重症COVID-19を飲酒検査のように呼気で検出する新技術

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/11/23

 

 飲酒検知器のように呼気を利用して、わずか十数秒で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染の有無を判定できる検査機器の開発が進められている。米オハイオ州立大学ウェクスナー医療センターのMatthew Exline氏らによる、この検査機器の有用性に関する論文が「PLOS ONE」に10月28日掲載された。鼻腔スワブで検体を採取するよりも侵襲性が低く、かつ短時間で結果を得られるため、PCR検査の代替手段になる可能性もあると同氏らは述べている。

 Exline氏らによると、COVID-19感染によって体内の酸素、一酸化窒素、およびアンモニアの相互作用が生じ、呼気中にその変化が現れるという。新たに開発した検査機器はその変化を検出するもので、重症COVID-19患者の約9割でCOVID-19感染を判定でき、判定に要する時間は15秒以内とのことだ。開発チームは米食品医薬品局(FDA)に、この検査機器の緊急使用許可を申請した。

 論文で発表された研究の対象は、機械的人工呼吸を必要とする急性呼吸不全により集中治療室(ICU)に収容された患者46人。全患者がICU収容時に、鼻腔スワブにより採取した検体を用いてPCR検査が実施され、その結果、対象のちょうど半数(23人)がCOVID-19に感染していると判定された。

 入院の当日と、3日目、7日目、および10日目に全患者の呼気を収集し、収集から4時間以内に、開発中の呼気検査機器による判定を行った。解析の結果、COVID-19診断の感度は88%、特異度83%であり、陽性的中率78%、陰性的中率90%、正診率85%と計算された。また、COVID-19の臨床症状改善に伴い検査値が低下する傾向が認められた。

 「COVID-19診断の現在のゴールドスタンダードは、検体採取に不快な鼻腔スワブによる操作を要し、さらに結果が出るまでに時間のかかるPCR検査だ」と、Exline氏は現状に課題が残されていることを指摘。それに対して新たな検査機器は、「飲酒検知器のように簡便に検体を採取でき、ナノセンサーを使用して呼気中の特定のバイオマーカーを識別して、そのレベルを測定可能だ」と話すのは、共同開発者の一人で同大学材料工学部・航空宇宙工学部のPelagia-Irene Gouma氏だ。同氏によると本研究は、ナノセンサー技術を利用した飲酒検知器型の検査機器で、呼気からウイルス感染を検出可能であることを実証した初めての研究とのことだ。

 またExline氏は大学発のニュースリリースの中で、「PCR検査はCOVID-19感染の初期にはそれを見逃すことがあり、またCOVID-19の感染性が消失した後にも陽性になることがある」と、従来の検査法の別の問題について語っている。その上で、「この非侵襲的呼気検査技術によって、呼吸不全の発症から72時間以内に早期のCOVID-19感染を検出できる。また、迅速なスクリーニングが可能であり、機械的人工呼吸を要する患者からCOVID-19としての管理が必要でない患者を除外できる」と、有用性を指摘している。

 開発グループでは今後、非重症COVID-19患者の検出や、他の感染症の診断へのこの技術の応用も検討していくという。

[2021年11月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2011 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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