DESへのCOX2阻害薬追加で再狭窄抑制

服用による心筋梗塞リスク増加が懸念されている選択的COX2阻害薬だが、その1つcelecoxibは、薬剤溶出ステント(DES)留置前からの服用開始により6ヵ月間の経皮的冠血行再建術(PCI)再施行を減少させる可能性が示唆された。Lancet誌8月18日号にNational University of Seoul(韓国)のBon-Kwon Koo氏らが無作為化オープン試験の結果として報告した。抗血小板薬中止後の超遠隔期血栓がDESの最大問題となっている現在、この研究の臨床的価値はどのようなものだろうか──。
追跡は6ヵ月間
対象となったのは狭心症、あるいは負荷試験による虚血所見が陽性で、かつ責任病変にインターベンション歴のない274例。このうち136例を celecoxib群、138例を対照群に無作為化した後盲検化せずにパクリタキセル溶出ステントを留置し、アスピリンとクロピドグレル服用の上、6ヵ月間追跡した。追跡終了時のスタチン、β遮断薬、レニン・アンジオテンシン(RA)系阻害薬の服用率は両群で同等だった。
再狭窄は有意に抑制され、PCI再施行も減少
第一評価項目は「冠動脈造影(CAG)で評価した血管ステント留置部内腔径の変化」である。試験終了時にCAGを施行できたのはcelecoxib群、対照群とも112例だった。
その結果、celecoxib群では対照群に比べ、ステント留置部の血管内腔径減少が0.26mm有意に(p<0.0001)少なかった。またステント内再狭窄(狭窄率≧50%)の発生率もcelecoxib群で有意に低かった(11% vs 24%、p=0.007)。
また臨床イベントもcelecoxib群では、PCI再施行が有意に減少していた(5% vs 15%、p=0.008)。非致死的心筋梗塞や冠動脈死はそれぞれ1例ずつで、両群間に有意差はなかった。
「DESにcelecoxibを併用すれば虚血性心イベントのリスクを増加させることなく、再狭窄を抑制できる」と筆者らは結論している。
(宇津貴史:医学レポーター)
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