高齢者の転倒をダンスで予防

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/10/30

 

 ダンスを楽しむことが高齢者の転倒予防につながるかもしれない。その可能性を示す論文が、「JAMA Network Open」9月25日オンライン版に発表された。チューリッヒ大学(スイス)のMichele Mattle氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、ダンスなどの身体活動と転倒リスクの低下に有意な関連が認められたという。

 高齢化が進行している先進国では、高齢者の転倒と骨折が増加している。65歳以上の地域住民の約3割が年に1回転倒し、80歳以上ではその割合が約5割に上るとの報告もある。また転倒を起こした場合、その5~7%が骨折を来すという。Mattle氏らは今回の研究で、頭を使いながら行う「ダンスベースの運動」(dance-based mind-motor activities)に着目し、そのような運動に転倒予防効果があるか否かを、これまでの報告を統合して解析した。

 文献検索に用いたデータベースは、PubMed、Embase、Cochrane Library、Web of Scienceなど。2018年2月18日までに発表された論文から、自立して生活している健康な高齢者を対象に、ダンスベースの運動と転倒の関連を検討した英語論文を検索した。転倒リスクを高める可能性のある、パーキンソン病や糖尿病の患者、認知機能が低下した高齢者を含む研究は除外した。

 なお、「ダンスベースの運動」とは、音楽や呼吸などのリズムに合わせて立位で行う運動と定義した。また、社会的交流も経験できる活動であることも必要条件とした。具体的には、太極拳や社交ダンス、フォークダンスなどは適格とし、ヨガは静的であるため対象外とした。

 これらの条件を満たす計29件のランダム化比較試験の論文が抽出された。研究が実施された地域は北米や欧州、アジア、南米など世界各地域に及び、対象者数は19~684人で、女性の割合が高かった。介入期間は6週間~12カ月で1回あたり35~120分、多くは週に2~3回の介入を行っていた。

 メタ解析の結果、ダンスベースの運動は転倒リスクの有意な低下と関連していた〔リスク比(RR)0.63、95%信頼区間0.49~0.80。発生率比(IRR)0.69、95%信頼区間0.53~0.89〕。Mattle氏は、「結果には一貫性が認められ、われわれは良い意味で驚いた」と述べている。

 Mattle氏によると、これまでにもマルチタスク運動(複数の課題を同時にこなす運動)による介入が転倒予防に有望であることが示されていたが、ダンスベースの運動がそれに匹敵する効果があることは知られていなかったという。また、転倒予防にダンスが勧められることはあったが、その効果の裏付けとなるエビデンスはなかったとしている。

 同氏はまた、「話しながら歩くといったマルチタスクを実行する能力は加齢に伴い衰える。これに対し、ダンスベースの運動は頭を使いながら身体を動かすために、予想外の状況に陥った時でも瞬時にバランスを保持して対応するための良い訓練になる」としている。ただし今回のメタ解析から、ダンスが転倒防止につながるとの因果関係が証明されたとは言えず、「今後のより質の高い臨床試験で検証する必要がある」と同氏は語っている。

 高齢者への運動介入効果を検証する別の研究を進めている米シダーズ・サイナイ医療センターのAllison Mays氏によると、一度転倒を経験した高齢者は再び転倒するのではないかとの恐怖のため、活動量が減ることがあるという。そして、「高齢者の転倒予防に最も有効な対策は運動である」と同氏は述べ、「健康的であり、かつ自分が楽しめる運動を見つけることが、継続のポイントだ」とアドバイスしている。

[2020年10月1日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら