天疱瘡患者にリツキシマブ1サイクル投与は有効

リツキシマブと免疫グロブリン静注併用の複数サイクル投与は、重症天疱瘡患者に効果的だと報じられている。フランス・ルーアン大学病院のPascal Joly氏らは、1サイクル投与の有効性について評価を行った。NEJM誌8月9日号の報告から。
週1回リツキシマブ375mg/m2体表面積注入を4週投与
本研究は天疱瘡患者計21例(男性14例、女性7例)を対照に行われた。患者はプレドニゾン1.5mg/kg/日を8週にわたって投与しても反応しなかった者(ステロイド抵抗例)、20mg/日超のプレドニゾン投与にもかかわらず2回以上再発した者(ステロイド依存例)およびステロイド絶対禁忌の者から構成される。
これら21例の患者に、週1回リツキシマブ375mg/m2体表面積を、4週にわたって注入された。主要エンドポイントは、リツキシマブ投与終了後3ヵ月時点での完全寛解。完全寛解の定義は「すべての皮膚および粘膜病変の上皮化」とされた。
重症度が最も高い病型のみで用いるべき
投与終了後3ヵ月時点で完全寛解が認められたのは18/21例(86%、95%信頼区間64-97%)。また9例で、平均18.9±7.9ヵ月後に再発が認められた。34ヵ月(中央値)の追跡調査後、疾患が認められなかったのは18/21例(86%)。このうち8例はステロイド投与を受けていなかった。
プレドニゾンの平均投与量は、ステロイド抵抗例の患者で94.0±mg/日から12.0±7.5mg/日に減量し(P=0.04)、ステロイド依存例の患者では29.1±12.4mg/日から10.9±16.5mg/日に減量した(P=0.007)。
なお、リツキシマブ投与12ヵ月後に腎盂腎炎を発症した患者が1例、18ヵ月後に敗血症で死亡した患者が1例あった。いずれの患者も血中Bリンパ球が著しく減少していた。血清IgG値は正常だった。
これらの結果から、Joly氏らは「天疱瘡治療としてリツキシマブ1サイクル投与は有効である。ただし重篤な有害事象の可能性があり、重症度が最も高い病型のみで用いるべき」と結論付けた。
(朝田哲明:医療ライター)
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