腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:93

プラチナ不適NSCLCの1次治療、アテゾリズマブがOS改善(IPSOS)/Lancet

 StageIIIB/IVの非小細胞肺がん(NSCLC)でプラチナダブレット化学療法を受ける患者の1次治療として、アテゾリズマブは単剤化学療法と比較し、全生存期間(OS)を改善し、2年生存率を倍増させ、QOLの維持および良好な安全性プロファイルと関連したことが示された。英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのSiow Ming Lee氏らが、第III相国際多施設共同非盲検無作為化対照試験「IPSOS試験」の結果を報告した。進行または転移のあるNSCLC患者に対する免疫療法の進展にもかかわらず、主な1次治療試験では、対象患者がECOS PS 0~1で年齢中央値65歳以下に限定されていた。IPSOS試験ではプラチナ製剤を含むレジメン不適の患者が対象とされ、アテゾリズマブの有効性と安全性が検討された。著者は、「今回示されたデータは、プラチナをベースとした化学療法が不適の進行NSCLC患者に対して、アテゾリズマブ単剤療法が潜在的な1次治療の選択肢であることを支持するものである」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年7月6日号掲載の報告。

双極性障害女性患者における抗精神病薬使用後の乳がんリスク

 統合失調症女性患者における抗精神病薬使用と乳がんリスクとの関連は、さまざまな疫学データより報告されている。しかし、双極性障害女性患者を対象とした研究は、これまであまり行われていなかった。香港大学のRachel Yui Ki Chu氏らは、双極性障害女性患者における抗精神病薬使用と乳がんリスクとの関連を調査し、統合失調症との比較を行った。その結果、統合失調症女性患者では、第1世代抗精神病薬と乳がんリスクとの関連が認められ、双極性障害女性患者では、第1世代および第2世代抗精神病薬のいずれにおいても、乳がんリスクとの関連が認められた。Psychiatry Research誌8月号の報告。

乳頭型頭蓋咽頭腫、BRAF・MEK阻害薬併用で奏効率94%/NEJM

 乳頭状頭蓋咽頭腫患者を対象とした小規模な第II相単群試験において、ベムラフェニブ+cobimetinibのBRAF・MEK阻害薬併用療法により16例中15例で客観的奏効(部分奏効以上)が得られたことを、米国・ハーバード大学医学大学院のPriscilla K. Brastianos氏らが報告した。下垂体-視床下部軸の原発性脳腫瘍である頭蓋咽頭腫は、手術、放射線療法あるいはそれらの併用による治療によって、失明、神経内分泌機能障害、記憶喪失など臨床的に重大な後遺症が引き起こされることが多い。遺伝子型の解析では、乳頭状頭蓋咽頭腫の90%以上の患者が、BRAF V600E遺伝子変異を保有していることが示されているが、放射線療法歴のない乳頭状頭蓋咽頭腫の患者におけるBRAF・MEK阻害薬併用療法の安全性と有効性に関するデータは不足していた。NEJM誌2023年7月13日号掲載の報告。

StageIII NSCLC、周術期ニボルマブ上乗せで生存改善(NADIM II)/NEJM

 切除可能なStageIIIA/IIIBの非小細胞肺がん(NSCLC)における術前補助療法について、ニボルマブ+化学療法は化学療法のみの場合と比べ、病理学的完全奏効(CR)の割合は有意に高率(相対リスク5.34)で、生存延長にも結び付くことが示された。スペイン・Puerta de Hierro-Majadahonda大学病院のMariano Provencio氏らが、非盲検第II相無作為化比較試験の結果を報告した。NSCLC患者の約20%がStageIIIを占める。これら患者の最も至適な治療についてコンセンサスが得られていなかった。NEJM誌オンライン版2023年6月28日号掲載の報告。

出産から5年未満の乳がん、術前化療の効果乏しく再発リスク増/日本乳癌学会

 閉経前乳がん患者を対象に、最終出産からの経過年数と術前化学療法の感受性を検討した結果、出産から5年未満に診断された患者では術前化学療法の感受性が乏しく、再発率が高かったことを、岡山大学の突沖 貴宏氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。  妊娠・出産から数年以内に乳がんと診断された妊娠関連乳がんの特徴として、腫瘍径が大きい、リンパ節転移やリンパ管侵襲が多い、HR-の割合が高い、病勢が進行した症例が多い、早期例でも遠隔再発リスクが高い、などが報告されている。しかし、妊娠関連乳がんにおける薬物療法の感受性を検討したデータは乏しい。そこで研究グループは、それらの再発率が高い理由として、最終出産からの経過年数が少ない症例は化学療法の効果が乏しいという仮説を立て、最終出産からの経過年数と術前化学療法の感受性の検討を行った。

イノツズマブ+ブリナツモマブ併用mini-Hyper-CVD療法で再発ALLの生存率改善

 mini-Hyper-CVD療法とイノツズマブの併用は、再発難治性急性リンパ性白血病(ALL)患者において有効性を示し、ブリナツモマブ追加後はさらに生存率が向上したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのHagop Kantarjian氏らによる研究で明らかになった。Journal of Hematology & Oncology誌2023年5月2日号の報告。  成人ALL治療は近年、大きくその様相が変化している。CD19表現抗体を標的としたブリナツモマブやCD22を標的とした抗体薬物複合体のイノツズマブ オゾガマイシンや各種CAR-T細胞療法など、新しい治療法選択肢が登場したためである。  再発難治性ALLに対するブリナツモマブとイノツズマブ単剤の有効性は、すでに確認されているとおりである。今回は、イノツズマブを用いた低用量のmini-Hyper-CVD療法に、ブリナツモマブを追加することで、化学療法による負担を減らすことができないかを検討した。

医療裁判にも影響か?肝機能の指標がALT>30に

 肝機能検査として血液検査で汎用されるALT値。今後、これが30を超えていたら、プライマリ・ケア医やかかりつけ医による肝疾患リスクの確認が必要となる―。6月に開催された第59回日本肝臓学会総会にて、ALT>30を指標とする『奈良宣言』が公表された。これは、かかりつけ医と消化器内科医が適切なタイミングで診療連携することで患者の肝疾患の早期発見・早期治療につなげることを目的に、さまざまなエビデンスに基づいて設定された。記者会見では吉治 仁志氏(奈良県立医科大学消化器内科学 教授/日本肝臓学会理事)らが本宣言の背景や目的を説明しており、今回ケアネットでは日本肝臓学会理事で本宣言での特別広報委員を務める江口 有一郎氏(江口病院 ロコメディカル総合研究所 所長)に独自取材を行った。

遺伝子パネル検査、4割強の医師がいまだ経験なし/会員医師アンケート

 2019年6月に遺伝子パネル検査が保険収載されてから丸4年が経過した。ケアネットでは、7月19日に配信するセミナー「米国における がんゲノム検査の実態」収録に先立って、がん診療に携わる専門医600人を対象に「遺伝子パネル検査の施設での実施状況や自身の経験」について聞くアンケートを実施した。全体集計のほか、専門であることが見込まれる「肺がん」「乳がん」「消化器がん」「泌尿器がん」別でも集計、比較した。

HER2低発現乳がんの予後をHER2ゼロと比較~42研究のメタ解析/ESMO Open

 HER2低発現が乳がん患者の予後に影響を及ぼすかどうか、ベルギー・Institut Jules BordetのChiara Molinelli氏らがメタ解析で検討したところ、ホルモン受容体の発現にかかわらず、転移乳がんおよび早期乳がんのいずれにおいても、HER2低発現はHER2ゼロと比較して若干の全生存期間(OS)改善との関連がみられた。早期乳がんでは、とくにホルモン受容体陽性で、HER2低発現が低いpCR率と関連していた。ESMO Open誌2023年7月4日号に掲載。

HER2陰性転移乳がん1/2次治療の健康関連QOL、エリブリンvs.S-1(RESQ試験)/日本乳癌学会

 HER2-の転移を有する乳がん(MBC)患者の1次/2次化学療法として、エリブリンと経口フッ化ピリミジン系薬剤S-1(テガフール・ギメラシル・オテラシル カリウム)の健康関連QOL(HRQOL)を検討した結果、エリブリン群のS-1群に対するHRQOLの非劣性は示されなかったものの、無増悪生存期間(PFS)は両群で差はなく、全生存期間(OS)はエリブリン群で延長する傾向にあったことを、虎の門病院の田辺 裕子氏が第31回日本乳癌学会学術総会で発表した。