米FDA、男性同性愛者の献血の制限緩和に向けた指針を提案

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/03/16

 

 同性愛者やバイセクシュアルの男性からの献血は長年にわたって制限されてきたが、近い将来、よりきめ細かな方針に変わる可能性がある。米食品医薬品局(FDA)は1月27日、輸血によるヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染のリスクを軽減するための献血者の評価方法を、これまでのように時間を基準にしたものから、性差別的ではない、個人のリスクに基づく質問へと変更することを提案した。

 具体的には、パートナーと一夫一婦制の関係を築いている同性愛者の男性は、献血前に性行為を控える必要は一切なくなりそうだ。1980年代以降に施行された規則では、採取された血液のHIV汚染リスクを理由に、同性愛者などが献血をする場合には、定められた期間、性行為を控えることが要求されていた。しかし、LGBT組織からの圧力や、血液スクリーニング技術の向上、血液バンクや米国医師会からの情報提供などを受け、FDAはその規則の再検討を行っていた。

 FDAのこの新しい提言案は、「輸血によるHIV感染リスクを低減するための個人的なリスクを基にした質問」を中心に据えている。FDAは、「今回の提言案は、このアプローチを導入した、同様のHIVの疫学を有するカナダや英国などの国のデータや、米国の血液供給に関する継続的なサーベイランス情報など、入手可能な情報の慎重なレビューに基づくものだ」と述べている。

 以下に挙げるものが、今回提案された新たな指針である。1)男性と性行為を行う男性(MSM)およびMSMと性行為を行う女性が献血を行うにあたり設けられていた、時間を基準にした性行為に関する規定を撤廃すること、2)現行の献血者に対する問診票を、過去3カ月間に新しい、または複数の性的パートナーがいたかどうかを尋ねる内容に改訂すること、3)過去3カ月間に新しい、または複数の性的パートナーがいたことを報告した人には、同期間中にアナルセックスを行ったかどうかを確認すること、4)過去3カ月間に新しい、または複数の性的パートナーがいたことと、アナルセックスを行ったことを報告した人での献血は延期されること。

 ただし、過去にHIV検査で陽性の判定を受けたことがある人は、引き続き献血が禁止される。また、採血事業者は、献血された全ての血液の検査を行い、輸血を介してHIV、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスに感染する恐れがないかを確認する必要がある。

 以上のような提言内容は、パブリックコメントを得るために60日間公開される。FDAは、「この指針を最終決定する前に、全てのコメントをレビューし、検討する」と述べている。

[2023年1月27日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら