ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:207

腹部大動脈瘤の血管内治療 vs. 非介入:動脈瘤関連死亡率は低下も全死因死亡率は同等

腹部大動脈瘤に対する血管内治療は、その技術開発意図だった「開腹手術が身体的に不適応な患者」に対しても長期的にはリスクを高め、コスト高の治療となっていることが、明らかになった。英国血管内治療(EVAR)試験研究グループの報告によるもので、NEJM誌2010年5月20日号(オンライン版2010年4月11日号)で発表された。開腹手術不適応な患者への血管内治療についてこれまで、介入によって死亡率が低下するかどうか非介入群との比較を行った試験データは、ほとんどなかった。

腹部大動脈瘤の血管内治療 vs. 開腹手術:長期転帰に有意差なし

腹部大動脈瘤に対する血管内治療 vs. 開腹手術の長期転帰を比較した大規模無作為化試験の結果、血管内治療の方が手術死亡率は低いが、長期全死亡率、動脈瘤関連死亡率は両群で有意差がないこと、長期的には血管内治療群の方がコスト高であることが明らかになった。英国血管内治療(EVAR)試験研究グループの報告によるもので、NEJM誌2010年5月20日号(オンライン版2010年4月11日号)で発表された。開腹手術は1951年以降、血管内治療は1986年以降行われるようになり、その後両群比較の30日手術死亡率の結果をエビデンスに血管内治療の有益性が支持されてきたが、長期転帰について比較を行った試験データはこれまで、ほとんどなかった。

外傷性脳障害後の1年間、患者の半分以上が大うつ病性障害を発症

外傷性脳障害を負った人の半数以上が、その後1年間に大うつ病性障害(MDD)を発症していることがわかった。なかでも、障害を負った時点やそれ以前にMDD歴のある人が、障害後の発症リスクが高かった。米国ワシントン大学リハビリテーション部門のCharles H. Bombardier氏らが、外傷性脳障害を負った500人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。

不安障害の治療、認知行動療法や薬物療法の柔軟な選択で寛解率など有意に改善

不安障害の治療について、認知行動療法や薬物療法、または両者の選択を可能にして柔軟に対応することで、1年後の治療反応率や寛解率は、従来の治療法に比べて有意に改善することがわかった。米国ワシントン大学精神科・行動科学部門のPeter Roy-Byrne氏らが、1,000人超の不安障害の患者を対象に行った無作為化対照試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月19日号で発表した。

「職業上の非行」を犯した医師の学生時代

英国で近年、Dr.ハロルド・シップマン事件やブリストル王立病院小児心臓外科事件など、メディアの関心と人々の懸念を高める医師の犯罪や事件が相次いでいることを背景に、学生時代のリスク因子を見いだすことを目的とした研究が、英国ノッティンガム医科大学Queen’s Medical Centre医学教育部門のJanet Yates氏らにより行われた。BMJ誌2010年5月15日号(オンライン版2010年4月27日号)掲載より。

インセンティブという“はしご”を外すと?

クリニカル・インディケーター(臨床評価指標)に対するインセンティブを外してしまうと、その指標の医療パフォーマンスは低下することが、英国NIHR School for Primary Care ResearchのHelen Lester氏らにより報告された。米国のHMO(健康維持機構)の一つ、カイザーパーマネントにおける、4つの指標をめぐる10年間の動向を分析した結果で、BMJ誌2010年5月15日号(オンライン版2010年5月11日号)で掲載されている。同氏は「医療政策担当者および臨床医は、この事実を認識しなければならない」としている。

成人の生存率、最高国、最低国はどこか?

2010年度の15~59歳の成人生存率が最も高い国は男性がアイスランド、女性はキプロスであることが、アメリカWashington大学のJulie Knoll Rajaratnam氏らによる解析で明らかとなった。成人の死亡は世界の医療における最優先課題であり、成人の死因はミレニアム開発目標5(MDG 5、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1にまで低下させる)およびMDG 6(HIV/エイズの蔓延を2015年までに食い止め、その後減少させる)の重要な構成要素である。しかし、成人の死亡率には政策的な関心がほとんど払われず、医療資源の配分やモニタリングの努力もなされていないという。Lancet誌2010年5月15日号(オンライン版2010年4月30日号)掲載の報告。

脳卒中に対するrt-PA静注、発症後3時間が過ぎても開始すべきか?

脳卒中発症後4.5時間までに遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクチベーター(rt-PA)であるアルテプラーゼ(商品名:アクチバシン、グルトパ)静注投与を開始すれば臨床予後の改善が得られるが、それ以上治療開始が遅れるとリスクがベネフィットを上回ることが、イギリスGlasgow大学のKennedy R Lees氏らによるプール解析で示された。虚血性脳卒中発症後早期にrt-PAの静注投与を開始すれば予後の改善が得られるが、ベネフィットは時間の経過とともに低下することが報告されている。以前の個々の患者データの統合解析では、現在承認されている「発症後3時間以内」を超えても予後の改善効果が得られる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年5月15日号掲載の報告。

大腸内視鏡検査では、腺腫病変発見率が大切

大腸がんスクリーニングで内視鏡検査が広く行われているが、がんや腺腫様ポリープ(良性前悪性腫瘍または腺腫)の見落とし(低率だがわずかではない)に対する懸念は払拭されていない。ポーランド・Maria Sklodowska-Curie記念がんセンター・研究所のMichal F. Kaminski氏らは、有効なスクリーニングの鍵になると示唆されるが、妥当性について検証されていない腺腫病変の発見率と盲腸到達率について、評価を行った。結果、腺腫発見率が、大腸がんリスクの独立した予測因子であることが確認されたという。NEJM誌2010年5月13日号掲載より。

脳卒中後後遺症に対するリハビリは、人的リハビリが最も優れる

脳卒中後後遺症を有する患者には効果的なリハビリテーション療法が必要とされるが、近年開発が進む、ロボット工学を活用したリハビリ・アシスト装置の効果は? 本論は、上肢後遺症患者のために開発された「MIT-Manus robotic system」(Interactive Motion Technologies社製)の運動機能改善効果を、通常ケアや強化訓練療法との比較で検討したもので、米国プロヴィデンス退役軍人医療センターのAlbert C. Lo氏らが行った。NEJM誌2010年5月13日号(オンライン版2010年4月16日号)掲載より。

カナダの冠動脈性心疾患死亡率低下、医療の進歩とリスク因子の減少が要因

カナダでは1994年以降、冠動脈性心疾患による死亡率が低下傾向にあるが、その要因として、内科・外科治療の進歩と、総コレステロール値の低下などリスク因子の減少にあることが明らかになったという。カナダSunnybrook Health Sciences CentreのHarindra C. Wijeysundera氏らが、地域住民を対象に行った前向きコホート試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月12日号で発表した。

女性高齢者への年1回、高用量ビタミンD投与、転倒リスクを増大

70歳以上の女性高齢者に対し、高用量ビタミンDを年1回投与することで、転倒リスクが増大してしまうようだ。また投与後3ヵ月間の転倒リスクは、約30%も増加したという。オーストラリアMelbourne大学臨床・生化学研究所のKerrie M. Sanders氏らが、2,200人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月12日号で発表している。ビタミンD投与と転倒リスクについては、これまで発表された試験結果で議論が分かれていた。

心血管イベント抑制のための費用対効果に優れた戦略は?

心血管疾患予防のため、イギリス政府は40~74歳の全成人を対象としたスクリーニング戦略の実施を推奨している。その戦略と、ルーチンデータを用いて心血管リスクを層別化する(Framinghamリスクスコア、Cambridge diabetesリスクスコア、Finnish diabetesリスクスコアを用いる)戦略とでは、潜在するハイリスク患者を特定・治療することに、どれほどの違いがあるのかが検証された。ケンブリッジ・Addenbrooke's病院メタボリックサイエンス研究部MRC疫学部門のParinya Chamnan氏らによるモデルスタディによる。BMJ誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月23日号)掲載より。

救急外来の医師は小児の発熱を過小評価するも抗菌薬を処方

小児の救急外来受診で最も多い発熱について、5~10%で見逃されている重症細菌性感染症の診断を的確に行うための臨床モデルの開発が試みられた。オーストラリア・シドニー大学公衆衛生校のJonathan C Craig氏ら研究グループが、約16,000症例を前向きコホート研究により検討。BMJ誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月20日号)で発表している。

軟性S状結腸鏡の単回スクリーニング検査が、結腸・直腸がんの予防に高い効果

55~64歳の年齢層を対象に単回の軟性S状結腸鏡検査を行うと、結腸・直腸がんの発症および死亡が実質的に予防され、医療コストも抑制されることが、イギリスImperial College LondonのWendy S Atkin氏らが実施した無作為化試験で示された。結腸・直腸がんは世界で3番目に多いがんであり、毎年100万人以上が発症し、60万人以上が死亡しているという。2年毎の便潜血検査が早期発見や死亡率の抑制に有用なことが3つの無作為化対照比較試験で示されているが、結腸・直腸がんおよび腺腫の3分の2は軟性S状結腸鏡検査が可能な直腸およびS状結腸に発現するため、そのスクリーニング検査としての有用性に期待が寄せられている。Lancet誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月28日号)掲載の報告。

妊産婦死亡率の75%低減は2015年までに達成できそうか?

ミレニアム開発目標5(MDG 5、2015年までに妊産婦の死亡率を1990年の水準の4分の1に削減する。http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html)は、国によってばらつきはあるものの、その達成に向け大きく前進していることが、アメリカWashington大学のMargaret C Hogan氏らの調査で明らかとなった。妊産婦死亡は、「妊娠中、分娩時、出産後42日までの女性の死亡」と定義される。世界的に、妊産婦の死亡は医療制度上の主要課題であり、MDG 5に向けた医療資源の動員や、計画を立案しその進行状況を評価するには妊産婦死亡率およびその傾向に関する信頼性の高い情報が不可欠だという。Lancet誌2010年5月8日号(オンライン版2010年4月12日号)掲載の報告。

強化血圧コントロールの心血管イベント抑制効果:ACCORD

心血管イベントリスクの高い2型糖尿病患者に対する降圧療法の目標値を、135~140mmHg未満とする無作為化試験のエビデンスは、まだない。そこで正常収縮期血圧値(120mmHg未満)を目標とする強化血圧コントロール(強化降圧療法)を行ったが、イベント抑制効果は認められなかったことが、ACCORD試験から報告された。本論は、3月に行われた米国心臓病学会ACCで発表、NEJM誌2010年4月29日号(オンライン版2010年3月14日号)に掲載された。

心不全で入院の高齢者、退院後7日以内の再診で再入院リスクが低下

心不全で入院した高齢者に対し、退院後7日以内に外来再診を行うことで、再入院リスクが低下することが報告された。心不全患者の再入院は多いため、退院直後の外来による再診が重要であることは知られているが、その予防効果についての研究結果は再入院のデータが限られるなどしてほとんどわかっていなかった。本試験は、米国デューク大学のAdrian F. Hernandez氏らが、3万人超について行い明らかにしたもので、JAMA誌2010年5月5日号で発表した。

糖尿病性腎症への高用量ビタミンB投与、尿細管濾過率低下、血管イベントリスクも増加

高用量ビタミンBを投与した糖尿病性腎症患者群は、非投与群に比べ、3年後の尿細管濾過率の低下幅が増大、血管イベントリスクも増加することが明らかになった。カナダ・西オンタリオ大学腎臓病部門のAndrew A. House氏らが、200人超を対象に行った試験の結果報告したもので、JAMA誌2010年4月28日号で発表した。