中等度~重度アルツハイマー病に対するドネペジルvs.メマンチンvs.両者併用vs.治療中止

提供元:ケアネット

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公開日:2012/03/21

 

 軽度~中等度アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬のベネフィットは臨床試験により示されているが、中等度~重度に進行後もベネフィットが持続するかは明らかとなっていない。英国・ロンドン大学のRobert Howard氏らは、3ヵ月以上ドネペジル(商品名:アリセプトほか)を服用していた中等度~重度の居宅アルツハイマー病患者を対象に、同薬を中止した場合、継続した場合、NMDA受容体拮抗薬メマンチン(商品名:メマリー)に切り替えた場合、両薬を併用した場合とを比較する多施設共同二重盲検2×2プラセボ対照試験を行った。NEJM誌2012年3月8日号より。

295例を4群に割り付け52週間治療、認知機能、ADLの改善度を評価

 試験は2008年2月~2010年3月に、地域で暮らす中等度~高度[標準化ミニメンタルステート検査(SMMSE)スコア:5~13、スコアは0~30で高いほど認知機能が良好]アルツハイマー病患者295例(平均年齢約77歳)を対象に行われた。被験者は、ドネペジル投与継続群(10mg/日)、ドネペジル投与中止群(4週間5mg投与後5週目からプラセボ)、ドネペジル投与中止後メマンチン投与開始群(5mg/日から開始し4週目から20mg/日)、ドネペジル投与継続+メマンチン投与開始に割り付けられ、52週間治療を受け評価された。

 共同主要アウトカムは、SMMSEスコア、ブリストル日常生活動作尺度(BADLS)スコア(スコア0~60、高いほど機能障害が大きい)とし、臨床的に意味のあるスコア差を、SMMSEは1.4ポイント以上、BADLSは3.5ポイント以上とした。

ドネペジル継続にベネフィット

 中止群患者と比較して、ドネペジル継続投与群はSMMSEスコアが平均1.9ポイント高く(95%信頼区間:1.3~2.5)、BADLSスコアは3.0ポイント低く(同1.8~4.3)、認知機能、機能障害とも有意な改善(いずれもP<0.001)、臨床的に意味のあるスコア変化が示された。

メマンチン投与を受けていた患者は、メマンチン投与を受けていなかった患者との比較で、SMMSEスコアは平均1.2ポイント高く(同0.6~1.8、P<0.001)、BADLSスコアは1.5ポイント低かった(同:0.3~2.8、P=0.02)が、両スコアとも臨床的に意味のある最小変化値を下回っていた。

 ドネペジルとメマンチンの有効性は、併用することで有意差が示されることはなく、そのベネフィットはドネペジル単独使用を有意には上回らなかった。

これらの結果からHoward氏は、「中等度~高度アルツハイマー病患者では、ドネペジルの継続投与が、12ヵ月間にわたって、認知機能、機能障害の改善についてのスコア差が臨床的に意味のある最小数値を上回り、有意なベネフィットがあることが示された」と結論している。

(朝田哲明:医療ライター)