全粒穀物をたくさん食べる人ほど高血圧になりにくい

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/05/06

 

 玄米など、糠を除去していない全粒穀物の摂取頻度が高いほど高血圧になりにくいことが、日本人対象の研究から明らかになった。国立国際医療研究センター疫学・予防研究部の樫野いく子氏らの研究によるもので、詳細は「Nutrients」3月26日オンライン版に掲載された。

 全粒穀物は白米などの精製された穀物よりも健康上の利点が多く、全粒穀物摂取量が高血圧リスクを低下させるとの海外からの報告もある。しかし、日本人は高血圧の頻度が高いにも関わらず全粒穀物の摂取量が世界で最も少ないレベルで、また日本人の全粒穀物摂取量と高血圧リスクを検討した研究データは少ない。

 こうした中、樫野氏らは企業勤務者を対象に行われている古河栄養健康研究(代表者は同研究センターの溝上哲也氏)の一環として、全粒穀物摂取と高血圧リスクの関係を探る前向き縦断研究を行った。

 調査への参加に同意した人から、既に高血圧と診断されている人などを除いた1,483人を研究に登録し3年間追跡した。3年後に追跡が可能だったのは952人(年齢39.9±8.6歳、女性11.7%、BMI22.5±2.9kg/m2)で、血圧のデータに不備があった8人を除く944人を解析対象とした。

 ベースライン時のアンケート調査で、全粒穀類の摂取頻度について「玄米・胚芽米を食べたり、ご飯に麦や雑穀を混ぜて食べるか」と質問。その回答から全粒穀物の摂取頻度を3群に分けると、「時々またはいつも摂取する」群が193人、「まれに摂取する」群が221人、「全く摂取しない」群が530人だった。3群間に年齢や男女比の有意差はなかった。

 3年間の追跡で89人(9.4%)が高血圧を発症した。全粒穀物を「全く摂取しない」群を基準とし、高血圧発症リスクを多重ロジスティック回帰分析で検討すると、年齢、性別および勤務地を調整因子とするモデル1では、「時々またはいつも摂取する」群でオッズ比(OR)0.35(95%信頼区間0.16~0.77)となり、有意なリスク低下が認められた(傾向性P=0.02)。

 調整因子にBMI、喫煙・飲酒・運動習慣、勤務状況、食習慣(摂取エネルギー量や高血圧との関連が報告されている食品摂取量)を加えたモデル2でも、「時々またはいつも摂取する」群はOR0.36(同0.16~0.83)で、有意に低リスクだった(傾向性P=0.04)。なお、「まれに摂取する」群については、モデル1、2のいずれでも「全く摂取しない」群と有意な差がなかった。

 次に、ベースライン時と3年後に行ったアンケートで2回とも全粒穀物を「全く摂取しない」と答えた人(401人)と、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人(112人)とで高血圧発症リスクを比較。すると、2回とも「時々またはいつも摂取する」と答えた人のリスクは、モデル1でOR0.32(同0.11~0.92)、モデル2ではOR0.20(同0.05~0.73)であり、より大きなリスク低下が認められた。

 これらの結果について研究グループは、解析対象に占める女性の割合が低かったことなどを研究上の限界点として挙げた上で、「全粒穀物の摂取頻度が高いことが高血圧リスクの低下につながるという有意な関連が、日本人対象縦断研究でも確認された」とまとめている。

[2020年4月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら