ザンビアでのエイズ罹患小児への抗レトロウイルス療法

提供元:ケアネット

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公開日:2007/11/13

 

ザンビア保健省はヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染した小児への抗レトロウイルス療法(ART)を首都ルサカにある初期医療施設で提供しているが、同国では周産期予防の規模拡充にもかかわらず小児の多くが感染している状況にある。治療を受けた小児の臨床および免疫学的予後に関する調査報告がJAMA誌2007年10月24日号に掲載された。

3剤併用ART療法を受けた小児の転帰データを分析




ザンビア感染症研究センターのCarolyn Bolton-Mooreらによる本調査は、ルサカにある18の国立の初期医療施設でARTを受けた小児の転帰データを使ったオープンコホート研究。

対象は2004年5月1日から2007年6月29日の間にHIV治療を受けた15歳以下の小児で、治療は主に看護師と、米国の医師助手に類似した医師補によって行われていた。

3剤併用ART療法(zidovudineあるいはstavudine+ラミブジン+nevirapineあるいはefavirenz)を受けたのは、国内の治療判定基準を満たした小児。主要評価項目は生存、体重増加、CD4細胞数とヘモグロビン値とされた。

登録された4,975例中、2,938例(59.1%)でARTが開始された。ART開始の対象年齢中央値は81ヵ月(四分位範囲36-125)、1,531例(52.1%)が女子であり、WHO定義に基づく病期は2,087例(72.4%)がIII期またはIV期だった。

予後、CD4値とも有意に改善




2,398例中198例(8.3%)が死亡、これはフォローアップした3,018人年死亡率で換算すると6.6/100人年(95%信頼区間5.7-7.5)に当たることが明らかとなった。また死亡例のうち112例(56.6%)は治療開始から90日以内で転帰に至っており、早期死亡率は17.4/100人年、90日死亡率は2.9/100人年となる。死亡率は、CD4細胞減少、低体重、低年齢、貧血と関連していた。

一方で、1回以上の測定を行った1,561例の、ART開始時の平均CD4細胞パーセンテージは12.9%(95%信頼区間12.5%-13.3%)だったが、6ヵ月後には23.7%(同23.1%-24.3%)まで増え、12ヵ月後は27.0%(同26.3%-27.6%)、18ヵ月後は28.0%(同27.2%-28.8%)、そして24ヵ月後には28.4%(同27.4%-29.4%)に増加していた。

これを受け、「看護師や医師補のような臨床家が提供するケアでも、HIV感染児のためのプライマリ・ケアは、南部アフリカという環境下で良好な治療成績を上げることができた」と報告。治療導入初期90日の死亡率が高いことについては、早期介入の必要性を示しているものだと結論している。

(朝田哲明:医療ライター)