医療一般|page:147

女性は日常的な飲酒でHDLコレステロールが低下?

 大規模な保健医療データを用いて、40~64歳の日本人女性の習慣的な飲酒とHDLコレステロール(HDL-C)の関連を検討する研究が行われた。その結果、飲酒量が中等量以上の女性では、HDL-C値が10年間で有意に低下していることが明らかとなった。日本女子大学家政学部食物学科 臨床医学・代謝内科学研究室の関根愛莉氏らによる研究結果であり、「Cureus」に3月4日掲載された。  HDL-Cは善玉コレステロールと呼ばれ、HDL-Cが低いことはメタボリックシンドロームの診断基準の1つである。一方で、HDL-Cが極端に高いことは、心血管疾患による死亡に関連することも報告されている。適度な飲酒を行うことでHDL-Cが上昇することを示す研究もあるが、飲酒の影響は、性別や年齢、飲酒期間などにより異なる可能性がある。国内外の研究では、男性のみ、あるいは両性を合わせた研究がほとんどであり、女性の習慣的な飲酒とHDL-Cとの長期的な関連については不明な点が多い。

限局型小細胞肺がん、デュルバルマブ地固めでOS・PFS改善(ADRIATIC)/ASCO2024

 本邦では、StageI/IIA(UICC第8版)以外でPS0~2の限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)の治療は、プラチナ製剤を用いた同時化学放射線療法(cCRT)および初回治療で完全寛解が得られた患者への予防的頭蓋照射(PCI)が、標準治療となっている。新たな治療法として、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が有用である可能性が示された。国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の第1回中間解析において、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、米国・Sarah Cannon Research InstituteのDavid R. Spigel氏が本研究結果を報告した。

HER2+進行乳がん1次療法、エリブリン+HP vs.タキサン+HP(JBCRG-M06/EMERALD)/ASCO2024

 日本で実施された第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の結果、HER2陽性(+)の局所進行または転移を有する乳がんの1次療法として、トラスツズマブ+ペルツズマブ+エリブリン併用療法は、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサン併用療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が非劣性であったことを、神奈川県立がんセンターの山下 年成氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で発表した。  現在、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンは、HER2+の再発・転移乳がんに対する標準的な1次療法である。しかし、タキサン系抗がん剤による浮腫や脱毛、末梢神経障害などは患者QOLを低下させうるため、同等の有効性を有し、かつ副作用リスクが低い治療法の開発が求められていた。そこで山下氏らは、非タキサン系の微小管阻害薬エリブリンをトラスツズマブ+ペルツズマブと併用した場合の、トラスツズマブ+ペルツズマブ+タキサンに対する非劣性を評価するために本研究を実施した。

降圧薬による湿疹性皮膚炎リスクの上昇

 湿疹性皮膚炎(アトピー性皮膚炎)と診断される高齢者が増加しているが、多くの湿疹研究は小児および若年成人を対象としており、高齢者の湿疹の病態および治療法はよく知られていない。高齢者の湿疹の背景に薬物、とくに降圧薬が関与している可能性を示唆する研究結果が発表された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のMorgan Ye氏らによる本研究は、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年5月22日号に掲載された。  本研究は縦断コホート研究であり、英国The Health Improvement Networkに参加するプライマリケア診療所における60歳以上の患者データを対象とした。1994年1月1日~2015年1月1日のデータを対象とし、解析は2020年1月6日~2024年2月6日に行われた。主要アウトカムは湿疹性皮膚炎の新規診断で、最も一般的な5つの湿疹コードのうち1つの初診日によって判断した。

2024年度コロナワクチン、製造株はJN.1系統に決定/厚労省

 厚生労働省は5月29日に、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会を開催し、2024年度秋冬の新型コロナワクチンの定期接種で使用するワクチンの抗原構成について、JN.1系統を使用することを決定した。  秋冬の新型コロナワクチンの抗原構成をJN.1系統とする決定は、世界保健機関(WHO)の推奨の現状や、製薬企業によるワクチン開発の状況を踏まえて行われた。  WHOのTAG-CO-VAC(Technical Advisory Group on COVID-19 Vaccine Composition)が2024年4月発表した声明において、JN.1系統およびその下位系統へのより高い中和抗体の誘導を目指すことが推奨されている。

同世代・同診療科の医師の年収は?/医師1,000人アンケート

 ケアネットでは、2月20日(金)に会員医師1,004人(男性:875人、女性:129人)を対象に、「年収に関するアンケート」を実施した。その結果、80%の医師が昨年度の年収額は1,000万円以上と回答した。しかし、男女別にみると、男性では1,000万円以上が83%であったのに対し、女性は60%と男女差がみられた。  全体で最も多い年収帯は1,400~1,600万円であった(全体の14%)。年代別では、35歳以下は1,000~1,200万円(20%)、36~45歳は1,400~1,600万円(23%)が最も多かった。それ以降の世代では2,000~2,500万円が最も多く、46~55歳では16%、56~65歳および66歳以上はそれぞれ15%であった。

入院中に認知症が疑われる、または診断された高齢患者の特徴

 日本では、身体疾患による入院時に認知症の疑いまたは診断を受けた患者に対する加算制度が、2016年に開始された。藤田医科大学の芳野 弘氏らは、入院中に認知症の疑いまたは認知症と診断された高齢患者の臨床的特徴を調査した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2024年4月24日号の報告。  参加者569例の年齢、性別、併存疾患、入院の原因疾患、BMI、血液検査、入院前の環境、入院前の処方歴、せん妄の割合を調査した。高頻度の疾患については、それぞれのリスク因子を独立変数とし、単回帰分析を行い、その後、重回帰分析を実施した。

史上初の人工心臓植え込み手術+ブタ腎臓移植

 米国ニュージャージー州出身のLisa Pisanoさんは、人生の終わりを諦観していた。54歳の彼女は心不全と末期腎不全を患い、かつ、複数の慢性疾患があるため臓器移植の待機リストから外されていた。「リストに載らないことが分かった時には、自分に残された時間があまりないことを実感した」とPisanoさんは語っている。しかし彼女は、左室補助人工心臓(LVAD)の植え込みと遺伝子編集されたブタ腎臓の移植のおかげで、新たな命を手に入れた。  治療を担当した米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの外科医によると、このような大きく異なる二つの医療技術が1人の患者に対して用いられたのは、これが初めてのことであり、LVAD植え込み手術を受けた患者が、その後なんらかの臓器移植を受けた例は記録がないという。さらに、遺伝子編集されたブタ腎臓の移植成功例は、今年3月に米国で行われた症例に続き、今回が2例目とのことだ。NYU移植研究所のRobert Montgomery氏は、「Pisanoさんの命を救うことを可能にした科学的な進歩は驚異的であり、それを支えた人々の信念は計り知れないほどの大きさだ」と述べている。

高リスクEGFR陽性NSCLC、amivantamab+lazertinibの効果は?(MARIPOSA)/ASCO2024

 未治療のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬lazertinibの併用療法は、オシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告されている。EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において、TP53遺伝子変異、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出、ベースライン時の肝転移または脳転移を有する場合は予後が不良であることが知られている。そこで、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、これらの予後不良因子を有する患者の治療成績が検討された。その結果、amivantamabとlazertinibの併用療法は、これらの予後不良因子を有する患者集団においても、オシメルチニブ単剤と比較してPFSを改善することが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、スペイン・Vall d’Hebron University HospitalのEnriqueta Felip氏が本研究結果を報告した。

学校健診でのLDL-C測定、親の疾患発見にも寄与/日本動脈硬化学会

 家族性高コレステロール血症(FH)は、約300人に1人の頻度で存在する常染色体顕性(優性)遺伝性疾患である。出生時よりLDL-C高値を示し、心筋梗塞などの冠動脈疾患発症率は一般人より10倍以上高い。診断基準が明確化されているものの、診断率が低い疾患の一つある。香川県では、FHの小児を早期診断することで親のFHの診断につなげる取り組みに力を入れており、今回、南野 哲男氏(香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科学 教授)が「小児生活習慣病予防健診により家族性高コレステロール血症(FH)のこどもと大人を守る」と題し、香川県で行われている小児生活習慣病予防健診事業3)や小児FHスクリーニングの全国展開への期待について話をした(主催:日本動脈硬化学会)。

高GI/GL食が2型糖尿病発症と関連~20ヵ国12万人超の前向き試験

 低・中・高所得国を含む5大陸20ヵ国で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」の結果、グリセミック指数(GI)およびグリセミック負荷(GL)が高い食事の摂取が、2型糖尿病の発症リスクの増大と関連していたことを、カナダ・McMaster UniversityのVictoria Miller氏らが明らかにした。Lancet Diabetes & Endocrinology誌2024年5月号掲載の報告。  これまでの研究で、低GI/GL食が2型糖尿病患者のHbA1c低下をもたらしたことが報告されている。しかし、2型糖尿病の発症率との関連についてはいまだ議論の余地がある。そこで研究グループは、GIおよびGLと2型糖尿病発症との関連を評価するため、低・中・高所得国20ヵ国の成人を対象とするPURE研究のデータを分析した。解析には、35~70歳の12万7,594人が含まれ、追跡期間中央値は11.8年(IQR 9.0~13.0)であった。

うつ病リスクと関連する飲料は?~5年間コホート研究

 飲料摂取がうつ病に及ぼす影響について、アジア人ではエビデンスが限られている。具体的には、野菜や果物をそのまま摂取することはうつ病の予防につながると報告されているが、野菜や果物をジュースにした場合の情報はほとんどない。さらに、加糖コーヒーとブラックコーヒーの影響の差異を比較した研究も十分ではない。国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らは、一般集団における加糖飲料、炭酸飲料、野菜・フルーツジュース、加糖コーヒー・ブラックコーヒー、緑茶の摂取とその後のうつ病との関連を調査した。Clinical Nutrition誌オンライン版2024年4月17日号の報告。  2011~16年に、ベースラインでがん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、うつ病の既往歴がない9万4,873例を対象に、5年間のフォローアップ調査を実施した。うつ病のリスク差(RD)の算出には、ポアソン回帰モデルおよびg-formulaを用いた。多重感度分析も実施した。欠損データの処理には、ランダムフォレストを用いた。相互作用による相対過剰リスクとリスク比を分析することで、性別、年齢、BMIに基づく効果の不均一性を調査した。

うつ病に対するアリピプラゾール補助療法の有用性~bupropionとの比較

 治療抵抗性うつ病またはうつ病患者におけるアリピプラゾールまたはbupropionの補助療法および切り替えの有効性および安全性を評価するため、中国・山東中医薬大学のMengjia Ji氏らは、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびメタ解析を初めて実施した。PLOS ONE誌2024年4月26日号の報告。  2023年4月までに公表された治療抵抗性うつ病、またはうつ病患者に対するアリピプラゾールまたはbupropionの補助療法、および切り替えの有効性および安全性を評価したRCTをPubMed、Embase、Web of Science、Cochraneよりシステマティックに検索した。アウトカムは、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、治療反応率、寛解率、重篤な有害事象の変化とした。

身体活動の指標、時間ではなく歩数でもOK?

 米国における身体活動のガイドラインでは、健康のために中~高強度の身体活動を週150分以上行うことを推奨しているが、歩数に基づく推奨はエビデンスが十分ではないため発表されていない。今回、米国・Brigham and Women's Hospital/Harvard Medical Schoolの浜谷 陸太氏らによる米国の62歳以上の女性を対象としたコホート研究において、中~高強度身体活動時間および歩数と全死亡率および心血管疾患(CVD)の関連が質的に同様であることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン晩2024年5月20日号に掲載。

働き盛りに発症が多いIBDには社会の理解が必要/ヤンセン

 ヤンセンファーマは、5月19日の「世界IBD(炎症性腸疾患)デー」に合わせIBD患者の就労上の課題、その解決に向けた取り組みの啓発にメディアセミナーを開催した。  IBDは小腸や大腸の粘膜に慢性炎症や潰瘍を引き起こす国の指定難病で、現在国内には患者が約29万人いると推定される。発症年齢のピークは男女ともに10代後半~30代前半で、治療と仕事の両立が患者にとっては課題となる。  メディアセミナーでは、専門医による治療と仕事の両立での課題、患者視点による就労上の問題や患者アンケ―トの結果、ヤンセンファーマが推進する「IBDはたらくプロジェクト」で行なったIBD患者の就労に関する調査結果などが講演された。

