ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:201

肺腺がんの分子標的薬選択に多重アッセイ法が有用か/JAMA

 腫瘍形成ドライバー(がん化と増殖に関わる遺伝子変異)をターゲットとする治療薬(分子標的薬)の開発は、肺腺がん患者の治療を変貌させたといわれる。米国・スローンケタリング記念がんセンターのMark G. Kris氏らLung Cancer Mutation Consortiumは、試験担当医が適切に標的治療薬を選択でき、患者を臨床試験に登録できるよう、肺がんの腫瘍形成ドライバーの10遺伝子について検査する多重アッセイを用いて検討した。その結果、検討した肺腺がん患者の64%でターゲットとなるドライバーが検出され、医師が治療法を選択するうえで多重アッセイ法が有用であることが示されたという。JAMA誌2014年5月21日号掲載の報告より。

手術の有効性評価試験でプラセボ群は設定すべきか/BMJ

 英国・オックスフォード大学のKarolina Wartolowska氏らはシステマティックレビューによる検討の結果、外科手術手技の有効性をプラセボ対照の試験で検討することは、効果的であり、実施可能であることを報告した。プラセボに関連した有害事象リスクはわずかであり、解析に組み込んだ53試験の約半分で、検討した手技の継続的使用を指示するエビデンスが提供されていたという。著者は、「プラセボ設定試験デザインを改善しなくても問題はない」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年5月21日号掲載の報告より。

成人喘息増悪予防、ICS/LABA戦略が有効かつ安全/BMJ

 喘息増悪の予防において、低用量吸入ステロイド薬+長時間作動型β2刺激薬(ICS/LABA)治療戦略が最も有効で安全であることが、オランダ・アムステルダム大学のRik J B Loymans氏によるネットワークメタ解析の結果、報告された。解析では若干の不均一性はみられたが、ICS/LABA維持療法+リリーバー、もしくは固定用量/日のICS/LABA療法の2つが同程度に有効かつ安全であることが示された。結果を踏まえて著者は、「低用量吸入ステロイド薬では不十分な場合、これら2つの戦略の選択が好ましく、ステップアップ治療の根拠となりうる」と述べている。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告。

メタボリックシンドロームに関与する遺伝子を特定/NEJM

 米国・イェール大学医学大学院のAli R. Keramati氏らは、メタボリックシンドロームの遺伝形質と関連する遺伝子を特定したことを発表した。これまでも遺伝子解析により、個別の心血管リスク因子に関して、原因となる突然変異遺伝子の特定には成功していた。しかし、メタボリックシンドロームのような心血管リスクの遺伝形質が集約した感受性遺伝子のマッピングは限定的なものであったという。NEJM誌2014年5月15日号掲載の報告。

HIV-1感染患者にイソニアジド予防投与は有効/Lancet

 抗レトロウイルス療法を受けているHIV-1感染患者へのイソニアジド(商品名:イスコチンほか)投与は、結核1次予防に有効であることが、南アフリカ共和国・ケープタウン大学のMolebogeng X Rangaka氏らが行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告された。結果を踏まえて著者は、「発生リスクの高い地域では、抗レトロウイルス療法を受けている患者全員に、イソニアジド接種を推奨すべきである」と提言している。Lancet誌オンライン版2014年5月14日号掲載の報告より。

アカンプロサートとナルトレキソンのアルコール依存症治療の減酒効果/JAMA

 外来でのアルコール依存症治療について、アカンプロサート(商品名:レグテクト)と経口ナルトレキソン(国内未承認)は、いずれも同等に再飲酒を防止する効果があることを、米国・ノースカロライナ大学のDaniel E. Jonas氏らが、システマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。アルコール依存症に対する薬物治療はあまり行われておらず、減酒薬治療を受けている人に限ってみれば10%未満であるという。研究グループは、大規模な報告例をレビューし、米国FDAおよびその他が承認する薬物療法の有効性、健康アウトカムの改善や有害事象について明らかにするため本検討を行った。JAMA誌2014年5月14日号の掲載報告。

潰瘍性大腸炎の新たな抗体製剤、臨床的寛解率達成/Lancet

 抗α4β7/αEβ7インテグリン抗体エトロリズマブ(etrolizumab)は、潰瘍性大腸炎の治療において良好な臨床的寛解率をもたらし、忍容性も優れることが、ベルギー・ルーベン大学のSeverine Vermeire氏らの検討で明らかとなった。潰瘍性大腸炎は腸管内の微生物抗原に対する異常な免疫応答で特徴づけられる慢性炎症性疾患である。α4β7インテグリンとそのリガンドであるMAdCAM-1の相互作用を阻害することで、免疫細胞の腸への移動が阻止され、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療法として有効であることが示されている。本薬は、α4β7およびαEβ7インテグリンのヘテロダイマーのβ7サブユニットに選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体である。Lancet誌オンライン版2014年5月9日号掲載の報告。

高齢心不全患者に対する植込み型除細動器、バイアスの影響で過少適用に/BMJ

 高齢心不全患者に対する植込み型除細動器(ICD)の臨床効果の評価では、ベースライン時に評価が行われない健康状態の因子が影響を及ぼし、その適用が過少となっている実情が、アメリカ・ハーバード大学医学部のSoko Setoguchi氏らの調査で示された。ICDの臨床試験では、併発疾患を有する高齢患者は、病態が過度に不良と評価される傾向にある。また、観察試験では、測定が行われない背景因子が比較効果(comparative effectiveness)の評価に影響を及ぼしており、薬剤疫学におけるhealthy user biasや、職業性疾患疫学におけるhealthy worker effectに類似のバイアス(healthy candidate bias)を考慮する必要があるという。BMJ誌オンライン版2014年5月8日号掲載の報告より。

中~高強度スタチンへのPCSK9阻害薬上乗せ効果を確認/JAMA

 米国・アイオワ大学のJennifer G. Robinson氏らによる第III相無作為化試験LAPLACE-2の結果、中~高強度のスタチン治療を受けている高コレステロール血症患者に対し、PCSK9阻害薬エボロクマブ上乗せ効果は、プラセボおよびエゼチミブ(商品名:ゼチーア)追加よりも、LDL-C値を有意に低下したことが報告された。JAMA誌2014年5月14日号掲載の報告より。

帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。

抗精神病薬、気分安定薬の暴力犯罪抑制効果は?/Lancet

 英国・オックスフォード大学のSeena Fazel氏らは、世界中で広く精神疾患患者に処方されている抗精神病薬および気分安定薬と、暴力犯罪リスクとの関連について、スウェーデンの状況について調べた。その結果、暴力犯罪の抑制に寄与している可能性が判明したという。精神疾患患者へのこれらの薬の処方に関し、疾患の再発予防や症状の軽減については明確な有効性のエビデンスが示されているが、暴力犯罪など有害アウトカムへの効果については明らかにされていなかった。結果を受けて著者は、「精神疾患患者の治療選択において、これらの薬の暴力や犯罪への効果について考慮がなされるべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年5月8日号掲載の報告より。

新規経口薬、移植後サイトメガロウイルス感染の予防効果を確認/NEJM

 同種造血細胞移植後レシピエントの疾患・死亡リスクの原因となっているサイトメガロウイルス(CMV)感染に対して、新規開発中のレテルモビル(AIC246)が有意に同感染発生を抑制したことが第II相試験の結果、示された。米国・MDアンダーソンがんセンターのRoy F. Chemaly氏らによる報告で、最高用量240mg/日で最大抗CMV活性が認められ、安全性プロファイルは忍容可能なものであったという。CMV感染に対する有効な治療法は確立しているが、臨床的に重大な毒性作用や薬剤耐性があることから、新たな治療オプションの開発が求められていた。NEJM誌2014年5月8日号掲載の報告。

胆道閉鎖症への術後ステロイド治療は有益か/JAMA

 新生児の胆道閉鎖症に対する肝門部腸吻合術(葛西法)後に、ステロイド治療を行っても胆汁ドレナージについて有意な改善は得られないことが明らかにされた。米国・シンシナティ小児病院のJorge A. Bezerra氏らが行った多施設共同二重盲検プラセボ対照試験「STRAT」の結果、6ヵ月時点でのドレナージ改善について、若干の臨床的ベネフィットはみられたが統計的な有意差は示されず、ステロイド治療と重大有害事象の早期発生との関連が明らかになったことが報告された。胆汁ドレナージ改善のための術後のステロイド治療が、臨床アウトカムを改善するかについては議論の的となっていた。JAMA誌2014年5月7日号の掲載報告。

HCV遺伝型2、3型感染患者へもソホスブビル+リバビリン/NEJM

 C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型2型または3型感染患者への治療として、ソホスブビル+リバビリン治療が、高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが示された。治療期間は、2型感染患者が12週間、3型感染患者は24週間だったという。ドイツのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学医療センターのStefan Zeuzem氏らがヨーロッパ77施設から419例を登録して行った多施設共同の第III相無作為化試験の結果、報告した。NEJM誌オンライン版2014年5月4日号掲載の報告より。

NSCLCに対する術前化学療法の生存ベネフィットをメタ解析で確認/Lancet

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前化学療法は、全生存率、無遠隔転移再発、無再発生存を有意に改善することが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのSarah Burdett氏らNSCLC Meta-analysis Collaborative Groupの検討で明らかとなった。NSCLCに対する最良の治療選択肢は手術とされるが、治癒切除が可能な腫瘍は20~25%にすぎない。術前化学療法は、腫瘍を縮小させて手術可能例を増やし、微小転移を消失させる可能性があるが、手術の時期を遅らせ、無効の場合は腫瘍が切除不能となるリスクがある。術後化学療法の全生存率改善効果はメタ解析で確証されているが、術前化学療法については十分なエビデンスは示されていなかった。Lancet誌2014年5月3日号(オンライン版2014年2月25日号)掲載の報告。

PCSK9阻害薬追加でLDLコレステロール値が改善/NEJM

 エボロクマブは前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン9(PCSK9)を阻害する完全ヒトモノクローナル抗体である。脂質異常症の治療において、食事療法やスタチン、エゼチミブによる薬物療法に本薬を加えると、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値が有意に低下することが、南アフリカ・ケープタウン大学のDirk J Blom氏らが行ったDESCARTES試験で示された。PCSK9は、主に肝臓で産生されるセリンプロテアーゼで、血中に分泌されて肝臓のLDL受容体に結合し、LDL受容体の分解を促進する。本薬の第II相試験でLDL-Cの改善効果が確認されている。NEJM誌2014年5月8日号(オンライン版2014年3月29日号)掲載の報告。

8年間で小児糖尿病が20~30%増加:米国/JAMA

 2001~2009年の間で、米国の0~19歳の青少年における1型および2型糖尿病患者の有病率が上昇していたことが、米国・コロラド大学公衆衛生大学院のDana Dabelea氏らによる調査の結果、判明した。著者は、「さらなる検討を行い、上昇した原因について明らかにする必要がある」と述べている。JAMA誌2014年5月7日号掲載の報告より。

未治療HCVへのABT-450+リトナビル+ダサブビル、第III相試験/NEJM

 未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝型1型感染患者への治療として、リバビリンを用いないABT-450+リトナビル(ABT-450/r)+ダサブビルの12週治療が、高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが示された。オーストリア・ウィーン大学医学部のPeter Ferenci氏らが2件の第III相無作為化試験の結果、報告した。また、ウイルス学的失敗の割合は、リバビリンを用いるよりも用いなかったほうが、HCV遺伝型1a型感染患者では高かったが、1b型感染患者では示されなかったという。NEJM誌オンライン版2014年5月4日号掲載の報告より。

心疾患への自家骨髄幹細胞治療、効果のバラツキはなぜ?/BMJ

 心機能を大幅に改善すると報告されている心疾患患者への自家骨髄幹細胞治療の試験報告について、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのAlexandra N Nowbar氏らは、試験間でみられる効果量のばらつきについて、なぜそのような状況が起きているのかを調べた。49試験について論文に事実と異なる矛盾点がないかを調べた結果、試験デザインや方法論、結果などにおいて多くの矛盾点が検出され、その数が多いほど治療効果が大きく示されるという有意な関連があることを報告した。著者は、「論文の不備を回避することは難しいが、その数と効果の大きさが関連していることから重大である」と述べている。また、矛盾点が検出されなかった5試験では効果がゼロであったと報告されていることから、判明していない同治療のメカニズムについて、今後の試験で調べることが必要だと指摘している。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。

53歳時の身体能力でも長生きできるかを識別可能/BMJ

 身体能力テストの結果がよい人は全死因死亡率が低いことが、地域の高齢者を対象とした試験においては一貫して示されている。英国・ロンドン大学のRachel Cooper氏らは、それより若い世代でも、同様の関連が認められるかを検討した。53歳時の身体能力を3つのテストで調べ、13年間追跡した結果、ベースライン時の身体能力が低かったり、テストを受けられなかった人では、死亡率がより高かったことを報告した。結果を踏まえて著者は、「この若い世代でも同様のテストで、健康長寿を達成できそうな人と、できそうもない人を特定できるようだ」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年4月29日号掲載の報告より。