コクラン・レビューの著者、未公開データ入手を試みた人の半分強で有用データ入手/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/09

 

 コクラン・レビューの著者で、未公開データを入手する努力をした人の多くが、主に治験責任者から、有用データを入手できたことが判明した。デンマーク・ノルディックコクランセンターのJeppe Bennekou Schroll氏らが、コクラン・レビューの著者6,000人弱を対象に行った横断研究の結果、報告した。一方で、今回の調査の回答率が37%と低かったことを挙げ、著者は「回答をしなかった著者は、未公開データの入手努力をしなかった可能性が高い」と指摘している。また、製薬企業や規制当局から新たに入手できた未公開データはわずかであったという。BMJ誌オンライン版2013年4月23日号掲載より。

著者5,915人中、回答したのは2,184人のみ
 これまでの研究から、公開されている試験データは未公開データに比べ、結果がネガティブである傾向が強く、そのため公開データのみに基づくレビューは、その結果にバイアスを含む可能性があることがわかっていた。

 研究グループは、コクラン・レビューの著者5,915人に対し、レビューの作成に当たっての未公開研究データの入手に関する質問を行った。2012年5月までに回答のあった2,184人(36.9%)について、データの入手元などの内容を分析した。

回答者の76%が未公開データの入手を試み55%が実際に入手
 結果、回答者の75.8%に当たる1,656人が、未公開データを入手する努力をしていた。そのうちの55.1%に当たる913人が、実際に未公開データを入手することができていた。そのうち794人の入手元について、詳細が明らかになった。データの入手元として最も多かったのは治験責任者だった(587件・73.9%)。

 また、入手した未公開データ794件について尋ねた所、82.0%(651件)がレビューに用いられていた。また、半数以上の53.4%(424件)は、著者等に連絡をしてから1ヵ月以内に提供されたという。

 そのようにして入手した未公開データ794件は、50.8%(403件)がサマリーデータで、20.5%(163件)が個々の患者についてのデータだった。

 製薬企業から得られた未公開データは6.3%で、その入手にはより多くの時間と連絡を要したという。また規制当局からの同入手は3.0%だった。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)