救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:17

バイスタンダー心肺蘇生実施率に人種/民族差/NEJM

 米国において、バイスタンダー(現場に居合わせた人)によって自宅や公共の場で心肺蘇生(CPR)を受けた院外心停止者は、心停止が起きた地域の人種/民族構成や所得レベルに関係なく、黒人・ヒスパニック系が白人と比べて少なかった。米国・ミズーリ大学カンザスシティ校のR. Angel Garcia氏らが、院外心停止者の前向き多施設登録「Cardiac Arrest Registry to Enhance Survival:CARES」のデータを用いた解析の結果を報告した。院外心停止では、バイスタンダーCPRの実施率の差が、生存率の差に寄与することが知られており、その実施率が院外心停止者の人種/民族間で差があるかを理解することは、対策を検討するうえで非常に重要とされていた。NEJM誌2022年10月27日号掲載の報告。

院外心停止後、目標SpO2として90~94%は有効か/JAMA

 院外心停止後、自発循環を回復した意識不明の成人に対する、集中治療室(ICU)入室までの酸素飽和度90~94%をターゲットとした酸素療法は、98~100%をターゲットにした場合と比べ、生存退院率を有意に改善しなかった。ICU入室までの低酸素イベント発生率も、90~94%ターゲット群で有意に高率だった。オーストラリア・Ambulance VictoriaのStephen A. Bernard氏らが、425例を対象に行った無作為化比較試験「EXACT試験」の結果で、「試験はCOVID-19パンデミックにより早期中断となったが、試験結果は、心停止後の循環回復後における院外での酸素飽和度90~94%をターゲットした酸素療法を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌オンライン版2022年10月26日号掲載の報告。

救急患者の低血糖の原因は副腎不全が意外に多い

 救急部門に収容された患者の低血糖の原因として、血糖降下薬、飲酒に続き、副腎不全が3番目に多いというデータが報告された。新小文字病院内分泌・糖尿病内科の河原哲也氏らの研究結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に8月4日掲載された。同氏は、「副腎不全による低血糖はわれわれが考えているよりもはるかに多い可能性がある。原因不明の低血糖症例では副腎機能を評価すべきと考えられる」と述べている。  低血糖の大半は原因を特定可能なものの、救急患者の低血糖の約1割は原因不明との報告も見られる。一方、低血糖の既知の原因の一つとして副腎不全が挙げられ、適切に治療されない場合、副腎クリーゼなどの重篤な状態につながる可能性がある。ただし、救急患者の低血糖原因としての副腎不全の実態は明らかにされていない。河原氏らは、同院の救急部門で低血糖が認められた患者を対象として、この点の詳細な検討を行った。

発症6h以降の脳底動脈閉塞、血栓除去術で脳出血が増加か/NEJM

 脳底動脈閉塞に起因する脳梗塞の症状発現から6~24時間が経過した患者では、血栓除去術は内科的治療と比較して、90日時の機能状態が良好な患者の割合が高かったが、手技に伴う合併症と関連し、脳出血を増加させたことが、中国・首都医科大学宣武医院のTudor G. Jovin氏らが実施した「BAOCHE試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年10月13日号に掲載された。  BAOCHE試験は、中国の医師主導非盲検無作為化対照比較試験であり、アウトカムの評価は盲検下に行われた(中国科学技術部の助成を受けた)。参加者は、2016年8月~2021年6月の期間に登録された。

コロナ・インフル同時流行の際の注意点/日本感染症学会

 今冬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加え、季節性インフルエンザの同時流行が危惧されている。発熱や倦怠感など症状を同じくするものもあり、外来などでの鑑別で混乱を来すことが予想されている。そこで、日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、10月20日に同学会のホームページで 「この冬のCOVID-19とインフルエンザ同時流行の際の注意点を発表した。  本稿では、緊急避難的な措置の一例として「COVID-19、インフルエンザ同時流行となった場合の外来診療フローチャート」を示すとともに、外来診療フローチャートについて6つのポイントを説明している。

コロナ治療薬モルヌピラビル、早期投与で回復までの期間短縮に期待/MSD

 MSDは10月19日、一般流通を9月16日に開始した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について、承認後の最新情報として特定使用成績調査の中間報告などをメディアセミナーにて発表した。調査の結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかったことや、外来患者に使用した際の転帰として死亡はなく、人工呼吸器の使用も低く抑えることができたとして、本剤の有効性が提示された。  同社代表取締役社長のKyle Tattle氏によると、本剤は国内にて2021年12月24日に特例承認を取得し、これまでに60万人以上に使用されたという。本剤は、承認当初は供給量が限られていたため、厚生労働省が所有したうえで、重症化リスクのある患者に、決められた流通網を通して医療機関や薬局に配分が行われていたが、供給量が増加したことで、2022年8月18日に薬価基準収載となり、9月16日には一般流通を開始した。

脳底動脈閉塞の予後改善、発症12時間以内の血栓除去術vs.薬物療法/NEJM

 中国人の脳底動脈閉塞患者において、脳梗塞発症後12時間以内の静脈内血栓溶解療法を含む血管内血栓除去術は、静脈内血栓溶解療法を含む最善の内科的治療と比較して90日時点の機能予後を改善したが、手技に関連する合併症および脳内出血と関連することが、中国科学技術大学のChunrong Tao氏らが中国の36施設で実施した医師主導の評価者盲検無作為化比較試験の結果、示された。脳底動脈閉塞による脳梗塞に対する血管内血栓除去術の有効性とリスクを検討した臨床試験のデータは限られていた。NEJM誌2022年10月13日号掲載の報告。

経口コロナ薬2剤、オミクロン下での有効性/Lancet

 香港では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株亜系統BA.2.2が流行している時期に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)外来患者へのモルヌピラビルまたはニルマトレルビル+リトナビルの早期投与が、死亡および入院中の疾患進行のリスクを低下したことが、さらにニルマトレルビル+リトナビルは入院リスクも低下したことが、中国・香港大学のCarlos K. H. Wong氏らによる後ろ向き症例対照研究で明らかとなった。SARS-CoV-2オミクロン株に対する経口抗ウイルス薬のリアルワールドでの有効性については、ほとんど示されていなかった。Lancet誌2022年10月8日号掲載の報告。

父親の脳卒中発症が子どもたちを医療の道へと導く―AHAニュース

 2012年12月23日の日曜日、米国カリフォルニア州に住む高校3年生のAlejandra Rosales Murilloさんは、教会で両親や姉妹とともに牧師の説話を聞いていた。その最中、父親の頬が垂れ下がっているのを見つけ、母親のMaria Rosales Murilloさんに小声でそれを伝えた。母親が夫のJose Rosales Camposさんに「具合が良くないのではないか」と尋ねると、49歳の夫は「きっとまたベル麻痺だ」と答えた。彼は1年前にベル麻痺を経験していた。  この家族のささやきを目に留めた牧師は説話を中断し、Joseさんに「体調は問題ないか」と確認した。Joseさんはうなずいたが牧師は説話を短めに切り上げ、Joseさんのために聴衆とともに祈りをささげた。礼拝の後、牧師はJoseさんを病院に連れて行くように家族に勧めた。しかし、その日は19歳になる娘の誕生日を祝う食事が予定されており、彼はそれを計画どおり進めることを譲ろうとしなかった。

コロナ診療報酬の臨時的な取扱いが延長・新設/日医

 日本医師会常任理事の長島 公之氏は、2022年9月28日の定例記者会見で、新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いが厚生労働省より示されたことを報告した。  2022年9月30日までを期限として算定可能な特例的加算である「2類感染症患者入院診療加算(250点)」および「電話や情報通信機器による療養上の管理に係る点数(147点)」は、1ヵ月延長して2022年10月31日まで引き続き算定が可能となる(新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて[その77])。