心筋梗塞から数カ月後のセックス再開は予後向上に寄与

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/10/26

 

 心筋梗塞を経験した患者の多くは、「心筋梗塞発症から間もない段階でセックスを再開すると、心筋梗塞を再発してしまうのではないか」と不安を覚えている。しかし、心筋梗塞を発症してから数カ月以内に性生活を再開することは、むしろ、生存期間の延長につながる可能性があるとする研究結果が報告された。この研究は、テルアビブ大学(イスラエル)のYariv Gerber氏らが実施したもので、詳細は、「European Journal of Preventive Cardiology」9月22日オンライン版に発表された。

 この研究は、1992~93年に心筋梗塞で入院した、65歳以下で、セックスの機会がある495人の患者(年齢中央値53歳、90%が男性)を対象にしたもの。Gerber氏らは、入院中と退院後3〜6カ月の時点の2度にわたり、対象者に対して性生活に関するインタビューを行い、セックスの頻度に応じて、セックスを控えているか心筋梗塞発症前よりも頻度が減少した群(47%)と、セックスの頻度が心筋梗塞発症前と変わらないか増加した群(53%)の2群に分けた。

 中央値で22年間の追跡期間中に、211人(43%)の患者が死亡していた。解析の結果、心筋梗塞発症後6カ月間のセックスの頻度が以前と変わらないか増加した患者では、セックスを控えているか以前よりも減った患者と比べて、死亡リスクが35%低いことが明らかになった。また、こうしたセックスの頻度の維持または増加が予後に与える良い影響は、がんをはじめとする心血管疾患以外の疾患による死亡の減少によるところが大きかった。

 Gerber氏は、「性的関心や性的活動はウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態のこと)の指標である。心筋梗塞の発症後、早い段階でのセックスの再開は、健康で性機能に問題がなく、若々しくて活力に満ちた人間であるという自己認識の現れともいえる。このことは、より健康的な生活習慣にもつながり得る」と説明している。

 ただ、今回の研究では、心筋梗塞発症後のセックス再開と、長期予後の改善の因果関係が示されたわけではなく、関連が認められたに過ぎない。Gerber氏らが説明するように、セックスは心拍数を増加させ、血圧を上昇させる運動の一種だ。高強度の運動は心筋梗塞を引き起こすことがあるが、日常的な身体活動は、長期的に見れば心疾患リスクを低減させると考えられている。セックスが心筋梗塞の引き金となる場合もあるが、定期的に運動している人では、そのリスクは低いことも明らかにされている。

 また、Gerber氏は、性生活を早期に再開できるということは、全般的な体調が回復しているサインであるとの考えも示し、「十分な体力が戻り、配偶者との関係が良好で、認知機能にも問題がないという因子が、患者の予後向上に寄与した可能性がある」と説明している。

 一方、この研究には関与していない米ノースウェル・ヘルス傘下のサンドラ・アトラス・バス心臓病院のGuy Mintz氏は「心筋梗塞発症後のセックスは危険だという昔からのタブーに異議を唱える研究結果だ」とコメント。ただし、この研究の対象者は、年齢の中央値が53歳と比較的若い上に、90%が男性患者であることから、「より高齢の患者や女性患者には、この結果が当てはまらない可能性がある」と指摘している。

 Mintz氏はまた、多くの患者にとっては、普段通りの性生活に戻ることで自尊心が高まり、健康増進や活力の向上につながるとの見解を示し、心筋梗塞の既往歴を有する患者に対して、性生活の再開について主治医と率直に話し合うよう助言している。

[2020年9月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら