上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当か

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ケアネット

上気道感染症、咽頭炎、中耳炎に対する抗生物質投与は正当かのイメージ



プライマリケア医は、一般的な気道感染症に対して、それに続発する重篤な合併症への配慮から予防的に抗生物質を処方しがちだ。イギリスのガイドラインでは、耐性菌の発現を考慮して上気道感染症、咽頭炎、中耳炎には抗生物質をルーチンに使用すべきでないとされる。また、肺感染症は急性気管支炎に分類され抗生物質は推奨されないが、肺炎には推奨されている。
 I. Petersen氏(ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ感染症疫学センター)らは、抗生物質の使用により一般的な気道感染症に続発する重篤な合併症のリスクをどの程度低下させられるかについて検討した。BMJ誌10月18日付オンライン版、11月11日付本誌掲載の報告。

重篤な合併症発症リスクを抗生物質投与群と非投与群で比較




本試験は、1991年7月~2001年6月までにUK General Practice Research Databaseに登録されたデータをレトロスペクティブに解析したコホート研究である。

336万件の気道感染症のデータを用い、診断後に重篤な合併症を発症するリスクを抗生物質投与群と非投与群において比較した。

主要評価項目は、中耳炎に続発する乳様突起炎、咽頭炎後の化膿性扁桃腺炎、上気道感染症後の肺炎のリスク、および個々の合併症の予防に要する抗生物質による治療コース数とした。

重篤な合併症の続発はまれ、高齢者の肺炎リスクは高い




中耳炎、咽頭炎、上気道感染症に重篤な合併症が続発することはまれであり、個々の合併症を予防するには4,064~4,407コースもの抗生物質治療が必要であった。

肺感染症後の肺炎のリスクは特に高齢患者で高く、肺炎の予防に要する抗生物質治療コース数は、65歳未満の96~119コースに対し65歳以上では39コースと高齢者で実質的な予防効果が認められた。

肺炎の予防を除き、気道感染症への抗生物質の使用は正当化されない




Petersen氏は、「中耳炎、咽頭炎、上気道感染症後の重篤な合併症のリスク軽減を目的に抗生物質を使用することは正当化されない」と結論している。

また、「市中肺炎は重篤な病態で死亡率も高い。イギリスのプライマリケア医はすでに肺感染症患者に抗生物質の投与を行っており、今回のわれわれの検討は特に高齢患者におけるその正当性を明らかにした」と指摘している。

(菅野 守:医学ライター)

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