長い昼寝は寿命を縮める?

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/09/21

 

 一般的に、健康的な習慣と見なされている昼寝だが、1時間以上の昼寝は、心血管疾患や全死亡のリスク上昇を招くとする研究結果が、バーチャル開催された欧州心臓病学会(ESC 2020、8月29日~9月1日)で報告された。研究を実施した広州医科大学(中国)のZhe Pan氏は、「われわれの研究結果は、昼寝はパフォーマンス向上をもたらし、睡眠負債による悪影響を緩和するという通説に疑問を投げ掛けるものだ」と話している。

 Pan氏らは、2019年12月までに発表された、昼寝と心血管疾患、および/または全死亡リスクとの関連を検討した研究論文のシステマティックレビューを実施し、基準を満たした20件の研究論文を基に解析を行った。解析対象者の総計は31万3,651人(女性が57.8%)で、このうち38.9%に当たる人が昼寝の習慣を持っていた。

 解析の結果、昼寝を1時間以上する習慣のある人は、昼寝の習慣がない人に比べて、心血管疾患の発症リスクが34%、全死亡リスクが30%高いことが明らかになった。夜間の睡眠時間を考慮して解析すると、夜間の睡眠時間が6時間以上の人においてのみ、1時間以上の昼寝が全死亡リスクの上昇と有意な関連を示した(ハザード比1.13、95%信頼区間1.03〜1.24)。全体的には、昼寝の長さにかかわらず、昼寝の習慣がある人では、習慣がない人に比べて、全死亡リスクが19%増加していた。さらに、この関連は、女性と65歳超の高齢者で顕著であり、全死亡リスクはそれぞれ、22%、17%増加していた。

 では、昼寝はどのような機序で体に影響を及ぼすのだろうか。Pan氏は、その点については明確になっていないとしながらも、長い昼寝により体の炎症レベルが上昇することを示唆した研究結果や、昼寝と高血圧や糖尿病の発症、全体的な健康レベルの低下との関連を示した研究結果について言及している。その上で同氏は、「われわれの研究結果から言えることは、昼寝をするのであれば、1時間以内にとどめる方が安全だということだ。もともと昼寝の習慣がない人に対して、それを今から習慣化することを推奨する、説得力のあるエビデンスは得られていない」と結論付けている。

 今回の研究報告を受けて、米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ティッシュ女性健康センター長で、循環器専門医のNieca Goldberg氏は、夜間の睡眠時間が長いからといって良質な睡眠が取れているとは限らず、この研究ではその点が考慮されていないことを指摘。そして、「昼寝から、夜間の睡眠の質に関する手掛かりが得られる可能性がある」と述べている。米マウントサイナイ・モーニングサイドのMatthew Tomey氏もこれに同意し、「長時間の昼寝が習慣化している人もいるが、中には、夜間の睡眠時間が短すぎるか、または睡眠の質が低すぎるために、昼寝の時間が長くなっている可能性のある人もいる」としている。その上で両氏は、「頻繁に昼寝をする人は、睡眠時無呼吸やその他の問題により質の高い睡眠を得られていない可能性があるため、睡眠問題について医師と話し合うべきだ」と述べている。

 なお、米疾病対策センター(CDC)は、良好な睡眠を得るための習慣として、1)規則的な睡眠スケジュールを守ること、2)睡眠に関わる脳内化学物質が増加するよう、日中に自然光をたっぷり浴びること、3)定期的に運動を行うこと(ただし、就寝の数時間前の運動は避ける)、4)就寝前に人工光を浴びないようにすること、5)寝室を涼しく、暗くし、静けさを保つこと、の5つを挙げている。

[2020年8月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら