FDAがオピオイド過剰摂取に対するOTC医薬品を初承認

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/04/26

 

 米食品医薬品局(FDA)は3月29日、スプレー式の点鼻薬ナロキソン塩酸塩(商品名Narcan)を、処方箋不要のOTC医薬品として初めて承認した。オピオイド過剰摂取の影響を速やかに抑える作用を持つNarcanは、オピオイド過剰摂取の標準治療法とされている。

 米国では、薬物の過剰摂取が公衆衛生上の大きな問題となっている。2022年10月までの12カ月間に報告された、違法なフェンタニルなどの合成オピオイドを中心とする薬物の過剰摂取による死亡の発生件数は、10万1,750件以上に上るという。

 FDAコミッショナーのRobert Califf氏は、「今回のNarcanのOTC医薬品としての承認は、Narcanへのアクセスを改善して同薬剤を入手できる場所を増やし、米国でのオピオイド過剰摂取による死亡を減らすのに役立つ。われわれはNarcanの製造販売会社に、できるだけ早く手頃な価格でNarcanを入手できるようにすることで、製品へのアクセス性を優先するように促している」と述べる。

 Narcanを製造している米メリーランド州のEmergent BioSolutions社は、FDAの承認発表後に出した声明の中で、価格については言及していない。しかし、同社の社長兼CEOであるRobert Kramer氏は、「われわれは、米国でのオピオイド過剰摂取の発生率が憂慮すべきものになっていることに鑑み、この重要な緊急治療へのアクセスを広めようと努めてきた。その成果である今回の承認は、当社にとって歴史的な節目となるものだ」と同社のニュースリリースで述べている。

 オピオイド依存症の人がこの点鼻薬を使用すると、体の痛み、下痢、心拍数の増加(頻脈)、発熱、鼻水、くしゃみ、鳥肌、発汗、あくび、吐き気または嘔吐、神経質、焦燥感やイライラ感、震え、腹部のけいれん、脱力、血圧上昇を特徴とする、重度のオピオイド離脱症状が生じる可能性がある。

 Narcanは、2015年に処方薬として初めてFDAに承認された。医薬品のステータスを処方薬から非処方薬に変更するプロセスにおいて、Emergent BioSolutions社は、ラベルに記載された通りに使用すれば、この薬剤が安全かつ有効であることを示すデータを提供した。また、医療従事者が監督していなくても、消費者がNarcan点鼻薬の安全かつ効果的な使用方法を理解できることも示した。同薬剤の承認申請には優先審査資格が与えられ、2023年2月に開催された諮問委員会では、全会一致で処方箋なしでの販売承認の推奨が決定された。

 FDAの非処方薬部門の安全性担当副部長であるJody Green氏は、「われわれは、今回の承認がオピオイド過剰摂取に対する治療薬へのアクセス拡大に役立つと確信している」と述べている。またAP通信は、同氏が「この承認を受け、Narcanは自動販売機、コンビニエンスストア、スーパーマーケットで販売できるようになるだろう」との見方を示したことを報じている。

[2023年3月29日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら