日本人高齢者の腰痛有訴率に社会経済的格差-東北大の研究グループ

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HealthDay News

日本人高齢者の腰痛有訴率に社会経済的格差のイメージ

 日本人の高齢者における腰痛の有訴率には、社会経済的な格差がみられる可能性があることが、東北大学大学院国際歯科保健学の杉山賢明氏らの研究で分かった。具体的には、教育レベルが低く、所得が低いほど腰痛の有訴率が高いことが示された。同氏らは、医療政策を立案する場合や診療現場では、身体的な側面だけはなく社会的な因子にも目を向けた支援や対策が必要であるとの見解を述べている。研究の詳細は「International Journal for Equity in Health」1月21日号に掲載された。

 多くの人が抱える腰痛は、健康寿命を縮める一因ともなっている。その発症には筋力の低下といった身体的要因だけでなく、心理社会的要因も関連すると考えられているが、教育歴や所得による有訴率の差は明らかになっていない。そこで、杉山氏らは今回、65歳以上の高齢者を対象に、社会経済的状況と腰痛の有訴率との関連を調べる研究を実施した。

 対象は、2013年に日本老年学的評価研究(JAGES)のアンケートに回答した、65歳以上の自立した生活を送っている高齢者2万6,037人。アンケートでは社会経済的状況と過去1年間の腰痛の有無について尋ねた。

 回答によると、対象者の63.4%が過去1年間に腰痛を有していた。対象者を教育歴(9年以下、10~12年、13年以上)で3群に分けて比較したところ、教育歴が最も長い群と比べて、最も短い群では腰痛の有訴率は1.07倍有意に高いことが分かった(有訴率比、95%信頼区間1.02~1.12)。また、最も長く従事した職業(「専門職」「事務職」「肉体労働職」「就労経験なし」)で4群に分けて比較した結果、専門職に就いていた群と比べて、肉体労働に就いていた群ではその有訴率は1.06倍有意に高いことも明らかになった(同1.01~1.11)。

 さらに、対象者を所得で4群に分けて比較したところ、所得が最も高い群と比べて、最も低い群では腰痛の有訴率は1.16倍高かった。同様に、現在の資産で5群に分けて比較しても、資産が最も高い群と比べて最も低い群では有訴率は1.18倍有意に高かった(95%信頼区間はそれぞれ1.10~1.23、1.11~1.27)。

 これらの結果を踏まえ、杉山氏らは「高齢者の腰痛の有訴率には社会経済的な格差が存在することが示された。このため、これらに関連する因子を考慮した対策が必要である」と述べている。

[2019年5月7日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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