仕事の負担は繰り返す冠動脈心疾患のリスク増加と関連する

仕事の負担によって冠動脈心疾患(CHD)イベントのリスクが増すことは明らかとなっているが、初回心筋梗塞(MI)後の繰り返すCHDイベントの危険度と仕事の負担との関連については不明のままである。
そこで仕事の負担がCHDイベントの危険度を増すかどうか、前向きコホート研究がカナダ・ケベック州にあるUniversite LavalのCorine Aboa-Eboule氏らによって行われた。JAMA誌10月10日号掲載の報告より。
仕事の負担度を4区分設定し調査
対象は、1996年2月10日~2005年6月22日の間に、初回MIを発症後職場復帰を果たした35~59歳までの男女972例。職場復帰までの期間は平均6週間。
調査は面談形式で、復帰後2年後時点と6年後時点の仕事の負担について聞き取りが行われた。
仕事の負担は、「負担が大きい(high strain)」:要求が高度で自由裁量の幅もない、「積極的であることが求められる(active)」:要求は高度だが自由裁量の幅がある、「受動的である(passive)要求は低度だが自由裁量の幅がない)、「負担は小さい(low strain)」:要求が低度で自由裁量の幅がある、の4区分が設定された。
仕事の負担が慢性的なものかどうかは、2回のインタビューに基づき、1回のインタビューで高負担に曝されていると判定できたものと、2回のインタビューで高負担に曝されていると判定できたものとに分けられた。
生存率分析は、2.2年以前と2.2年以降の2区分に分け行われた。
職場復帰後2.2年以降でハザード比2.20
主要アウトカム指標とされたのは、致命的なCHD、非致死性のMI、不安定狭心症の複合で、結果として206例の患者で実証され、慢性的な仕事の負担は2.2年以降の区分で、繰り返すCHDと関連していることが明らかとなった(ハザード比2.20、95%信頼区間:1.32-3.66)。
慢性的な仕事の負担に曝されている患者のCHDイベント発生率は6.18/100人年、曝されていない患者は2.81/100人年だった。
多変量モデル解析後も、また結果を混乱させている可能性のある26のCHDリスク因子について補正後も、ハザード比は2.00(95%信頼区間:1.08-3.72)で、「慢性的な仕事の負担」は繰り返すCHDイベントの独立予測因子であることが示された。
この結果を踏まえEboule氏らは、「初回MI後の慢性的な仕事の負担は、繰り返すCHDのリスク増加と関連していた」と結論づけている。
(武藤まき:医療ライター)
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