1型糖尿病はトップアスリートの躍進を妨げない―AHAニュース

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/11/23

 

 自転車トラック競技で国際的に活躍する米国人アスリート、Mandy Marquardtさんは、トレーニングとレースに明け暮れる生活を送っている。16歳の時に受けた健診で高血糖を指摘された時点で既に彼女は、ジュニア部門の大会でメダルを獲得していた。健診後の精密検査の結果、1型糖尿病と診断された。診断を伝えた医師は彼女に対し、今後は激しいトレーニングをしてレベルアップを狙うのではなく、むしろ楽しみとしてスポーツを続けるようにとアドバイスした。

 現在30歳になるMarquardtさんは当時を振り返り、「1型糖尿病の診断は私の人生を変えた。10代であれば誰でも自由を謳歌したいものだが、私は競技生活を続けるために、かつ、生きるために、自分で食べる物を考え血糖管理を続けていくという課題に直面した」と語る。そして彼女はそれらの全てを実行してアスリートとして頂点に立ち、糖尿病が自転車競技のキャリアや人生にマイナスとならないことを証明した。

 1型糖尿病は、膵臓のインスリン分泌が枯渇する病気だ。免疫系がインスリン産生細胞を誤って攻撃して破壊することによって発症する。トップレベルの大会で競い合いながら1型糖尿病を管理するには、絶え間なく変動する血糖値に対してインスリンの注射量を頻繁に変更する必要があり、またハイパフォーマンスを発揮するために栄養戦略を最適化する必要がある。「血糖値が高い時は、競技後の回復に時間を要することがあるが、それを言い訳にしたくはない。その点は常に意識している」。

 彼女は、仲間やコーチからのサポートと、連続血糖測定システム(CGM)という新しい技術に助けられている。CGMは皮下に留置したセンサーを介してリアルタイムに血糖値を測定し携帯に送信する。「糖尿病のアスリートにとって、このテクノロジーの出現は大きな進歩だった。CGMにより低血糖や高血糖の回避に必要な情報を容易に得ることができるようになった」と語るのは、チームノボノルディスクのCharlotte Hayesさんだ。同チームはMarquardtさんを含め全員が1型糖尿病のプロサイクリストであり、Hayesさんはアスリートたちの健康管理や教育を担当している。

 CGMのテクノロジーは、一般的な生活を送る全ての1型糖尿病患者に恩恵をもたらし得る。ただしMarquardtさんやほかのエリートアスリートは、厳しいトレーニングを続け、大会参加のための遠征を繰り返し、激しい競争のストレスに曝されながら生活している。「1型糖尿病患者がアスリートとして生きることは今も挑戦的なことであり、対処しなければいけないことが少なくない」とHayesさんは語る。

 しかしMarquardtさんにとってそれらは問題ではなかった。彼女は世界各地で競技会に参加し記録を更新して、タイトルを獲得してきた。さらに米ペンシルベニア州立大学でMBAを取得し、また、糖尿病の子どもに接する時間も大切にしている。「糖尿病の子どもたちに語り掛けた時に、彼らの表情が明るく変わっていくのを見るのが大好きだ。私は自分がロールモデルでいられることに、本当に感謝している」。

 Hayesさんは、アスリートとしてのMarquardtさんと、個人としてのMarquardtさんを評する時に、「インスピレーション(鼓舞する存在)」と言う言葉を使う。「彼女は、1型糖尿病の患者が夢をつかもうとするとき、この病気の存在が障壁にならないことを世界に示している」。

 ただ、今年は失望する場面が全くなかったわけではない。彼女は東京オリンピックの米国代表メンバーの座を獲得したが、控え選手とされた。その後、パンデミックのために代表団が縮小された影響で、訪日はかなわなかった。

 「糖尿病がそうであるように、われわれは常に結果をコントロールできるわけではない。しかし、変化する状況に自分がどのように反応するかは、自分次第だ」とMarquardtさんは語る。「2024年はもうすぐだ。私は必ずそこにいるだろう」。

[2021年10月15日/American Heart Association] Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
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