島根県の呼吸器診療の未来を支えるクラウドファンディングを開始/島根大学

 島根大学医学部 呼吸器内科が中心となり「島根県の呼吸器診療の未来を支えるクラウドファンディング」を開始した。  島根は全国的にも高齢化が進んでいる県であり、令和4年の高齢化率は34.7%で全国第7位である。高齢者は免疫機能が低下していることもあり、感染症やがんなど呼吸器疾患の発症率も高い。それに対して、島根では全県的に呼吸器専門医が不足しており、地域によっては専門医がいないという深刻な状況だ。このまま地域の呼吸器専門医が不在の状態が続くと呼吸器診療体制が形成できず、早期診断、疾患予防の輪が広がらないとされる。

タンパク質摂取量とアルツハイマー病との関連

 医療技術の進歩に伴い、疾患の構造は、急性疾患からアルツハイマー病(AD)などの慢性疾患に移行しつつある。その結果、疾患の発症だけでなく、健康寿命への潜在的な影響についての評価の必要性が高まっている。味の素株式会社のKazuki Fujiwara氏らは、ADの障害調整生存年(AD-DALY)率とタンパク質摂取量との関連を、性別および年齢グループごとに評価した。Nutrients誌2024年4月19日号の報告。  1990〜2019年の世界の疾病負担研究および日本の国民健康・栄養調査の公開データより抽出した、60代および70代以上の男女の代表値を分析に使用した。AD-DALY率とタンパク質摂取量との関連性を評価するため、相関分析を行い、重回帰モデルを層別化した。さらに、層別重回帰モデルを用いて、タンパク質摂取量の変化に伴うAD-DALY率の変化をシミュレートした。

日本人結節性痒疹、ステロイド外用薬使用下のネモリズマブの有用性は?

 日本人の結節性痒疹患者におけるネモリズマブの長期投与の最適用量、有効性、安全性を評価した国内第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果が報告された。本試験では、試験開始前のステロイド外用薬の継続下においてネモリズマブ30mg、60mgの有用性をプラセボと比較した。その結果、ネモリズマブ群で結節性痒疹のそう痒や皮膚症状の改善が認められた。東京医科歯科大学皮膚科の横関 博雄氏らNemolizumab-JP11 Study GroupがBritish Journal of Dermatology誌オンライン版2024年4月17日号で報告した。

単剤療法を開始する統合失調症患者のケアパターンと経口抗精神病薬切り替えコスト

 統合失調症において抗精神病薬は主要な治療法であるが、治療目標の達成や副作用を最小限にするため、疾患経過に伴って薬剤を変更する必要がある。実臨床における治療パターンや、切り替えを含む抗精神病薬の変更に関連する経済的な影響について、評価した研究は限られている。米国・OptumのRebecca Fee氏らは、経口抗精神病薬(OAM)の単剤療法を開始した統合失調症患者の治療パターンを調査し、抗精神病薬の切り替えに関連する医療資源利用およびコストを評価した。Journal of Managed Care & Specialty Pharmacy誌オンライン版2024年4月9日号の報告。

日本人脳卒中患者では低体重ほど転帰不良/国立循環器病研究センター

 ボディマス指数(BMI)の高い人は、そうでない人に比べ、生活習慣病や心血管病の発症リスクが高い一方で、心血管病発症後の機能回復はむしろ良好であることが報告されている。脳卒中でも、肥満は発症リスク因子となるが、脳卒中発症後の転帰に関する研究結果は一貫していないことから、国立循環器病研究センターの三輪 佳織氏らの研究グループは、BMIが脳卒中後の転帰に影響があるか検証を行った。その結果、BMIが脳卒中病型ごとの転帰に影響を及ぼすことが判明し、とくにBMIが低い人では不良となることがわかった。この研究結果はInternational Journal of Stroke誌オンライン版2024年4月23日号に掲載された。