女性は院外心停止から蘇生後の生存退院率が低い

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/01/14

 

 院外心停止から蘇生後の生存退院率が、女性は男性より低いというデータが報告された。米テキサス大学サウスウエスタン医療センターのAhamed Idris氏らの研究によるもので、詳細は「Circulation」に12月15日掲載された。

 Idris氏らは、2010~2015年に、院外心停止患者を対象として米国とカナダで行われた2件の臨床研究のデータを統合し、予後や行われた治療内容を性別に比較した。上記期間に計10カ所の医療機関へ収容され蘇生に成功した患者は4,875人で、このうち1,825人(37.4%)が女性、3,050人(62.6%)が男性だった。

 背景因子を比較すると、女性は男性よりも高齢で(平均年齢67.5対65.3歳)、居合わせた人により心肺蘇生が実施された割合(49.1対54.9%)や、心停止発生が目撃されていた割合(55.1対64.5%)、ショック適応波形の割合(24.3対44.6%)が男性より低かった(すべてP<0.001)。また、蘇生処置拒否(DNR)を意志表示している割合(35.7対32.1%、P=0.009)や生命維持治療の中止(WLST)を意志表示している割合(32.8対29.8%、P=0.03)が、男性より有意に高かった。

 予後に影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、心停止リズム、心停止発生場所、目撃者の有無、居合わせた人による心肺蘇生の実施、アドレナリン投与量、救命医療開始までの時間、蘇生時間)で調整後、生存退院率を性別に比較。すると、男性の36.3%に対して女性は22.5%であり、有意に低かった〔調整オッズ比(aOR)0.78、同0.66~0.93〕。

 このような生存退院率の性差は、DNRの意志表示のない場合(31.3対49.9%。aOR0.74、同0.60~0.91)や、WLSTの意志表示のない場合(32.3対50.7%。aOR 0.73、同0.60~0.89)には、その差がより顕著だった。対照的に、DNRの意志表示のある場合(6.7対7.4%)やWLSTの意志表示のある場合(2.8対2.4%)の生存退院率は、女性と男性とで有意差がなかった。

 蘇生後に行われた治療についても、性別による差が認められた。具体的には、脳を保護するための低体温療法の施行率は男性の44%に対し、女性は35%であり、冠動脈造影の施行率は男性30%、女性14%であって、いずれも女性患者への施行率が低かった。

 今回の研究で明らかになった、心停止から蘇生後の生存退院率や治療施行率の性差について、Idris氏は「原因を追究するため研究を重ねる必要がある」と述べている。また同氏は「この研究は、女性の生存率向上に向けた、新たな研究の方向性を示すものだ」と、研究の意義を強調している。

 共著者の1人である同医療センターのAmbarish Pandey氏は、「今回の研究は蘇生後の患者の実態に着目した数少ない研究の一つ。このような性別による差がなぜ存在するのかを明らかにする必要がある。救命救急において性差のない治療を提供するための道のりは長い」と述べている。なお、米国では年間およそ30万件の院外心停止が発生している。

[2020年12月21日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら