頻繁に学校を休むことの長期的な影響が明らかに

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/08/04

 

 幼稚園から8年生(日本の中学2年生に相当)までの間に学校等を休む日が多いと、成人を迎えてから悪影響が現れる可能性のあることが、米オハイオ州立大学人間科学部のArya Ansari氏らによる研究で示された。幼稚園や学校を頻繁に欠席していた人は、20代前半のときに選挙で投票する率が低く、経済的問題を抱えている率が高く、学業成績は低い傾向のあることが示唆されたという。Ansari氏は、「今回の研究から、学童期や青年前期の不登校は大きな問題であり、後々、思いもよらない形で影響を及ぼし得ることが分かった」と述べている。研究結果の詳細は、「Journal of Youth and Adolescence」6月22日オンライン版に掲載された。

 この研究は、米国立小児保健・人間発達研究所(NICHD)の長期追跡研究であるStudy of Early Child Care and Youth Developmentのデータをレビューしたもの。対象者は、米国の10都市で、出生時から成人期まで追跡された648人(22〜23歳、54%が女性、86%が白人)である。Ansari氏らは、幼稚園から8年生までの間に対象者が幼稚園や学校を休んだ日数を確認し、また、対象者が22〜23歳であった2013〜2014年に、犯罪歴や逸脱行動から、子どもがいるかどうかや政治参加、経済的な問題に関することまでさまざまなことを、対象者に報告してもらった。

 その結果、幼稚園から8年生までの間に頻繁に学校等を欠席していたからといって、若年成人期に犯罪や危険行為、逸脱行為を行う人の割合が増えるわけではないことが示唆された。しかし、因果関係は不明だが、これらの人々は政治への関心が薄く、2012年の選挙で投票した人の割合が4.7%低かった。また、請求書の支払い困難などの経済的苦境に陥っている人、低所得者向けの食料支援サービスである「フードスタンプ」などの公的扶助を利用している人、無職である人の割合も高かった。さらに、高校でのGPA(成績評価値)の低さや大学への進学率の低さなど、学業面での達成レベルにも低い傾向が認められた。

 なお、今回の研究対象者の多くは中流家庭の子どもであった。そのため、Ansari氏は、恵まれない家庭環境に置かれている人を対象にすると、結果はもっと顕著になる可能性があるとしている。

 Ansari氏は「中学や高校での不登校は大きな問題だが、幼稚園や初等教育段階での不登校はさほど問題ではないとする考え方をする人は、特に親に多いが、それは誤解だ」と指摘。そして、「学校との関わりが希薄になっていくと、最終的には、社会との関わりも希薄になり、それが、投票率や進学率、雇用率の低下につながっている可能性がある」と述べている。また、「われわれは、早い時期の不登校と成人期初期の不良な転帰とを結び付ける重要なメカニズムの一つは、義務や束縛のない状況であると考えている」としている。

 現在、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる学校休校の影響を、多くの親が心配していることだろう。この点についてAnsari氏は、「現在は、全ての子どもが学校を休むという、まさに前代未聞の状況であり、今回の研究とは条件が異なる」と断りを入れた上で、「休校中のサービスや支援の利用状況の差が、パンデミック終息後に授業が再開されて以降、大きな差となって現れる可能性はある」と述べている。

 最後に、Ansari氏は、「この研究が示唆するのは、不登校とそれが及ぼす影響を、われわれはもっと深刻に捉えるべきだということだ」と述べ、今回の研究結果により、子どもたちが学校へ行くことの大切さについて、親たちが認識を深めることに期待を寄せている。

[2020年7月8日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら