循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:322

非心臓手術の周術期β遮断薬投与、死亡率を抑制/JAMA

 心リスクが高い非心臓/非血管手術患者では、周術期早期のβ遮断薬投与により全死因死亡や心合併症の発生率が低下することが、米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMartin J London氏らの検討で示された。非心臓手術患者における周術期β遮断薬投与の有効性や安全性は現在も結論が得られておらず、現行の非心臓手術周術期の評価と治療に関するAHA/ACCガイドラインでは、他の疾患のためにすでにβ遮断薬が投与されている患者に限って周術期も継続投与すべきとされる(class I)。JAMA誌2013年4月24日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(90)〕 否定された『減塩パラドックス』―降圧の基本は、やはり減塩。

 食塩摂取と高血圧とは、いわば切っても切れない関係にある。薬剤による降圧療法は日常的に行われているが、各国の高血圧診療ガイドラインでは、薬物療法に先行する生活習慣の改善(life style modification)、なかでも『減塩』の履行・遵守を強く勧めている。高血圧診療における、生活習慣の改善の代名詞が『減塩』であり、日本高血圧学会でも学会をあげて『減塩』に取り組んでいる。たとえば、例年開催される学会のランチは減塩弁当であり、また昨年初めて行われた減塩サミットの共催に名を連ねた。

CHD、脳卒中患者の健康的な生活習慣の実践状況が明らかに/JAMA

 冠動脈心疾患(CHD)および脳卒中患者における健康的な生活習慣の実践率は世界的に低く、所得が低いほど実践状況も悪くなることが、カナダ・ハミルトンの公衆衛生研究所のKoon Teo氏らが行ったPURE試験で示された。急性冠症候群患者の観察試験では、より健康的な生活習慣を遵守することで再発リスクが低下することが確認されており、禁煙は死亡や心筋梗塞のリスクを低下させ、質のよい食事や定期的な運動は死亡や心筋梗塞後の心血管疾患の再発リスクを低減することが明らかにされている。一方、CHD、脳卒中患者における健康的な生活習慣の世界的な実践状況は、これまでほとんど知られていなかったという。JAMA誌2013年4月17日号掲載の報告。

大人も子どもも減塩によるベネフィットがある/BMJ

 世界保健機構(WHO)のNancy J Aburto氏らは、減塩による降圧効果および心血管疾患との関連、さらに血中脂質、カテコールアミン、腎機能の変化にみられる有害反応の可能性について、システマティックレビューとメタ解析を行った。これらに関する過去のメタ解析は方法論の限界や検出力不足が指摘され、さらに一部の研究者から減塩は健康を害する可能性があるといった報告もあり、WHO栄養ガイドライン専門家アドバイザリーグループ栄養・健康サブグループが、減塩と非伝染性疾患との関連を明らかにすることを求められたことによる。BMJ誌オンライン版2013年4月3日号掲載の報告より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(85)〕 アスピリンの時代の終焉?

 急性心筋梗塞に代表される冠動脈疾患の予防、治療にはアスピリンが標準治療である。長年のエビデンスの蓄積により、有効性、安全性、経済性の観点から、アスピリンに勝る抗血小板薬はなかった。クロピドグレルは、CAPRIE試験によりアスピリンに勝る有効性を示した。さらに、多くの国で特許を喪失しつつあるため、経済性もアスピリンに競合可能となった。

高血圧患者も正常血圧の人も、まずは-4.4g/日、4週以上の減塩継続を/BMJ

 現在、多くの国で、食塩の1日摂取量は約9~12g/日から5~6g/日へという減塩の推進が行われている。そのような減塩の降圧効果のエビデンスも多く示されるようになり、より少ない食塩摂取(3g/日)は心血管疾患リスクの低下と関連するとの前向きコホート研究の結果も示されている。しかし最近のメタ解析報告で、減塩はホルモンや脂質には逆効果で降圧のベネフィットが軽減される可能性があり、正常血圧の一般集団における減塩効果は疑問とする報告がなされた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFeng J He氏らは、その解析には20g/日を4~5日間だけ1g/日とするといった最近の流れとは異なる多量・短期の減塩効果をみた試験が含まれているとして、少量・長期の減塩効果に的を絞ったメタ解析を行った。その結果、-4.4g/日、4週以上の減塩継続が、高血圧患者、正常血圧の人、また性別、人種を問わず、有意に大きな降圧効果をもたらし心血管疾患予防に結びつくことを報告した。BMJ誌オンライン版2013年4月3日号掲載の報告より。

カリウム摂取増で高血圧患者の血圧が低下:WHO調査/BMJ

 カリウム摂取量を増やすことで成人高血圧患者の血圧が低下するとともに、血中脂質濃度やカテコラミン値、腎機能には有害な影響はないことを示す質の高いエビデンスが得られたとする研究結果を、世界保健機関(WHO)のNancy J Aburto氏らの研究グループが、BMJ誌オンライン版2013年4月5日号で報告した。脳卒中のリスクも24%低下したという。カリウム摂取量が少ないと血圧上昇、高血圧、脳卒中のリスクが増加し、多ければこれらの疾患は予防される可能性が指摘されている。一方、カリウム高摂取が血圧や心血管疾患に及ぼす良好な効果に関するデータにはばらつきがあり、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能に及ぼす有害な作用のデータも十分ではない状況だ。

禁煙で体重が増えても心血管疾患リスクは減少/JAMA

 非糖尿病者では、禁煙により心血管疾患(CVD)のリスクが大きく低下する一方で体重の増加がみられるが、禁煙による心血管ベネフィットは体重増加では損なわれないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のCarole Clair氏らの検討で明らかとなった。米国では喫煙は予防可能な死亡の主要因とされ、CVDの重要なリスク因子である。禁煙によりCVDリスクは実質的に低減するが、禁煙の数少ない有害作用に体重増加があり、肥満もCVDのリスク因子であることから、禁煙を考慮中の喫煙者の高い関心を呼んでいる。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(84)〕 「先生、禁煙すると太るからいやです!」 この患者さんにどう説明しますか?

 「たばこを止めたら太っちゃった!先生それでも大丈夫なんですか?」と尋ねられた経験が一度ならずある、という医師は多いであろう。メタボの怖さを患者に説得している医師にとって、この手の質問に「太っても心配ない」と自信を持って答えられるだけの資料を、医師側はこれまで無かった。

PCI施行後の大出血で院内死亡率が上昇/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の大出血により院内死亡率が有意に上昇し、出血関連死は推定で約12%にのぼることが、米国Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのAdnan K. Chhatriwalla氏らの検討で示された。出血は最も高頻度にみられるPCIの合併症で、死亡率の上昇や医療費の増大をもたらす。米国では、これまでPCI後の出血関連死のデータはなく、出血リスク、部位と死亡率の関連も不明であった。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。