糖尿病になっても眼の検査で視力を守れる

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/05/05

 

 眼の検査を毎年受けていれば、糖尿病患者であっても視力を守ることができるだろうか?「間違いなくできる」。そう答えるのは、米ペンシルベニア州立大学アイセンターのJeffrey Sundstrom氏だ。

 Sundstrom氏は同大学のプレスリリースの中で、「糖尿病は網膜の血管の状態を変化させることが知られている。それらの血管の変化は、初期段階では自覚症状を引き起こさない。よって、視力低下を防ぐための対策を講じるには、網膜の血管の変化を早期に発見することが極めて重要だ。その方法は、散瞳検査を毎年受けることである」と解説している。散瞳検査とは、眼底に広がっている網膜の隅々まで念入りに観察するため、瞳孔を大きく開く目薬をさして(散瞳して)から行う眼底検査のことだ。

 一方、糖尿病では網膜の血管から血液が漏れ出すことも多い。この現象が黄斑の腫れ(黄斑浮腫)を引き起こす可能性がある。黄斑とは、眼底の中央に当たる網膜で、視力が最も鋭敏な部分であり、黄斑部の網膜に異常が発生すると視力に大きな影響が生じてしまう。

 またSundstrom氏は、「糖尿病による重度の視力低下は、異常な血管が網膜と硝子体(眼球の中央の空間を埋めているゲル状の組織)に伸びていったときに発生する可能性が高まる」と説明する。「それらの異常な血管は、眼球内に出血を引き起こし、牽引性網膜剥離を引き起こすことがある。黄斑浮腫や牽引性網膜剥離のいずれも、治療せずに放置すると視力低下が進行し、ときには失明につながってしまう」とのことだ。

 糖尿病性網膜症は米国内での失明の主要原因の1つだ。糖尿病患者の過半数が糖尿病性網膜症を発症すると言われるが、その一方で、糖尿病患者の中で眼科検査を毎年受けている患者は半数未満だ。検査で見つかった糖尿病性網膜症に対しては、レーザー治療や薬物治療など、いくつかの治療選択肢がある。

 Sundstrom氏は、「糖尿病患者は散瞳検査を毎年受けるだけでなく、ABCに従って糖尿病をコントロールして視力低下を防ぐとともに、心臓発作や脳卒中などのほかの潜在的な合併症のリスクを下げる必要がある」と語る。

 ABCのAは、血糖値のコントロール状態を把握するための「ヘモグロビンA1c(HbA1c)」検査の「A」。糖尿病患者のHbA1c管理目標は、患者の状態によって決めるが、低血糖などのリスクを伴わずに達成可能な場合は6.5%未満が1つの目安。

 Bは血圧(blood pressure)の「B」。そしてCは、コレステロール(cholesterol)の「C」であり、一般的に総コレステロール200mg/dL未満にコントロールする必要があるとされる。

 「糖尿病患者は内科の主治医とともに、ABCという3つの検査指標の全てを最適な値にコントロールし、その上で糖尿病性網膜症のスクリーニング検査のために、眼科にも通院すべき」とSundstrom氏は推奨する。「良好な視力を守るための鍵は、内科のかかりつけ医と眼科医双方との好ましい関係を保つことにある。ABCをコントロールしながら、眼科での検査を毎年受けることで、大半の糖尿病患者は良好な視力を維持できる」と同氏は強調する。

[2022年4月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら