回 ポスト2025年の医療・介護提供体制の確立に向けた総合確保方針を改定/厚労省

<先週の動き>1.ポスト2025年の医療・介護提供体制の確立に向けた総合確保方針を改定/厚労省2.医療情報システムをサイバー犯罪から守れ、ガイドライン改定へ/厚労省3.マイナ保険証を持たない人に1年有効の「資格確認書」を発行へ/デジタル庁4.新型コロナウイルス接触確認アプリの開発、不備を認める/デジタル庁5.入院患者への暴行で、精神病院に立ち入り検査/東京都6.「サル痘」の名称を「エムポックス」に変更へ/厚労省1.ポスト2025年の医療・介護提供体制の確立に向けた総合確保方針を改定/厚労省厚生労働省は2月16日に「医療介護総合確保促進会議」を開催し、「団塊の世代」がすべて75歳以上となる2025年、さらにその後の医療・介護提供体制を見据えて、患者・利用者・国民の視点に立った医療・介護の提供体制を構築する必要があるとして「総合確保方針」の見直し案を討議し、承認された。この中で、入院医療については、令和7年に向けて地域医療構想を推進して、さらに医療機能の分化・連携を進めることで「地域完結型」の医療・介護提供体制の構築を目指す。また、外来医療・在宅医療については、外来機能報告制度を用いて紹介受診重点医療機関の明確化を図り、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行っていくことが重要としている。厚生労働省は新たな「総合確保方針」を、今年度内に告示する見通し。(参考)第19回医療介護総合確保促進会議(厚労省)医療と介護の総合確保方針、改定案を大筋了承 3月中に告示、厚労省(CB news)医療・介護計画の上位指針となる総合確保方針を見直し!2025年から先を見据え「柔軟なサービス提供」目指す!-医療介護総合確保促進会議(Gem Med)厚労省、介護事業者の協働化・大規模化を推進 事業計画の指針に明記(JOINT)2.医療情報システムをサイバー犯罪から守れ、ガイドライン改定へ/厚労省厚生労働省は第14回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループを持ち回りで開催し、昨年4月に改定した医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6版の骨子案を示した。昨年、発生した大阪急性期・総合医療センターや徳島県つるぎ町立半田病院へのサイバー攻撃事件をきっかけに厚生労働省は医療機関に対して、医療機関へのサイバー攻撃に対してセキュリティー対策を呼びかけている。また、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」に対するパブリックコメントの募集を開始しており(締切は2023年3月7日)、募集を経て4月には公表したいとしている。なお、厚生労働省は、医療法を改正しており、令和5年4月より医療法第25条第1項の規定にされている立入調査の実施の際は、病院、診療所の管理者がサイバーセキュリティの確保を講じているかを確認するとしている。(参考)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」の骨子(案)について〔概要〕(厚労省)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第6.0版」の骨子(案)に関する御意見の募集について(同)セキュリティー対策、役割ごとに整理 安全管理指針(CB news)3.マイナ保険証を持たない人に1年有効の「資格確認書」を発行へ/デジタル庁デジタル庁は2月17日に「マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会」を開き、中間とりまとめを発表した。来年の秋に、従来の健康保険証が原則廃止となるため「マイナ保険証」を持たない人に対して、無料で有効期間1年の「資格確認書」を発行するとともに「更新も可能」となる見込み。また、マイナンバーカードの取得についても、交付申請者が庁舎などに出向くことが困難な人については診断書、障害者手帳などを用いて、柔軟に代理交付の仕組みを活用することで交付をスムーズに行えるように自治体向けに指導するとした。このほか、マイナカードの紛失など緊急時には最短で5日で発行できる体制を作ることとした。(参考)マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する検討会 中間とりまとめ(デジタル庁)マイナンバーカード、再発行最短5日で 24年秋までに(日経新聞)マイナカード最短5日で発行へ、保険証廃止で政府が中間取りまとめ(朝日新聞)4.新型コロナウイルス接触確認アプリの開発、不備を認める/デジタル庁厚生労働省とデジタル庁は、昨年11月に機能を停止した新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」の取組に関する総括報告書をまとめて、公表した。同アプリは、陽性者と接触した可能性を利用者に伝え、検査や保健所のサポートを早く受けることで、感染拡大の防止が期待されていたが、Android端末で接触通知が到達していないなどの不具合が発覚した。原因には、アプリの開発や運用などで体制の整備が十分でなかったことなどが指摘されており、さらにアプリの効果を検証できないなどの課題があった。デジタル庁は、将来のパンデミックに備えて、今後のアプリ開発などに活用していく方針であるとした。(参考)新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)の取組に関する総括報告書(デジタル庁)河野デジタル相、「COCOA」開発不備認める…「政治のリーダーシップが欠如していた」(読売新聞)接触確認アプリ「COCOA」“課題あった” デジタル庁など報告書(NHK)5.入院患者への暴行で、精神病院に立ち入り検査/東京都2月14日に入院患者への暴行が行われたとして、東京都八王子市にある精神病院の滝山病院(288床)の看護師の男性職員が逮捕された。これまでも入院患者に対して、違法な身体拘束が行われているとして関係者から告発があり、翌日、警察は病院を家宅捜索した。また、厚生労働省は東京都に対して立ち入り調査を行うよう指導した。事件に対して、加藤厚生労働大臣は記者会見で「精神科病院での患者に対する虐待など人権侵害はあってはならない」とし、来年の4月に改正される精神保健福祉法では、精神科病院で虐待を発見した場合に都道府県などへの通報を義務付けられており、今後、指導していくことを明らかにしている。(参考)精神科病院 看護師逮捕“虐待疑われる場合 行政指導”厚労相(NHK)東京 八王子の精神科病院“少なくとも10人以上が虐待”弁護士(同)小池都知事「今後も立ち入り検査」 八王子の精神科病院患者暴行事件(産経新聞)精神科の入院患者に暴行か 看護師の男逮捕-警視庁(時事通信)6.「サル痘」の名称を「エムポックス」に変更へ/厚労省厚生労働省は、2月17日に天然痘に似た感染症「サル痘」の名称を、世界保健機関(WHO)が2022年11月28日に“mpox”の使用を推奨することを公表したため、これに従って「エムポックス」に変更する方針を決めた。サル痘は2022年5月以降、国際的に市中感染が拡大しており(110ヵ国・8万人以上)、2023年2月16日時点で国内でも20例の症例が確認されているが死者はなく、海外でも感染者の多くは軽症で回復している。(参考)サル痘の名称変更について(厚労省)「サル痘」を「エムポックス」に変更へ 厚生労働省(NHK)サル痘の名称、「エムポックス」に WHO推奨で変更へ(日経新聞)サル痘の名称を「エムポックス」に…厚労省が変更方針(読売新聞)

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第134回 全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府

<先週の動き>1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府2.かかりつけ医機能を制度化へ、かかりつけ医機能報告制度創設/厚労省3.新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、次回は今年の秋から/厚労省4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府政府は、2月10日に一定の収入(年収153万円以上)を超えるの75歳以上の高齢者の健康保険料の引き上げを含む、「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。少子高齢化で財政が厳しい中、子ども・子育て支援の拡充、高齢者医療を全世代で公平に支えあうための高齢者医療制度の見直し、医療保険制度の基盤強化、医療・介護の連携機能および提供体制などの基盤強化を柱としている。具体的には「出産育児一時金」が今年の4月から50万円に引き上げられる財源について、75歳以上の高齢者にも財源の一部を負担してもらうほか、一定の年収を超える75歳以上の高齢者の保険料を現在の66万円を2024年度に73万円、2025年度に80万円と段階的に引き上げる。さらに74歳までの前期高齢者の医療費を現役世代が支援する仕組みでも、大企業の健康保険組合の負担を増やす一方で、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を軽くする。この他、都道府県に対して、医療費適正化計画の立案の段階から、保険者と協議を行うことで、医療費適正化に向けた都道府県の役割、責務を明確化する。現在開会中の通常国会に提出し、成立を目指す。施行期日は、一部を除いて2024年4月1日となる。(参考)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(厚労省)75歳以上医療保険料引き上げ、法案閣議決定 年収153万円超から(毎日新聞)75歳以上の医療保険料、引き上げへ 政府 全世代型法案を閣議決定(JOINT)2.「かかりつけ医機能報告」を創設、かかりつけ医機能が制度化へ/厚労省政府は2月10日、かかりつけ医機能の制度整備などを盛り込んだ「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。現行の医療機能情報提供制度を変更して、新たに「かかりつけ医機能報告制度」が創設される。厚生労働省によれば、慢性疾患を有する高齢者や継続的に医療を必要とする患者を地域で支えるために定められた機能([1]日常的な診療の総合的、継続的実施、[2]時間外診療、[3]急変時や入院時に患者を支援、[4]在宅医療の提供、[5]介護サービスなどとの連携など)について、医療機関から都道府県に報告を求める。都道府県知事はそのデータを確認し、地域の関係者との協議の場に報告するとともに公表する。厚生労働省は、かかりつけ医機能の報告が医療機関を縛るものではないとしており、必ずしもかかりつけ医制度を義務化するものではないとの立場。厚生労働省は医療法を改正して、2025年4月1日の施行を目指す。(参考)かかりつけ医機能が発揮される制度整備について(厚労省)「かかりつけ医機能」発揮へ制度整備、法案閣議決定 厚労相「地域で機能提供できる体制構築」(CB news)自民党厚労部会 全世代社会保障法案を部会長一任で了承 かかりつけ医機能の「確認」は行政行為にあらず(ミクスオンライン)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(上) 政府は患者登録制は見送り(東京新聞)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(下) 総合診療医の育成支援を(同)3. 新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、追加接種は今年の秋に実施/厚労省厚生労働省は2月8日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催し、今年3月末に無料接種の期限を迎える新型コロナウイルスワクチン接種について、4月以降もすべての接種対象者の無料接種を継続する方針を固め、さらに2023年度の追加接種の方針について、以下の通りとりまとめた。追加接種の対象者は高齢者などの重症化リスクがある人を優先するが、重症化リスクが高くない人であっても重症化が発生するため、引き続き無料接種を継続する。接種時期は、前回から1年が経過する今年秋から冬に実施予定だが、重症化リスクのある人については秋を前に接種を行う。また、子ども(5~11歳)や乳幼児(6ヵ月~4歳)は、接種開始から時間が短いため、接種期間を延長する。(参考)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針についての議論のとりまとめについて(厚労省)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について(同)新型コロナワクチン、4月以降も無料接種継続へ 次回は今秋冬に(毎日新聞)新型コロナワクチン 秋から冬に次の接種 基本方針まとまる(NHK)コロナワクチン接種スケジュール「毎年秋冬が妥当」厚労省が厚科審部会に方針案提示(CB news)4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府政府は、2024年秋に行う健康保険証の廃止と、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への切り替えを前に、「マイナ保険証」の普及に向けて、取得を呼びかける広報を行っているが、2月5日時点マイナンバーカードの保有率は68.1%だが、健康保険証としての利用登録率は59.3%とまだ低い(2023年2月5日時点)。このため政府は、2024年の健康保険証の廃止後もマイナンバーカードを紛失した人や未取得の人が保険診療を受けられるように、保険証の情報を記載した「資格確認書」を提供する方向で検討を開始した。また、新生児についても、出生届の提出時に申請を受け付け、1歳未満の乳児には顔写真がないカードを交付する方針。政府は、具体化に向けてさらに検討を行い、法案を今国会に提出する見込み。(参考)“マイナ保険証”ない人には「資格確認書」提供で調整 政府(NHK)健康保険証廃止後の保険診療で具体案取りまとめ 政府(同)マイナ保険証未取得者に資格確認書 24年保険証廃止で政府調整(毎日新聞)マイナンバーカード交付状況について(総務省)政策データダッシュボード(ベータ版)(デジタル庁)5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁ベラルーシの病院での臓器移植を無許可であっせんしたとして、警視庁生活環境課は2月9日までに、NPO法人「難病患者支援の会」(横浜市)の理事を臓器移植法違反の疑いで逮捕した。同法人も同じ容疑で書類送検となる見込み。報道によると逮捕された菊池仁達容疑者らは、厚生労働省の許可を得ずに、臓器移植を希望する患者に対して海外渡航での臓器移植を斡旋し、手術後に合併症などで死亡するなど被害が出ているほか、費用を払い込んだにもかかわらず移植が行われず、死亡した患者の遺族へ返金がなされていないなど被害が発生していた。加藤厚労大臣は、記者会見でこの事件について「事実だとすれば大変遺憾」だとして、国内でも他に同様の事案が無いか、調査していく考えを示した。さらに「同様の事案が生じないよう、臓器提供に関する正確な情報を発信していく」と強調した。日本臓器移植ネットワークによれば、日本国内のドナー数は100万人当たり0.62とアメリカの41.88やドイツの11.22など世界各国に比べて、提供件数が低いままであり、今回のように待機患者が海外を目指すケースが後を絶たない。2008年の国際移植学会で「移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすること」という主旨のイスタンブール宣言が出されたことで、わが国でも2009年に改正臓器移植法が成立し、2010年7月に全面施行となっている。(参考)臓器あっせん、患者は徹底捜査求める「移植費用の行方解明して」(読売新聞)臓器あっせん、別の日本人患者も死亡…ベラルーシで肝臓・腎臓を同時移植(同)相場の2倍要求か 臓器移植、無許可あっせん容疑の理事(日経新聞)「不透明」な海外移植あっせん 増えぬドナー、減らぬ希望者が背景に(朝日新聞)6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警兵庫県警生活経済課は2月9日、緊急避妊薬やうつ病の治療薬など未承認の医薬品のアフィリエイト広告をインターネット上に掲載したとして、医薬品医療機器法(未承認医薬品の広告禁止)違反の疑いで、群馬県高崎市の男性(39)を逮捕した。調べによると、男性は副業でアフィリエイト(ネット広告)用のウェブサイトを複数開設し、アフィリエイト仲介業者を通して、毎月10万円前後の報酬を得ていた。Webサイトには、未承認の緊急避妊薬、抗うつ薬に加え、新型コロナウイルス感染症治療薬として未承認の「イベルメクチン」も掲載されていた。厚生労働省は2021年8月に医薬品医療機器等法を改正しており、医薬品等の誇大広告の規制の強化を打ち出している。第66条の条文には「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」とされている。規制対象は、広告主だけではなく、広告代理店・アフィリエイターなどの個人も対象となる。また、健康食品・サプリメント、健康・美容器具であっても、医療品のような効果を訴求して、薬機法に抵触する表現をすると医薬品であるとみなされ、課徴金の対象となる可能性があり、課徴金として「売上額」の4.5%を支払う必要がある。(参考)未承認の緊急避妊薬などをネット広告に 県警が群馬の男逮捕「本当に悪いのは輸入代行者」(神戸新聞)医薬品等の広告規制について(厚労省)アフィリエイト広告のしくみと法規制(国民生活センター)薬機法改正のポイントを分かりやすく解説!企業は何を対策すべき?(Letro)

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誤嚥性肺炎と緩和ケア【非専門医のための緩和ケアTips】第42回

第42回 誤嚥性肺炎と緩和ケア誤嚥性肺炎は、主に高齢者を中心に誤嚥を契機とした肺炎を繰り返す病態です。プライマリ・ケアや在宅医療では必ず遭遇するでしょう。病院勤務をしていると、繰り返し入院してくる患者さんもいます。こうした誤嚥性肺炎に対する緩和ケアにはどのようなポイントがあるのでしょうか?今日の質問訪問診療で長年診ている患者さん。ここ1年で誤嚥性肺炎を2回発症し、入院しています。ときどき発熱もあり、そうした時に肺炎を起こしていたのかもしれません。すでに90歳、終末期の話し合いが必要かとも感じているのですが、何に注意するとよいでしょうか?球麻痺を来す神経難病や、脳血管障害のようにさまざまな病態が誤嚥性肺炎の原因となります。頭頸部がんや手術の影響で嚥下機能が障害されることもあります。ただ、今回のような訪問診療では、認知症とフレイルが進行した高齢者が、栄養摂取が困難となっている中での誤嚥性肺炎に最も多く遭遇するでしょう。「発熱の度に絶食し、抗菌薬の点滴治療」というのが、よくある対応でしょう。ただ、発熱の度に絶食をしていると栄養状態はどんどん悪化していきます。これは難しい問題ですよね。さて、ここで皆さんに質問です。あなた自身が、「食べたら肺炎を起こすかもしれないので、経口摂取は止めておきましょう」と言われたとしたら、どのように感じますか?「肺炎はつらいので食べるのは我慢します」と言う方もいれば、「いやいや、肺炎は気になるけど、できるだけ口から食べたいです」と言う方もいるでしょう。それはさまざまな経験や状況によっても変わるでしょう。嚥下機能の改善が難しい状況や、終末期を視野に入れた誤嚥性肺炎の緩和ケアでは、こうした「何を目指すか」を考えることが大切です。一言で言えば「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)が大切です」といった感じですが、これってなかなか実践するのが難しいですよね。とくに、在宅医療の現場だと、言語聴覚士などの専門職の意見を参考にすることも難しい場面が多いでしょう。ここでは、急性期病院に入院した際の話し合いを在宅退院する際に共有する、などの工夫が求められます。そうした話し合いの先に、患者さんごとに、「この方の場合は、在宅での点滴加療が最善だろう」と関係者間で共有されます。誤嚥性肺炎の緩和ケアは、増悪を繰り返し、時に入院も要する疾患の特性上、医療機関を超えた地域レベルでの連携が求められる分野なのです。今回のTips今回のTips誤嚥性肺炎の緩和ケアは、複数の医療機関の多職種で連携しながら取り組むことがポイント。

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第127回 新型コロナウイルスの2類見直しについて討議開始/感染症対策分科会

<先週の動き>1.新型コロナウイルスの2類見直しについて討議開始/感染症対策分科会2.75歳以上の医療保険料、年間5,300円の負担増へ/厚労省3.がん患者数、コロナ前の水準に、進行がん患者増を懸念/国立がん研究センター4.医療機関にセキュリティ対策研修用ポータルサイト開設/厚労省5.かかりつけ医機能について、年内に結論へ/全世代型社会保障構築会議6.改正精神保健福祉法と改正難病法が成立/参院1.新型コロナウイルスの2類見直しについて討議開始/感染症対策分科会政府は新型コロナウイルス感染症対策分科会を12月9日に開き、今年の年末年始の感染対策について考えをまとめ、公表した。この中で、オミクロン株対応ワクチンの早期接種を求めるとともに、医療逼迫防止のために、重症化リスクが低い人については咽頭痛や発熱などの自覚症状が出た場合は、自宅での抗原定性検査キットを使うことも検討を求めた。また、定期的に換気することも求めた。さらに、新型コロナの2類感染症の見直しについても、季節性インフルエンザなどと同じ「5類」への引き下げについても議論されたが、致死率などがインフルエンザに近づいているという意見もある一方で、死亡数が多いといった意見も出され、最新のデータに基づいた評価をもとに、改めて議論することとなった。(参考)年末年始の感染対策についての考え方(新型コロナウイルス感染症対策分科会)新型コロナの感染症法上の扱い 改めて議論へ 政府分科会(NHK)ワクチン年内接種呼び掛け コロナ分科会 年末年始の医療逼迫回避(時事通信)2.75歳以上の医療保険料、年間5,300円の負担増へ/厚労省厚生労働省は12月9日に開催された社会保障審議会医療保険部会において、年末までに医療保険の見直し案による試算を公表した。これによると、出産育児一時金を47万円に増額した場合、75歳以上が加入している後期高齢者医療制度の保険料が年間5,300円増加する見込みとなっている。政府は、出産一時金については50万円に引き上げる方針のため、健康保険料はこの試算より増額が見込まれている。なお、実際に保険料が増えるのは、75歳以上のうち年金収入が153万円以上の所得がある人で、全体の約4割に止まるとみられる。高齢者医療をすべての世代で公平に支え合う仕組みのため、政府はさらに改革を進めていく方針。(参考)第160回社会保障審議会医療保険部会(厚労省)24年度医療保険料 75歳以上、年5300円増 政府試算(毎日新聞)後期高齢者の年間保険料 2年後 約5400円の負担増 厚労省が試算(NHK)75歳以上、平均年5300円負担増 医療保険見直し案、厚労省が試算公表(朝日新聞)3.がん患者数、コロナ前の水準に、進行がん患者増を懸念/国立がん研究センター国立がん研究センターは12月9日に、2021年1月1日から12月31日の1年間にがんと診断または治療された患者の院内がん登録データをまとめ、速報値として報告書としてウェブサイトで公表した。院内がん登録データの提出があった拠点病院453施設と小児拠点6施設のうち、過去4年間にわたってデータ提出のあった計455施設を対象にデータをまとめたところ、2021年の院内がん登録数は、2018年と2019年の2ヵ年平均登録数と比較して101.1%とほぼ同程度であることが明らかとなり、新型コロナウイルスの影響で減った2020年と比べると2021年は感染拡大前の水準であったことがわかった。一方、2021年の登録症例は、2018年と2019年の平均登録数と比較したところ、多くのがん種で早期がんでの登録の割合が減少しており、今後も継続的に分析を行う必要があるとしている。(参考)院内がん登録2021年全国集計速報値 公表 2021年のがん診療連携拠点病院等におけるがん診療の状況(国立がん研究センター)国立がん研究センター「がん情報サービス がん統計」報告書ページ(同)国がん 21年院内がん登録全国集計結果を公表 コロナ禍で減少の新規患者数が同程度に(ミクスオンライン)昨年がん診断・治療、コロナ前並みの81万件…想定より少なく「進行がんで見つかる恐れ」(読売新聞)4.医療機関にセキュリティ対策研修用ポータルサイト開設/厚労省厚生労働省は、医療機関へのランサムウェアによるサイバー攻撃が増加しているのを受け、12月8日に、医療機関向けに「医療機関向けセキュリティ教育支援ポータルサイト」を開設した。医療機関の経営者に対して最近のサイバー攻撃事例を紹介するほか、システム管理者に向けてはインシデント対応やシステム設定などを伝える。また、一般の医療従事者には情報セキュリティの基本や注意点などを説明する。さらにトラブル発生時の相談・初動対応依頼窓口も設置されている。(参考)医療機関向けセキュリティ教育支援ポータルサイト(厚労省)医療機関向けサイバーセキュリティ対策研修を開始します(同)医療機関にセキュリティ知識を ソフトウェア協会が講習事業スタート(ITmedia)医療機関にサイバー研修 厚生労働省がポータルサイト(日経新聞)5.かかりつけ医機能について、年内に結論へ/全世代型社会保障構築会議政府は、12月7日に全世代型社会保障構築会議を開催し、報告書の取りまとめに向け、論点整理を巡って議論を行った。当日、論点となったのは医療・介護制度改革のほか、誰もが安心して希望通りに働くことができる社会保障制度の構築、子育て支援。医療・介護保険制度の改革では、今後の高齢者人口のさらなる増加を見据え、「かかりつけ医機能」制度の整備は不可欠とし、具体的なかかりつけ医の機能として「日常的に高い頻度で発生する疾患・症状について幅広く対応し、オンライン資格確認も活用して患者の情報を一元的に把握し、日常的な医学管理や健康管理の相談を総合的・継続的に行うこと」とし、「休日・夜間の対応、他の医療機関への紹介・逆紹介、在宅医療、介護施設との連携」も必要ではないかとされた。今後は、年内に議論をまとめ、来年の通常国会での関連法改正を目指す方向とみられる。(参考)全世代型社会保障の構築に向けた各分野における改革の方向性(全世代型社会保障構築会議)「かかりつけ医機能」年内結論 全世代型会議「足元の課題」(CB news)かかりつけ医機能の方向性決定は年内か 政府の全世代型社会保障構築会議が報告書の素案を提示(日経ヘルスケア)6.改正精神保健福祉法と改正難病法が成立/参院12月10日、会期末の参院本会議で精神保健福祉法、難病法の改正案も含めた「障害者総合支援法等改正案」が成立した。難病法の改正案には、これまで難病の申請を行った日からされていた医療費助成を「重症と診断された日」にさかのぼって受けられることにするほか、障害福祉サービス利用時に使える「登録者証」の発行が盛り込まれた。このほか、難病患者や小児慢性特定疾病患者らのデータベースの整備により、製薬企業が難病患者のデータベースのデータを利活用できるようにして、新薬の開発を促進することを目指す。また、精神科病院の管理者に対し、病院の職員への研修や患者の相談体制の整備など、患者虐待防止策義務付けた改正精神保健福祉法も同日成立した。(参考)障害者総合支援法等改正案の概要(厚労省)「改正難病法」成立 患者からは一日も早く治療薬開発求める声(NHK)精神科病院の患者虐待防止策義務づけ 改正精神保健福祉法成立(同)1人暮らし促進 障害者支援、改正法成立(毎日新聞)

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心不全患者の緩和ケアの特徴は?【非専門医のための緩和ケアTips】第41回

第41回 心不全患者の緩和ケアの特徴は?非がん疾患の緩和ケアが注目されるようになり、いち早く保険収載された心不全患者の緩和ケア。がん患者に対する緩和ケアの経験をもとに、心不全の緩和ケアにもぜひ取り組んでいただきたいのですが、そこには疾患特性を意識した工夫も必要になります。今回は心不全の緩和ケアに関する特徴について考えていきます。今日の質問訪問診療をしていると、がんよりもむしろ、非がん疾患の患者さんの終末期に対応する機会が多くあります。中でも終末期心不全患者が今後増えていくと聞きました。心不全患者の緩和ケアについて、注意すべき点は何でしょうか?今回の質問にあるように、在宅医療の緩和ケアでは非がん疾患への対応が非常に多くなります。繰り返す誤嚥性肺炎や進行した認知症、神経難病などさまざまな疾患がある中でも、近年は心不全の緩和ケアが注目されています。「心不全パンデミック」って聞いたことがあるでしょうか? これは高齢化に伴い、心不全患者が非常に多くなることを意味しています(かつては私も講演などでよく使っていた用語ですが、新型コロナウイルスのパンデミックと誤解されそうなため最近はあまり使っていません)。高齢化に直面する地域の多くで心不全患者の増加が予想されます。都市部や地方などそれぞれの状況によっても変わりますが、ご自身の地域の医療計画などを参考に、心構えをしましょう。さて、心不全の緩和ケアにおいて意識するべきことは何でしょうか? 私が最も特徴的だと感じるのは、「増悪寛解を繰り返し、可逆性の判断が難しい」という点です。つまり、「治療の効果がどの程度見込まれるか、事前に判断しにくい」のです。心不全患者はしばしば急性増悪が生じますが、そうしたタイミングでは呼吸困難を中心とした症状も強く、静脈薬の投与も要するために入院が必要になります。軽症であれば在宅での治療もある程度まで可能ですが、血行動態に作用する薬剤を使ったり経過が時間単位で推移したりするため、入院を勧めることが多いでしょう。ここがポイントです。心不全患者の終末期は、在宅医療といった特定の療養の場で完結せず、地域の入院医療機関との連携が重要になるのです。皆さん、急性期病院で急性心不全患者の入院を担当する部門と連携体制をつくっているでしょうか?こうした連携では「顔の見える関係」の重要性が言われます。在宅医療だけでは完結しない特性を持つ慢性疾患、とくに増悪時には急性期医療機関でないと対応しにくいのが心不全の終末期であり、心不全の緩和ケアは地域レベルでの連携構築が大切な分野です。そこを意識した行動をぜひ考えてみてください。具体的にお勧めしたいのが、患者さんを紹介する際などに電話で直接やり取りすることです。新型コロナウイルスの流行前であれば、地域連携を意識した勉強会などもよく開催されていましたが、今は少し自発的な行動が必要でしょう。皆さんの工夫もぜひ教えてください。今回のTips今回のTips心不全の緩和ケアでは、増悪寛解を繰り返す疾患特性があり、急性期病院との連携が必要となることを知りましょう。

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第138回 かかりつけ医制度の将来像 連携法人などのグループを住民が選択、健康管理も含めた包括報酬導入か?

「医療費削減」に至るスキームが見えない、かかりつけ医制度こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は昨年秋にも登った埼玉県・奥武蔵の伊豆ヶ岳に行って来ました。西武秩父線の吾野駅から子ノ権現、天目指峠を経て伊豆ヶ岳、正丸峠という少々長い低山コースです。昨年は、左手小指の骨折を抱えての登山で、結構難儀だったのですが、今年は10月の苗場山で痛めた右膝痛(おそらく膝蓋腱炎。かかりつけの整形外科医がいつも消炎鎮痛剤の処方をするだけなので受診せず自己診断)が残る中でのリハビリ登山となりました。急登では右膝をかばいながら登った結果、昨年よりも1時間近く余計に時間がかかってしまいました。ただ、膝もなんとか持ちこたえ、正丸峠にある奥村茶屋のジンギスカンもいつものように美味しく、初冬の奥武蔵を満喫して帰路につくことができました。さて、今回も前回(第137回 出揃ったかかりつけ医の制度案、医療機関や患者にそれぞれ判断を委ねる「手上げ方式」浮上[後編])、前々回(第136回 同[前編])に引き続き、かかりつけ医の制度について考えてみます。おぼろげながら輪郭が見えてきたかかりつけ医制度ですが、現段階では報酬については具体案が示されておらず、最大の目的とも言える「医療費削減」に至るスキームがクリアに見えてきません。社会保障審議会医療部会と全世代型社会保障構築会議の最終結論もまだ、ということで、これまでの情報から予想できる、かかりつけ医制度の将来像と報酬体系について考えてみます。全世代型社会保障構築会議で“地ならし”をした厚労省提案の「手上げ方式」まずは11月11日の全世代型社会保障構築会議が医療機関、患者双方による「手上げ方式」をぶち上げて“地ならし”をしました。その後、厚生労働省は11月28日の社会保障審議会医療部会において、その案に加えて、日本医師会も提案していた「医療機能情報提供制度の拡充」を組み入れた骨格案を提案しました。日本医師会への根回しもしっかり行ったとみられる今回の議論の流れは、国や厚労省にとってはおおよそシナリオ通りに進んだと言えるでしょう。2023年中に検討を行い2024年度以降に実行厚労省が示した骨格案では、現在、医療法の施行規則に定義されている「身近な地域における日常的な医療提供や健康管理に関する相談を行う」というかかりつけ医機能の定義を同法の条文に「格上げ」するとしています。具体的に整備する仕組みとしては、医療機関は診療体制、休日や夜間の対応、在宅医療の提供体制といった「かかりつけ医機能」を都道府県に報告、都道府県はそれらの情報を国民・患者にわかりやすく提供するようにするとしました。そして、患者と医療機関のかかりつけ医の関係については、1)国民・患者はそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を選択して利用。2)医療機関は地域のニーズや他の医療機関との役割分担・連携を踏まえつつ、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化。3)医師により継続的な医学管理が必要と判断される患者に対して、患者が希望する場合に、書面交付と説明を通じて、患者と医療機関がかかりつけの関係を確認できるようにする。――などとしました。骨格案では「かかりつけ医機能報告制度の創設による機能の充実・強化」「医療機能情報提供制度の拡充」の2つの仕組みについて2023年中に検討を行い、2024年度以降に実行に移すとなっています。キーワードは「地域医療連携推進法人」はたから見て、「また面倒くさそうな報告制度をつくるのだな」とため息が出てしまいます。マイナ保険証の導入ですら、医療機関、患者双方であたふたしている状況です。高齢患者に「手上げ方式」が果たして可能なのでしょうか。住民がインターネットなどで医療機関が報告した機能を吟味して選ぶ、なんてことは普通に考えれば現実的ではありません。では、どうしてこの制度を整備しておくのでしょうか。私は、最近あちらこちらの公的文書に頻出する「地域医療連携推進法人」が、1つのキーワードではないかと考えています。地域医療連携推進法人については、2年前、「第69回 『骨太』で気になった2つのこと(後編) 制度化4年目にして注目集める地域医療連携推進法人の可能性」でも詳しく書きました。今年の「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針2022)」も、かかりつけ医機能が発揮される制度整備に関連して「地域医療連携推進法人の有効活用」を提言しています。そして、全世代型社会保障構築会議が11月24日に公表した「論点整理(各分野の改革の方向性)」の中には、かかりつけ医機能の整備・普及について、「これらの機能について、複数の医療機関が緊密に連携して実施することや、その際、地域医療連携推進法人の活用も考えられる」という一文がしっかりと入っています。医療機関のグループで一人の患者の健康管理から診療までを担うこうした一連の文章から予想される「かかりつけ医機能」の将来像について、私見を述べてみたいと思います。1つ考えられるのは、かかりつけ医の機能は、個々の医療機関もしくは1人の医師が担うのではなく、医療機関のグループで1人の患者の健康管理から診療までを担うという姿です。だから、地域全体でかかりつけ医機能を発揮できる仕組み、受け皿の候補として、既に医療法で規定されている地域医療連携推進法人に白羽の矢がたったのでしょう。日本医師会も11月2日に公表した「地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)」では、医療機関の役割分担や連携を進め、地域全体で「かかりつけ医機能」をカバーする仕組みを提言しています。情報共有や地域フォーミュラリで医療費削減を実現した連携法人ももちろん、現在認可されている地域医療連携推進法人のすべてが、地域の診療所から急性期病院、回復期病院、そして介護施設までの機能を全て内包しているわけではありません。しかし、日本海ヘルスケアネット(山形県酒田市)のように、そうしたモデルがいくつか存在することも事実です。それらは、地域医療連携推進法人内で地域包括ケアの仕組みが完成されているモデルと言ってもいいでしょう。それらの地域医療連携推進法人では、徹底した医療情報の共有や、地域フォーミュラリの導入によって、無駄な診療や医療費の削減も実現しています。患者の手上げは個々の医療機関ではなく診療・介護グループに対して行うそう考えてくると、医療機関の手上げは、個々の医療機関ではなく、地域医療連携推進法人などの診療・介護グループが行い、患者(住民)の手上げ(選択)はそうした診療・介護グループに対して行うというのが、最も妥当な線ではないでしょうか。報酬体系については、いろいろな考え方があると思います。私が考えたのは、健康管理・疾患フォローも含め、手を上げた患者(住民)1人につき月額いくらでグループ(法人)に支払う、という人頭払いです。あちこちドクターショッピングをして無駄な医療費が使われることを考えると、健康管理・疾患フォローに報酬を付けるのは、長い目で考えれば医療費削減につながるのではないでしょうか。そして、健康管理・疾患フォローの範囲を超えた治療については出来高の報酬とするのです。手を上げさせる患者は、65歳以上の高齢者や後期高齢者などに限定するというやり方もあるでしょう。こうした制度については、診療グループや住民それぞれに、制度への参加を促すような何らかのインセンティブを設ける必要があります。人頭払いの年額を相応の金額にすれば、診療グループは医療・介護機能の向上や連携推進に今まで以上に取り組むようになるでしょう。患者にとっては人頭払い分の自己負担が生じますが、この部分のみ1割負担にするなど、工夫の余地はいくらでもあるでしょう。介護保険との相乗りも考えられるかもしれません。連携推進法人活用と包括報酬は財政制度審議会も提案ちなみにこの考え方と似たスキームは、既に今年5月の財務省の財政制度審議会が提案しています。この時提出された資料「歴史の転換点における財政運営」は、「昨年(2021年)12月の当審議会の建議では、診療報酬体系を医療機関等相互の面的・ネットワーク的な連携・協働をより重視する『横連携』型の体系へシフトさせていくことを提言した。地域医療連携推進法人制度の普及に当たっては、そうしたシフトの一環として、患者単位でエピソードを評価し、患者の転帰に際し、地域医療連携推進法人に参加する複数の医療機関等に対し、一体として包括報酬を支払うことを含め、真に国民に寄り添う形での医療提供を『競争よりも協調』の具現を通じて後押しする手法を幅広く検討すべきである」と書いています。地域医療連携推進法人に個人立の医療機関が参加可能な新類型そうした流れの中、地域医療連携推進法人については新しい類型も創設される見込みです。11月28日に開かれた社会保障審議会医療部会において、厚労省は地域医療連携推進法人に新たな類型を創設する方針を示しました。新類型では、個人立の病院や診療所などの参加を新たに認め、病床の融通や業務連携の幅を広げるとしています。年明けに召集される通常国会への医療法改正案の提出を目指し、できるだけ早く創設したい考えとのことです。個人立の病院や診療所などの参加を新たに認めるということは、地域の医療提供体制の再構築と、将来のグループ主体のかかりつけ医制度定着に向けての布石と捉えることもできます。今年5月、財政制度審議会が「歴史の転換点における財政運営」で包括報酬を提案した段階ではそれほど注目されませんでしたが、「手上げ方式」が動き始めた今、「地域医療連携推進法人がかかりつけ医制度の受け皿となり、健康管理も含めた軽度の医療行為について人頭払いの包括報酬を導入」…、というのはなかなか理にかなったスキームだと思いますが、皆さんいかがでしょう。

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第126回 改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省

<先週の動き>1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協1.改正感染症法が成立、公的病院に病床確保義務/厚労省新たな感染症に対応し、医療体制を強化するための感染症法改正案が12月2日に開かれた参議院本会議で与党や立憲民主党などの賛成多数で可決、成立した。改正法では、国や都道府県の権限を強化し、各都道府県は感染症対応の予防計画を医療計画などで定め、入院、発熱外来や検査の実施件数などの目標数値を設定する。また、都道府県が事前に医療機関と協議し、有事の際の病床確保などを約束する協定を締結しておき、感染症拡大時に病床提供を義務付け、守らない場合には、勧告や指示を行い、病院名を公表するなど、協定を守るように求めるもの。施行は第8次医療計画の策定に合わせて、令和6年4月1日となっている。(参考)感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律案の概要感染症法等の一部を改正する法律案について(参考資料)改正感染症法が成立、公的病院に医療提供義務づけ…従わなければ勧告・指示が可能(読売新聞)中核病院に病床確保義務 改正感染症法成立(産経新聞)地域の医療提供体制強化 改正感染症法など成立 参院本会議(NHK)2.電子処方箋に必須、HPKIカード発行を病院一括申請で支援/日医日本医師会は11月30日の記者会見で、電子処方箋に必須となるHPKIカード(医師資格証)の普及について、これまでの日本医師会の取り組みと、今後、医療機関に向けた支援策について公表した。来年から本格的に開始する電子処方箋の発行時には電子署名が必要となる。このためHPKIカードが必要となるが、医療機関の電子カルテにカードリーダーがなくても電子処方箋を発行できるようにセカンド電子証明書も発行できるように対応するほか、病院単位で一括申請・交付を行うことで、発行の迅速化(最短2週間)をするなど、すべての医師に対して発行を進めていくことを表明した。(参考)電子処方箋運用、HPKIの不安払拭へ 日医、病院向け方針を再周知(Medifax)電子処方箋普及に向けた医師資格証(HPKIカード)の対応について(「日医君」だより)電子処方箋に向けた大学病院含む病院向け医師資格証(HPKIカード)に関する対応方針 (日本医師会)3.「かかりつけ医」を定義、役割を法律に明記へ/厚労省厚生労働省は11月28日に社会保障審議会医療部会を開催し、「かかりつけ医機能」について議論を行った。かかりつけ医機能は「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談などを行う」と定義し、外来患者の診療のほか、休日や夜間の対応、在宅医療の提供など対応ができるかを各都道府県に報告し、都道府県が公表する方針を明らかにした。また、かかりつけ医に継続的に通院する患者には医療機関と書面を交わすことなども求めていくことを提案した。今後、さらに議論を重ね、早ければ来年の通常国会に法律の改正案を提出し、かかりつけ医の役割の強化を図りたいとしている。(参考)かかりつけ医機能について(厚労省)「かかりつけ医」の定義、役割を法定化へ(産経新聞 )「かかりつけ医」に求められる役割 法律に明記の方向で検討(NHK)「かかりつけ医機能」報告制度創設へ 厚労省が骨格案、医療法改正も視野(CB news)4.現役世代の負担軽減のために社会保障制度改革を/財政諮問会議岸田内閣は経済財政諮問会議を12月1日に開催し、来年度の予算編成に向けた議論を行った。この中で今後大幅な増大が見込まれる社会保障費について意見が交わされた。民間企業などの有識者議員からは、賃金・所得の上昇に加え、さらに社会保障制度改革を行い、現役世代の社会保険料負担の上昇を抑制することが強く求められた。また、医療・介護分野の成長力強化という社会保険制度の外の改革にも取り組むよう求められた。同日、厚生労働省が開催した社会保障審議会医療保険部会でも、現役世代の負担軽減のために、後期高齢者の医療保険の拠出による支援制度を見直し、大企業の健康保険組合の負担を増加させ、代わりに中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を減らす方針を示している。(参考)医療保険制度改革について(厚労省)経済・財政一体改革における重点課題(経済財政諮問会議)岸田首相 現役世代の保険料負担の上昇抑制へ 制度改革など指示(NHK)65~74歳の医療費支援見直し 健保組合の負担増案提示 厚労省(同)削減した財源「すべて現役世代の負担軽減に充当を」被用者保険者間の格差是正で、関係5団体(CB news)5.電子カルテへのランサムウエア被害から1ヵ月、復旧の遅れで患者は半減/大阪1ヵ月前にランサムウエアによるサイバー攻撃によって、電子カルテが使用できなくなった大阪急性期・総合医療センターは、現在も検査や診療に影響が出ている。原因は、外部の給食業者のネットワークセキュリティ機器が、セキュリティ対策が古いまま使用していたため、病院側のサーバ接続時にランサムウエアの攻撃を受け、基幹システムやバックアップデータに影響が及んでいたことが明らかになっている。11月10日から電子カルテの一部参照が可能となったことから、3次救急患者受け入れや小児救急診療の一部を再開しているが、採血や輸血管理システムは復旧していないため手書きでの対応のほか、新規の外来診療の受け付けは停止など診療に影響が出ており、システムの完全復旧は来年1月の見通し。(参考)患者数は通常の「50%」 大阪の病院、サイバー攻撃から1カ月(朝日新聞)サイバー攻撃で病院被害1カ月、影響続く 患者対応は半減 大阪(毎日新聞)大阪の病院は取引業者からランサムウエアがなぜ広がった?「攻撃の横展開」に注意(日経クロステック)6.来年度の薬価改定に向け、議論開始/中医協厚生労働省は12月2日に中央社会保険医療協議会の薬価専門部会を開催し、令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値を元に、来年度の薬価改定について議論を行った。診療側からは医薬品の安定供給が問題になっている現状を踏まえ、約7.0%の平均乖離率を超えている品目のみ改定として、大幅な引き下げに対して異論が唱えられた。予算を編成する財務省としては薬価の引き下げ対象品目を広げ、患者負担の軽減や医療費の伸びの抑制を目指している。ただ、製薬業界からは、薬価引き下げの対象品目から特許期間中の新薬などを外す意見が出ているため、さらに議論を行われる。今月末の予算編成までに、中医協で薬価改定の幅と対象品目について結論を出し、来年の春に改定が行われる見通し。(参考)令和4年医薬品価格調査(薬価調査)の速報値(中医協)医薬品の市場価格、公定価格より7%低く 厚労省調査(朝日新聞)市場価格、薬価を7%下回る 23年度引き下げ改定へ(日経新聞)今年の薬価調査、平均乖離率は約7.0%…23年度改定、議論大詰めへ(Answers News)

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第137回 出揃ったかかりつけ医の制度案、医療機関や患者にそれぞれ判断を委ねる「手上げ方式」浮上(後編)

「手上げ方式」のより詳細な「論点整理」公表こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この日曜日はスポーツ観戦で1日が終わりました。なかなか考えさせられるシーンが多かったです。大相撲九州場所は高安の初優勝に期待したのですが、巴戦になりまたもや優勝を逃しました。あと一歩というところでいつも負けてしまう高安に妙な親近感を覚えました。夜は競輪の今年最後のG1レース、朝日新聞社杯競輪祭の決勝がありました。4車の東北ラインが絶妙の作戦(一番強い新田 祐大選手[福島]が先頭で早駆けし、番手の新山 響平選手[青森]を優勝させる。3番手の守澤 太志選手[秋田]も後ろからやって来る選手のガードに徹する)で、新山選手が初のG1優勝となりました。これで年末の競輪グランプリは、今回の恩返しとして新山選手が捨て身で引っ張るので新田選手の優勝が濃厚です。決勝レースが始まる直前には、ワールドカップの日本対コスタリカ戦でコスタリカが得点を挙げる場面を見ていました。昔の日本代表のいくつかのシーンを彷彿とさせるような吉田 麻也選手のボールのクリアに唖然としました。私はサッカーには詳しくありませんが、吉田選手のプレーについてTVメディア(日本代表OBなどの解説者たち)のほとんどが触れないのがとても気になりました。翌日のスポーツ紙は厳しく書いていました。これこそが忖度ではないかと思った次第です。さて、今回も前回に引き続きかかりつけ医の制度案について書いてみたいと思います。先週から今週にかけてもいくつかの大きな動きがありました。「手上げ方式」について、より詳細な「論点整理」の文書が公表され、厚生労働省からはそれに沿った新制度の骨格案も公表されました。これらの動きによって、おぼろげながら国が考える制度の輪郭が見えてきました。「フリーアクセスの下で緩やかなゲートキーパー機能」と権丈氏各界からさまざまな提案がなされた後、“トリ”を飾る形で登場した政府の全世代型社会保障構築会議(座長・清家 篤日本赤十字社社長)での提案1)。11月11日に開かれた同会議では、会議内でかかりつけ医について議論していたチームから、 かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けた論点の報告を受けました。具体的には構成委員の権丈 善一・慶応大学商学部教授が医療機関と患者それぞれの手上げ方式による「かかりつけ医機能合意制度」を提案しました。都道府県知事が認定し、住民は医療機関の情報を閲覧し、手上げでその医療機関のかかりつけ患者になる、という仕組みです。医療機関は継続的に患者のPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を蓄積して、医学管理、健康増進、重症化予防等に取り組むとしています。そして、フリーアクセスの下で、いかなる医療が必要なのか、その医療はどこが最も適切な医療機関であるのかを認定医療機関よりアドバイスを受けることができる(いわゆる、緩やかなゲートキーパー機能の活用)としています。「フリーアクセスの下」という日本医師会を意識した言葉がサラリと入っている点がミソと言えそうです。「支払い方式の議論の前に機能役割を確実に実行できる条件整備を」と香取氏また、この日は構成委員の香取 照幸・上智大学総合人間科学部教授(元厚生官僚でもあります)も、かかりつけ医機能に関する論点メモを示しました。香取氏は「かかりつけ医・かかりつけ医機能の実装は医療提供体制改革の最重要課題の一つ」とした上で、かかりつけ医機能を発揮するための制度整備として「情報の一元化・PHR・医療DX」、「かかりつけ医の選択の保障」の2つの前提の重要性を指摘、費用保障のあり方については、「人頭払い・包括払いといった『医療保険での報酬の支払い方』に議論が集中するきらいがあるが、診療報酬での支払い方式や点数化の議論をする前に、求められる機能役割を確実に実行できる条件整備(制度整備と基盤整備)をまず行い、その上でその機能役割に相応しい費用保障の仕組みを検討するべき」としました。また、かかりつけ医・かかりつけ医機能の制度化は医療提供体制のあり方の問題であり、医療法体系の中で行われるべきものとの見解も示しました。これまで日医を散々刺激してきた「人頭払い・包括払い」については、現段階では議論は必要ないと言い切っている点が、こちらのミソと言えそうです。複数の医療機関が緊密に連携して実施この全世代型社会保障構築会議の案に対してはなぜか大きな反対論が出ることなく一人歩きし始めました。同会議が11月24日に公表した「論点整理(各分野の改革の方向性)」には、かかりつけ医機能が発揮される制度整備は不可欠とし、その活用は医療機関、患者それぞれの手上げ方式とすることなどが盛り込まれています2)。「論点整理」に具体的に記されたポイントは以下です。1)かかりつけ医機能の定義について、現行の省令である「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討。2)こうした機能の一つとして、日常的に高い頻度で発生する疾患・症状について幅広く対応し、オンライン資格確認も活用して患者の情報を一元的に把握し、日常的な医学管理や健康管理の相談を総合的・継続的に行うことが考えられる。そのほか、例えば、休日・夜間の対応、他の医療機関への紹介・逆紹介、在宅医療、介護施設との連携などが考えられる。3)これらの機能について、複数の医療機関が緊密に連携して実施することや、その際、地域医療連携推進法人の活用も考えられる。4)かかりつけ医機能の活用については、医療機関、患者それぞれの手上げ方式とすること。そのため、医療機関は自らが有するかかりつけ医機能について、住民に情報提供を行うとともに、自治体がその機能を把握できるようにする仕組み。また、必要に応じ、患者の了解を前提に、医療機関が患者の状態を把握し、総合的・継続的な診療・相談に応じる旨を分かりやすく示すこと。5)特に高齢者については幅広い診療・相談に加え、在宅医療、介護との連携に対するニーズが高いことを踏まえ、これらの機能をあわせもつ医療機関を自治体が把握できるようにすること。同時に、かかりつけ医機能を持つ医療機関を患者が的確に認識できるような仕組み。6)地域全体で必要な医療が必要なときに提供できる体制が構築できるよう、自治体が把握した情報に基づいて、地域の関係者が、その地域のかかりつけ医機能に対する改善点を協議する仕組みの導入。今後は以上の論点を議論しつつ、具体的な制度の整備などについて、年末の報告書に盛り込む予定とのことです。厚労省、社会保障審議会医療部会にかかりつけ医制度の骨格案提出この論点整理が出た24日には、読売新聞など各紙が、かかりつけ医が法律で明記される方向だと報じました。読売新聞によれば、「厚生労働省は、患者に身近な『かかりつけ医』に求められる機能を法律で定め、全国の各医療機関が機能を有しているか、国民向けにわかりやすく情報公開する制度を創設する方針を固めた」とのことです。そして厚労省は、11月28日に開かれた社会保障審議会医療部会に、かかりつけ医制度の骨格案(かかりつけ医機能が発揮される制度整備について)を提出、かかりつけ医機能を「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う」と定義し、医療法に明記するとしました3)。具体的な仕組みとしては、医療機関は診療体制、休日や夜間の対応、在宅医療の提供体制といった「かかりつけ医機能」を都道府県に報告、都道府県はそれらの情報を国民・患者にわかりやすく提供するとしました。そして、患者と医療機関のかかりつけ医の関係については、1)国民・患者はそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を選択して利用。2)医療機関は地域のニーズや他の医療機関との役割分担・連携を踏まえつつ、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化。3)医師により継続的な医学管理が必要と判断される患者に対して、患者が希望する場合に、書面交付と説明を通じて、患者と医療機関がかかりつけの関係を確認できるようにする。――としました。全体的な仕組みは全世代型社会保障構築会議が提案した「手上げ方式」を踏襲し、患者が医療機関を選択する際のツールとしては日医も提案していた「医療機能情報提供制度の拡充」を組み入れている点は、関係各方面の意見をうまく取り入れてまとめたと言えそうです。なお、年内に社会保障審議会医療部会で制度整備の基本的考え方のとりまとめを行う予定とのことです。スケジュールとしては、「かかりつけ医機能報告制度の創設による機能の充実・強化」「医療機能情報提供制度の拡充」の2つの仕組みについて2023年中に検討を行い、2024年度以降に実行に移すとしています。ということで、何となく輪郭が見えてきたかかりつけ医制度ですが、登録制、認定制が見送りとなり、現段階では報酬についての具体案も示されておらず、最大の目的とも言える「医療費削減」に至るスキームが今ひとつクリアに見えてきません。次回は私見を交えながら、もう少しかかりつけ医の制度化について考えてみたいと思います。参考1)全世代型社会保障構築会議(第8回)資料/内閣官房2)全世代型社会保障構築会議(第9回)資料/内閣官房3)第93回社会保障審議会医療部会/厚生労働省

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第125回 新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省

<先週の動き>1.新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省2.子育て支援充実に、時短勤務者へ新たな給付制度を検討へ/内閣府3.コロナ感染拡大で少子化さらに進行、出生数80万人以下に/厚労省4.かかりつけ医機能について医療機関が情報開示へ/全世代型社会保障構築会議5.初の国産、新型コロナワクチンの承認申請へ/塩野義6.認知症の新薬普及に向けた体制整備を関連6学会が提言1.新型コロナ「5類」への引き下げを検討へ/厚労省11月27日に民放番組に出演した加藤勝信厚労大臣は、厚生労働省において、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの見直しに向け、本格的な検討に入っていることを認めた。現在、臨時国会で審議されている感染症法改正案には、新型コロナウイルス感染症の類型の見直しを「速やかに検討する」と附則が加えられており、来月上旬の成立を待って、厚生労働省は成立後の速やかな検討を開始するとしている。(参考)新型コロナ「5類」引き下げ、本格検討へ 特例措置見直しも 厚労省(毎日新聞)新型コロナ「5類」への引き下げ 加藤厚労相「規定に則って早期に検討(FNN)2.子育て支援充実に、時短勤務者へ新たな給付制度を検討へ/内閣府すべての世代で支え合う社会保障の制度の実現を目指すため、内閣府は第9回全世代型社会保障構築会議を11月24日に開催した。子育て支援のために、育児中に時短勤務を選んだときに新たな給付を行う仕組みや、育児休業を取った後の職場復帰を容易にするため、休業期間中でも保育所の枠を確保できるシステムを構築する方向性をまとめるように求めた。今後は、論点の整理として年内に報告書を取りまとめ、来年度の「骨太の方針」などに盛り込む方針となっている。一方、具体的な財源についてはこれからの検討となる見込み。(参考)第9回全世代型社会保障構築会議(内閣府)全世代型社会保障実現へ 育児で時短勤務に給付の仕組み創設へ(NHK)少子化は急ピッチで進むのに…停滞する子ども関連予算の財源議論(毎日新聞)3.コロナ感染拡大で少子化さらに進行、出生数80万人以下に/厚労省厚生労働省は、令和4年9月までの人口動態統計の速報値を発表した。これによると、今年9月までに国内で新たに生まれた子供の数は外国人も含めて速報値で59万9,636人と、前年度の同期間の63万569人と比較して3万933人少なかった。このペースのままであれば、わが国の出生数は80万人を切ることになる。その一方、死亡者数は今年9月までに12万7,040人と去年の9月までの11万5,706人より1.1万人多く、人口減少も加速していることが明らかとなっている。出産する可能性の高い15~49歳の女性は1990年より減少しており、晩婚化に加え、新型コロナウイルス感染症により、婚姻数の減少などが背景にあるとみられる。(参考)9月までの出生数59万9千人余 年間80万人下回る過去最少ペース(NHK)出生数、コロナで悲観シナリオに迫る(日経ビジネス)人口動態統計速報(令和4年9月分)4.かかりつけ医機能について医療機関が情報開示へ/全世代型社会保障構築会議11月24日に開催された全世代型社会保障構築会議で、「かかりつけ医機能」の制度について、年末までにまとめる報告書に盛り込む論点整理が行われた。今後、この報告書の内容を盛り込んだ関連する法律の改正案を来年の通常国会に提出する見込み。かかりつけ医機能が発揮される制度整備のため、早急な実現に向けて、以下の項目の整理を求めた。かかりつけ医機能の定義は、現行の「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討。日常的に高い頻度で発生する疾患・症状について幅広く対応し、オンライン資格確認も活用して患者の情報を一元的に把握し、日常的な医学管理や健康管理の相談を総合的・継続的に行うこと。休日・夜間の対応、他の医療機関への紹介・逆紹介、在宅医療、介護施設との連携や複数の医療機関が緊密に連携して実施することを求める。かかりつけ医機能の活用は、医療機関、患者それぞれの手上げ方式とし、医療機関は自らが有するかかりつけ医機能について、住民に情報提供を行うとともに、自治体がその機能を把握できるようにする仕組み。高齢者については幅広い診療・相談に加え、在宅医療、介護との連携に対するニーズが高いことを踏まえ、これらの機能をあわせもつ医療機関を自治体が把握できるようにする。地域全体で必要な医療が提供できる体制が構築できるよう、地域の関係者が、その地域のかかりつけ医機能に対する改善点を協議する仕組みの導入。(参考)全世代型社会保障構築会議の論点整理(全世代型社会保障構築会議)かかりつけ医の役割を法律明記へ 厚労省 コロナで「曖昧」指摘(毎日新聞)「かかりつけ医」を法律で定義、医療機関が満たす項目を情報公開へ…厚労省が方針(読売新聞)「かかりつけ医機能」地域ごとに改善点協議 全世代型構築会議が論点整理(CB news)5.初の国産、新型コロナワクチンの承認申請へ/塩野義塩野義製薬株式会社は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する予防ワクチンを11月24日に「成人における初回免疫(1回目、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)によるCOVID-19の予防」を適応として、日本国内における製造販売承認申請を行った。今回のワクチンは、現在、使われているmRNAワクチンとは異なり、遺伝子組換えタンパクワクチンであり、国内の製薬企業による初の国産ワクチンの開発であり、早期の承認を目指す。政府はこれまで、国内のワクチン開発の支援を行うため、ワクチン生産体制等緊急整備事業を通して早期供給を促す支援をしてきており、同社にも476億円を交付しており、その成果が実った。(参考)新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンS-268019の国内における製造販売承認申請について(塩野義)開発状況について(厚労省)塩野義製薬 新型コロナワクチンの国内製造販売承認申請 国産で初(ミクスオンライン)塩野義製薬 新型コロナワクチンの承認申請 国内開発で初(NHK)6.認知症の新薬普及に向けた体制整備を、関連6学会が提言日本老年精神医学会、日本認知症学会など認知症に関連する6学会は、エーザイ社の新薬「レカネマブ」などの認知症の新薬開発が進む中、こうした新薬が実用化された場合に、患者の早期診断の手段が限られることや治療費が高額になるため、普及に向けて医療整備体制が必要とする提言を共同で発表した。現時点では、早期診断に用いられるPET(陽電子放射断層撮影)検査は保険適用外であり、今後、新薬の承認とともに早期の診断体制の確立と、費用対策効果について検討を求めている。(参考)アルツハイマー新薬、実用化へ「高額医療費巡る議論を」…認知症関連6学会が提言(読売新聞)認知症新薬の実用化に備え、医療体制整備を 関連6学会が提言(毎日新聞)

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お薦めのマニュアル本を紹介します【非専門医のための緩和ケアTips】第40回

第40回 お薦めのマニュアル本を紹介しますここ数年で緩和ケアに関連した書籍が一気に増えました。これに併せて「どの本が自分に合うのかわからない」という声も聞きます。日本語で書かれた緩和ケアの本はほぼすべて目を通している私が、お薦めの「緩和ケア本」をご紹介します。今日の質問私は診療所で働いており、訪問診療で緩和ケアを必要とする場面が多いため、本を読んで勉強したいのですが、本が多過ぎて選べません。お薦めを教えてください。メ在宅での緩和ケアは多職種連携がより重要となるため、医師はもとより、看護師やリハビリスタッフも、ある程度の共通知識を持っておきたいものです。こんなケースでは、次の2点が重要です。1)多くの分野での現場対応を網羅症状緩和のような比較的緊急性の高い対応が求められる場面での、具体的な処方内容や注意点について記載されていることが大切です。多職種のスタッフが何冊も専門書を読むのは現実的ではないので、1冊で多くの分野を網羅していることも重要でしょう。2)持ち歩けるサイズ感在宅医療に従事される方であれば、診療所にいない時間のほうが多いでしょう。最近では電子版が出ているものも多いですが、やはり本の使いやすさもありますよね。ちょっとした時間にぱっと確認するためには、あまりかさばらないサイズが良いでしょう。そうした観点から、以下の本を推薦します。『緩和ケア ポケットマニュアル 改訂2版』(宇井 睦人著、南山堂)出版社サイト電子版サイトサイズ感的には一番扱いやすく、タイトルどおりポケットに入るサイズです。オピオイドなど、症状緩和に重要な薬剤の具体的な投与量も記載されており、慣れない薬を処方する際に現場で確認するのにぴったりです。『緩和ケアレジデントマニュアル 第2版』(森田 達也ほか監修、医学書院)出版社サイト電子版サイトおなじみ「レジデントマニュアル」シリーズの緩和ケア版です。このシリーズらしい網羅性の高さで、緩和ケアの教科書にあるトピックはほぼ網羅されています。ポケットに入れるには少し厚いので、カバンを持ち歩く方に。『がん治療医が本当に知りたかった緩和ケアのレシピ』(蓮尾 英明編集、倉田 宝保監修、メジカルビュー)出版社サイト電子版サイトまず、カバーデザインがかっこいい!がん患者のケアについて、痒い所に手が届く記載が多いのが特徴です。たとえば食事の工夫やリハビリテーション、コミュニケーションといったトピックについては、私も勉強になりました。「緩和ケアのマニュアル本」という観点で、ここ数年で発売された3冊をご紹介しました。初学者であればぱっと目を通してみて、ある程度経験のある方は確認用に手元に置いておくと便利ですよ。今回のTips今回のTips緩和ケアについてまず何か1冊! なら、手軽に使えるマニュアル本がお薦め。

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第122回 感染症法改正案、衆議院厚生労働委員会で可決、法案成立へ/国会

<先週の動き>1.感染症法改正案、衆議院厚生労働委員会で可決、法案成立へ/国会2.かかりつけ医機能、8項目を3項目に整理を求める提言提出/日本病院会3.燃料費、物価高騰で、病院・介護事業者の経営悪化一段と/四病協4.大阪急性期・総合医療センター、ランサムウェア攻撃で電子カルテ障害/大阪府5.在宅医療やオンライン診療でもマイナンバー活用へ/厚労省6.医師不足対策で、埼玉医科大学と群馬大学が人材育成で協定/埼玉医大・群馬大1.感染症法改正案、衆議院厚生労働委員会で可決、法案成立へ/国会11月4日に衆議衆院厚生労働委員会が開催された。今後の感染症の流行に備え、規模の大きな公立・公的病院や特定機能病院、地域医療支援病院に対して、感染症患者向けの病床を事前に確保を義務付ける感染症法改正案を、自民党、公明党のほか立憲民主党、日本維新の会など賛成多数で可決した。11月8日にも衆議院本会議で可決され、参院に送付され、今月中に成立の見通し。(参考)感染症法改正案、衆院委で可決=大病院の病床確保義務付け(時事通信)中核病院に病床確保義務付け 感染症法改正案、衆院委可決(産経新聞)感染症法等の一部を改正する法律案について(厚労省)2.かかりつけ医機能、8項目を3項目に整理を求める提言提出/日本病院会日本病院会は、「かかりつけ医機能」について提言書をまとめ、厚生労働省に提出した。現状、「かかりつけ医」に求められる機能について、地域包括診療加算の届出、地域包括診療料の届出、小児かかりつけ診療料の届出、機能強化加算の届出のほか、日常的な医学管理および重症化予防や地域の医療機関などとの連携、在宅医療支援、介護などとの連携の8項目について医療機能情報提供制度で報告が求められていた。今回、かかりつけ医機能について見直しを求め、特定の領域に偏らない広範囲にわたる全人的医療の提供、診療時間内外を問わず地域住民に自院で対応、もしくは他の医療機関と連携して対応、総合的な医学的管理を行なうの3機能に整理する必要があるとした。11月2日に日本医師会も「かかりつけ医機能」について提言をまとめ公表しており、患者さんのフリーアクセスを維持しつつ、地域の役割分担や連携で発揮するよう求めている。(参考)「かかりつけ医機能」に関する提言(日本病院会)地域における面としてのかかりつけ医機能~かかりつけ医機能が発揮される制度整備に向けて~(第1報告)(日本医師会)かかりつけ医機能、広範囲の全人的医療など提言 日病、3項目に整理を(CB news)日医、かかりつけ医機能への評価の強化を目指す(日経メディカル)3.燃料費、物価高騰で、病院・介護事業者の経営悪化一段と/四病協団体協議会今年に入って、光熱費、燃料代の上昇による物価高騰によって病院や介護事業者の経営が圧迫されている報道が相次いでいる。11月2日に開催された四病協団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の総合部会にて、入院患者に提供する食事の材料費や燃料光熱費が高騰しているため、1食当たり640円の入院時食事療養費では食事提供が十分にできなくなってきているとし、このままでは食事提供が困難になるため、入院時食事療養費の引き上げを求めていく考えを示した。通常の入院時食事療養費の引き上げは2024年度の診療報酬改定時であり、補助金の支給など早急な対応を求めていく。また、今年に入って1月~9月までの介護事業者の倒産が100件となり、去年の51件の2倍近くと、過去最多のペースとなっている。これも物価高騰や人件費の上昇、さらにはコロナウイルス感染拡大による利用控えなどが影響しているとみられている。(参考)物価高騰・円安により「病院での食事提供」が困難を極めている! 政府に緊急の対応を要望へ-四病協(Gem Med)入院患者の食事療養費、見直しを再度働き掛けへ 四病協(CB news)円安、資源高騰で「地域医療が崩れる」 JA厚生連病院も経営圧迫(日本農業新聞)介護事業者の倒産 過去最多ペース コロナで利用控えや物価高も(NHK)4.大阪急性期・総合医療センター、ランサムウェア攻撃で電子カルテ障害/大阪府10月31日、大阪市住吉区にある大阪急性期・総合医療センター(865床)は、電子カルテのサーバーにランサムウェアによる攻撃を受け、電子カルテが使用できない障害が発生した。このため同院では緊急以外の手術や外来診療の一時停止など通常診療ができない状況となり、救急患者の受け入れを停止している。同院によれば11月4日から前立腺がん手術など予定手術については一部再開しているが、全面的な復旧はまだ目処が立っていないため、システムが復旧するまで、救急や災害対応については近隣の病院に依頼している。同院は、大阪府の基幹災害医療センターであり、災害対応に24時間備えられるなど大阪市南部の中核的医療機関であるが、近年、急増している医療機関を狙うサイバー攻撃を受けた形。今年はランサムウェアによるサイバー攻撃が国内で合計8件と過去最悪のペースで報道が続いている。厚生労働省は今年3月に医療機関などを対象とするセキュリティリスクが顕在化していることへの対応して「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の第5.2版を改定し、医療機関に対応を求めている。(参考)「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」第5.2版(厚生労働省)カルテ人質に、狙われた病院 大阪でもサイバー攻撃(日経新聞)電子カルテには治療・投薬履歴など記録…「診療の質落ちる」攻撃受けた病院、診療停止続く(読売新聞)大阪急性期・総合医療センター、一部手術再開 外来診療は引き続き停止(CB news)5.在宅医療やオンライン診療でもマイナンバー活用へ/厚労省厚生労働省は10月28日に開催した社会保障審議会医療保険部会において、オンライン資格確認のシステムを訪問診療や訪問看護など在宅医療現場にも導入する方針を示した。また、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」の利用をオンライン診療にも導入する方針を厚生労働省は明らかにしており、今後、マイナンバーカードの取得を促進することが狙い。 一方、紙レセプトの使用している医療機関については、23年4月以降もオンライン資格確認システムの導入は強制されないが、政府はマイナンバーカードの利用によって資格過誤によるレセプト返戻が減るなど窓口業務が削減されるメリットをアピールしている。(参考)訪問診療や訪問看護にもオンライン資格確認導入へ 厚労省方針(CB news)オンライン診療でも「マイナ保険証」、政府が24年導入の方針(読売新聞)オンライン資格の導入で事務コスト削減とより良い医療の提供を~データヘルスの基盤として~(厚労省)マイナンバーの利活用拡大による国民の利便性向上に向けて(経済財政諮問会議)6.医師不足対策で、埼玉医科大学と群馬大学が人材育成で協定/埼玉医大・群馬大11月4日、埼玉県の人口10万人当たりの医師数が全国一少なく、医師不足が深刻であるとして、埼玉医科大学と群馬大学は、埼玉県北部と群馬県南部で活躍する医師を育成する目的で、相互に連携・協力する協定を締結した。この協定は、今年の6月に文部科学省の「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」に採択され、埼玉医科大学と群馬大学以外にも、埼玉県立大学や両県の医師会、埼玉県内7病院と群馬県内6病院とも締結しており、将来この地域で活躍し続ける医師の育成を目指して令和10年度まで実施する。(参考)医療人材育成で協定 埼玉医大や群馬大、両県境域で連携(日経新聞)埼玉医大、群大などと医療人材育成へ協定 医師不足対応(産経新聞)「ポストコロナ時代の医療人材養成拠点形成事業」(文部科学省)

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第119回 健康保険証を2024年度の秋に廃止へ/厚労省

<先週の動き>1.健康保険証を2024年度の秋に廃止へ、丁寧な対応を求める声も/厚労省2.新型コロナ・インフル同時流行に向けタスクフォース立ち上げ/厚労省3.自治体による公立病院への財政補助の見直しを/財務省4.2024年度からの医療費適正化計画の見直しに着手/厚労省5.複数の医師の退職で腎移植が不可能に/京都府立医大6.第8次医療計画で、在宅医療でのリハビリや栄養指導との連携強化を/厚労省1.健康保険証を2024年度の秋に廃止へ、丁寧な対応を求める声も/厚労省河野太郎デジタル大臣が10月13日の記者会見において、再来年の秋までに健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化すると発表した。総務省によると、マイナンバーカードの申請枚数は7,072万枚余り(10月11日時点)で、申請率は56.2%となっている。岸田内閣では、今年6月に閣議決定した「骨太の方針」で、保険証の原則廃止を目指すとしていたが、廃止の期限を24年秋と明示し、事実上の義務化に踏み込んだ形。政府は、マイナ保険証によって利用者が個人向けの専用サイト「マイナポータル」で診療履歴や薬の使用歴などが確認できるようになるほか、確定申告の医療費控除が簡単になるなどメリットを訴え、普及を高めるよう働きかけている。(参考)マイナ・保険証一体化 デジタル化遅れに危機感(毎日新聞)河野デジタル相 健康保険証を24年秋に廃止 国民や医療従事者の理解得られるよう取り組む(ミクスオンライン)埼玉で「地域医療」崩壊の恐れ? 「マイナ保険証の資格確認」に開業医ら反対、廃業検討も…何が起きている(埼玉新聞)オンライン資格確認等システム参加「義務化の撤回」を求める(埼玉保険医新聞)2.新型コロナ・インフル同時流行に向けタスクフォース立ち上げ/厚労省厚生労働省は、今年の冬に新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行に向け、関係する団体・学会と国や地方の行政機関と連携しながら取り組むため、「新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース」を立ち上げ、第1回会合を10月14日に開催した。これに先立ち、10月13日の新型コロナウイルス感染症対策分科会の後に開催された記者会見で、尾身茂会長は「『第8波』は第7波以上の高い波になる」として、「感染拡大時の対策のあり方について早急に議論をすべき」との見解を示しており、これに応える形で開催された。タスクフォースでは、同時感染が生じた場合、ピーク時には発熱患者の合計が1日75万人が想定されるとし、重症化リスクの高い人を優先し、低リスクの人は症状が軽ければ「すぐの受診」は避けて自宅で検査キットを活用するなど検討している。(参考)第1回新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォース(厚労省)第19回 新型コロナウイルス感染症対策分科会(内閣府)加藤厚労相、新型コロナ・インフル同時流行対策を発表…オンライン診療の活用呼びかけ(読売新聞)「コロナ第8波、第7波以上に」 尾身氏、議論呼びかけ(毎日新聞)3.自治体による公立病院への財政補助の見直しを/財務省財務省は、財政制度等審議会の財政制度分科会を10月13日に開催した。この中で、政府が、新型コロナウイルス感染対策で、政府から地方自治体にさまざまな形で補助金が交付されており、このため地方自治体の財政はプライマリーバランスの黒字が続いている。このため、コロナ対策の補助金の支給で、公立病院の経営状況について、公立病院全体の経常損益はコロナ前の2019年度は984億円の赤字が、翌年度には黒字に転換し、2021年度に3,296億円の黒字となったことを指摘した。参加した委員からは、これ以上の国の財政悪化を防ぐためにも、地方における社会保障費の抑制や地方自治体の公立病院への財政の繰り出しを求めた。政府は公立病院の経営改善を求めており、多額の補助金によって、公立病院の経営改革が阻害されることがあってはならないとし、経営強化プランを踏まえた取組を着実に進めていく必要があると指摘した。(参考)財務省、公立病院への繰り出しを疑問視 黒字転換したのに同水準を維持(CB news)地方財政(財務省 財政制度分科会)地方財政 参考資料(財務省 財政制度分科会)4. 2024年度からの医療費適正化計画の見直しに着手/厚労省厚生労働省は、10月13日に社会保障審議会医療保険部会を開催した。この中で医療費適正化計画の見直しに関する論点を提案した。医療費適正化計画は医療費の抑制や医療の効率的な提供の推進を目的に、2008年度から開始されており、2024年度から新たに第4期が開始されることになっている。この中で、現行の第3期医療費適正化計画の目標に対する進捗状況では、最終年度の2023年に80%が目標とされていた後発医薬品の使用促進は2020年度に79.6%とほぼ達成されていたものの、目標値が70%であった特定健診の実施率は53.4%と伸び悩んでいた。厚生労働省は、第4期医療費適正化計画に向けた論点として、新たに取り組むべき目標として、2025年には団塊の世代が全員後期高齢者となることを背景に、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供と医療資源の効果的・効率的な活用を挙げた。(参考)医療費適正化計画に高齢者保健事業・介護予防を 厚労省が医療保険部会に論点提案(CB news)医療費適正化計画の見直しについて(社会保障審議会医療保険部会)5.複数の医師の退職で腎移植が不可能に/京都府立医大京都府立医大病院で、腎臓移植手術を行なっていた医師6名のうち5名が退職したため、今年の春以降、移植が行えなくなっていることが明らかとなった。京都府内では腎臓移植手術のシェアの9割以上を占めており、国内有数の施設であった。退職した医師らは移植外科に所属しており、転職や留学などのため相次いで退職。今年5月には診療科のトップの准教授も退職したため、医師は残り1人となり、移植手術が実施不可能になった。大学側は「できるだけ早期に手術を再開できるよう努力したい」としている。(参考)「腎臓移植」手術数は府内トップの病院だが…医師5人退職、手術できない事態に(読売新聞)腎臓の移植手術担う医師5人が相次ぎ退職、手術できず 京都府立医科大病院(京都新聞)6.第8次医療計画で、在宅医療でのリハビリや栄養指導との連携強化を/厚労省厚生労働省は第8次医療計画の策定に向けて、在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループを10月14日に開催した。この中で、在宅医療の現場で、救急医療機関と消防機関など、地域でのネットワーク作りが十分ではなく、情報共有が難しい状況であることや、緊急時に、即座に入院が可能な病院が必要とされ、在宅療養後方支援病院のほか、在宅療養支援病院が役割を担っているケースもあるので、後方支援機能を検討することになった。このほか、在宅医療の提供体制に、訪問リハビリテーションや訪問栄養食事指導を加えることとし、これらの職種を含め、多職種の連携を加えることを了承した。(参考)次期指針での在宅医療提供体制、訪問リハなど項目追加 厚労省WG了承、次回取りまとめへ(CB news)第7回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 資料(厚生労働省)

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せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです【非専門医のための緩和ケアTips】第37回

第37回 せん妄は緩和ケアでよく遭遇する徴候なのです「せん妄」って緩和ケアに限らず、どの分野でも遭遇しますよね。でも、緩和ケアではとくにせん妄の対応って大切なのです。今回は緩和ケアで必ず対応が必要になる、せん妄のお話です。今日の質問看取りにも対応する在宅医療を行っています。先日、終末期の患者さんが興奮した様子となり、家族が驚いてしまいました。「在宅療養の継続は難しい」と判断して緊急入院となりました。もともと家族は「自宅で最後まで過ごさせてあげたい」と言っており、「本当に入院してよかったのか」と感じます。こういった場合、どのように対応しますか?在宅緩和ケアでは、しばしばこういった難しい状況に直面します。ご質問からの推測になりますが、終末期せん妄の状態だったのでは、と感じます。入院や在宅で緩和ケアを実践していると、よく遭遇する徴候です。皆さんは終末期患者さんがどの程度、せん妄を発症するかご存じでしょうか? データにもよるのですが、「がん患者が亡くなる数日前には88%に発症する」と言われています。これ、すごく高頻度ですよね。なので、日単位の予後のがん患者さんに意識の変容が生じた場合は、せん妄である可能性が非常に高いのです。せん妄に対しては重要な点がたくさんあるのですが、その一つが「気付く」ことです。今回のように興奮が強いタイプのせん妄は気付きやすいのですが、活気がないように見えるタイプのせん妄については、気付きにくいことが知られています。せん妄に対しての介入は、まずは「原因となっている身体疾患の中で改善できるものがないか」を考えます。たとえば、高カルシウム血症のような電解質異常がせん妄を助長しているのであれば、補正を検討します。ただ、予後日単位の状況だと、現実的になかなか改善が難しいことが多いですね。薬物療法としては、ハロペリドール(商品名:セレネース)などの抗精神病薬を用います。それでも興奮が強い時には、より鎮静作用の強い薬剤を用いることもあります。さらに、せん妄は家族のつらさも助長します。「大切な家族が、人が変わったようになってしまった…」というのは、せん妄患者の家族からよく聞かれる嘆きです。死別が近いことによる悲嘆の中にある家族にとって、さらにつらさを増す状況であることは想像するに難くありません。そうした意味では、せん妄は在宅療養の継続が難しくなる徴候の一つです。興奮の強いせん妄の場合、私自身も薬物療法をしながら、入院の相談をすることがよくあります。近年、せん妄に対しては書籍やガイドラインが増えました。それだけ医療現場では切実な問題なのでしょう。どれもお薦めなのですが、日本サイコオンコロジー学会の「がん患者におけるせん妄ガイドライン2022年版」(金原出版)が2022年6月に改訂されていますので、まずはこれから読んでみてはいかがでしょうか?今回のTips今回のTipsせん妄への対応は、緩和ケアの分野でも重要なスキルです。

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