アマチュアボクシングは慢性外傷性脳損傷のリスクを増大させるか

提供元:ケアネット

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公開日:2007/11/02

 

アマチュアボクシングは、イギリスでは男女を問わず人気の高いスポーツで、特に大学生の参加人口が増加している。一方、その安全性については相反する主張があり、アマチュアボクシングと慢性外傷性脳損傷の関連性は明確でない。
 Northwick Park病院オリンピック医学研究所(イギリス、Harrow)のMike Loosemore氏らは、アマチュアボクシングにおける慢性外傷性脳損傷のリスクを評価する目的で系統的レビューを行った。BMJ誌10月4日付オンライン版、10月20日付本誌掲載の報告。

1950年以降に報告された観察研究から抽出




Loosemore氏らは、慢性外傷性脳損傷の観察研究について系統的なレビューを実施した。慢性外傷性脳損傷の定義は、神経学的臨床検査、精神測定検査、神経画像検査、脳波検査における異常とした。

1950年以降に報告された研究を言語を問わずに検索した。2名の研究者が、観察研究の系統的レビュー用に広く推奨されている方法(MOOSE)に基づいて開発されたプロトコールに準拠し、試験の特徴、質、データを抽出した。

慢性外傷性脳損傷の発症を認めた試験は24%のみ




詳細な評価の結果、36試験が抽出された。エビデンスの質(プロスペクティブ、交絡因子が同等な群、二重盲検、十分な観察期間、曝露-反応測定、適正な統計処理)は全般に低く、最も質の高い試験はコホート研究および精神測定検査を用いた研究であった。

少人数ながらもボクサーが慢性外傷性脳損傷を発症していたのは、比較的質の高い17試験のうち4試験(24%)のみであった。

エビデンスの質は低いものの、強い関連性は認められない




Loosemore氏は、「解析の対象となった試験は仮説を支持あるいは反証するエビデンスの質が低かったものの、アマチュアボクシングと慢性外傷性脳損傷の強い関連性を示唆するエビデンスは認めなかった」と結論している。

また、同氏は「本レビューはアマチュアボクシングを肯定も否定もしない。アマチュアボクシングが安全であることを証明するためにボクシングをする者がいるし、その有害性を証明しようとする者もいるのであり、おそらくこれは個人の哲学の問題だ」と考察している。

(菅野 守:医学ライター)