ワクチン接種により得た抗体はデルタ株にも有効か

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2021/09/15

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種によって産生された抗体は、デルタ株などの新型コロナウイルス変異株に対しても有効であるとする研究結果が報告された。研究論文の上席著者である、米ワシントン大学病理・免疫学准教授のAli Ellebedy氏は、「ワクチンを接種した人に対しては、デルタ株はどちらかというと非力だ」と話している。詳細は、「Immunity」に8月16日掲載された。

 Ellebedy氏らは、米ファイザー社製のCOVID-19ワクチンを接種した3人の被験者から抗体産生細胞を収集し、実験室で細胞を増殖させ、中国の武漢で最初に確認された新型コロナウイルスを標的とする13種類の抗スパイクタンパク質RBDモノクローナル抗体を抽出。これらの抗体の、スパイクタンパク質にD614G変異を有するヨーロッパ由来の新型コロナウイルス(D614Gウイルス)と、4種(アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)の変異株に対する認識能力と中和活性を調べた。

 その結果、13種類中12種類の抗体はアルファ株とデルタ株を、8種類の抗体は、4種類の変異株全てを認識することが明らかになった。また、ベータ株とガンマ株を全く認識しないか、認識する力が極めて弱かった抗体が4種類あり、そのうちの1種類はデルタ株も認識しなかった。

 次いで、D614Gウイルスに対する13種類の抗体の中和能力の評価を行ったところ、5種類に高い中和能力が備わっている可能性が示された。そこで、これら5種類の抗体の4種類の変異株に対する中和能力を確かめた。その結果、5種類の抗体全てがデルタ株に対する中和能力を示し、このうち4種類はアルファ株を中和することもできた。4種類の変異株全てを中和できた抗体は1種類だけであった。

 こうした結果を受けて研究グループは、「たとえ、いくつかの抗体が新たな変異株を認識しなかったとしても、別の抗体がその変異株を認識して中和するはずだ」と述べている。

 論文の共著者である、同大学医学部教授のJacco Boon氏は、「デルタ株は確かに他の変異株を凌駕して支配的になった。だからといって、この変異株の抗体に対する耐性が、他の変異株に比べて強いということを意味するわけではない」と強調する。そして、「変異株が感染を広げる能力には、多くの要因が絡んでいる。抗体に対する耐性はそうした要因の一つに過ぎない。他の要因としては、ウイルスの複製能力が挙げられる。複製能力の高いウイルスは、免疫応答を回避する能力にかかわらず、より速く感染を広げられる可能性がある。確かにデルタ株は急激に感染を広げてはいる。だが、デルタ株が他の変異株に比べて、ワクチンにより産生された抗体に打ち勝つ能力が高いことを示したエビデンスは、報告されていない」と説明している。

 一方、Ellebedy氏は、「もし、ベータ株のように抗体に対する耐性が高く、かつデルタ株のように感染を広げる能力の高い変異株が出てくれば、今よりもっと厄介な事態に陥るだろう」との見方を示している。

[2021年8月19日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら