新型コロナ発症から15ヵ月後も多くの患者で後遺症が持続

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/07/01

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したが入院はしなかった患者の多くは、いまだに長引く後遺症と闘い続けているようだ。こうした患者の多くは、最初の感染から15カ月近くが経過した後でも、神経症状や倦怠感、生活の質(QOL)の低下に苦しめられていることが、新たな研究で明らかにされた。米ノースウェスタン・メディシンNeuro COVID-19クリニックのIgor Koralnik氏らが実施したこの研究の詳細は、「Annals of Clinical and Translational Neurology」に5月24日掲載された。

 Koralnik氏らは過去の研究で、COVID-19に罹患した非入院患者で、神経症状が発症から6週間以上続いた100人を対象に、同クリニックでの最初の評価から6〜9カ月後の神経症状や患者が自覚する回復について報告していた。今回の研究は、この過去の研究のフォローアップ研究として実施された。100人のうちの66人が本研究への参加に同意し、最終的に52人(平均年齢42.8±11.5歳、女性73%)が、発症から中央値で14.8カ月後の追跡調査を完了した。

 解析の結果、最初の研究での評価時(以下、初回評価時)と今回の追跡評価時で、ほとんどの神経症状の発生頻度に大きな差はなかった。具体的には、ブレインフォグ(頭に霧がかかったようにぼんやりとして集中できない状態)を有していた患者の割合は、初回評価時で81%、追跡評価時で71%だった。また同順で、しびれやチクチク感を69%と65%、頭痛を67%と54%、めまいを50%と54%、かすみ目を34%と44%、倦怠感を87%と81%が有していた。一方、味覚障害と嗅覚障害を有していた対象者の割合は、初回評価時と比べて追跡評価時に減少していた(味覚障害:63%対27%、嗅覚障害:58%対21%)。これに対して、心拍数と血圧の変動と消化管症状を有していた患者の割合は、初回評価時と比べて追跡評価時に増加が認められた(心拍数と血圧の変動:35%対56%、消化管症状:27%対48%)。このほか、対象者の77%は初回評価時と追跡評価時の間にCOVID-19のワクチンを接種していたが、認知機能や倦怠感には正の影響も負の影響も及ぼしていなかった。

 Koralnik氏は、「この研究は斬新であり、またCOVID-19により生じた神経症状をこれほど長く追跡した研究は例がない」と述べる。また、得られた結果について同氏は、「対象患者に生じた多くの衰弱性の神経症状のしつこさと、自律神経系の障害を示唆する症状の出現の遅さには、われわれも驚かされた」と話している。

 Koralnik氏は、「ワクチン接種によりCOVID-19の後遺症が治癒することはなかったが、悪化することもなかった。後遺症に苦しむ患者の一部は、このことを理由にワクチン接種を受けなかった」と説明する。さらに同氏は、「新しい変異株が出現して後遺症に苦しむ患者の数が増えたことを受け、われわれは現在、後遺症の根本原因の解明に主眼を置いて研究を行っている。また、これらの患者の管理を改善し、最適な治療法の選択肢を見出すための介入についても検討しているところだ」と語っている。

[2022年5月25日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら