航空機騒音、10dB増で心血管疾患入院リスク3.5%増加/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/01

 

 航空機騒音が大きいほど心血管疾患による入院リスクは高くなるようだ。騒音が10dB増すごとに、同リスクは3.5%増加することが示された。米国・NMR GroupのAndrew W. Correia氏らが、米国内89ヵ所の空港付近に住む、約600万人の高齢者について行った後ろ向き調査の結果、報告した。先行研究において、航空機騒音が高血圧アウトカムに関連があることは知られていたが、心血管疾患との関連についての研究報告はほとんどなかった。BMJ誌オンライン版2013年10月8日号掲載の報告より。

空港周辺に住む高齢者のメディケアデータを基に分析
 研究グループは、米国内89ヵ所の空港周辺に住む65歳以上高齢者602万7,363人について、2009年のメディケア支払いデータを基に後ろ向き調査を行った。

 航空機による騒音の大きさと、心血管疾患による入院率との関連について、年齢や性別、人種、社会経済的状態などで補正を行い分析した。

 対象者数は、米国高齢者全体のおよそ15%だった。

航空機騒音は、道路騒音・大気汚染とは独立して関連
 その結果、航空機騒音が10dB増大することにより、心血管疾患による入院率は3.5%増加(95%信頼区間[CI]:0.2~7.0)することが明らかになった。この関連は、道路騒音や道路付近の大気汚染とは独立していた。また、米国のメディケア加入者全体における心血管疾患による入院の2.3%が、航空機騒音に起因するものだと考えられた。

 また、航空機騒音の大きさを50dB以下(被験者の47%)、50~55dB(同30%)、55dB超(同23%)に分け、心血管疾患による入院率との関連を調べたところ、55dB超 vs.50dB以下、55dB超 vs.50~55dBでは航空機騒音による同リスクの増大が認められた。一方、50dB以下 vs.50~55dBでは同関連が認められなかった。この点から、55dBが同関連の閾値である可能性も示唆された。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)