いま一度ガイドラインの功罪を考える(解説:野間 重孝 氏)-521
エピネフリンは、強烈かつ即効的なα・β刺激作用により、強力な陽性変時作用、陽性変力作用に加え血管収縮作用を有する薬剤であり、何十年にもわたって心肺蘇生になくてはならない薬剤として使用されてきた。米国心臓協会が、初めて心肺蘇生についてのガイドラインを発表したときも(1974年)、本剤は当然のようにそのラインナップに加わっていた。しかし、一方でその使用根拠、使用法については議論が分かれるところであり、最新のAHAガイドラインにおいては、ショックに陥っていない不整脈患者においては3~5分おきに、ショックリズム(つまりVT、vf)患者に対しては2回目の除細動後3~5分後から使用を開始すべきだとしている。その表現も“it is reasonable to consider”という、遠回しというか歯切れの悪い表現でなされている。