温暖化で腎疾患による入院が増加している

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/11/25

 

 地球温暖化が腎臓に脅威を与えかねないとする研究論文が発表された。モナッシュ大学(オーストラリア)のYuming Guod氏、Shanshan Li氏らがブラジルの医療データを解析した結果であり、腎疾患による全入院の7%強が、気温が高いことに起因したものである可能性があるという。詳細は「The Lancet Regional Health - Americas」に10月31日掲載された。

 気候変動は、世界規模でさまざまな疾患や死亡のリスクを高めている可能性が指摘されているが、腎疾患との関連を調査した報告は少ない。Guod氏らは、両者の関連を定量的に評価するため、以下の検討を行った。同氏らによると、本研究は気温と腎疾患の関連を調査した過去最大規模の研究という。

 Guod氏らはこの研究でまず、2000~2015年にブラジル国内の1,816の都市から報告された1日ごとの入院患者データを収集。この間に、腎疾患による入院が272万6,886件記録されていた。次に、時間層別化ケースクロスオーバーデザインという統計学的手法により、気温の上昇に伴う腎疾患による入院リスクへの影響を解析した。その結果、平均気温が1°C上昇するごとに腎疾患による入院が0.9%、有意に上昇していることが明らかになった〔リスク比(RR)1.009(95%信頼区間1.008~1.010)〕。両者の関係は、気温が上昇した当日に最も強固であり、1~2日後にも有意な関連が維持されていた。

 背景因子で層別化して解析すると、女性〔RR1.011(同1.009~1.012)〕、4歳未満の子ども〔RR1.035(同1.029~1.040)〕、80歳以上の高齢者〔RR1.010(同1.006~1.015)〕でより強い関連が認められた。また、腎疾患による全入院の7.4%(同5.2~9.6)に相当する20万2,093件(同14万1,554~26万594)は、気温の上昇に起因するものと推定された。

 腎疾患のサブタイプ別に見ると、腎盂腎炎ではRR1.018(同1.016~1.020)、急性腎不全はRR1.004(同1.000~1.008)であり、気温上昇に伴い入院リスクが増加し、反対に慢性腎臓病はRR0.998(同0.996~1.000)と、入院リスクが低下する傾向があった。

 これらの結果を基に著者らは、「本研究によって、気温の上昇に伴う入院を抑制し、気候変動を緩和するために、より多くの政策を実施すべきであることを支持する、確固たるエビデンスが示された」と述べている。また、「それらの政策は、女性、子ども、高齢者など、気温上昇に対してより脆弱な特定のグループを対象とすべき」とし、さらに、「ブラジルのような低中所得国では、信頼性の高い高温警戒情報発信システムや高温に対する健康被害の予防措置が、依然として徹底されずに改善が必要とされている。このような国では、より注意が求められる」と付け加えている。

 なお、気温の上昇に伴い腎疾患による入院が増加するメカニズムについて、著者らは「不明」としながらも、高温による脱水、それに伴う尿量減少、尿路感染症の増加など、腎機能低下につながる複数の要因を考察している。

[2021年11月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

[ あわせて読みたい ]