出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ

出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。
反復投与群と単回投与群を比較
追跡調査は、コルチコステロイドの初期コース受療後7日目の時点で妊娠が継続していた妊娠23~31週の女性を、反復投与群(ベタメタゾン週1回12mg筋注、24時間後に再投与)と単回投与群(プラセボ投与)に無作為に割り付け、それぞれに生まれた修正年齢2-3歳時の小児が対象とされた。評価は、ベイリー乳幼児発達検査(Bayley Scales of Infant Development:BSID)スコア、身体測定値、脳性麻痺の有無で行われた。
脳性麻痺の発症率が反復投与群で高かった
追跡調査が行われたのは556例。そのうち486例(87.4%)が身体測定を受け、465例(83.6%)がベイリー検査を受けた。平均修正年齢(±SD)は29.3±4.6ヵ月だった。身体測定およびベイリー検査の結果に関しては両群に有意差は見られなかった。
脳性麻痺に関しては、反復投与群では6例(妊娠全体の2.9%)に認められたのに対し、単回投与群は1例(同0.5%)で、相対リスクは5.7という結果だった(95%信頼区間:0.7-46.7、P=0.12)。
長期予後として神経認知機能や身体の発達度に有意差は認められなかったが、脳性麻痺の発症率が統計学的に有意差は認められなかったとはいえ反復投与群で高かったことを受け、研究グループは「懸念すべきことであり、さらなる研究が必要だ」と結んでいる。
(武藤まき:医療ライター)
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