減量手術で糖尿病患者の膵臓がんが減少

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/11/23

 

 肥満糖尿病患者に対する減量手術が、膵臓がんのリスクを大きく低下させる可能性があることが分かった。米国の医療施設グループAllegheny Health NetworkのAslam Syed氏らが、欧州消化器病週間2020仮想会議(UEG Week Virtual 2020、10月10日~14日)で報告した。

 Syed氏らの研究は、肥満を有する糖尿病患者143万5,350人を約20年間にわたって追跡したデータから、減量手術の膵臓がんリスクに対する影響を検討したもの。この対象には、減量手術を受けた患者が1万620人含まれていた。減量手術を受けた患者の73%は女性だった。検討の結果、減量手術を受けた人は、手術を受けなかった人よりも、膵臓がんの発症リスクが低かった(0.19%対0.32%、P<0.05)。

 「肥満と糖尿病は膵臓がんのよく知られた危険因子であり、その発症には慢性炎症、インスリンなどのホルモンの過剰分泌、脂肪細胞が放出する成長因子などの関与が考えられている」とSyed氏は解説。そして、「これまでにも、減量手術が糖尿病患者の高血糖改善に有効であることが示されている。われわれの研究結果は、減量手術が膵臓がんのリスクを抑制するという目的においても、実用可能な治療介入法であることを示している」と、今回の研究の意義を強調している。

 また同氏は、欧州消化器病週間2020仮想会議のニュースリリースの中で、「糖尿病や肥満、膵臓がんの罹患率が上昇してきており、そのような背景からも、今回の研究結果はタイムリーなものだろう」と述べている。同氏は膵臓がんについて、「診断時からの平均生存期間はわずか4.6カ月で、その時点で患者は健康寿命の大半を既に失っている。ほんの3%の患者しか5年以上生存できない」とし、「膵臓がんのこのように低い生存率は、過去40年間改善されておらず、発症の予防が極めて重要だ」と付け加えている。

 膵臓がんは、進行すると背中や上腹部の痛み、黄疸、体重減少などの症状が現れることがあるが、初期は症状に乏しく画像診断も難しいため、早期発見が困難。そのため、「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれる疾患の一つに挙げられている。Syed氏は、このような膵臓がんの特徴と今回の研究結果から、「膵臓がんのリスク抑制のために、肥満に伴う代謝性疾患の患者を診る臨床医は、減量手術を検討する必要がある」とも述べている。

 なお、学会発表された研究は通常、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものと見なされる。

[2020年10月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら