医療一般|page:148

日本のリアルワールドデータから考える高リスクmHNPCの治療選択(J-ROCK)

 転移を有するホルモン療法未治療前立腺がん(mHNPC)に対しては、アンドロゲン除去療法(ADT)+アンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)やADT+ドセタキセル併用療法が登場し標準治療となっているが、日本の実臨床では従来のホルモン療法が依然として使われるケースも多い。高リスクmHNPCに対する日本での治療実態と臨床転帰を明らかにすることを目的に、多施設共同の前向き観察研究(J-ROCK試験)が実施され、3年時の第2回中間解析結果がEuropean Urology Oncology誌2024年6月号に報告された。本論文の筆頭著者である三宅 秀明氏(神戸大学大学院医学研究科腎泌尿器科学分野)に、今回の結果を踏まえたmHNPCの治療選択の考え方について話を聞いた。

小児・青年に対する抗精神病薬の生理学的影響の比較〜ネットワークメタ解析

 小児および青年における各抗精神病薬に対する生理学的反応の程度は、よくわかっていない。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaria Rogdaki氏らは、神経精神疾患および神経発達障害を伴う小児および青年における各種抗精神病薬の生理学的変数への影響を評価するため、ネットワークメタ解析を実施した。The Lancet. Child & Adolescent Health誌2024年7月号の報告。  2023年12月22日までに公表された神経精神疾患および神経発達障害を伴う18歳未満の小児または青年を対象に抗精神病薬とプラセボを比較したランダム化比較試験(RCT)をMedline、EMBASE、PsycINFO、Web of Science、Scopusより検索し、ネットワークメタ解析を実施した。主要アウトカムは、体重、BMI、空腹時血糖、総コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセライド、プロラクチン、心拍数、収縮期血圧(SBP)、補正QT時間(QTc)のベースラインから急性期治療終了までの平均変化とした。複数の用量で検討されたマルチグループ試験では、すべての用量について各生理学的変数のサマリ値を算出した。Kilimプロットを用いて、すべての治療とアウトカムの結果を要約し、p値を用いて、治療効果と統計学的エビデンスの強さに関する情報を評価した。異質性はτ、バイアスリスクはCochrane Collaborationバイアスリスク評価ツール、ネットワークメタ解析の信頼性はConfidence in Network Meta-Analysis(CINEMA)appで評価した。

オミクロン対応2価コロナワクチン、半年後の予防効果は?/感染症学会・化学療法学会

 第98回日本感染症学会学術講演会 第72回日本化学療法学会総会 合同学会が、6月27~29日に神戸国際会議場および神戸国際展示場にて開催された。本学会では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する最新知見も多数報告された。長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの研究チームは、2021年7月から国内での新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価することを目的としてVERSUS研究を開始しており、これまで断続的にその成果を報告している。

日本における頭痛障害、片頭痛の有病率調査の正確性は

 疫学データを収集するために実施されるアンケート調査は、誤分類を起こす可能性がある。大阪・富永病院の竹島 多賀夫氏らは、頭痛に関するアンケートを分析し、どの質問が片頭痛以外の分類につながっているかを評価した。BMC Neurology誌2024年5月25日号の報告。  19〜74歳の個人医療請求データと組み合わせた匿名調査をDeSCヘルスケアより入手し、一次性頭痛障害(片頭痛、緊張型頭痛、群発性頭痛、その他の頭痛障害)の患者割合を調査した。片頭痛を判定する6つの基準を用いて、その他の頭痛障害を有する人が、アンケートにどのように回答したかを調査した。

低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響〜メタ解析

 低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響を調査するため、イラン・Shahid Sadoughi University of Medical SciencesのSepideh Soltani氏らは、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Nutrition Reviews誌オンライン版2024年6月19日号の報告。  2023年6月7日までに公表されたRCTをPubMed、ISI Web of Science、Scopus、CENTRALデータベースより検索し、低脂肪食(脂肪摂取量がエネルギー摂取量の30%以下)がうつ病スコアに及ぼす影響を調査した試験を特定した。低脂肪食がうつ病リスクに及ぼす影響のプールされた効果(Hedges g)を推定するため、ランダム効果メタ解析を用いた。

食道がんの術前化学療法前のZn濃度、早期再発に影響

 国立がん研究センター中央病院の久保 祐人氏らは、術前化学療法を受ける食道がん患者において、術前の血清亜鉛(Zn)低値が食道がんの早期再発に悪影響を及ぼすことを明らかにし、術前にZnが欠乏している食道がん患者にはZn補給を行う必要があることを示唆した。Annals of Gastroenterological Surgery誌2024年7月号掲載の報告。

スパイロなしでも胸部X線画像で呼吸機能が予測可能!?

 スパイロメトリーなどを用いた呼吸機能検査は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の管理に不可欠な検査である。しかし、高齢者や小児などでは正確な評価が困難な場合がある。また、新型コロナウイルス感染症流行時には、感染リスクを考慮して実施が控えられるなど、実施が制限される場合もある。そこで、植田 大樹氏(大阪公立大学大学院医学研究科人工知能学 准教授)らの研究グループは、14万枚超の胸部X線画像をAIモデルの訓練・検証に使用して、胸部X線画像から呼吸機能を推定するAIモデルを開発した。その結果、本AIモデルによる呼吸機能の推定値は、実際の呼吸機能検査の測定値と非常に高い一致率を示した。本研究結果は、Lancet Digital Health誌オンライン版2024年7月8日号で報告された。

重要性を増すゲノム診療科、その将来ビジョン/日本動脈硬化学会

 2023年に議員立法として成立した“良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律”、通称「ゲノム医療推進法」。詳細についての議論はこれから進んでいく模様だが、循環器領域においては、2022年度の診療報酬改定により動脈硬化に関連する難病への遺伝学的検査の対象疾患が拡大され、4疾患(家族性高コレステロール血症、原発性高カイロミクロン血症、無βリポタンパク血症、家族性低βリポタンパク血症1[ホモ接合体])の遺伝学的検査を含む複数の脂質異常症疾患が保険適用された。

未治療の急性期統合失調症患者におけるビリルビン値と代謝パラメータとの関連

 酸化システムは、統合失調症発症に重要な影響を及ぼす。統合失調症患者のさまざまなエピソードにおいて、高ビリルビン血症と精神病理や糖脂質代謝との間に、一貫性のない関連が認められている。中国・安徽医科大学のYinghan Tian氏らは、急性期エピソードおよび薬物治療未治療の統合失調症患者を対象に、これらの関連性を調査した。BMC Psychiatry誌2024年5月29日号の報告。  安徽医科大学附属巣湖病院の電子カルテシステムより抽出した5年間(2017年5月〜2022年5月)のデータを用いて、レトロスペクティブ研究を実施した。地元の医療スクリーニングセンターより同期間の健康対象者データを抽出した。対象者のビリルビン濃度(総ビリルビン[TB]、抱合ビリルビン[CB]、非抱合ビリルビン[UCB])、糖脂質代謝パラメータ、簡易精神症状評価尺度(BPRS)スコアを収集した。

急性肝障害の発現率、194種類の薬剤で比較

 実臨床における重度の薬剤誘発性急性肝障害の発現率に関するデータは少ない。そこで、米国・ペンシルベニア大学のJessie Torgersen氏らの研究チームは、肝毒性が疑われる194種類の薬剤について、重度の急性肝障害の発現率を調査した。その結果、1万人年当たり10件以上の重度の急性肝障害が認められた薬剤は7種類であった。また、重度の急性肝障害の発現率が高い薬剤には、抗菌薬が多かった。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年6月24日号で報告された。  研究チームは、米国退役軍人のデータを用いて後ろ向きコホート研究を実施した。本研究には、2000年10月1日~2021年9月30日の期間のデータを用いた。対象は、肝臓疾患や胆道疾患の既往歴がない患者789万9,888例とした。外来で処方される薬剤のうち、過去に薬剤誘発性肝障害が報告されている194種類について、1万人年当たりの重度の急性肝障害の発現率を調査した。主要評価項目は、薬物治療開始後に発現した入院を要する重度の急性肝障害の発現率とした。

早期アルツハイマー病におけるレカネマブの安全性〜第III相試験

 アルツハイマー病(AD)は、世界における医療制度、患者、家族に多大な負担を強いる高齢化に伴う主要な健康問題である。早期ADに対しFDAが承認しているアミロイドベータ(Aβ)標的抗体であるレカネマブは、可溶性Aβ凝集体に高い親和性を示す薬剤である。一方、可溶性Aβ凝集体は、単量体や不溶性フィブリルよりも神経毒性が高いことが示唆されている。レカネマブは、複数の臨床試験において、忍容性が良好であると報告されているが、プラセボと比較し、アミロイド関連画像異常(ARIA)および注射部位反応の発生リスクが高いことが問題となる。米国・コロンビア大学のLawrence S. Honig氏らは、早期アルツハイマー病におけるレカネマブの安全性について、第III相試験であるClarity AD試験の結果を報告した。Alzheimer's Research & Therapy誌2024年5月10日号の報告。

新型コロナ、感染から完全回復までにかかる期間は?

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の回復期間の評価と、90日以内の回復に関連する要因を特定するため、米国・コロンビア大学Irving Medical CenterのElizabeth C. Oelsner氏らは、米国国立衛生研究所(NIH)に登録された14のコホートを用いて前向きコホート研究を実施した。その結果、感染から回復までにかかった期間の中央値は20日で、90日以内に回復しなかった人が推定22.5%いたことなどが判明した。JAMA Network Open誌2024年6月17日号に掲載。  この前向きコホート研究では、1971年よりNIHが参加者を登録し追跡してきた進行中の14のコホートにおいて、2020年4月1日~2023年2月28日にSARS-CoV-2感染を自己申告した18歳以上の4,708例(平均年齢61.3歳[SD 13.8]、女性62.7%)に対してアンケートを実施した。アンケートでは回復するまでの日数を聞き、90日以内に回復した群と、90日以上あるいは未回復である場合は、90日時点で未回復の群に分類した。回復までの期間と関連する潜在的要因は各コホートから事前に選択された。90日以内に回復しない確率および平均回復時間は、Kaplan-Meier曲線を用いて推定され、90日以内の回復と多変量調整後の関連性をCox比例ハザード回帰分析にて評価した。

抗精神病薬誘発性体重増加に対する薬理学的介入〜ネットワークメタ解析

 抗精神病薬誘発性体重増加は、第1世代および第2世代抗精神病薬による治療において重要な問題となるが、しばしば軽視されて、心血管疾患を引き起こす可能性につながる。インド・全インド医科大学のNaveen Chandrashekar Hegde氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加に対する利用可能な治療オプションの有効性を評価および比較するため、ネットワークメタ解析を実施した。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2024年6月11日号の報告。  MEDLINE/PubMed、Embase、Scopus、Cochraneデータベース、臨床試験レジストリより関連する臨床試験を抽出した。ベースラインからの体重変化に対する介入の全体的な効果をプールするため、ランダム効果ベイジアンネットワークメタ解析を実施した。ネットワークグラフ作成、一貫性モデルの実行、ノード分割分析の実施、SUCRAスコアに従った治療のランク付けを行った。治療期間、ベースライン時の体重、治療戦略を予測変数とし、メタ回帰を行った。エビデンスの確実性に基づき結果を分類した。

新たながん治療で高まる医療者全体の教育ニーズ ゾルベツキシマブで勉強会/WJOG

 新たながん治療の登場は新たな有害事象(AE)との遭遇とも言える。NPO法人西日本がん研究機構(WJOG)では、継続的に全医療者を対象とした学習機会を設けている。7月には2024年5月に承認されたゾルベツキシマブの講演会を実施する。WJOG教育広報委員会副委員長で恵佑会札幌病院腫瘍内科の川上賢太郎氏に聞いた。  川上氏は、「分子標的薬の登場で、消化器がん領域では従来の殺細胞性抗がん剤では経験のないAEを経験した」と言う。  2010年大腸がんのKRAS検査が保険適用となり抗EGFR抗体が臨床で使われるようになる。その際、皮膚障害などの新たなAEに遭遇する。

精神病性双極性うつ病の治療における課題

 精神病性双極性うつ病は、患者数が多いものの十分に研究されていない精神疾患の1つであり、その治療に関連する特定のガイドラインやFDAで承認されている薬剤がいまだない。最近の研究では、一部の抗精神病薬や気分安定薬が双極性うつ病のマネジメントに有効である可能性が示唆されているが、精神病性双極性うつ病に対する有効性は、不明なままである。米国・マサチューセッツ大学チャン・メディカルスクールのMaite A. Cintron Pastrana氏らは、精神病性双極性うつ病のマネジメントには、より集中的な研究が求められることから、関連する既存の文献をレビューした。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2024年7・8月号の報告。

もし過去に戻れたらどの診療科を選ぶ?後輩には勧める?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2024年3月19日に公表した「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果では、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)と比べて1.1%増加した。本調査では、前回調査時と比べて美容外科、アレルギー科、産科、形成外科などの診療科で医師数の増加がみられた。一方、気管食道外科、小児外科、外科、心療内科、耳鼻咽喉科などの診療科では医師数の減少がみられた(詳細は関連記事参照)。この結果には、ワークライフバランスや年収、やりがい、キャリアなどを含めた診療科への満足度が影響している可能性も考えられる。

日本のプライマリケアにおける不眠症の治療戦略の実態

 オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬などの新規睡眠薬の導入後、プライマリケア医による不眠症治療実態は、明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本のプライマリケア診療における不眠症の治療戦略を調査するため、Webベースのアンケート調査を実施した。BMC Primary Care誌2024年6月18日号の報告。  対象は、プライマリケア医117人。不眠症の各マネジメントオプションの精通度を2段階(精通していない:0、精通している:1)で評価し、不眠症のマネジメント法を9段階リッカート尺度(処方/実施したことがない:1、頻繁に処方/実施している:9)を用いて調査した。マネジメントオプションに精通していないと回答した医師は、処方/実施したことがないとみなした。

VEXAS症候群の症状は皮膚病変が83%

 VEXAS(Vacuoles, E1 enzyme, X-linked, Autoinflammatory, Somatic)症候群は、近年定義された後天性自己炎症性疾患で、主に50歳以上の男性に発症する。VEXAS症候群は、全身性の炎症症状、進行性骨髄不全症、炎症性皮膚症状がみられるのが特徴である。米国・ラトガース大学のIsabella J. Tan氏らは、観察コホート研究においてVEXAS症候群では皮膚症状が一般的かつ早期からみられる症状であることを明らかにした。そのうえで「皮膚血管炎、好中球性皮膚症、または軟骨炎を患う高齢の男性患者では、VEXAS症候群についての遺伝的評価を検討する必要がある。早期診断を促進するために、皮膚科医の間でVEXAS症候群の認識を高めることが重要である」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2024年6月12日号掲載の報告。

HER2+乳がん脳転移例へのT-DXd、PFSとOS(TUXEDO-1最終解析)

 活動性脳転移を有するHER2+乳がん患者に対するトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の効果を検討した第II相TUXEDO-1試験において、主要評価項目の頭蓋内奏効率は73.3%と高かったことが報告されている。今回、本試験における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の最終解析の結果をオーストリア・ウイーン医科大学のRupert Bartsch氏らが報告した。Neuro-Oncology誌オンライン版2024年6月4日号に掲載。  本試験は、2020年7月~2021年7月にトラスツズマブまたはペルツズマブの投与歴のあるHER2+乳がんで新たに診断または進行した活動性脳転移を有する15例(女性14例、男性1例)に対して、T-DXdを3週ごとに投与した。主要評価項目は頭蓋内奏効率、副次評価項目はPFS、OS、安全性、QOL、神経認知機能であった。

中高年の果物や野菜の摂取とうつ病発症リスク

 新たな観察研究の報告により、うつ病発症予防に果物や野菜の摂取が重要な役割を果たすことが示唆されている。しかし、高齢者や低中所得国(LMIC)に関する研究は不足している。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のAnnabel P. Matison氏らは、果物や野菜の摂取とうつ病リスクとの関連を明らかにするため、LMICを含むさまざまなコホート研究を分析し、その結果のメタ解析を実施した。Journal of Affective Disorders誌2024年8月15日号の報告。  対象は、LMICでの4件のコホートを含む10件のコホートより抽出した非うつ病成人地域住民7,801例(平均年齢:68.6±8.0歳、女性の割合:55.8%)。果物と野菜の摂取量は、包括的な食品摂取頻度質問票、食品質問票短縮版、食事歴などにより自己申告で収集した。抑うつ症状の評価およびうつ病の定義には、検証済みの尺度およびカットオフ値を用いた。ベースライン時における果物や野菜の摂取量とフローアップ期間中(3〜9年)のうつ病発症との関連性を評価するため、Cox回帰を用いた。分析は、コホートごとに実施し、結果をメタ解析した。