耳鼻咽喉科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

認知症の進行抑制に難聴治療がカギとなる可能性/難聴対策推進議員連盟

 国会議員で組織する難聴対策推進議員連盟が、「難聴対策で認知症の進行抑制-補聴器を用いた聴覚介入の有用性を」テーマに、メディアセミナーを開催した。セミナーでは、難聴と認知症の関係や難聴と社会的孤立や受傷リスクの増大、難聴患者の声などが講演された。  はじめにフランク・リン氏(ジョンズ・ホプキンス大学教授)が「認知症の進行抑制における聴覚介入の有用性-ACHIEVE試験の結果より-」をテーマに研究内容と今後の展望について説明した。  全世界が高齢化による認知症の患者が増加している。そんな中、中年期および老年期の難聴は、認知症の深刻なリスク因子であることが明らかになっている。  難聴になると、認知的負荷、脳への刺激減少、社会的孤立が進み、認知機能の低下や認知症をもたらすとされている。そこで、リン氏らの研究グループは、高齢者の加齢と認知機能の健康評価について研究するACHIEVE試験を行った。

RET変異甲状腺髄様がん、セルペルカチニブvs.マルチキナーゼ阻害薬/NEJM

 RET変異甲状腺髄様がん治療において、セルペルカチニブはカボザンチニブまたはバンデタニブに比べて、無増悪生存期間(PFS)および治療成功生存期間(FFS)の延長をもたらすことが、米国・マサチューセッツ総合病院のJulien Hadoux氏らが行った第III相無作為化試験の結果で示された。セルペルカチニブは、選択性が高く強力なRET阻害薬で、第I・II相試験で進行RET変異甲状腺髄様がんに対する有効性が示されていたが、マルチキナーゼ阻害薬と比較した場合の有効性については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2023年10月21日号掲載の報告。

抗インフル薬、国内で最も処方頻度が高いのは?/NCGM国府台病院

 国立国際医療研究センター(NCGM)国府台病院総合内科の酒匂 赤人氏らの研究グループと国立国際医療研究センター病院は共同でわが国の全国規模のインフルエンザ診療の実態を調べ、その結果を報告した。  研究報告によると2017年度の抗インフルエンザ治療薬処方人数は1,339万例で、薬剤費は480億円。2018年度では処方患者数の約38%を20歳未満が占め、5~9歳では4例に1例が処方された計算だった。PLoS One誌2023年10月4日号の報告。

持続性陽圧換気(CPAP)の心血管イベント再発予防に対する効果は、1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者において認められる(解説:石川讓治氏)

重度の睡眠時無呼吸症候群における持続性陽圧換気(CPAP)の心血管疾患の再発予防効果に関しては、研究間で一定した結果が得られていない。本研究におけるシステマティックレビューで、最終的に3つの無作為割り付け研究が選択され、これらの研究の個別患者データを使用してメタ解析が行われた。全体的な解析では、CPAP群とコントロール群の間に、心血管イベント再発抑制には有意な差が認められなかった。しかし、CPAPを1日4時間以上装着できたアドヒアランス良好な患者においては、31%の心血管イベント再発抑制効果が認められた。CPAPを4時間以上装着できた患者はCPAP群の38.5%であった。

不足を痛感している医薬品は?医師に緊急アンケートを実施/日本医師会

 医薬品不足が止まらない。厚生労働省は9月29日に『鎮咳薬(咳止め)・去痰薬の在庫逼迫に伴う協力依頼』の事務連絡を出し、各医療機関、薬局および医薬品卸売販売業者に対して現況の周知を依頼する事態が起きている。医療ジャーナリストの村上 和巳氏もこの医薬品不足が処方医においても他人事ではないことを訴え、CareNet.comの連載『第182回:鎮咳薬・去痰薬不足、医師が知っておきたい“患者対応Q&A”』で取り上げて、昨今の医薬品不足の背景や今後の見込みなど、患者が処方医に尋ねそうな質問と模範回答を10項目列挙している。

睡眠時無呼吸へのCPAP、MACEイベントの2次予防に有効か/JAMA

 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)と心血管疾患の双方を有する患者の治療において、持続陽圧呼吸療法(CPAP)はこれを行わない場合と比較して、主要有害心脳血管イベント(MACCE)の2次予防に全般的には有効ではないものの、CPAPのアドヒアランスが良好な患者ではMACCEのリスクを低減することが、スペイン・リェイダ大学のManuel Sanchez-de-la-Torre氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年10月3日号で報告された。  研究グループは、OSAに対するCPAPによる治療がMACCEのリスクに及ぼす影響を評価する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(スペイン・カルロス三世保健研究所などの助成を受けた)。

抗コリン負荷の増大が、心血管イベントのリスクと関連/BMJ

 急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者においては、抗コリン薬による抗コリン作用の総負荷(抗コリン負荷)が、最近増加した集団で急性心血管イベントのリスクが高く、負荷の増加の程度が大きいほどリスクがより高いことが、台湾・国立成功大学のWei-Ching Huang氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年9月27日号に掲載された。  本研究は、台湾の全国的な健康保険研究データベースを用いた症例-症例-時間-対照研究(case-case-time-control[CCTC]study)であり、2011~18年に急性心血管イベントで入院した65歳以上の患者31万7,446例を対象とした(台湾・国家科学技術委員会などの助成を受けた)。  CCTCは、適応症による交絡および潜在的なprotopathic bias(因果の逆転)の克服を目指した研究デザインであり、2つの自己対照分析(症例クロスオーバー分析と、将来の症例からなる対照クロスオーバー分析)で構成される。急性心血管イベントには、心筋梗塞、脳卒中、不整脈、伝導障害、心血管死を含めた。

小児の急性副鼻腔炎、クラブラン酸・アモキシシリンvs.アモキシシリン/JAMA

 急性副鼻腔炎の小児患者における外来での経験的抗菌薬治療では、アモキシシリンと比較してクラブラン酸・アモキシシリンは、治療失敗の割合には差がないものの、消化器症状やイースト菌感染のリスクが高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のTimothy J. Savage氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2023年9月19日号に掲載された。  本研究は、米国の全国的な医療データベースを用いたコホート研究であり、年齢17歳以下の急性副鼻腔炎の新規外来患者で、診断の同日にクラブラン酸・アモキシシリンまたはアモキシシリンの処方を受けた患者を対象とした(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。

鼻をほじる医療者は、コロナ感染リスク増

 医療従事者はCOVID-19の感染リスクが高く、マスク、ガウン、ゴーグル/フェイスシールド、手袋などの個人防護具(PPE)装着をはじめとした感染対策を取るケースが多い。にもかかわらず医療従事者の感染者が多い理由を探るため、PPE装着や飛沫を受けることに関連する可能性のある特定の行動・身体的特徴を調査する研究が行われた。オランダ・アムステルダム大学のA H Ayesha Lavell氏らによる本研究の結果は、PLOS ONE誌オンライン版2023年8月2日号に掲載された。  研究者らは、オランダの2つの大学医療センターに勤務する医療従事者404例を対象としたコホート研究において、特定の行動・身体的特徴が感染リスクと関連しているかどうかを調査した。感染との関連を調査した具体的な行動は以下のものだった。

不要な抗菌薬処方、60歳以上の医師に多く特定の医師に集中か

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を含むウイルス感染症には、抗菌薬が無効であるにもかかわらず、抗菌薬が処方されている実態が報告されている。ただし、抗菌薬処方に関連する医師や患者の特徴については明らかになっていない。そこで、東京大学大学院医学系研究科の宮脇 敦士氏らは、本邦の一般開業医を対象としたデータベース(Japan Medical Data Survey:JAMDAS)を用いて、COVID-19の外来受診データを分析した。その結果、本邦のCOVID-19のプライマリケアにおいて、抗菌薬の処方は少数の診療所に集中していた。また、60歳以上の医師は抗菌薬の処方が多かった。本研究結果は、JAMA Network Open誌2023年7月25日号のリサーチレターで報告された。