パンデミックで多くの米国人女性が妊娠を断念

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/10/15

 

 米ニューヨーク市在住の幼い子どもを持つ女性を対象に実施した調査から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの発生前に妊活に励んでいた女性のほぼ半数が、パンデミック発生の数カ月後に妊娠の計画を断念していたことが明らかになった。また、パンデミック前に次の妊娠を望んでいたがまだ子作りを始めていなかった女性の3人に1人は、現在は妊娠を考えていないと回答したという。米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスのLinda Kahn氏らによるこの調査結果は、「JAMA Network Open」に9月15日掲載された。

 米国では、COVID-19パンデミックの発生を受けて出生率が低下したことが既に明らかにされている。最近報告された研究結果によると、2020年の米国の出生数は、年間の出生傾向に基づき専門家が予測した数字よりも約30万人少なく、特に2020年の最後の2カ月で減少の幅が大きかったという。これは、パンデミックが発生した2020年3月における妊娠件数の減少と一致する。しかし、親たちはなぜ妊娠を遅らせることにしたのか、その根底にある理由についてはこれまであまり調査されていない。

 Kahn氏らは、妊娠中または生児出産した女性2,603人を対象に、COVID-19パンデミック前と現在の妊娠計画に関する調査を実施した。調査は2020年4月20日に開始し、同年8月31日に打ち切られた。調査終了時には、全ての対象者に3.5歳未満の子どもが1人以上いた。これらの女性から、未回答の調査項目がある女性や最近出産を終えた女性などを除外し、最終的に1,179人(平均年齢32.2歳)を対象に解析を行った。

 その結果、パンデミック前に積極的に妊活していた女性の49.2%(30/61人)は、パンデミック発生を受けて妊活をやめていたことが明らかになった。これら30人の女性のうち、パンデミック終息後に妊活を再開したいと回答したのは43.3%(13/30人)と、半分に満たなかった。また、パンデミック前に、6〜12カ月以内の妊娠を考えてはいたが妊活はしていなかった女性の37.2%(71/191人)は、現在では妊娠を考えていないことも判明した。一方、パンデミック前に、6〜12カ月以内の妊娠を考えていなかった女性の4.5%(42/927人)は、現在、積極的に妊活を行っていると回答した。

 パンデミック発生を受けて妊娠の計画や妊活を諦めた女性には、教育レベルが低い、ストレスレベルが高い、経済的不安が大きい、という傾向が認められた。ただし、これらは統計的に有意ではなかった。研究グループは、「この結果は、妊娠に関わる決断には経済面での健全さが重要であることを強調するものだ。また、米国で続いている出生率低下に対処するために、追加的な財政支援が必要であることを示唆している」と指摘している。

 Kahn氏は、「今回の結果から、COVID-19の流行を受けて女性たちは、妊娠・出産に二の足を踏んだり、場合によっては、計画していた子どもの数を減らしたりしていることが明らかになった。この結果は、パンデミックの及ぼす影響が、健康面や経済面にとどまらず、長期にわたって続く可能性があることを示す一例である」と述べている。一方、論文の上席著者である、NYUランゴン・ヘルスのMelanie Jacobson氏は、「以上の結果から、COVID-19が個々の親だけでなく、全体的な出生率にも悪影響を及ぼしていることがうかがえる」と述べている。

 研究グループは、今後は、今回の研究対象者に対して再調査を行い、ワクチン接種の影響について調べる予定だと話している。

[2021年9月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら