大半の人々は心肺蘇生法の成功率を過大評価している

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/08/10

 

 患者および一般の人々は、心拍や呼吸が停止した人に対して行う緊急措置であるCPR(心肺蘇生法)の成功率を大幅に過大評価している可能性があるとする報告を、米カリフォルニア大学デービス校のNorkamari Shakira Bandolin氏らが「Emergency Medicine Journal」7月13日オンライン版に発表した。

 これまでの研究で、患者が考えるCPR後の生存率には、19~75%と幅があることが分かっている。しかし、実際の生存率は、院外で発生した心停止の場合では平均約12%、院内で発生した心停止では24~40%であるという。

 Bandolin氏らは、2016年6〜9月に第三次医療機関の救急外来待合室で待機していた18歳超の成人を対象に調査を実施。CPRの成功率に関する予測を評価するとともに、CPRに関する情報源の変化、CPRの実施/目撃経験やCPRの講習への参加が、CPR成功率に関する予測に影響を及ぼすのかどうかを調べた。

 その結果、500人から調査に対する回答を得ることができた。そのうちの53%はCPRを実施または目撃した経験がある、64%はCPRの講習を受けたことがあると回答し、95%超の人が、CPRに関する主な情報源はテレビであると回答した。また、半数以上(51〜64%)が、CPRの成功率は75%を上回ると予測し、この予測は、年齢や性別、人種、精神的信条、個人の医療経験により左右されないことが明らかになった。さらに、90%以上の人が、必要であればCPRを受けたいと回答したが、その一方で、CPRについて医師と話し合ったことがある人はわずか28%にとどまった。

 こうした結果を受けてBandolin氏らは、「救急科の医師は、患者やその家族に対し、エンド・オブ・ライフケア(人生の終焉期に提供される医療や看護、介護のこと)や蘇生のプロセスについて話をすることが多い。CPRに対する患者や家族の先入観が、話し合いの内容や実施する治療を左右する可能性がある」と指摘。「医師は、CPRについて患者とその家族から同意を得る前に、CPRの実際の成功率や、ベネフィットとリスクについて、患者やその家族に説明する必要がある」と述べている。

 ただし、この論文の著者らは、この研究結果は一施設でのみ実施された調査結果に基づくものであり、調査対象者も母国語を英語とする人のみであったことを限界として挙げており、得られた知見が、広く一般に当てはまるとは言い難いことを認めている。

 それでも著者らは、「救急外来の受診患者やその同伴者がCPR後の生存率を過大評価している」と結論付け、「救急部の医師は、患者が情報に基づいて意思決定ができるように、重要な情報を患者に提供すると同時に、蘇生についても話し合うようにすべきである」と主張する。また、その話し合いでは、「実際の生存率と結果を明確に伝えるべきであり、患者や医療経験のある同伴者が、医療に現実的な期待を抱いていると思い込んではならない」と注意を促している。

[2020年7月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら