循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:317

脳梗塞後の心房細動患者でのワルファリンの有用性/BMJ

 虚血性脳卒中を呈した心房細動患者に対するワルファリン投与は、長期臨床的アウトカムや自宅生活の期間を改善することが明らかにされた。米国・デューク臨床研究所のYing Xian氏らが、観察研究の結果、報告した。ワルファリンは、心房細動患者の血栓塞栓症予防のために使用が推奨されている。その根拠は、選択された患者集団での臨床試験に基づくものであり、試験設定以外(リアルワールド)の心房細動については、ワルファリンの投与および臨床的な有益性は確認されておらず、とくに、虚血性脳卒中を呈した高齢者において不明であった。BMJ誌オンライン版2015年7月31日号掲載の報告。

PADIS-PE試験:ワルファリンをいつ中止するのが良いのか?~特発性肺血栓塞栓症の初発患者の場合(解説:西垣 和彦 氏)-398

ワルファリンは、いわば“両刃の剣”である。深部静脈血栓症(DVT)を含めた静脈血栓塞栓症(VTE)による肺血栓塞栓症(PE)予防の有効性は顕著であるが、抗血栓薬自体の宿命でもある出血も、しばしば致命的となる症例も少なくない。したがって、メリットとデメリットを十分に勘案し、最大限の効果が得られる抗凝固療法継続期間を求めることには必然性がある。

心房細動アブレーション、部位特定にアデノシンが効果的/Lancet

 発作性心房細動へのカテーテルアブレーションにおいて、肺静脈隔離術後にアデノシンを投与し休止伝導部位を特定することが、無不整脈生存を改善する安全で非常に効果的な戦略であることが明らかにされた。カナダ・モントリオール大学のLaurent Macle氏らが、国際多施設無作為化優越性試験ADVICEの結果、報告した。著者は、「本アプローチを、臨床でルーチンとすることを検討すべきである」とまとめている。心房細動へのカテーテルアブレーションは増大しているが、不整脈再発の頻度が高い。アデノシンの投与は、休止伝導部位(dormant conduction)を明らかにし、伝導再発(reconnection)リスクのある肺静脈を特定可能である。それにより心房細動アブレーションの追加部位が導かれ、無不整脈生存が改善できるのではないかと見なされていた。Lancet誌オンライン版2015年7月23日号の掲載報告。

唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ

 香辛料入り食品を習慣的に摂取すると、あまり食べない集団に比べ、全死因死亡のほか、がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患による死亡が減少することが、China Kadoorie Biobank collaborative groupのJun Lv氏らの調査で示された。香辛料は、世界の食文化に不可欠の要素であり、食品の味や風味付け、彩り、保存食のほか医療用としても長い歴史を持つ。最近は、とくに味付けのための使用が増加しており、中国では全国的に唐辛子の消費量が多いという。一方、カプサイシンなど、香辛料の主要な生理活性成分は、種々の慢性疾患において有益な役割を果たすことが、実験的研究や地域住民研究で報告されている。BMJ誌オンライン版2015年8月4日掲載の報告より。

高TG血症の新規治療薬、アポリポ蛋白C-IIIを有意に低下/NEJM

 高トリグリセリド血症治療薬として新規開発中のISIS 304801は、トリグリセリド値の有意な低下と関連することが報告された。ベースラインのトリグリセリド値が異なる85例を対象に、カナダ・モントリオール大学のDaniel Gaudet氏らが行った第II相無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験の結果、示された。ISIS 304801は、血漿トリグリセリド値の主要な調節因子であるアポリポ蛋白C-III(APOC3)合成の第2世代アンチセンス阻害薬である。NEJM誌2015年7月30日号掲載の報告より。

新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較

 新しい経口抗凝固薬(NOAC)は、ほとんどの血栓形成予防において標準療法に対し非劣性であることが認められているが、安全性プロファイルには差があり、とくに眼内出血のリスクについてはほとんどわかっていない。ポルトガル・分子医学研究所のDaniel Caldeira氏らは、NOACに関連した重大な眼内出血のリスクを評価する無作為化比較試験のメタ解析を行った。

ADVICE試験:心房細動アブレーションにおいてアデノシンによるdormant conductionの確認は必要か?(解説:高月 誠司 氏)-395

 心房細動のトリガーの多くは肺静脈に存在し、肺静脈入口部周囲を焼灼し、肺静脈と左心房との電気伝導をブロックすることで心房細動を予防するというのが、発作性心房細動に対するカテーテルアブレーションである。これを肺静脈隔離と呼ぶが、肺静脈隔離後にアデノシンを急速静注すると、一時的に肺静脈と左房との伝導が再開することがある。これをdormant conduction (DoC)と呼んでいる。dormantとは休んでいるという意味である。