泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:8

メトホルミンは低リスク限局性前立腺がんの進行を抑制するか?(MAST)/ASCO2024

 前臨床データおよび疫学データにおいて、メトホルミンが前立腺がんの進行を遅らせる可能性が示唆されてきた。しかし、積極的監視療法適応の低リスク限局性前立腺がん患者において、メトホルミンは前立腺がんの進行を抑制しないことが示された。カナダ・Princess Margaret Cancer CentreのNeil E. Fleshner氏が、第III相無作為化二重盲検プラセボ対照MAST試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。 ・対象:12ヵ月以内に新たに診断された低リスク限局性前立腺がん患者(Gleasonスコア≦6、生検陽性コア数≦1/3、陽性コアにおけるがん占拠率<50%、臨床病期T1c~T2a、PSA≦10ng/mL、HbA1c≦6.5%) ・試験群(メトホルミン群):積極的監視療法+メトホルミン(850mg1日1回で1ヵ月間投与後850mg1日2回で35ヵ月間投与) 204例 ・対照群(プラセボ群):積極的監視療法+プラセボ 203例 ・評価項目: [主要評価項目]無増悪期間(治療を要する進行[前立腺摘除術、放射線治療、ホルモン療法、focal therapyのいずれかの開始]または病理学的進行[生検陽性コア数>1/3、陽性コアにおけるがん占拠率≧50%、Gleasonスコア≧4]のうち最も早い発生までの期間と定義)

人間の精巣からマイクロプラスチックを検出

 マイクロプラスチックが男性に特殊な危険をもたらす可能性を示唆する新たな知見が、米ニューメキシコ大学薬学部指導教授のMatthew Campen氏らの研究によって得られた。この研究では、人間の精巣の中には動物の精巣や人間の胎盤と比べて3倍ものマイクロプラスチックが存在していることが示された。この研究の詳細は、「Toxicological Sciences」5月15日号に掲載された。  Campen氏はCNNの取材に対して、「これは警戒すべき状況であり、注意深く見ていく必要がある」と語り、「われわれの体内にどれほど多くのプラスチックが存在しているのかが分かりつつあるところだ。この問題について重点的に研究して、マイクロプラスチックが不妊や精巣がん、その他のがんの発生に何らかの影響を与えているのかどうかを確認する必要がある」と語っている。

ドセタキセル後のアビラテロン+カバジタキセル、転移を有する去勢抵抗性前立腺がんでPFS改善(CHAARTED2)/ASCO2024

 ドセタキセル治療歴のある、転移を有する去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者において、アビラテロンとカバジタキセルの併用療法が無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国・ウィスコンシン大学カーボンがんセンターのChristos Kyriakopoulos氏が、第II相無作為化非盲検EA8153(CHAARTED2)試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で報告した。 ・対象:去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対する3サイクル以上のドセタキセル治療歴のあるmCRPC患者(ECOG PS>2、CRPCに対する治療歴、Grade≧2の末梢性ニューロパチーを有する患者は除外) ・試験群(カバジタキセル併用群):カバジタキセル(25mg/m2を3週ごとに最大6サイクルまで静脈内投与)+アビラテロン(1,000mgを1日1回)+プレドニゾン(5mgを1日2回) 111例 ・対照群(アビラテロン単独群):アビラテロン+プレドニゾン 112例 ・評価項目: [主要評価項目]PFS [主要な副次評価項目]PSA反応、PSA増悪までの時間(TTPP)、全生存期間(OS)、安全性と忍容性

致死率がより高いエムポックスウイルスの感染がコンゴで拡大

 コンゴ民主共和国(以下、コンゴ)は、エムポックス(サル痘)ウイルス(MPXV)の感染者数の記録的な増加に直面している。その背景にあるのは、2022年に欧米で感染が拡大した型のMPXVよりも致死率が高いクレード(系統群)のウイルスである「クレードⅠ」の発生だ。米疾病対策センター(CDC)のChristina Hutson氏らは、「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」5月16日号に掲載された報告書で、「クレードⅠのコンゴでの感染拡大は、このウイルスが国外にも拡大する可能性を懸念させるものであり、ウイルスを封じ込めるためのコンゴの取り組みを全世界で協調的かつ緊急に支援することの重要性を示している」と主張している。

前立腺全摘除術後放射線療法へのADT追加、6ヵ月vs.24ヵ月/Lancet

 前立腺全摘除術後の放射線療法への24ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)の追加は、6ヵ月のADTを追加した場合と比較して無転移生存期間(MFS)を改善したことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の138施設で実施した無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、初期治療として放射線療法とADTの併用を支持するエビデンスがあるが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADTの至適併用期間は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。

前立腺全摘除術後放射線療法、ADTなしvs.短期ADT/Lancet

 前立腺全摘除術後の前立腺床に対する放射線療法後に転移がみられることはまれであるが、放射線療法に6ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)を追加しても、ADTを行わない場合と比較して無転移生存期間(MFS)は改善しないことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の121施設で実施された無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、放射線療法とともに術後補助療法として短期間のADTを行うとMFSが改善することが示されていたが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADT併用の有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。

がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG

 東京がん化学療法研究会(TCOG)は、第24回臨床腫瘍夏期セミナーをオンラインで開催する。  同セミナーは、がん診療に携わる医師、薬剤師、看護師、臨床研究関係者、製薬会社、CROなどを対象に、治療の最新情報、臨床研究論文を理解するための医学統計などさまざまな悪性腫瘍の基礎知識から最新情報まで幅広く習得できるよう企画している。

PSA検査の勧奨は前立腺がん死亡を減らすか?~40万人超・15年間追跡/JAMA

 50~69歳の男性に前立腺特異抗原(PSA)のスクリーニング検査の勧奨を1回行うと、これを行わない通常の診療と比較して、15年後の前立腺がんによる死亡が有意に減少するもののその差はわずかであり、全生存への効果は認めないことが、英国・ブリストル大学のRichard M. Martin氏らが実施した「CAP試験」の2次解析で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年5月7日号で報告された。  本研究では、PSAスクリーニング検査の勧奨から追跡期間中央値10年の時点においては前立腺がん死を抑制しないことが示されており、研究グループは今回、追跡期間中央値15年の結果を報告した(英国王立がん研究基金などの助成を受けた)。  2001年9月~2007年8月に、イングランドとウェールズの573のプライマリケア施設(クラスター)を2つの群に無作為化し、2002年1月~2009年1月までにこれらの施設を受診した年齢50~69歳の男性を解析の対象とした。  介入群では、参加者はPSAスクリーニング検査の勧奨を1回受け、検査でPSA値が3.0~19.9ng/mLの場合は経直腸的超音波ガイド下生検(10コア)を提示された。対照群の参加者は、標準的な管理を受け、PSA検査の勧奨は行われなかった。

尿検査で前立腺がん生検スキップの可否を判定

 前立腺がんが見つかった際の最も重要な疑問は、それが即座に治療が必要な進行性のがんなのか、それとも進行が遅く経過観察で済むがんなのかということだ。その答えを得るために現時点で利用できる唯一の方法は生検である。しかし、新たな研究で、MyProstateScore2.0(MPS2)と呼ばれる尿検査が、侵襲的な生検に代わる新たな検査法になり得る可能性が示された。米ミシガン大学医学部病理学および泌尿器科学分野教授のArul Chinnaiyan氏らによるこの研究の詳細は、「JAMA Oncology」に4月18日掲載された。Chinnaiyan氏は、「この検査で陰性であれば、進行性前立腺がんでないことはほぼ確実だ」と話している。

SSRI使用と男性不妊症との関連

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、男性の生殖能力に潜在的な影響を及ぼすといわれているが、その正確なメカニズムは十分にわかっているとはいえない。サウジアラビア・King Saud UniversityのJawza F. Alsabhan氏らは、SSRIと男性不妊症との関連を調査した。Journal of Clinical Medicine誌2024年4月7日号の報告。  SSRIによる治療を受け、King Saud Medical Cityの不妊クリニックに通院したサウジアラビア人男性を対象に、カルテレビューをレトロスペクティブに実施した。SSRIを服用している患者の精子パラメータの質をスクリーニングするため、不妊クリニックに通院している男性患者の医療記録を参照した。