救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:50

COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。  今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。

心停止後の昏睡患者の6ヵ月死亡率、低体温療法vs.常温療法/NEJM

 院外心停止後の昏睡状態の患者において、低体温療法は常温療法と比較して6ヵ月死亡率を低下しないことが示された。スウェーデン・ルンド大学のJosef Dankiewicz氏らが、非盲検(評価者盲検)無作為化試験「Targeted Hypothermia versus Targeted Normothermia after Out-of-Hospital Cardiac Arrest trial:TTM2試験」の結果を報告した。体温管理療法は心停止後の患者に推奨されているが、これを裏付けるエビデンスの確実性は低く、研究グループは大規模な無作為化試験で検証した。NEJM誌2021年6月17日号掲載の報告。

新型コロナのα株、30代から重症化リスク増/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のB.1.1.7変異株(α株[英国株]としても知られる)の感染者は、SARS-CoV-2野生株感染者と比較して、入院リスクが高く、症状もより重症となる可能性が高いことが示唆された。さらに、重症化は30歳以上に特異的な可能性も示されたという。英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。B.1.1.7変異株は、2020年11月に英国で発見され、野生株よりも感染力が高いため、その後は優勢な系統となった。これまで、B.1.1.7変異株は重症化しやすいことを示唆するエビデンスはあったが、死亡率との相関を示した報告は交絡因子により研究の限界があったと考えられる。BMJ誌2021年6月15日号掲載の報告。

「COVID-19ワクチンに関する提言」、変異株や安全性の最新情報追加/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:舘田一博氏[東邦大学医学部教授])は、6月16日に「COVID-19ワクチンに関する提言」(第3版)を同学会のホームぺージで発表、公開した。  第1版は2020年12月28日に、第2版は2021年2月26日に発表・公開され、ワクチンの有効性、安全性、国内での接種の状況、接種での注意点などが提言されていた。  今回は、第2版以降の新しい知見に加え、新しく承認されたワクチンの効果、安全性について加筆された。

D-ダイマー高値COVID-19入院患者、治療的 vs.予防的抗凝固療法/Lancet

 D-ダイマー値上昇の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者に対し、リバーロキサバンやエノキサパリンなどによる治療的抗凝固療法は、予防的抗凝固療法に比べ臨床アウトカムを改善せず、一方で出血リスクを増大したことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らが、600例超を対象に行った多施設共同非盲検(評価者盲検)無作為化比較試験「ACTION試験」の結果で、著者は「経口抗凝固療法適応のエビデンスがない場合は、リバーロキサバンおよびその他の直接経口抗凝固薬の治療的投与は避けなくてはならない」と警鐘を鳴らした。COVID-19は、有害転帰につながる血栓形成促進との関連が示されているが、これまで治療的抗凝固療法がCOVID-19入院患者の転帰を改善するかどうかは不明だった。Lancet誌2021年6月12日号掲載の報告。

アトピー検査キットをコロナ重症化判定に適応追加/塩野義

 塩野義製薬は6月7日、アトピー性皮膚炎の重症度を診断する検査キット「HISCL TARC 試薬」について、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性患者の重症化予測の補助を使用目的とする適応追加の承認を同日付で取得したと発表した。COVID-19の発症初期から重症化リスクを判別することで、リスクに応じた最適な措置につなげ、医療体制の逼迫や医療崩壊を回避する一助となることが期待される。現在、保険適用を申請中。  「HISCL TARC試薬」は、2014年にシスメックスと共同開発したTARCを測定する検査キットで、すでにアトピー性皮膚炎の重症度評価の補助を目的とした体外診断用医薬品として使用されている。国立国際医療研究センターによる臨床研究では、COVID-19重症化患者においては、発症初期から血清中のTARC値が低いことが確認されており、1回の測定で患者の重症化を早期に予測できる分子マーカーとしてTARCの有用性が示されているという。

コロナ関連急性呼吸不全の呼吸管理:高流量鼻腔酸素or ヘルメット型非侵襲換気?(解説:山口佳寿博氏)-1402

新型コロナ感染症に惹起された急性低酸素性呼吸不全(ARDS)の病理/形態、分子生物学的異常は、本感染症が発生した2020年の早い段階で明らかにされた(Ackermann M, et al. N Engl J Med. 2020;383:120-128., 山口. CLEAR!ジャーナル四天王-1265)。その結果、コロナARDSの病理/形態学的特徴は;(1)ARDSの通常所見としてのDiffuse alveolar damage(DAD)、(2)特異的所見として、血管内皮細胞炎(Endothelialitis)、血管増生賦活遺伝子と抑制遺伝子の不均衡に起因する著明な血管増生(Angiogenesis)を伴う肺微小循環血栓形成(TMA:Thromboembolic microangiopathy)であることが判明した。

ファイザーとAZのコロナワクチン、英国約63万人の副反応データ

 英国で3月までに新型コロナワクチンを接種した62万7,383例を対象に、副反応について調査したデータが集計され、The Lancet Infectious Diseasesオンライン版4月27日号に掲載された。  この前向き観察研究では、専門アプリを使って「BNT162b2」(ファイザー・BioNTech社製、以下ファイザー製)の1回または2回接種者、「ChAdOx1 nCoV-19」(アストラゼネカ製、以下AZ製)の1回接種者を対象に、接種後8日以内に自己申告された全身および局所の副反応の確率と比率を調べた。

COVID-19診療の手引きの第5版を公開/厚生労働省

 5月26日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第5版」を公開した。  同手引きは診療の手引き検討委員会が中心となって作成され、第1版は2020年3月17日に、第2版は5月18日に、第3版は9月4日に、第4版は12月4日に公表され、細かい改訂など随時最新の内容に更新している。  今回の改訂では、前版以降の知見の拡充を行い、とくに血栓対策の治療、投与すべきでない薬剤(ヒドロキシクロロキンなど)の記載、新しく追加承認されたバリシチニブの追加、ファビピラビルの観察研究結果の更新などが反映されている。

脳底動脈閉塞、血管内治療vs.内科的治療/NEJM

 脳底動脈閉塞による脳梗塞患者において、血管内治療と内科的治療は良好な機能的アウトカムに有意差は認められなかったことが、オランダ・St. Antonius HospitalのLucianne C M Langezaal氏らが7ヵ国23施設300例を対象に実施した評価者盲検無作為化比較試験の結果で示された。なお、この結果について著者は、「主要評価項目の信頼区間が広いことから、血管内治療の実質的な有益性を排除するものではないと考えられる」と指摘し、「脳底動脈閉塞に対する血管内治療の有効性と安全性を判断するためには、より大規模な試験が必要である」とまとめている。NEJM誌2021年5月20日号掲載の報告。