ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:230

米国内科医の総合医キャリア志向、顕著に減少/JAMA

 米国では、慢性疾患増大に伴うゼネラリストとしての内科医不足への懸念から、1970年代に内科プライマリ・ケアプログラムが設けられた。当初は最高90%のプログラム履修者がいたが、最近の調査では、総合医キャリア(general medical careers)を積み上げている内科レジデント卒業生は20~25%にとどまっており、学生にいたっては希望者はさらに少ないことが報告されているという。その状況を明確にするため、米国・メイヨークリニックのColin P. West氏らは、内科研修プログラム別およびレジデントの性別や地域(学校所在地)別でみた総合内科(general internal medicine:GIM)キャリアプランの実態を調べた。JAMA誌2012年12月5日号掲載より。

e-ラーニングEBM課程は研修医の知識やスキル向上に有用/JAMA

 臨床でのEBM教育について、世界保健機構(WHO)がWHO Reproductive Health Library(RHL)に組み込み提供しているe-ラーニングEBM課程は、低中所得国(LMIC)の臨床医の高い知識とスキルに結び付いていることが、WHO政策研究・国際協力部門のRegina Kulier氏らにより報告された。医療現場にEBM診療を文化として根付かせるためには、EBM教育を臨床に組み込む必要があるが、低中所得国では、EBM教育を受けた指導医が不足しており、EBM教育のための時間も確保されておらず、また自発的に学びたくても英語以外のデータベースへアクセスできる環境が整備されていないのが現状だという。JAMA誌2012年12月5日号掲載より。

プライマリ・ケアでのCOPD患者の自己管理・定期管理vs.通常ケア、長期ベネフィットは?/BMJ

 プライマリ・ケアでの慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のマネジメントについて、総合的自己管理や定期管理と、通常ケア(患者の判断で受診)とを比較した無作為化試験の結果、総合的自己管理や定期管理は通常ケアと比べて、QOLや効果の実感に関して長期的なベネフィットが示されなかったことが、オランダ・Radboud大学のErik W M A Bischoff氏らにより報告された。プライマリ・ケアでは特に、COPDに対して周到で効果的なマネジメント戦略が必要とされる。しかし、著者らは、ガイドラインに即した定期管理の効果には疑問の声もあり、総合的自己管理プログラムのベネフィットは示されているが、プライマリ・ケアでの効果は明らかではないとして本検討を行った。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月28日号)掲載より。

中間期乳がん患者の予後、マンモスクリーニング未実施乳がん患者と同程度/BMJ

 中間期乳がん患者の予後は、マンモグラフィスクリーニング未実施の乳がん患者と同程度であることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のMette Kalager氏らが、住民ベースの観察コホート研究の結果、報告した。先行研究では、無作為化試験または観察研究いずれにおいても、とりわけサンプルサイズが100例以下と小さく結果は限定的であった。本検討では、7,100余名の被験者を対象とし評価が行われた。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月16日号)掲載より。

ステロイド抵抗性の重症潰瘍性大腸炎、シクロスポリンかインフリキシマブか/Lancet

 ステロイド抵抗性の急性重症潰瘍性大腸炎(UC)患者の治療について、シクロスポリンとインフリキシマブの有効性と安全性を比較したオープンラベル無作為化対照試験が、フランス・Haut-Leveque病院のDavid Laharie氏らにより行われた。両薬剤は、ステロイド静注療法が効かない急性重症UCに対して、大腸切除の回避を可能とする救急治療法である。しかし、どちらが有効または安全であるのか無作為化試験は行われておらず、ガイドラインにもステータスは明記されていなかった。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年10月10日号)の掲載報告。

抗菌薬カテーテル、尿路感染症予防効果の裏付け得られず/Lancet

 入院中のカテーテル関連尿路感染症減少のために、通常のフッ素樹脂製カテーテルと抗菌薬カテーテル(銀コーティングカテーテルまたはニトロフラール溶出型カテーテル)とを比較した検討の結果、銀コーティングカテーテルには症候性の尿路感染症発症に対する効果は認められず、抗菌薬溶出型カテーテルも臨床的意義がある減少は認められなかったことが明らかにされた。英国・ニューカッスル大学のRobert Pickard氏らが多施設共同無作為化試験を行った結果、報告した。結果を踏まえて著者は、「抗菌薬カテーテルのルーチン使用を支持する裏付けは得られなかった」と結論している。Lancet誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。

難治性白血病に対するポナチニブ、高い治療反応を認める/NEJM

 変異型を含むBCR-ABLを阻害するポナチニブ(ponatinib、AP24534)を、チロシンキナーゼ阻害薬耐性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)の白血病患者に投与すると、高い治療反応が認められることが示された。慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%に上った。米国・M.D.アンダーソンがんセンターのJorge E. Cortes氏らが、80人超のチロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月29日号で発表した。

左室駆出率保持の心不全へのRAS阻害薬投与は全死因死亡を低下/JAMA

 左室駆出率保持(≧40%)の心不全(HFPEF)患者に対するレニン-アンジオテンシン系(RAS)拮抗薬投与は、全死因死亡率を低下することが明らかにされた。スウェーデン・カロリンスカ研究所のLars H. Lund氏らが、同国の心不全患者レジストリからHFPEF患者を前向きに追跡し報告した。HFPEFは、左室駆出率低下の心不全(HFREF)と同程度の高い頻度と致死性の可能性を有している。ACE阻害薬またはARB(すなわちRAS阻害薬)の3つの無作為化試験では、主要エンドポイントを達成しなかったが、選択バイアスがかかりパワー不足となった可能性があったことから、研究グループはあらためて、HFPEFの任意抽出集団における前向き研究で、RAS拮抗薬投与により全死因死亡は低下するとの仮説について調べた。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。

小児の百日咳発症にみられたDTaPワクチン防御効果の漸減/JAMA

 米国・カリフォルニア州では2010年に、60歳以上で大規模な百日咳の流行が発生した。疾患負荷は、3種混合(DTaP)ワクチン接種率が高率であったにもかかわらず7~10歳の年齢層で顕著に大きく、ワクチンによる防御効果が漸減する可能性が示された。そこで米国疾病予防管理センター(CDC)のLara K. Misegades氏らは、百日咳発症とDTaPワクチンの5回目までの接種との関連についてケースコントロールによる評価を行った。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。

静脈血栓塞栓症に対する4つの新規経口抗凝固薬vs.従来薬/BMJ

 ビタミンK拮抗薬と比較して、新規経口抗凝固薬は急性静脈血栓塞栓症の再発リスクは同程度であり、全死因死亡も同程度であるが、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)については出血リスクを減少することが、カナダ・マギル大学のBenjamin D Fox氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月13日号)掲載より。

成人一般健診は罹患率や死亡率を低下させない/BMJ

 一般健康診断は新たな病気の発見数を増加したが、全体的にみても心血管系やがんについてみても、罹患率や死亡率は低下していないことが、デンマーク・ノルディックコクランセンターのLasse T Krogsboll氏らによる、無作為化試験対象のコクラン・システマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。一般健診は、罹患率や死亡率を抑制するのに効果的であるとみなされ、リスク因子が抑制されるという共通認識および観察結果に基づいて、世界各国でヘルスケアの基本として行われてきた。しかし、一方で罹患率と死亡率に関するベネフィットのエビデンスは不足していた。今回の解析でも、一般健診の重大有害転帰に関する影響については研究も報告もされておらずエビデンスは不明のままとなった。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月20日号)掲載より。

がんによる疾病負担、全世界で重く:IARC調査/Lancet

 がんによる疾病負担は世界のどの地域でも重く、深刻なものであることが、国際がん研究機関(IARC、フランス・リヨン市)のIsabelle Soerjomataram氏らの調査で明らかとなった。2008年、世界で760万人ががんで死亡した。保健医療計画の立案には、致死的および非致死的ながんのアウトカムを考慮した国別の比較を要するが、これには障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)が有用な指標になるという。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年10月16日号)掲載の報告。

アレムツズマブ、再発寛解型多発性硬化症の再発を抑制:CARE-MS I試験/Lancet

 活動性の早期再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療において、アレムツズマブ(alemtuzumab:国内未承認)はインターフェロンβ1aに比べ再発を有意に抑制するが、障害の集積の抑制効果には差がないことが、米国・クリーブランド・クリニックのJeffrey A Cohen氏らが行ったCARE-MS I試験で示された。ヒト化抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブは、血中のTリンパ球およびBリンパ球を枯渇させ、結果としてその再生を促すことで効力を発揮すると考えられる。未治療RRMSを対象とした第II相試験では、その疾患活動性の抑制効果が確認されている。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月1日号)掲載の報告。

マンモ検診は、過剰診断を増やしただけ?/NEJM

 米国では1980年代からマンモグラフィによるスクリーニングが始まっており、その後の実施率増加とともに早期乳がん罹患率は大幅に増加したが、一方で進行期乳がん罹患率の減少は、ごくわずかであったことが報告された。また、マンモグラフィにより検出された早期乳がんの中には、その後臨床的症状を発症することがなかった、いわゆる過剰診断も多く、その数は過去30年間で130万人に上ると推定されたという。米国・Oregon Health and Science UniversityのArchie Bleyer氏らの調べで明らかになったもので、NEJM誌11月22日号で発表した。

特発性VTE初発患者に対する再発予防のための低用量アスピリン投与/NEJM

 オーストラリア・Prince of Wales HospitalのTimothy A. Brighton氏らが、800人超について行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果、特発性静脈血栓塞栓症(VTE)の初発患者に対し、抗凝固療法後に低用量アスピリン療法を行っても、再発リスクがプラセボと比較して有意に低下しなかったことが報告された。一方で心血管イベント発生リスクについては、およそ3分の2低下し、研究グループは「正味の臨床的改善は示された」と結論した。特発性VTEを発症した人は、抗凝固療法終了後にVTE再発リスクが増大することが知られ、再発予防にアスピリンが有効である可能性があった。NEJM誌2012年11月22日号(オンライン版2012年11月4日号)掲載より。

外傷性脳損傷に対するシチコリン、身体・認知機能改善に結びつかず/JAMA

 外傷性脳損傷(TBI)に対するシチコリン(商品名:シチコリン、ニコリンほか)の投与は、プラセボと比較し90日時点で、身体機能および認知機能の改善に結びつかなかったことが示された。米国・ハーバードメディカルスクールのRoss D. Zafonte氏らによる無作為化試験の結果、報告された。TBIについては今のところ転帰を改善する治療法がない。シチリコンには、損傷神経修復の促進と同様の潜在的な神経保護作用があり、世界59ヵ国で承認されていた。JAMA誌2012年11月21日号掲載報告より。

心房細動の脳卒中予防について新規抗凝固薬3剤を間接比較/BMJ

 心房細動患者の脳卒中予防について、新規抗凝固薬の間接的な比較解析が、デンマーク・Aalborg UniversityのLars Hvilsted Rasmussen氏らによって行われた。検討されたのは、アピキサバンとダビガトラン(商品名:プラザキサ)またはリバーロキサバン(同:イグザレルト)との比較、リバーロキサバンとダビガトランの比較についてで、相互間の相対的な有効性と安全性について、主として2次予防に焦点を当てて解析が行われた。BMJ誌2012年11月17日号(オンライン版2012年11月5日号)掲載より。

表面置換型人工股関節置換術、とくに女性で再置換率が高い/Lancet

 表面置換型人工股関節置換術のインプラント残存率は、大腿骨頭径が大きな男性では全置換型人工股関節置換術とほぼ同等だが、それ以外の患者では全般に不良で、とくに女性で劣ることが、英国ブリストル大学のAlison J Smith氏らの検討で示された。従来の全置換型人工股関節のインプラント残存率は年齢が若い患者で不良なことが多いという。そのため、個々の患者の大腿骨頭に合わせた種々のサイズがある表面置換型の人工股関節など、新たなインプラントの開発が進められている。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月2日号)掲載の報告。

糖尿病高リスク者のプライマリ・ケア・ベースの検診、死亡率低下せず:ADDITION-Cambridge試験/Lancet

 2型糖尿病の高リスク者を対象とした検診でみつかった患者に対し治療を行っても、約10年間の全死因死亡、心血管死、糖尿病関連死のリスクは検診を受けなかった者と変わらないことが、英国ケンブリッジ大学のRebecca K Simmons氏らが行ったADDITION-Cambridge試験で示された。2型糖尿病の有病率の増加は保健医療上の重要課題とされる。2型糖尿病の疾病負担の増大は、地域住民を対象とした検診や早期治療によって抑制される可能性があるが、検診のベネフィットは不明なままだという。Lancet誌2012年11月17日号(オンライン版2012年10月4日号)掲載の報告。

過去10年の院内心停止後の生存率、年率4%で増加の傾向が明らかに/NEJM

 米国における2000~2009年の、院内心停止後の生存率は年率4%の増加傾向を示す一方で、生存者の神経障害発症率は年率2%の減少傾向にあることが明らかにされた。米国・アイオワ大学のSaket Girotra氏らが、約8万5,000人の院内心停止患者を追跡し明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月15日号で発表した。近年、蘇生ケアは改善してきているものの、院内心停止後の生存率や神経障害発症率の改善傾向については明らかではなかった。