急性期重症患者、経腸栄養の至適目標量は?/NEJM

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2015/06/08

 

 急性期重症患者の経腸栄養療法について、非タンパクカロリー量を制限する低栄養許容(permissive underfeeding)の補給戦略は、標準量の補給法と比較して90日死亡率の低下について有意な差はなかったことが示された。サウジアラビア・King Saud Bin Abdulaziz大学のYaseen M. Arabi氏らが、同国およびカナダの7施設のICU入室患者894例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。急性期重症患者の至適目標栄養量については明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2015年5月20日号掲載の報告より。

894例を対象に無作為化試験
 検討は2009年11月~2014年9月に、内科的、外科的および外傷により入院した急性期重症の成人894例を対象に行われた。

 被験者を、低栄養許容群(必要カロリー量の40~60%)または標準経腸栄養群(同70~100%)に無作為に割り付けて14日間治療を行った。両群ともタンパク質の摂取は同量とした。

 主要アウトカムは、90日時点の死亡率であった。

90日死亡率、低栄養許容群と標準経腸栄養群で有意差なし
 ベースラインの両群患者の特性は類似していた。被験者の96.8%が機械的人工換気法を受けていた。

 介入期間中、低栄養許容群のほうが標準経腸栄養群と比べて、補給を受けた平均(±SD)カロリーが有意に低かった(835±297 kcal/日vs. 1,299±467 kcal/日、p<0.001、必要カロリー量の46±14% vs. 71±22%、p<0.001)。両群のタンパク質の摂取量は同等であった(57±24 g/日vs. 59±25 g/日、p=0.29)。

 結果、90日死亡率は同程度であった。低栄養許容群は121/445例(27.2%)、標準経腸栄養群は127/440(28.9%)であった(低栄養許容群の相対リスク:0.94、95%信頼区間[CI]:0.76~1.16、p=0.58)。

 重篤な有害事象は報告されなかった。栄養補給の忍容性や、下痢症状、感染症の発生に関して、ICU入室中や入院中において両群で有意な差はなかった。