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HFrEF患者へのRAS阻害薬、人種間の効果差は?/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2024/06/12

 

 レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は、左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者の管理において重要であるが、黒人患者に対する効果が低いとの懸念がある。中国・杭州師範大学のLi Shen氏らは、RAS阻害薬の死亡抑制効果は黒人と非黒人で同程度であり、心不全による入院の、RAS阻害薬による相対リスクの減少効果は黒人患者で小さいものの、黒人患者は心不全による入院の発生率が高いため、絶対的な有益性は非黒人患者と変わらないことを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年5月29日号で報告された。

RAS阻害薬の効果を黒人と非黒人で比較した無作為化試験のメタ解析

 研究グループは、HFrEF患者におけるRAS阻害薬の心血管アウトカムに及ぼす効果を黒人患者と非黒人患者で比較する目的で、系統的レビューとメタ解析を行った(英国心臓財団[BHF]などの助成を受けた)。

 2023年12月31日の時点で、MEDLINEおよびEmbaseのデータベースに登録された文献を検索した。対象は、HFrEFの成人患者における心血管アウトカムに及ぼすRAS阻害薬の効果を、黒人と非黒人の患者で比較した無作為化試験であった。

 「系統的レビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目の独立の個人データ(PRISMA-IPD)」のガイドラインに準拠して個々の参加者のデータを抽出した。有効性の推定には1段階アプローチによる混合効果モデルを用いた。

 主要アウトカムは、心不全による初回入院または心血管死の複合とした。

心血管死、全死因死亡のHRに有意差はない

 主解析は、プラセボを対照としたRAS阻害薬単剤の3件の無作為化試験について行った。参加者は8,825例で、このうち黒人は873例(9.9%)(平均年齢57.0[SD 11.0]歳、男性72.3%)、非黒人は7,952例(90.1%)(61.4[10.7]歳、82.6%)であった。非黒人の85.2%が白人、1.7%がアジア系であった。追跡期間中央値は34ヵ月だった。死亡および心不全による入院の割合は、いずれも非黒人患者に比べ黒人患者で大幅に高かった。

 主要複合アウトカムの発生のプラセボ群に対するRAS阻害薬単剤群のハザード比(HR)は、黒人患者で0.84(95%信頼区間[CI]:0.69~1.03)、非黒人患者で0.73(0.67~0.79)であり、有意差を認めなかった(交互作用のp=0.14)。

 心不全による初回入院の、プラセボ群に対するRAS阻害薬単剤群のHRは、非黒人患者が0.62(95%CI:0.56~0.69)であったのに対し、黒人患者では0.89(0.70~1.13)と相対リスクの減少効果が低かった(交互作用のp=0.006)。

 一方、心血管死のHRは、黒人患者で0.83(95%CI:0.65~1.07)、非黒人患者で0.84(0.77~0.93)と、有意差はなかった(交互作用のp=0.99)。また、全死因死亡のHRは、それぞれ0.85(0.67~1.07)および0.87(0.80~0.96)だった(交互作用のp=0.89)。

 心不全による入院と心血管死の全体の率比は、黒人患者で0.82(95%CI:0.66~1.02)、非黒人患者で0.72(0.66~0.80)であった(交互作用のp=0.27)。

2剤のRAS阻害薬の試験を加えても同様の結果

 基礎治療薬としてACE阻害薬を用い、これにARBを併用した2剤のRAS阻害薬の無作為化試験2件を加えた5つの試験(1万6,383例、黒人患者1,344例[8.2%]、非黒人患者1万5,039例[91.8%])の解析でも、同様の結果が得られた。

 著者は、「これらの知見は、黒人患者に対する心不全治療の最適化に寄与する可能性がある」「本研究の限界として、黒人患者の症例数が少ない点が挙げられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)